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「異世界ファンタジー」の下位ジャンルの必要性――ゲーム的でない異世界ファンタジーを何と呼びますか?

 

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ハリー・ポッターと賢者の石

2019年8月30日追記:この「『異世界ファンタジー』の下位ジャンルの必要性」という記事に対して、「ファンタジーのジャンル論・再考」という下記記事を書いたのでぜひご覧ください! 下記記事はこの記事の訂正版のような形になっております。

irohat.hatenablog.com

以下、本来の記事へ――

 

 

皆さんは、ライトノベルの文脈において時折語られる異世界」系と「ファンタジー」系の違いは分かりますか? 正直、あまりよく分かってはいないのではないでしょうか? あるいは、自分なりに区別しているとしても、それはラノベ界隈で広くコンセンサスを得られているのでしょうか?

 

そんな疑問に対する回答の一助になればと思い、この記事では、ライトノベルの文脈における「ファンタジー」や「異世界」といったジャンル分けの方法について考察・提案を行いたいと思います。

 

とはいえ、まずは本論に入る前に、私のジャンル分け理解の全体像を見て頂ければと思います(下図参照)。

 

ファンタジー

 ├─本格ファンタジー

 │  ├─ハイ・ファンタジー

 │  └─ロー・ファンタジー

 └─異世界ファンタジー

    ├─ゲーム的異世界ファンタジー

    └─非ゲーム的異世界ファンタジー

 

 

(1)伝統的なファンタジーラノベ的な異世界ファンタジーの区別の必要性

 

最初に、「ファンタジー」の定義を確認しておかなければなりません。アカデミアの世界では歓迎されませんが、このブログはそういう場所ではないのでひとまずWikipediaの記載を引用しておきます。

 

ファンタジーとは、超自然的、幻想的、空想的な事象をプロットの主要な要素、あるいは主題や設定に用いるフィクション作品のジャンルである。

ファンタジー - Wikipedia

 

要するに、典型的には、魔法や魔物などが登場する物語をファンタジーと呼ぶのです。

そして、ファンタジーにはさらに下位ジャンルが存在します。様々な下位ジャンルがありますが、最も重要なものとして「ハイ・ファンタジー」と「ロー・ファンタジー」の区別を挙げなければなりません。

 

ファンタジー

 ├─ハイ・ファンタジー

 └─ロー・ファンタジー

 

両者の定義について、ここでもWikipediaを引用させてもらいます。

 

ハイ・ファンタジーとは、現実の世界ではなく、架空の世界のファンタジーとして定義される。その架空の世界は(架空世界内では)一貫しているが、現実の世界とは異なる「法則」で成り立っている。逆にロー・ファンタジーは、現実の世界に魔法の要素が含まれていたり、架空の世界であっても(現実の世界として)合理的で親しみのある世界に魔法の要素が含まれている。

ハイ・ファンタジー - Wikipedia

 

ハイ・ファンタジーの代表例としては、指輪物語』(ロード・オブ・ザ・リングが挙げられます。(両者の区別は時に難しいと言われていますが)ロー・ファンタジーの例としては、ハリー・ポッター」シリーズが挙げられるでしょう。たしかに作中の魔法世界は高度に完成されていますが、主人公のハリーは魔法学校に入学する前は魔法界があることを知りませんでしたし、作中世界の非魔法族(マグル)はこの世に魔法なんてものがあるとは信じていません。その意味で、この作品はロー・ファンタジーに位置づけられるでしょう。

 

しかし、同じく魔法や魔物が登場するファンタジーだとしても、指輪物語ハリー・ポッターなどの作品群と、ライトノベルにおいてよくある異世界ファンタジー作品群とを一緒くたにするのは直感的に違和感を覚えませんか?

 

それもそのはず、後者については、①ここ30年くらいに、②日本において、③ライトノベル小説投稿サイトという媒体を通じて発展した、④現実世界から異世界(ゲーム世界も含む)への転生・転移・(ゲームについては)没入を特徴とするジャンルなのです。

①~③については説明は不要でしょう。④については、ロー・ファンタジーとの共通性があります。しかし、このジャンルについては、ハリー・ポッターなどの伝統的なファンタジーとの違いを認識できるほどに「型」がある程度完成されているため、むしろ伝統的にロー・ファンタジーとして語られているジャンルからは切り離した方が適当でしょう

 

そこで、私としては、まず、ファンタジーの下位ジャンルとして、「本格ファンタジー異世界ファンタジーの区別を提案したいと思います(既に提案されているかもしれませんが)。

 

ファンタジー

 ├─本格ファンタジー

 └─異世界ファンタジー

 

ここでいう「本格ファンタジーとは、主にヨーロッパの作家によって、ヨーロッパの神話・歴史等に基づいて作られた伝統的なファンタジーのことを指します(もちろん、日本人作家であっても、その影響を強く受けていればこちらに分類されます。たとえば、ラノベですが、ハリポタの影響が見られる『七つの魔剣が支配する』は本格ファンタジーに分類されるでしょう)。ライトノベルを読まない層がファンタジーと聞いて思い浮かべる作品群が属するジャンルと言えば、分かりやすいでしょうか?

なお、「本格」という用語は、異世界ファンタジーは本格的な=一流のファンタジーではない」という意味が込められている訳ではありません。適当な用語が思いつかなく、(サスペンスや警察小説などを含む広い意味の)ミステリーの下位ジャンルの一つである本格ミステリ」(昔ながらの言い方では探偵小説)から「本格」という言葉を拝借しただけなのです。もしかしたら、「伝統的ファンタジー「世界標準的ファンタジーなどと呼んでも良いのかもしれません。

 

さて、「本格ファンタジーの対には異世界ファンタジーが据えられます。既に説明したように、異世界ファンタジーは、ここ30年くらいに日本において、ライトノベルや小説投稿サイトという媒体を通じて発展したジャンルで、現実世界から異世界(ゲーム世界も含む)への転生・転移・(ゲームについては)没入を特徴としています。

たしかに初期の異世界ファンタジーは本格ファンタジーから影響を受けていたかもしれませんが、日本の文芸界において一つの流行を作り出すほどに興隆しています。ここにおいては、一定の「型」が作られるほどジャンル内での相互影響が強いため、本格ファンタジーから異世界ファンタジーを分離独立させるべきでしょう。

ところで、この異世界ファンタジーの発展により、「異世界」という言葉はこのジャンルの特徴を表す言葉となったため、本格ファンタジーにおける作中世界を「異世界」と呼ぶことは混乱の元凶となってしまいます。無用な混乱を避けるために、本格ファンタジーにおける作中世界は、「架空世界」や「別世界」などと呼んだ方が良い気がします。

なお、異世界ファンタジーの下位ジャンルにおいては、「ハイ・ファンタジー」と「ロー・ファンタジー」の区別を導入する必要はないと思われます。というのも、このジャンルは、「現実世界から異世界(ゲーム世界も含む)への転生・転移・(ゲームについては)没入」を特徴としているので、いわばロー・ファンタジーであることが前提なのです。したがって、「ハイ・ファンタジー」と「ロー・ファンタジー」の区別は、もっぱら本格ファンタジーの下位ジャンルにおいて使われるべきでしょう。

 

ファンタジー

 ├─本格ファンタジー

 │  ├─ハイ・ファンタジー

 │  └─ロー・ファンタジー

 └─異世界ファンタジー

 

 

(2)異世界ファンタジーにおける下位ジャンルの必要性

 

以上のように本格ファンタジーラノベ的な異世界ファンタジーとを切り離したのですが、後者についてはさらなる下位ジャンルが必要だと思われます。

 

というのも、異世界ファンタジーにおいては、ゲーム的(ドラクエ的・MMORPG的)な要素が含まれているもの(ゲーム的異世界ファンタジーと、そういった要素が(ほとんど)ないもの(非ゲーム的異世界ファンタジーとがあるからです。

 

異世界ファンタジー

 ├─ゲーム的異世界ファンタジー

 └─非ゲーム的異世界ファンタジー

 

まったくの余談ですが、私がこの区分の必要性に思い至ったのは、非ゲーム的異世界ファンタジーの方に対して相対的に親しみを覚えているものの、このジャンルを探すための用語がないことに気が付いたからです。

実は私はコンピューターゲームを全くやったことがなく、ゲーム的異世界ファンタジーについてはは苦手意識みたいなものがあります。冒険者って何?」「勇者って職業なの?」「HPって何?これが無くなると死ぬの?というか何の略?」「クラスアップとは?」「スキルツリー?なにそれおいしいの?」みたいな感じなのです。

つまり、ゲーム的異世界ファンタジーにおいては、作者・読者の間で一定のゲーム的世界観が共有されているため、その前提を十分に理解できていない読者にとってはあまり「ライト」(手軽)に読めないのです。その一方で、非ゲーム的異世界ファンタジーにおいては、本格ファンタジーと同様に比較的丁寧に世界観の説明がなされる傾向にあると思われます。

 

さて、私の個人的事情は措いておくとしても、「ゲーム的異世界ファンタジー「非ゲーム的異世界ファンタジーの区別は必要だと思います。というのも、「異世界への転生・転移・没入」という一定の「型」を有する「異世界ファンタジー」のうち、「ゲーム的である」という点においてさらに強固な「型」を有する「ゲーム的異世界ファンタジーと、異世界転生・転移」という手法は使うものの、むしろその他の世界観設定は自由度が高かったり、あるいは本格ファンタジーに似通っていたりする「非ゲーム的異世界ファンタジーとは、明らかに異なる特徴を有しているからです。

 

ここで「ゲーム的異世界ファンタジーというジャンルへのラベリング方法を提案したいと思います。以下のいずれかの条件に該当すれば「ゲーム的異世界ファンタジーに分類されるということにします(かなり緩やかな条件なので、相当数の作品がこちらに分類されると思います)。

 

①その異世界がゲーム世界だと明言されている場合

②その異世界の様子を見て登場人物が「まるでゲームみたいだ」と言及する場合

③以下のように明らかにゲームに影響された要素が登場する場合

a)冒険者・勇者といった職業・名称。冒険者の仕事紹介所としてのギルドの存在。冒険者の仕事としてのクエストの存在。

b)HP、経験値、スキル、ランク、レベル、クラスなどのステータス制度の存在。ステータスを管理する上で便利すぎる(つまりコンピューター端末のような)カード、バーチャル画面、音声などの存在。

 

それでは、「非ゲーム的異世界ファンタジーには、どのような特徴があるのでしょうか?

上で「非ゲーム的異世界ファンタジーは「『異世界転生・転移』という手法は使うものの、むしろその他の世界観設定は自由度が高かったり、あるいは本格ファンタジーに似通っていたりする」と書きましたが、これは異世界ファンタジー」との比較の上での話です。

「ゲーム的異世界ファンタジー」は「ゲーム的である」という点において積極的に特徴を見出せますが、「非ゲーム的異世界ファンタジー」の場合はどうでしょうか? 積極的な形で特徴を見出すことができるのでしょうか?

しかし、私が考えた限りでは、そのジャンル名が示す通り、「ゲーム的でない」というように消極的・控除的にしか定義できないと思います。ですが、これでは可哀そうではありませんか!? このままではこのジャンルを盛り立てようがありません!

ここで、この記事のサブタイトル「ゲーム的でない異世界ファンタジーを何と呼びますか?」に話が戻るのです。皆さんであれば、このジャンルに何と名前を付けますか? あるいは何と呼ぶべきか知っていますか? これこそが私がこの記事で問いたかったことなのです。もし回答をお持ちの方がいるのなら、教えていただければ幸いです。

 

最後に、もう一度、ファンタジーの下位ジャンルについての私の理解の全体像を再掲しておきます。

 

ファンタジー

 ├─本格ファンタジー

 │  ├─ハイ・ファンタジー

 │  └─ロー・ファンタジー

 └─異世界ファンタジー

    ├─ゲーム的異世界ファンタジー

    └─非ゲーム的異世界ファンタジー

 

 

2019年8月29日追記:ジャンル論について別記事を書いたので是非ご参照ください!

irohat.hatenablog.com

 

2019年8月30日追記:この「『異世界ファンタジー』の下位ジャンルの必要性」という記事と、すぐ上に掲げた「『異世界転生しないのにゲーム的な要素が登場するファンタジー』はアリなのか?」という記事に対しては、「ファンタジーのジャンル論・再考」という下記記事を書いたのでぜひご覧ください! 下記記事はこの2つの記事の訂正版のような形になっております。 

irohat.hatenablog.com

 

 

(3)非ゲーム的異世界ファンタジーのおすすめ作品

 

ここまでの記述の節々から分かると思いますが、私のお気に入りジャンルは「非ゲーム的異世界ファンタジーです。そこで、このジャンルに分類される作品を2つ、ここでおすすめしておきたいと思います。どちらも「異世界転生」という手法を使っていますが、まったくゲーム的ではありません

 

1つ目は、私のいち推し、唐澤和希『転生少女の履歴書』(ヒーロー文庫、2019年8月現在既刊8巻)です。紹介記事を書いているので詳しくはそちらをご覧ください。

irohat.hatenablog.com

 

2つ目は、小山恭平『我が姫にささぐダーティープレイ』(講談社ラノベ文庫、2019年8月現在既刊2巻)です。こちらに至っては、亜人種こそ登場しますが、魔法や魔物はほとんど皆無と言って良いほど登場しません。まさに非ゲーム的異世界ファンタジーの設定の自由度の高さを示す作品です。この作品についても紹介記事を書いているので詳しくはこちらをご覧ください

irohat.hatenablog.com

 

久追遥希『ライアー・ライアー』――最新の本格的頭脳戦ラノベここにあり!

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ライアー・ライアー


(1)基本情報

 

『ライアー・ライアー』(MF文庫J、2019年8月現在既刊2巻)

著者:久追遥希

イラスト:konomi(きのこのみ)

ジャンル:「頭脳戦」「嘘」「学園」「ラブコメ

mfbunkoj.jp

 学生同士がランクを決める決闘〈ゲーム〉を繰り広げる学園島〈アカデミー〉。俺、篠原緋呂斗は国内最難関の学園島編入試験で歴代トップの成績を叩き出し、昨年度の絶対王者・彩園寺更紗を転校初日で陥落させ、学園島史上最速で頂点に君臨する“7ツ星〈セブンスター〉”に成り上がった。

 ――ああ、もちろん、そんなのは全部嘘だ。

 大事をやらかした俺が学園島〈アカデミー〉で目的を果たすためには、嘘でもトップに君臨し続けなきゃいけない。そのためならば、俺を主人として補佐する美少女メイド 姫路のイカサマも、実は偽お嬢様だった彩園寺との共犯関係も何でも使ってやる。では、世界を制する嘘〈ゲーム〉を始めよう。 【第1巻裏表紙より】

 

 

(2)あらすじ

 

以下ではあらすじを紹介しますが、第1巻中盤あたりまでの設定と人間関係を少し詳しめに説明しますので、これを重大なネタバレと感じる方は注意してください!(もちろん、この記事を読んだ方が本作品を初めて読んでも楽しめるようには配慮するつもりですが)

 

まず、舞台となるのは学園島〈アカデミー〉。ここでは「真のエリートの養成」が掲げられ、生徒同士の決闘〈ゲーム〉が推奨されています。

この島の高校生は「星制度」の下にあり、全員が1ツ星~7ツ星のいずれかに分類されています。星が多いほど島内生活において良い待遇が受けられるため、生徒たちは星の数に執着します。この星を増やす最もメジャーな手段は、生徒同士が相手の星を奪うために仕掛ける決闘〈ゲーム〉です。

 

とある4月、島内に20ある学区のうちの四番区の高校に転校してきた主人公・篠原緋呂斗――転入試験の成績に基づき編入時に与える予定の星は1ツ星――は、入島初日、ひょんなことから同学年の少女・彩園寺更紗――島内唯一の7ツ星!――と出会い、なんやかんやで決闘〈ゲーム〉を行うことになります。

二人が行うのは「ターン制睨めっこ・強化版」片方がアタッカーとなり1分の間に相手に何かしらの感情を顔に出させたら負けとなる睨めっこを交互に繰り返すゲームです。しかし、この島の星制度は「より星の多い者により多くの特権を与える」ものです。決闘〈ゲーム〉においてもこれは例外ではありません。

ここで彩園寺は、「数値管理:Lv7」というアビリティを使い、「相手の攻撃ターンを十分の一に制限」します。つまり、彼女の攻撃ターンは1分にもかかわらず、彼の攻撃ターンは6秒しかないのです。さらに彼女は「創造:Ex」というアビリティを起動し、そこで創り出したを繰り出し彼から表情の変化を引き出そうとします。内心の感情と表情を完全に切り離すことができるという特技を持つ彼ですが、いくらなんでも絶体絶命―――――と思いきや、棚ぼた的に彼は勝利を獲得します

その結果、彩園寺は7ツ星から6ツ星に陥落し、彩園寺から星を奪った彼は(編入手続の前に決闘を行ったので星ゼロから)1ツ星、しかも色付き星〈ユニークスター〉持ちになります。この色付き星とは、島内に十数個しか存在が確認されていない星で、一つひとつに特殊効果が付与されています。

 

ところで、篠原が転校初日に負かした彩園寺は、島内唯一の7ツ星――入学以来全戦全勝の「女帝」――というだけではありませんでした。彼女は学園島の創始者の家系のご令嬢であり、学園島総責任者の孫娘なのでした。そんな彼女を1ツ星に過ぎない篠原が転校初日に負かしたのですから、彩園寺家の面目は丸潰れです。社会的影響の絶大な彩園寺家ですから、篠原は社会的に抹殺されかねません

そこで、篠原を利用してとある野望を叶えるために彼を転入させた四番区の学長は、ある提案をします。彩園寺から奪った赤の色付き星――データ上での嘘を成立させる効果を持つ――を使って、「実は篠原緋呂斗は編入試験で最高得点を叩き出した異端の天才の7ツ星だった」と嘘をつくのです。そうすれば、彩園寺家のメンツも保たれますから、彼はこの島を去らずに済みます。とある目的のために学園島に転入してきた彼は、この提案を受け入れることになります。こうして彼は、1ツ星にもかかわらず7ツ星を名乗る嘘つき〈ライアー〉となりました。そして彼は、この嘘を貫き通すために、赤の星を奪われないために、島内の人間を騙し続けることを決意するのです。

 

さて、その翌日、なぜか彩園寺が篠原に接触してきます。曰く、「私の弱みを握ってどうするつもりなのか? なぜまだ秘密をバラしていないのか?」と。篠原には何のことかわかりません。しかし、彼女は自爆します。「知っているんでしょう――あたしが、本当は○○って!!」(○○は作品を読んでからのお楽しみ!)。どういうことかというと、「赤の星」を奪われた者は、ついていた嘘が星を奪った者に対してバレるというのです。彼女もまた嘘つき〈ライアー〉だったのです。

 

期せずして彩園寺の秘密を知ってしまった篠原は、彼女と秘密裏に共同戦線を張ることになります。なぜなら、篠原が負ければ彩園寺の嘘がバレる(赤の星が他人に渡れば篠原の嘘も彩園寺の嘘もバレてしまう)、その結果、「彩園寺が実は○○」という嘘がバレれば四番区学長が篠原を守る理由がなくなり彼は島にいられなくなる、というように、2人の嘘が奇妙に絡み合ってしまったからです。

 

こうして篠原は彩園寺と裏で協力しつつ、また学長の用意した〈カンパニー〉と呼ばれるイカサマ工作補佐チームの補助を得て、次々と挑まれる決闘〈ゲーム〉に臨むことになります。

しかし、いくら〈カンパニー〉の補佐を得ても、彼の戦いは困難を極めます。なぜなら、彼はデータ上は7ツ星ですが、権限上は1ツ星なのです。つまり、決闘においてはある程度の健全性を確保するために、決闘の申請者――ランクの低い側――がその決闘内容を決めるのですが、彼はデータ上は最上位の7ツ星なので決闘内容を決められません。さらに、高ランクであればあるほど決闘に際して相手に優位に立てるアビリティについては、彼の権限は1ツ星なので、1ツ星相当のアビリティしか使えないのです。しかも嘘を貫き通すためには一敗も許されません。こんな状況は、彼曰く、クソゲーなのです。

 

『ライアー・ライアー』は、そんな彼が、彩園寺や〈カンパニー〉と協力しつつ、また彼の持ち前の演技力(と後々に発揮される発想力)で嘘を貫き通そうと奮闘する本格的頭脳戦(+ラブコメラノベなのです!!

 

 

(3)おすすめポイント――最新の本格的頭脳戦ラノベここにあり!

 

すでに上のあらすじ紹介で分かったと思いますが、『ライアー・ライアー』のおすすめポイントは、本格的頭脳戦をテーマとしている点です。その考え抜かれたゲーム設定(敵味方問わず)登場人物の鮮やかな戦い方には感嘆してしまいます!

 

もしかしたら、上記のあらすじを読んだ人の中には、イカサマをしてルール内で戦わないのなら、本格的頭脳戦の看板倒れじゃん」と思う方もいるかもしれません。

が、ご安心ください。なぜなら、特に高ランクな相手ほどイカサマが通用しなくなり、そのような状況下において、実質は1ツ星の篠原はむしろ苦戦を強いられる構造となるからです。ここで演技力をはじめとする彼の才能が発揮され、本格的頭脳戦が繰り広げられるのです!!

 

【追記】第2巻の感想記事を書いたのでぜひご覧ください! 未読の方が読んでも大丈夫なように配慮したつもりです!

irohat.hatenablog.com

 

 

(4)関連おすすめ作品

 

もしかしなくとも、『ライアー・ライアー』の読者は既に読了済みかもしれませんが、関連おすすめ作品として、同レーベルの衣笠彰悟『ようこそ実力至上主義の教室へ』(MF文庫J、2019年8月現在既刊11巻)を紹介します。こちらも高校を舞台に本格的頭脳戦が繰り広げられる熱いストーリーとなっております! ようこそ実力至上主義の教室へ』が好きな人は『ライアー・ライアー』も好きであり、逆もまた然り、というのは間違いありません! どちらかしか読んでない方はもう一方の作品も手に取ってみることを是非お勧めします!! なお、ようこそ実力至上主義の教室へ』は、2019年9月25日に番外編となる第11.5巻が発売されます!

youkosozitsuryoku.com

 

石之宮カント『始まりの魔法使い』――原始の時代で魔法の仕組みを解明しろ!

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始まりの魔法使い

 

(1)基本情報

 

『始まりの魔法使い』(富士見ファンタジア文庫、2019年8月現在既刊5巻)

著者:石之宮カント

イラスト:ファルまろ

ジャンル:異世界転生ファンタジー」「魔法」「ドラゴン」

fantasiabunko.jp

 かつて神話の時代に、ひとりの魔術師がいました。彼は、“先生”と呼ばれ、言葉と文化を伝え、魔法を教えました。そんな彼を人々はこう呼びました――始まりの魔法使い、と。

 そんな大層な存在ではないのだ――「だから火を吹かないで!」「ごめんごめん。私にとってはただの息だからさ」竜として転生した“私”は、エルフの少女・ニナとともに、この世界の魔法の理を解き明かすべく、魔法学校を建てることにした。そこで“私”は、初めての人間の生徒・アイと運命の出会いを果たし――。これは、永き時を生きる竜の魔法使いが、魔術や、国や、歴史を創りあげる、ファンタジークロニクル。 【第1巻裏表紙より】

 

 

(2)あらすじ

 

主人公は天寿を全うした後、異世界に転生します。が、そこでの姿はドラゴンでした。

 

母竜に育てられ10年、巣を追い出された彼は独り立ちをします。そこで出会ったのは、木々を魔法で操るエルフ・ニナ、そして文字も言葉もない原始的な生活をする村から生贄として捧げられた人間の少女・アイ

 

前世で魔法を研究しつくした(そしてそんなものはないと結論付けた)オカルト研究家であった彼は、木々を操るエルフの魔法や、ドラゴンである自身の口から炎が出る現象に興味を持ちます。その結果、この原始の世界で、魔法と文明を研究・教育し普及させるために学校を作ることになるのですが、魔法を操るエルフでさえもその体系化はなしておらず、彼はほとんど一から魔法の仕組みを解明してゆくことになります

 

個人的に面白かったのが魔法陣に関するエピソードです(第2巻)。皆さんは何のために魔法陣が描かれると思いますか? なんとなく、召喚魔法の際に使われるヤツというイメージではありませんか? しかし『始まりの魔法使い』では、魔法陣の効用について、なるほどと思わせる再解釈がなされています

 

 

(3)おすすめポイント――あなたは「ドラゴン」になったことがありますか?

 

ドラゴンに転生した主人公は、ほとんど永遠とも言えるほどの寿命を有することになります。その一方で、家族も同然の人間の教え子たちはせいぜい数十年しか生きられません。章や巻が変わるごとに数年~数百年とテンポよくストーリーは進みますが、人間の方は目まぐるしく世代が交代してゆき、彼は数多の出会いと別れを経験することになります。

 

主人公の彼は、姿かたちこそドラゴンですが、心は前世からの人格を引き継いでいます。それゆえに、かつて人間だっただけに、彼は人間との関わり方に苦悩することになります。

 

この物語の半分が「ドラゴンにして始まりの魔法使い」としての彼の英雄譚であるとすれば、もう半分は「人間」としての喜びと苦悩に溢れた人間らしいストーリーとなっております。

 

このほろ苦さは、もしあなたが人間のまま普通に生活していれば経験することはできません。この作品を読んで、もし自分だったら、と考えてみてください。意外と深淵な問題がそこにあるのかもしれません。

 

 

(4)関連おすすめ作品

 

その世界においてある程度は魔法が体系化されているものの、試行錯誤しながら「未発見」の魔法の仕組みを解明してゆく異世界転生ファンタジーという点において、唐澤和希『転生少女の履歴書』(ヒーロー文庫、2019年8月現在既刊8巻)を関連おすすめ作品として挙げさせてもらいます。この作品については過去に紹介記事を書いたのでそちらも参照してみてください!

irohat.hatenablog.com

 

光源氏計画エンディングの倫理的許容性を考える――「養父と養娘の結婚」問題

 

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若紫

 

 

そもそも「光源氏計画」とは?

 

光源氏計画」の定義について、以下のサイトが上手くまとめてあったので引用します。

自分が慕う年下の人物を自分にとって理想的な「大人の女性」に育てようとする計画のこと。そんな思惑や様子を描いた作品に付けられるタグ。 元ネタは世界最古の長編小説と言われる紫式部の古典『源氏物語』。 義母の藤壺を愛していた光源氏が、藤壺と似ていた美少女・若紫に惚れ、彼女を自ら養育して美しい女性に成長させた。そしてある夜、二人は結ばれ、光源氏の妻「紫の上」となった。 〔中略〕現代では主に自分を慕う子供や後輩を、自分の理想の立派な大人に育てる意味で使われる。 その慕う相手は自分にとって年下で、ほとんどが男が年下の女子に対してすることに使われ、年上女性が年下男子に対しての場合、「逆光源氏計画」と呼ぶ。

 光源氏計画 (ひかるげんじけいかく)とは【ピクシブ百科事典】

 

なお、便宜上、ここからは光源氏計画における年上男性を「養父」、年下の女子を「養娘」と呼ぶことにします。

 

ところで、光源氏の場合は、そもそも若紫と結婚することを意図として彼女を養育し始めたのですが、そうではなく、養娘と結婚することを当初から意図しなくても、結果的に結婚した場合もこの記事においては光源氏計画エンディング」に含め、これら両方を考察対象にしたいと思います。

 

さて、ライトノベルや漫画などのフィクションにおいては、この種の光源氏計画エンディングが散見されますが、私自身はこの手の作品を読んだとき直感的にどう思ったのかというと、「う~ん。せいぜいセカンドベストかなあ」でした。つまり、ベストなエンディングは「養娘が同世代の他の男と結婚するのを養父が感極まりながら見送る」であり、光源氏計画エンディングはそれに及ぶことはない、と考えています。とはいえ、「こんなのありえない!作者は頭がおかしい!!」とまで強く否定するつもりはありません。「エンディングの一つとしてはアリっちゃアリなのかなあ」みたいな気持ちなのです。

 

そこで、このような中途半端な気持ちを分析するために、この記事を書こうと思ったのです。

 

 

法律から考える光源氏計画の社会的許容性

 

光源氏計画エンディングに対して一定の忌避感が生まれるのは、そこに何らかの道徳的・倫理的な問題があるのではないか?と直感的に感じてしまうからだと思います。

 

それでは、ここでいう道徳・倫理とはいったいなんなのでしょうか? これを特定・定義する作業は本来難しいことなのかもしれませんが、今回は法律という道具が使えそうです。

 

「法は倫理の最小限」という言葉があるように、社会に数ある規範(ルール)のうち、最低限度の倫理規範を国家権力によって強制的に守らせようとする手段が法律である、という考え方があります。言い換えれば、法律はその社会で広く合意が得られている倫理規範なのです。たとえば、「人を殺した者は、死刑又は無期若しくは5年以上の懲役に処する」と殺人罪について定める刑法199条は、「人を殺してはならない」という社会倫理規範の現れだと言えます。

 

翻って光源氏計画エンディングについて考えてみましょう。

 

まず、実の親子については、法律は当然に結婚を禁じています。民法734条1項は、「直系血族又は三親等内の傍系血族の間では、婚姻をすることができない」と定めています(太字部分が関係する箇所です)。要するに、この規定の太字部分は、親子間や祖父母孫間といった上下に血のつながりのある者同士の結婚を禁じています。なぜこのような規定があるのかと言うと、優生学上の理由社会倫理上の理由があると言われています。

 

それでは、血縁上(生物学上)のつながりのない養親子ではどうでしょうか? この場合、養父と養娘が結婚して子供をもうけたとしても優生学上の問題は生じません。しかし、「生みの親と育ての親」という言葉があるように、親子関係は、血縁関係のみならず養育関係によっても特徴づけられます

 

この点、民法736条は、「養子若しくはその配偶者又は養子の直系卑属若しくはその配偶者と養親又はその直系尊属との間では第729条の規定により親族関係が終了した後でも、婚姻をすることができない」と定めています(太字部分が関係する箇所です)。要するに、この規定は、養親子関係にある者同士は結婚してはならない、と言っているのです。この養親子間には血縁上のつながりはありませんから、この禁止理由は社会倫理上の理由のみに求められます。とすると、この社会においては、「(血縁関係の有無にかかわらず)親子関係=養育関係にある者同士は結婚してはならない」という倫理規範があると言えそうです

 

以上をまとめると、この日本社会においては、光源氏計画エンディングに対するアンチテーゼとしての社会倫理規範が存在することが分かりました。

 

 

それでも光源氏計画エンディングは擁護可能か?

 

ここまでの一応の結論は、「光源氏計画エンディングは反倫理的である」というものでしたが、それでもなおこれを擁護すべき理由はあるのでしょうか?

 

私としては、いくつかの観点からこれを擁護できる可能性があると思います(擁護すべき、とまでは強く言える自信はありませんが)。

 

第一に、現実における社会倫理規範の存在を認めつつ、光源氏計画エンディングはあくまでフィクションだとして割り切る方法があります。しかし、この方法では、創作上のことだから放っておいてくれと社会に主張できる一方、社会の側からは社会倫理規範に反する作品だとラベリングされてしまいます。そこで、第二の方法が考えられます。

 

第二は、光源氏計画エンディングに対するアンチテーゼとしての社会倫理規範の強度や実在性に疑義を呈する方法です。

光源氏計画エンディングは賛否の分かれる方法ですが、たしかに一定数の賛成派もいるのです。そこで、「一定の賛成を集められるとすれば、そもそも問題となる社会倫理規範は存在しない(=この規範については広く社会から合意を得られていない)のではないか? 存在するとしても強い確証をもってそれを主張することはできないのではないか?」という疑問が生まれるのは当然です。

そもそも社会倫理規範は流動的ですし、同様に法律の内容も一定不変ではありません(たとえば、戦前戦後で家族制度は大きく変わりましたし、最近では同性婚の実現可能性だってあります)。

また、「親子は結婚してはならない」という規範の中核として想定されているのは実親子であって、規範の周辺である養親子(疑似親子)については流動的であり得るとも言えそうです(たとえば、近親婚のうち、いとこ婚の可否は国・地域や時代によって変わります)。

 

 

おわりに

 

ここまでは、光源氏計画エンディングの許容性について、その形式的理由――この社会にそれを禁止する規範はあるのか――しか考察できませんでした。その規範の背景にある実質的理由――その規範はなぜ存在するのか――にまでは踏み込めませんでした(むしろ多くの読者はこちらの議論を期待してこの記事を読み始めたのではないかと思います)。が、このような論法もあるのだということを知って頂ければ、(賛否どちらの立場にせよ)光源氏計画エンディングに対する視点が一つ増えたのではないかと思います。

 

異世界転生系ラノベのアイデアを考えたので誰か書きませんか?(後編)――「宗教」で型を破れ!!

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セカイ系

 

この記事は、昨日公開した記事の続編となっています。異世界転生系ラノベのアイデアを考えたので誰か書きませんか?」の前後編あわせた全体の目次は以下の通りです。

(1)異世界転生ファンタジーにおける「型」と「その破り方」

(2)メタ方面における「型破り」の可能性

(3)具体的アイデア

(4)おわりに

 

(1)(2)前編の記事(下記リンク参照)に、(3)(4)後編の記事に載せています。前編を読まなくても後編の趣旨は理解できると思いますが、読んで頂ければ管理人は喜びます!!

irohat.hatenablog.com

 

 

(3)具体的アイデア

 

さて、(1)(2)と、前置きが長くなりましたが、ここで提案して誰かに小説化してもらいたい異世界転生系ラノベのアイデアとは、この「メタ方面への型破り」に属するものです。

 

しかし、「作家である主人公が小説世界に入り込み、その世界を書き直してゆく」という手法は『異セカイ系』で既に使われてしまいました。そのため、(異なるキャラ設定やストーリー展開であっても)同じ手法で書いたとしたら、二番煎じとなってしまいます。

 

そこで私が提案したいのは、異世界転生ファンタジー宗教視する現実世界」を舞台とする方法です。

 

とはいえ、これはまったく独自の観点に基づくものではありません。異世界転生と宗教との関連性を指摘する声は既にあります。たとえば、以下のサイトで言及されています。

p-shirokuma.hatenadiary.com

sinkingdays.blog.fc2.com

 

しかし、彼らはそれをテーマとして小説化しようとする気はないようです。とすれば、ここが狙い目ではないでしょうか?

 

もっとも、実は「異世界転生ファンタジーを宗教視する現実世界」のアイデアは、小説投稿サイトでいくつか小説化されています(私がリサーチした限りでは、書籍化出版されているものはないと思います)。しかし、ざっと読む限り(2本しか見つけられなかったのですが)、ショートショート程度の分量で、しかもあまり設定が作り込まれていませんでした。

 

そこで、異世界転生ファンタジーを宗教視する現実世界」を舞台として、設定をきちんと作り込めば、面白いものができるのではないかと思ったのです(と、言うより、私自身がそういった小説を読みたいだけなのですが)。

 

それでは、ここにおける「作り込んだ設定」とは何か。それというのは、異世界転生ファンタジーにおける『型』『お約束』『あるある』を宗教化・教義化・体系化すること」です。

 

試みに具体的に掘り下げてアイデアを出してみます(【注意!】ここから管理人の妄想が爆発します!ご笑覧ください!

 

①宗教化されるようになった経緯について

身近にありすぎると神聖さや特別さが薄れるため、異世界ファンタジーが現に小説化され続けている状況での宗教化は難しいと思います。ですので、異世界ファンタジーの興隆が終わってその書き手が絶滅して以降、つまり今から50~100年後くらいが舞台としては良いのではないでしょうか(しかし、こうなると少し近未来SF小説っぽくもなりますね)。

その時代においては、かつて興隆した異世界転生ファンタジーが見直されるようになり、実はこれは死後の世界を記録したものではないかと再解釈されます。そして、その異世界への転生を望む者たちがこれを宗教化し信仰するようになります

 

②宗教名について

いささか安直ですが、便宜上、異世界転生教(異転教)」と仮に名付けておきます。小説化するとすれば、もっと中二病方面でこだわった方が良いのかもしれません(たとえば、ゾロアスター教拝火教とも呼ばれています)。

 

聖典について

宗教であれば、「聖典」が必要になります。しかし、「ハイ・ファンタジーといえば『指輪物語』」「魔法学園ファンタジーといえば『ハリー・ポッター』」と言えるように、異世界転生ファンタジーというジャンルにおいて、唯一無二、空前絶後と言えるほどのカリスマ作品はないように思われます。

そこで取り得る策は二つあると思います。一つは、最初期の人気作品である川原礫ソードアート・オンライン』を聖典とする方法。もう一つは、聖典は存在するはずだが未だ発見されていない」という方法

小説化するにあたっては、このどちらかを選ばなければならないという訳ではありません。むしろ、それぞれを宗派として並存させた方が良いでしょう。すなわち、前者は「最初期の人気作品=聖典(第一聖典)」「生殺与奪の権が握られ現実世界への無事な帰還の可能性が制限された世界ならゲームであっても異世界と言って構わない」とする宗派(SAO派)とラベリングすることができます。それに対して後者は、「SAOは『ゲーム世界』を異世界としておりむしろ異端である。その一方で、聖典とすべき作品が発見されている訳でもない。ひとまずは、第二聖典を読解しこれの教義化を深めるべきである」と主張します(第一聖典の発見を目指すと同時に、第二聖典を通じて教義を研究することから、仮に「探究派」と名付けておきます)。

さて、何の断りもなしに「第一聖典」「第二聖典という言葉を使ってきましたが、これはイスラム教における「コーラン」と「ハーディス」の関係と同様です。つまり、第一聖典を教義の基礎としつつ、その解釈の補助として第二聖典が用いられるのです。SAO派においては、SAOが第一聖典、その影響を受けた後続の他作品が第二聖典と見なされます。反対に、探究派においては、SAOもその他の作品も等しく第二聖典に位置づけられ、第一聖典は未だ発見されていないという立場です。

ここまで、SAO派、探究派という二大宗派を作ってきましたが、他にも中堅宗派として「転スラ派」「賢孫派」などもあってよいと思います。また、探究派が第二聖典とみなす作品群を第一聖典とする宗派もありだと思います(複数の第一聖典を崇拝することから「複典派」と名付けておきます)。

 

④宗派対立、正統と異端について

③で挙げた聖典を巡る宗派対立のほか、細かいところではもっと「正統」と「異端」の紛争を繰り広げ得ると思います。たとえば、以下のような点において対立があるのではないでしょうか。

  • 転生(人格を維持した別の人物への生まれ変わり)だけでなく転移(人格も外見も維持する)も転生に含めるのか。
  • 最上の転生方法は何か(トラック事故か、通り魔か、など)。
  • 事故や他殺ではなく、自殺や老衰や病死で異世界に転生することはできるのか。
  • ゲーム世界も異世界に含めるのか。
  • 転生先は人間が正統にして最上なのか、魔王や魔物や剣などは異端なのか。
  • たとえ転生時にチート能力を授けられなくとも、少なくとも現世の知識でチートするために現世で研鑽を積んでおくべきか。
  • 異世界に転生して最強の能力を手に入れたのに、世界を救うことなくスローライフを送ることは許されるのか。
  • 主人公に惚れるべきヒロインは一人か複数か。

とりあえずいくつか挙げてみましたが、異世界転生ファンタジーには一定の「型」を基本として様々なバリエーションがありますので、上記以外にも数多くの論点を設定できると思います。

いずれにせよ、小説化するに際しては、③の宗派対立や④の正統と異端の対立をストーリーの軸にした方が書きやすいと思われます。

 

⑤主人公の立場について

その小説における主人公の立場は、様々なパターンが考えられると思います。たとえば、そもそも異転教の教徒か否か(教徒でない場合、他教徒か無宗教か)、教団の幹部なのか下っ端教徒なのか、一般社会で働いているのか聖職者として教団の中で働いているのか、家族や友人と同じ宗派か否か、などです。

 

⑥その他の点について

以上のアイデアを小説化するには、このほかに具体的なストーリー展開キャラ設定などについても詰めていく必要があります。しかし、これらの点については、思いつきませんでしたこの記事を読んでこのアイデアを小説化しようと思った奇特な方にお任せします。また、上記のアイデアはあくまでたたき台なので、改善の余地は大いにあると思います(特にSAOの位置づけが難しそうです)。

 

 

(4)おわりに

 

最後に、いくつか付言(もとい言い訳)させていただきます。

 

第一に、プロの作家でも編集者でも評論家でもないのに、ここまで偉そうに語ってきましたが(申し訳ございませんm(_ _)m)、もしかしたら私のリサーチ能力不足により、既に世に出されている同種の発案や小説を見落としているかもしれません(!)。その場合にはご容赦頂ければと思います。。。そのときにはお知らせ頂ければ助かります!

 

第二に、「独自性を出すには?」みたいなことを書きつつ、そのためのアイデアをこのような形でインターネットに公開するという、この矛盾する姿勢について違和感があるかもしれません。しかし、当ブログのアクセス数は(謙遜などではなく本当に)微々たるものですのでご安心ください。また、そもそも、これから小説を書こうとする人がこの記事を読んでこのアイデアを小説化させようと思うような事態が発生することに対しては、むしろ私自身が懐疑的です(その意味で、この記事は利他的なものと言うより、自分のアイデアを開陳して終わるだけの自己満足的なものです)。

 

第三に、私がこのアイデアを公開したのは、こんな小説を読みたい!という気持ちがあったからです。つまるところ、悪く言えば、この種の小説が新人賞をとったり人気になったりすることを(無責任かもしれませんが)私自身は保証しかねます。再び申し訳ございませんm(_ _)m その一方で、良く言えば、少なくとも私自身が既にファンなのでご安心(?)ください!!

 

 

この後編の記事を読んで、前編の記事を読みたくなった方は以下のリンクから読めます。

irohat.hatenablog.com

 

 2019年8月17日修正:SAOの位置づけに関する記述の趣旨をより明快にするため、一部加筆を行いました。

 

異世界転生系ラノベのアイデアを考えたので誰か書きませんか?(前編)――いかにして「型」を破るのか考察してみた

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セカイ系

異世界転生系ラノベのアイデアを考えたので誰か書きませんか?」と銘打ったものの、これは少々ミスリーディングなタイトルです。というのも、詳しくは読み進めてもらえば分かると思いますが、一般に「異世界転生系ラノベ」として皆さんがイメージするものと、私がここで提案するものには少しズレがあるからです。しかし、「アイデアを提供する」という点では間違っていませんのでご安心を!

 

以下、目次です。

(1)異世界転生ファンタジーにおける「型」と「その破り方」

(2)メタ方面における「型破り」の可能性

(3)具体的アイデア

(4)おわりに

 

長くなるので記事を前後編に分割し、この記事では(1)(2)を、明日の記事では(3)(4)を扱います。

 

 

(1)異世界転生ファンタジーにおける「型」と「その破り方」

 

異世界転生(転移)系のライトノベルは、既に「型」「お約束」「あるある」のようなものが出来上がっています。

つまり、「①現世において何か問題を抱える主人公が、②事故死をきっかけに異世界に転生し、③そこで最強の能力を手に入れ、④その世界を救い、⑤ついでにヒロインにモテまくる」というサクセスストーリーが典型的展開ではないでしょうか(下記サイトも参照)。

異世界転生 (いせかいてんせい)とは【ピクシブ百科事典】

 

そして、大量供給がなされるこのジャンルにおいては、他作品との違い=自分の作品の特徴を出すために、この「型」からいかにはみ出すかが重要になります(これを「大喜利」に例える人もいます)。

 

その結果、次のような「型の破り方」の作品が出てきています。

「転生したら人間ではなくスライム/魔王/剣だった」

「一人ではなくクラス全員で異世界転移」

「転生してくれる女神ごと転生」

「与えられた能力が(一見すると)役立たず」

「剣や魔法ではなくスコップで無双」

異世界を救わずスローライフ

 

みなさんは、どの作品を指しているか分かりましたか?

 

しかし、いずれにせよ、大多数の作品は、こういった方面での型の破り方しかしていません。それでは、他にどのような方面での型破りがあるのでしょうか?

 

 

(2)メタ方面における「型破り」の可能性

 

型破りの方法のもう一つは、メタ方面での方法です。

 

その良い例があるので、ここで紹介します。その作品とは、名倉編『異セカイ系』(講談社タイガ、2018年)です。この作品は、第58回メフィスト賞受賞作です(メフィスト賞は、エンターテインメント小説=細かいジャンルは不問の講談社の新人賞です)。

 

あらすじは以下の通りです。

小説投稿サイトでトップ10にランクインしたおれは「死にたい」と思うことで、自分の書いた小説世界に入れることに気がついた。小説の通り黒騎士に愛する姫の母が殺され、大冒険の旅に……♪ ってボケェ!! 作者(おれ)が姫(きみ)を不幸にし主人公(おれ)が救う自己満足。書き直さな! 現実でも異世界でも全員が幸せになる方法を探すんや! あれ、何これ。「作者への挑戦状」って……これ、ミステリなん? 

 『異セカイ系』(名倉 編):講談社タイガ|講談社BOOK倶楽部

 

さて、あらすじを読んでみてどうですか? メタ方面への型破りというものがどんなものか分かりましたか?

 

より一般的な言い方をすれば、異世界転生ファンタジーにおけるメタ方面での型破りとは、異世界転生ファンタジーにおける世界観やストーリー展開などの設定のあり方(=『型』)を作品のメインテーマとする型破りの方法」と言えるでしょう。

 

通常の型破りの場合(異世界転生ファンタジーの多くの場合)は、世界観やストーリー展開などの設定のあり方(=「型」)を主人公が問題にすることはありません。

もちろん、「俺がよく読んでいるラノベでは、こんな展開にはならないはずなのに!!」「この異世界は、俺がかつて作ったゲームの世界だ!」のような一種のメタ発言を主人公が行うことはあります。しかし、主人公はそう言及するだけで、「型」そのもののあり方を変えようとはせず、「型」の中で主人公は行動していくことになります。

 

その点、『異セカイ系』の場合は、小説世界の中では「神」である作家の主人公が、その作中世界に出たり入ったりすることで、メタ方面での型破りを可能としました。

 

なお、以上の(1)(2)の一部は、2018年11月13日日本経済新聞夕刊を参考としています。

style.nikkei.com

 

以降の内容は後編の記事に続きます(下記リンク参照)。

irohat.hatenablog.com

 

 

2019年9月8日追記:異世界ファンタジーにおけるメタフィクションの例は、『異セカイ系』以外にも、波摘〔原作〕/燐人〔漫画〕『獣耳ロリ勇者はえっちな修正に困っている』(電撃コミックスNEXT、全1巻)という作品があります。こちらも『異セカイ系』と同じく、主人公は自らの書いた作中世界へと転移しますが、勇者ヒロインに降りかかる災難を主人公は原作を修正する能力で救ってゆきます。

www.kadokawa.co.jp

 

2019年11月19日追記:さらに最近刊行された例として挙げられるのは、伊藤ヒロ異世界誕生2006』(講談社ラノベ文庫、2019年11月現在既刊2巻)です。この作品においては、2010年代における異世界ファンタジーの流行・興隆の様子を、ゼロ年代の書き手の周辺を舞台としてフィードバックさせることによって、メタ的な視点から現在の異世界ファンタジーが描写・分析されています。詳しくは下記の紹介記事をご覧ください。

irohat.hatenablog.com

 

 

これから放送される予定の「女性が主人公」のラノベ原作アニメ一覧――秋2本、冬1本、時期未定3本

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痛いのは嫌なので防御力に極振りしたいと思います。


さて、先日は「2019年秋に放送予定のラノベ原作アニメ一覧」という記事を作成しましたが、今回は、2020年冬以降も含めて今後放送される予定の女性が主人公ライトノベル原作アニメを紹介したいと思います!

irohat.hatenablog.com

 

なお、「ライトノベル」原作と銘打っているものの、ライトノベルと近い関係にあるライト文芸(キャラクター小説)レーベルを原作とする作品や、ライトノベルでなくてもそのお家芸ジャンルである異世界ファンタジーを内容とする作品もここで取り上げます。

 

以下、目次です。

(1)2019年秋に放送予定(2作品)

(2)2020年冬に放送予定(1作品)

(3)放送時期未定(3作品)

 

 

 (1)2019年秋に放送予定

 

本好きの下剋上~司書になるためには手段を選んでいられません~

原作:香月美夜(TOブックス、2019年8月現在既刊20巻)

制作:亜細亜堂

あらすじ 現代の日本で生活している「本須麗乃(もとすうらの)」 は、 念願である図書館への就職が決まったその日に亡くなってしまう。 もっと多くの本が読みたかった、そんな未練を抱いたままの彼女は 気が付くと異世界の幼女マインとしての身体を持って意識を取り戻した。 物語の舞台となるのは 魔法の力を持つ貴族たちに支配された 中世のような異世界の都市エーレンフェスト。 厳格な身分制度の中、現代日本の知識を持つ少女マインが、 本を手に入れるために奮闘する。 

booklove-anime.jp

 

私、能力は平均値でって言ったよね!

原作:FUNA(アース・スターノベル、2019年8月現在既刊11巻)

制作:project No.9

あらすじ とある事故をきっかけに異世界へ転生してしまった人よりちょっとだけ「できる子」だった女子高生・栗原海里(くりはらみさと)彼女がその新しい世界で望んだものは… 「わたし、普通に友達をつくって、普通の生活を送りたい―」 

noukin-anime.com

 

 

(2)2020年冬に放送予定

 

虚構推理

原作:城平京講談社タイガ、2019年8月現在既刊3巻)

制作:レインズ・ベース

あらすじ 幼い頃、神隠しに遭い、片眼・片脚と引き換えに“怪異”や”妖怪”たちの知恵の神となった主人公:岩永琴子。また、幼い頃に“妖怪”である“件(くだん)”と“人魚”の肉を食べ「未来を掴む力」と「不死の身体」を手に入れ人ならざる者となった桜川九郎。二人が、ミステリアスな事件に立ち向かってゆく、予測不可能な物語『虚構推理』。

kyokousuiri.jp

 

 

(3)放送時期未定

 

痛いのは嫌なので防御力に極振りしたいと思います。

原作:夕蜜柑(カドカワBOOKS、既刊7巻)

制作:SILVER LINK.

あらすじ ゲームなどの知識に乏しく、ステータスポイントを全て防御力(VIT)に振ってしまったメイプル。動きも遅く、魔法も使えず、挙句の果てには兎にすらどつき回される始末。あれ、でも全然痛くない……っていうか、ダメージゼロ? 極振りの結果、手にしたスキルは【絶対防御】。さらには一撃必殺のカウンタースキルまで取得して——!? あらゆる攻撃を無効化し、致死毒スキルで障害を蹂躙していく『移動要塞型』新人、自分らの異常さに気づくことなく、いざ出陣!

kadokawabooks.jp

bofuri.jp

 

乙女ゲームの破滅フラグしかない悪役令嬢に転生してしまった…

原作:山口悟(一迅社文庫アイリス、2019年8月現在既刊8巻)

制作:

放送時期:2020年

あらすじ 頭をぶつけて前世の記憶を取り戻したら、公爵令嬢に生まれ変わっていた私。え、待って! ここって前世でプレイした乙女ゲームの世界じゃない? しかも、私、ヒロインの邪魔をする悪役令嬢カタナリなんですけど!? 結末は国外追放か死亡の二択のみ!? 破滅エンドを回避しようと、まずは王子様との円満婚約解消をめざすことにしたけれど……。悪役令嬢、美形だらけの逆ハーレムルートに突入する!? 恋愛フラグ立てまくりの破滅回避ラブコメディ★

www.ichijinsha.co.jp

www.ichijinsha.co.jp

 

蜘蛛ですが、なにか?

原作:馬場翁カドカワBOOKS、2019年8月現在既刊11巻)

制作:

あらすじ 女子高生だったはずの「私」は目覚めると……なんと「蜘蛛」に転生していた! 周囲は毒カエルや猿の化け物、果ては龍まで……ってコレもう詰んでいない!? 種族底辺・メンタル最高女子の、迷宮サバイバル開幕!

kadokawabooks.jp

kadokawabooks.jp

 

 

以上はこれから放送される予定の女性が主人公のラノベ原作アニメでしたが、過去作品にも女の子が主人公の良作アニメがあります! 下記記事もぜひご覧ください!!

irohat.hatenablog.com

 

2019年秋に放送予定のラノベ原作アニメ一覧――女性が主人公のアニメは2本!

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本好きの下剋上

ブログを始めた当初は、こういう記事を書く予定はなかったのですが、「女性が主人公のライトノベルはおもしろい!」なんて記事を書いたら、女性主人公ラノベの振興の一端を担おうとする者としての使命感(?)が私を突き動かしていたのです!!

irohat.hatenablog.com

 

さて、この記事では、2019年秋(10月~12月)放送予定の注目アニメのうち、

(1)女性が主人公のラノベ原作アニメ

(2)その他のラノベ原作アニメ

(3)ラノベ原作ではないが注目の女性が主人公のアニメ

を一覧にしてまとめたいとおもいます(ただし、シリーズものの続編は原則として掲載していませんが、気分によって掲載している場合もあります。)

 

 

(1)女性が主人公のラノベ原作アニメ

 

本好きの下剋上~司書になるためには手段を選んでいられません~

原作:香月美夜(TOブックス、2019年8月現在既刊20巻)

制作:亜細亜堂

あらすじ 現代の日本で生活している「本須麗乃(もとすうらの)」 は、 念願である図書館への就職が決まったその日に亡くなってしまう。 もっと多くの本が読みたかった、そんな未練を抱いたままの彼女は 気が付くと異世界の幼女マインとしての身体を持って意識を取り戻した。 物語の舞台となるのは 魔法の力を持つ貴族たちに支配された 中世のような異世界の都市エーレンフェスト。 厳格な身分制度の中、現代日本の知識を持つ少女マインが、 本を手に入れるために奮闘する。 

booklove-anime.jp

 

私、能力は平均値でって言ったよね!

原作:FUNA(アース・スターノベル、2019年8月現在既刊11巻)

制作:project No.9

あらすじ とある事故をきっかけに異世界へ転生してしまった人よりちょっとだけ「できる子」だった女子高生・栗原海里(くりはらみさと)彼女がその新しい世界で望んだものは…「わたし、普通に友達をつくって、普通の生活を送りたい―」 

noukin-anime.com

 

 

(2)その他のラノベ原作アニメ

 

アサシンズプライド

原作:天城ケイファンタジア文庫、2019年8月現在既刊10巻)

制作:EMTスクエアード

あらすじ マナという能力を持つ貴族が、人類を守る責務を負う世界。能力者の養成校に通う貴族でありながら、マナを持たない特異な少女メリダ=アンジェル。彼女の才能を見出すため、家庭教師としてクーファ=ヴァンピールが派遣される。 『彼女に才なき場合、暗殺する』という任務を背負い--。能力が全ての社会、報われぬ努力を続けるメリダに、クーファは残酷な決断を下そうとするのだが……。 「オレに命を預けてみませんか」暗殺者でもなく教師でもない暗殺教師の 矜持(プライド)にかけて、少女の価値を世界に示せ!

assassinspride-anime.com

 

俺を好きなのはお前だけかよ

原作:駱駝(電撃文庫、2019年8月現在既刊11巻)

制作:CONNECT

あらすじ 俺はパンジーこと三色院菫子が大っ嫌いだ。なのに……俺を好きなのはお前だけかよ。もし、気になる子からデートに誘われたらどうする? 当然意気揚々と待ち合わせ場所に向かうよね。そこで告げられた『想い』から、とんでもない話が始まったんだ。

oresuki-anime.com

 

慎重勇者~この勇者が俺TUEEEくせに慎重すぎる~

原作:土日月(カドカワBOOKS、2019年8月現在既刊5巻)

制作:WHITE FOX

あらすじ 超ハードモードな世界の救済を担当することになった駄女神リスタ。チート級ステータスを持つ勇者・聖哉の召喚に成功したが、彼はありえないほど慎重で……?「鎧を三つ貰おう。着る用。スペア。そしてスペアが無くなった時のスペアだ」異常なまでのストック確保だけに留まらず、レベルMAXになるまで自室に篭もり筋トレをし、スライム相手にも全力で挑むほど用心深かった!そんな勇者と彼に振り回されまくる女神の異世界救済劇、はじまる! 

shincho-yusha.jp

 

超人高校生たちは異世界でも余裕で生き抜くようです!

原作:海空りくGA文庫、2019年8月現在既刊)

制作:project No.9

あらすじ 飛行機事故に巻き込まれた七人の高校生。彼らが目を覚ますとそこは魔法や獣人のいる異世界だった。 突然の事態に彼らは混乱――することもなく(!?)電気もない世界で発電所を作ったり、ちょっと出稼ぎに出ただけで大都市の経済を牛耳ったり、あげく悪政に苦しむ恩人たちのために悪徳貴族と戦争したり、やりたい放題!? そう。彼らは誰一人普通の高校生ではなく、それぞれが政治や経済、科学や医療の頂点に立つ超人高校生だったのだ! これは地球最高の叡智と技術を持つドリームチームによる、オーバーテクノロジーを自重しない異世界革命物語である! 

choyoyu.com

 

ソードアート・オンライン アリシゼーション War of Underworld

原作:川原礫電撃文庫、2019年8月現在既刊21巻)

制作:A-1 Pictures

あらすじ 「ここは......どこだ......?」気づけばキリトは、なぜか壮大なファンタジーテイストの仮想世界にフルダイブしていた。ログイン直前の記憶があやふやなまま、手がかりを求めて辺りを彷徨う。そして、漆黒の巨木《ギガスシダー》のもとにたどり着いた彼は、一人の少年と出会う。「僕の名前はユージオ。よろしく、キリト君」少年は、仮想世界の住人――《NPC》にもかかわらず、人間と同じ《感情の豊かさ》を持ち合わせていた。ユージオと親交を深めながら、この世界からのログアウトを模索するキリト。そんな彼の脳裏に、ある記憶がよみがえる。それは、幼少期のキリトとユージオが野山を駆け回る想い出――本来、あるはずのない記憶。更にその想い出には、ユージオともう一人、金色の髪を持つ少女の姿があった。名前は、アリス。絶対に忘れてはいけないはずの、大切な名前――。 

sao-alicization.net

 

 

(3)ラノベ原作ではないが注目の女性が主人公のアニメ

 

神田川 JET GIRLS

原作:オリジナル

制作:ティー・エヌ・ケー

あらすじ マシンを操作する「ジェッター」とウォーターガンで対戦相手を攻撃する 「シューター」の二人一組でマシンに乗り、 水面を駆けるスポーツ「ジェットレース」がメジャーとなった世界。 伝説のジェッターを母に持ち、自身もジェットレーサーを夢見る波黄 凛は、 故郷の島を旅立ち、東京・浅草へとやってくる。 そこでクールな美少女、蒼井ミサと出会い、ふたりはパートナーに。 ライバルたちとレースを繰り広げながら少しずつ絆を深めていく。 

kjganime.com

 

ぬるぺた

原作:オリジナル

制作:

あらすじ 天才少女「ぬる」は、お姉ちゃんを事故で亡くしてしまう。 でも大丈夫! 持ち前の知識で、大好きだったお姉ちゃん「ぺた」をロボットとしてつくることに成功! ただ、ロボットとして復活したお姉ちゃんは生前よりも、ちょっとちがう? 妹「ぬる」と、姉ロボ「ぺた」が繰り広げる、姉妹ドタバタコメディ! 『お姉ちゃん! コンセント抜けてるよ!』 

nullpeta.com

 

放課後さいころ倶楽部

原作:中道裕大小学館月間少年漫画誌ゲッサン」連載中、2019年8月現在既刊15巻)

制作:ライデンフィルム

あらすじ いつもひとりでいること――。 人付き合いが苦手で引っ込み思案な武笠美姫にとっては、それが当たり前の日常。 そんな美姫が、天真爛漫なクラスメイトの高屋敷綾、クラス委員長の大野翠、ドイツからの転校生エミーリアと出会い、 ボードゲームを通して友情を深め、少しずつ前に進んでいく。 当たり前だった日常が、特別な毎日に変わっていく――。 

saikoro-club.com

 

ライフル・イズ・ビューティフル

原作:サルミアッキ集英社となりのヤングジャンプ」「ヤンジャン!」「少年ジャンプ+」連載中、2019年8月現在既刊4巻)

制作:Studio 3Hz

あらすじ 距離10m、直径1mm、弾数60発、競技時間45分 硬いジャケットを身にまとい、 見た目よりもずっと気力を振り絞る過酷な勝負の世界 ──ビームライフル競技。 ……のはずが、誰もわかってくれないのが 知名度の低いスポーツのつらいところ。 でも私、世界を目指してます! 千鳥高校に偶然集った、 小倉ひかり、渋沢泉水、姪浜エリカ、五十嵐雪緒 の女子高生4人がおくる、ゆるーいけどひたむきな射撃部ライフ!!

chidori-high-school.com

 

Fairy gone フェアリーゴーン(第2クール)

原作:オリジナル

制作:P. A. WORKS

あらすじ かつて妖精は、“兵器”だった――。 この世界には、動物に憑依することで不思議な力を宿す、妖精が存在していた。 妖精が憑依した動物の臓器を摘出し人間に移植することで、妖精を分身として出現 させ、兵器として扱えるようになる。妖精を戦争の道具として自在に操る兵士た ち、彼らは『妖精兵』と呼ばれた。長きにわたる戦争が終結すると、彼らはその役 目を終え、行き場を失う。あるものは政府に、あるものはマフィアに、あるものは テロリストに。それぞれの生きる道を選択する。 戦争から9年の歳月が経つ。主人公のマーリヤは、妖精に関連する事件を捜査・鎮 圧する、違法妖精取締機関『ドロテア』に配属されたばかりの女の子。 未だ不安定な政治情勢の中、戦争によって受けた傷や過去を持つ犯罪者が現れ、 復讐のためテロを起こす。 これは、無秩序な戦後に抗い、それぞれの正義を求め戦う 『妖精兵』たちの物語――。 

www.fairygone.com

 

 

以上が2019年秋放送予定の注目アニメです!

女性が主人公のラノベ原作アニメは2本でしたね!必見です!

 

2020年冬以降も含めた今後放送される予定の女性が主人公のラノベ原作アニメ一覧をまとめた記事や、女の子が主人公のアニメおすすめ10作品を紹介する記事も書いていますので、よければご覧ください!

irohat.hatenablog.com

irohat.hatenablog.com

 

はやみねかおる『都会のトム&ソーヤ』――現実世界の街中でサバイバル!

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都会のトム&ソーヤ

(1)基本情報

 

『都会のトム&ソーヤ』(まちのトムアンドソーヤ)

著者:はやみねかおる

イラスト:にしけいこ

レーベル:講談社YA!ENTERTAINMENT(2019年8月現在既刊16巻)

文庫版:講談社文庫(2019年8月現在既刊10巻)

ジャンル:「サバイバル」「冒険」「ゲーム」

bookclub.kodansha.co.jp

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冒険の始まりには、こんな三日月の夜こそふさわしいと思わないかい――。午後10時のビジネス街、塾帰りの内藤内人は同級生の竜王創也の姿を見かけ尾行するが、途中で忽然と見失ってしまう。だが、やがて内人は創也の秘密にたどりつき、少年たちは特別な友だちになる。都会の少年冒険小説、シリーズ第一弾!

――――――第1巻裏表紙より―――

 

 

(2)あらすじ

 

まずは登場人物を紹介。

 

内藤内人:主人公にして語り手。本人曰く平凡な中学2年生だが、どんな状況でも切り抜けられるサバイバル能力を持っている。

竜王創也:もう一人の主人公。内人の同級生。大財閥の跡取り。天才でイケメンだが猪突猛進バカ

栗井栄太:内人&創也のライバル。謎に包まれた伝説のゲームクリエイター

 

創也には「究極のゲームを作る」という夢があり、それを知った内人はそれに協力することになります。その夢とは、四つの伝説のゲームに続く「第五のゲーム」を作ること。しかも、コンピュータゲームなどではなく、R・RPG(リアル・ロールプレイングゲームです。

 

R・RPGは、コンピュータみたいな仮想現実じゃなくて、現実世界を舞台にしたRPGなの。たとえば、GPSを使った鬼ごっこ。たとえば、巻物を奪いあう忍者合戦。」(文庫第2巻322頁より)

 

ワクワクしませんか? 最近は「リアル脱出ゲーム」などの体験型レクリエーションが流行っていますが、はやみね先生は第1巻発売時の2003年の時点で、既にこのトレンドを先取りしていたのです!

 

さて、内人と創也の前には、伝説のゲームクリエイター集団の栗井栄太が立ちはだかります。ときには彼らの挑戦(テストプレイ)を受けて立ち、ときには彼らに挑戦し、あるいは彼らとは無関係のトラブルに巻き込まれたり。

 

創也は普段はイケメンの天才ですが、熱中すると周りが見えなくなる猪突猛進バカです。そのため、内人がその中学生離れしたサバイバル能力でフォローしていきます。

  

 

(3)おすすめポイント――これぞ童心をくすぐる正統派少年冒険小説!!

 

本作品は、講談社「YA!ENTERTAINMENT」という、もしかしたら見慣れないレーベルから出されている作品なので、ラノベ読者層の多くはご存じないかもしれません(なお、第10巻までは講談社文庫版〔ラノベ文庫ではない一般文庫〕が出ていますので、手に取りやすくなっています!)。その一方で、「YA(ヤングアダルト)」が示す通り、中高生のころに本作品を読んだという方も多いと思います。ヤングアダルトなので、読者層としてはライトノベルと同じくらいが想定されていると思いますので、そんな小説卒業しちまったなどと言わずに読んでみてください!!

 

さて、最近のラノベの最大派閥は「異世界冒険ファンタジー」だと思いますが、本作品は、「現実世界」での少年たちの冒険・サバイバルがテーマとなっています。現実世界での冒険・サバイバルと言っても、その舞台は無人島や密林などではなく、都会(まち)なのです! 都会での冒険って何?という方のために、6巻までの冒険の舞台を以下に記してみます。

 

第1巻:①トラップだらけのビルに侵入せよ!

    ②下水道に潜れ!

    ③テレビ局で監禁された!

第2巻:①深夜のデパートで恐怖の鬼ごっこ!?

    ②ゲームの館で伝説のゲームを探し出せ!

第3巻:①デートの練習中に誘拐事件!?

    ②文化祭中の学校に爆弾が!

第4巻:①マラソン大会から抜け出せ!

    ②ホラー屋敷で窃盗団とバトル!

第5巻:廃村でUFO!宇宙人!金塊!

第6巻:最強のホームセキュリティシステムと対決!

 

どうですか? ワクワクしませんか? 童心がくすぐられませんか?

 

最後に、この作品について重大な情報を一つ。

今度、実写映画化されます!

natalie.mu

公開時期やキャストは、2019年8月時点ではまだ未発表ですが、ワクワクがとまりませんね!

  

 

(4)関連おすすめ作品

 

「都会のトム&ソーヤ」シリーズを読んで、はやみねかおる作品にはまったあなたに、はやみね先生の別シリーズのおすすめを紹介します。

 

1つ目は、「虹北恭助」シリーズ(講談社ノベルス、全5巻)です。レーベルは講談社ノベルスですが、立派なライトノベルです。ジャンルとしては、日常の謎を解いてゆくミステリです。探偵役を虹北恭助という少年が、ワトソン役を響子という少女が務めます。

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2つ目は、「名探偵夢水清志郎事件ノート」シリーズ(講談社青い鳥文庫、全14巻)です。青い鳥文庫ということで、小学生向けの児童小説ですが、大人も十分に楽しめます!(一般文庫である講談社文庫から8冊ほど出されているので、大人でも手に取りやすくなっています)。ジャンルとしてはミステリです。中学1年生の少女、岩崎亜衣の臨家の屋敷に怪しい隣人が引っ越してきた。彼は名探偵を自称するが果たして……?

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さて、ここまで、はやみねかおる作品を3シリーズ紹介してきましたが、他にも「怪盗クイーン」シリーズ(講談社青い鳥文庫「ディリュージョン社の提供でお送りします」シリーズ(講談社タイガ、既刊2巻)など、おすすめしたい作品はたくさんあります。

 

さしあたり、まずは「都会のトム&ソーヤ」シリーズを読んで、はやみねワールドにはまってみませんか?

 

松智洋『パパのいうことを聞きなさい!』――アットホームで家族愛あふれる心温まるストーリー!

 

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パパのいうことを聞きなさい!

(1)基本情報

 

パパのいうことを聞きなさい!』(集英社スーパーダッシュ文庫、全19巻)

著者:松智洋

イラスト:なかじまゆか

ジャンル:「アットホーム」「家族愛」「ラブコメ

dash.shueisha.co.jp

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大学に合格し、新生活をスタートさせたばかりの瀬川祐太は、新しい友人や憧れの人に巡り会い普通の大学生活を送っていた。しかし、一人暮らしの六畳間に、中学生の空、小学生の美羽、保育園児のひなが同居することになってしまったのだ! いきなり思春期の少女達のパパになってしまった祐太の運命は!? ドキドキの同居生活に、祐太を慕う少女達に憧れの先輩との恋も絡んで大騒動! 愛と感動満載で贈るドタバタアットホームラブコメ開幕!!

――――――第1巻裏表紙より―――

 

ちなみに、アニメ化もされています

king-cr.jp

 

(2)あらすじ

 

まず、本作品の主人公となるのは、瀬川祐太という男子大学生です。小学生の頃に両親が事故で亡くなって以来、彼は姉の祐理に育てられていました。

 

姉の祐理は小鳥遊信吾という男性と結婚しており、二人の間には三人の子供がいます。

 

一人目は、(そら)。中学2年生の女の子。生みの母親とは死別。儚げなセミロング美少女。

二人目は、美羽(みう)。小学5年生の女の子。アイドルばりの金髪美少女。母親は元外国人モデルらしく……?

三人目は、ひな。3歳の女の子。祐理と信吾の間に生まれた子で、三姉妹の中で唯一祐太と血縁関係がある。

母親が全員違う三姉妹ですが、三人は仲良し姉妹です(なお、信吾パパがプレイボーイだったという訳ではありません!)。

 

あるとき、祐理と信吾は海外出張に出かけますが、飛行機が墜落し、二人は行方不明となってしまいます。残された三姉妹は、親戚によってバラバラに引き取られることになります。しかし、祐太は違いました。「三人で一緒にいたい」と言う三姉妹を引き取ったのです

 

そこから三姉妹は、祐太の下宿先である六畳間の安アパートで生活することになります。

 

祐太は、思春期女子との共同生活に戸惑ったり、生活費を稼ぐためにバイト漬けになったり、保育園児であるひなの育児に戸惑ったり、空や美羽は、初めての家事に悪戦苦闘したり……

 

ある程度生活が安定してからも四人には乗り越えるべき壁が立ちはだかります。幼い頃に亡くした生みの母を想う空、生みの母との葛藤を抱える美羽、両親の事故の意味をいつか知らなければならないひな……

 

祐太と三姉妹が様々な困難を乗り越え成長してゆく姿には心が温まります

 

 

(3)おすすめポイント――ラノベらしからぬ(?)アットホームな家族愛

 

ブコメ主人公と言えば、「おっぱいタッチ」「お尻にキス」「裸を見てしまった」のようなラッキースケベをいくら体験しようと、「キスは好き同士じゃないとダメなんだ!」などと、恋愛方面で妙に律儀で誠実な性格をしている傾向にあります。

 

本作品の主人公は、家族愛という方面において誠実な性格をしています。主人公はずーっと、叔父として、保護者として、三姉妹に家族愛を向けているのです

 

ラノベでは「家族愛」をテーマにした作品は意外に少ない気がします。もちろん、「兄と(義理あるいは実の)妹」の関係性をテーマとする作品は大量にありますが、この種の作品は、むしろ「家族愛」ではなく「恋愛」がテーマとなっていると言うべきものでしょう。その意味で、「家族愛」をメインテーマにすえた本作品はラノベらしからぬアットホームな内容となっています(といっても、ちゃんとラブコメもしているんですけどね)。

 

家族愛でほっこりしたい方、子供が成長する姿を見たい方、ドタバタラブコメが見たい方におすすめの作品です。

 

 

(4)関連おすすめ作品

 

「アットホーム」とか「家族愛」とか、そういうジャンルの作品をおすすめしようと思ったのですが、適当な作品が思いつきませんでした……。申し訳ありません。代わりと言っては何ですが、同じ作者の別シリーズである松智洋迷い猫オーバーラン!』(集英社スーパーダッシュ文庫、全12巻)を紹介しておきます。ただ、管理人はまだ読んだことがありません。再び申し訳ございません。しかし、アニメ化されたくらいの作品ですので良作間違いないでしょう! あらすじを以下に載せておきます。

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 都築巧は、血の繋がらない姉と二人暮らしをしている。潰れかけの洋菓子店『ストレイキャッツ』店長である姉はお人好しで不器用なドジッ子の為、近くに住む幼なじみ芹沢文乃の手を借りながら何とか店を維持するだけで精一杯の日々。そこに、姉が謎の美少女を拾ってきてしまう。更に学校では巧に思いを寄せる学校一のお嬢様や悪友達と共に新しいサークルを作ることに。しかも巧や少女達にはある共通の秘密があったのだ……!

―――――――――下記HPより―――

スーパーダッシュ文庫

 

パパのいうことを聞きなさい!』のような、「家族愛」や「アットホームさ」を売りとするラノベがあれば是非教えてください!