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【かげきしょうじょ!!】公式ガイドブックの感想・考察――さらさの出生についてアレコレ、作品のテーマやタイトルについて等々

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『かげきしょうじょ!! 公式ガイドブック オンステージ!』

 

現在テレビアニメが絶賛放送中の「かげきしょうじょ!!」ですが、この記事では、最近発売された『かげきしょうじょ!! 公式ガイドブック オンステージ!』の感想・考察を書き連ねます。11巻までの内容に触れますのでネタバレにはご注意ください。

なお、この記事では、公式ガイドブック(企画・構成・編集は樹想社)の情報は、作者の斉木久美子先生によってすべて確認済みの真正な公式情報であることを前提としています。

 

 

全体の感想

公式ガイドブックに先んじて白川家・渡辺家の家系図を勝手に作る私のような読者にとっても、新情報は多々ありました。脇役たちの本名、紅華音楽学校の時間割や年間スケジュールなどは本編からでは知り得ない情報でした。

また、特に、斉木先生のロングインタビューや里美星役の七海ひろきさん(元宝塚男役)との対談は、種明かし的なお話もたくさんあって、かなり楽しめました。

もちろん、本誌に掲載されたカラーページが収録されているのも見どころです。

 

 

さらさの出生の秘密について

以前、第8巻の記事で、以下のような仮説を立てたことがありました。

それでは、さらさの母親はいったい誰なのでしょうか?

ここで一つの(突飛な)仮説が立てられます。それは、さらさの母親は女優・奈良田君子(奈良田愛の母親)ではないか、という説です。つまり、さらさと愛は姉妹ではないか、ということです。

 

このように考えるようになったのには、以下の理由があります。

  • さらさと愛は1歳差であり、姉妹でもおかしくないこと(3巻11幕85頁によれば、入学時の年齢は、さらさは15歳で中3受験合格、愛は16歳で高1年代受験合格)。
  • さらさの祖母が亡くなった時期=さらさの幼少時代(2巻7幕91頁以下)と、愛の祖母が亡くなった時期=愛が9歳の頃(『エピソードゼロ』193頁の「おばあちゃんは私達に沢山の財産と美貌を残して、七年前にこの世を去りました」)が符合しており、両者は同一人物の可能性がある

しかし、公式ガイドブックによれば、愛とさらさは1歳差ではありますが、愛は11月14日が誕生日さらさは7月1日が誕生日ということが明らかになりました(14頁、20頁)。愛とさらさの誕生日の差は7.5ヵ月ほどしかありません!

さらさが早産児だった可能性も捨て切れませんが、やはり、7.5ヵ月という妊娠・出産の間隔は短すぎるので、愛とさらさが姉妹という仮説は捨てざるを得ないでしょう。

 

 

さらさの母親と父親について

第8巻の記事では、以下のような考察も行っていました。

そもそも、さらさの母親は生きているのでしょうか? それとも亡くなっているのでしょうか?

さらさが2巻5幕22頁以下の墓前や8巻26幕98頁の仏壇で故人の祖母だけに挨拶していることからすれば、おそらく、さらさの母親は生きていると思われます。おそらく彼女は、15代目白川歌鷗との間に生まれたさらさを父母(さらさの祖父母)に預け、渡辺家を出て行ったのではないでしょうか。

この点について、公式ガイドブックは肯定も否定もしていませんでした(99頁)。

また、公式ガイドブックには、白川煌三郎がさらさから実父ではないかと疑われている旨の記述がありました(91頁)。

たしかに、白川煌三郎が度々、匿名でさらさに対して赤い薔薇を贈ることに対して、さらさは「その薔薇を見ていると、さらさの会ったことのないお父さんに…見守られている気分になるんですよ」と語っています(8巻26幕118-119頁)。

しかし、我々読者は薔薇の送り主が煌三郎であることを知っていますが、さらさはそれを知りません(そのような描写はありません)。私が読んだ限りでは、煌三郎が父親ではないかとさらさが疑っていることを直接明白に読み取れるシーンはないのです。

この点、公式ガイドブック91頁は、8巻25幕のさらさと煌三郎の会話のシーンを添えつつ、明示的にその旨を記しています。

 

 

さらさと暁也の関係について

以前、第8巻の記事にて、第6巻で描写されたさらさと暁也の関係について、以下のような考察を行ったことがありました。

奈良田愛が訝しんでいるように、渡辺さらさと白川暁也の関係は、恋人というより、ライバルや同士のような関係です。

6巻19幕60頁以下で明らかになった過去によれば、白川煌三郎は、16代目白川歌鷗=助六になるという暁也の夢(2巻7幕114頁以下)を手玉にとるような形で、暁也がさらさと付き合うことを提案したのです

さらさに幼馴染としての好感は持てども恋人になる気はなかった暁也は煌三郎の(半ばパワハラ的な)提案を受け入れるかどうか悩みますが、煌三郎と暁也の会話を陰で聞いていたさらさは、彼女の方から「さらさの彼氏になってください」と提案します。きっとさらさは暁也の夢を応援するためにこのような提案を行ったのでしょう。

そのため、さらさと暁也は、周りから見れば恋人関係ですが、本人同士にとってみればライバルや同士のような関係なのです(恋人になったきっかけについて暁也が気付いているのかは分かりませんが)。

このような二人の関係について、斉木先生はインタビューで以下のように語っています(155頁)。

――恋と言えば、劇中でのさらさと暁也の恋も気になるところですが。

斉木 発展するのかしら(笑)。ふたりの関係も彼氏彼女と言っていますが、キスもしているんだかしていないんだか…という感じですよね。さらさは暁也のことが好きなんだけど、でもどこかおままごとっぽい感じがあるし、「彼氏彼女という響きが嬉しい」とか「恋愛に憧れている女の子」という感じかな。読者もふたりの関係のさきは望んでいないような気もしますし。

ここで斉木先生は「さらさは暁也のことが好きなんだけど」と語っています。斉木先生も言及しているように、この「好き」には一定のニュアンスがあります。この点、ここの「好き」には、以前私が考察した「ライバルや同士のような関係」に基づく好意だけでなく、恋愛的意味の「好き」の感情も少なからず含まれているようなニュアンスで斉木先生は語っています。これについては、漫画本編から私は読み取れませんでしたので、新情報でした。

 

 

野島聖について

紅華音楽学校を卒業後、紅華歌劇団に入団しなかった野島聖(第7巻スピンオフ)について、斉木先生からある種明かしがありました(138頁)。「7巻以前の劇中でもじつは『この子は辞める』という雰囲気の種は少しまいてあったりするんですよ」と斉木先生は七海さんとの対談で語っています!

驚きの情報です。急いで確認しました。読み返してみると、たしかに1つだけそのようなシーンが見つかったのです(他にもあるかもしれませんが)。

6巻20幕148頁にて、聖とさらさが会話するシーンです。さらさが「文化祭が終わったらいよいよデビューですね!」と語りかけるのですが、「そうね」と返事した聖は物憂げな表情をしているのです。第7巻を読んだ後でも気づきませんでした!

 

 

『かげきしょうじょ!!』のテーマについて

以前、第10巻の記事で、以下のように考察したことがありました。

31幕には、高木先生の印象的な言葉がありましたね!

Reborn.毎公演、役とともに生き、そして新たに生き返れ」

ここで思い出すのは紅華乙女の魂です。第8巻の記事でも書きましたが、過去にも似たようなセリフが登場しているのです。

一つ目の熱いセリフは、ティボルト役を失敗した愛に向けてさらさが言った「失敗したって、また何度でも蘇りましょう!」です(8巻27幕142頁)。

そして、このセリフに勇気づけられた愛は、文化祭の失敗を気遣う安道先生に対して、「大丈夫です。失敗しても何度でも蘇りますんで」と宣言します(8巻27幕147頁)。

ところで、このセリフ、なんだか見覚えがありませんか? それもそのはず、第1巻に同様のセリフが登場しているのです!!

さらさと出会った国広先生が少年時代を回想したときのことです(1巻2幕73頁以下)。空襲で大劇場も台本もすべてが燃えて無くなってしまったとき、国広少年に対して「白薔薇のプリンス」こと櫻丘みやじが語った言葉です。

「全てが無くなってしまった。でもね少年よ。紅華は死なない、私が死なせない」

「何時の世も人々には夢が必要だ。この焼け野原を超えて行けるよう私はまた皆に夢をみせよう。皆がそう望むのなら、私達は死なない。私たちは何度でも蘇るだろう」

このセリフのことを国広先生はさらさに伝えていません。しかし、それにもかかわらず、さらさは同様のセリフを放ったのです! まさに紅華乙女の魂が隠然と受け継がれているのを感じませんか?

ここまで繰り返して「生まれ変わる」ことが強調されると、紅華乙女のあり方ひいては本作品のテーマの核心がここにあるのではないかと感じてしまいます。

そして、公式ガイドブックの七海さんとの対談にて、斉木先生は「じつは『あきらめない』『何度でも生まれ変わる』『挫折からの再生』…、それは『かげきしょうじょ!!』のテーマでもあるんですよ」と語っているのです!(137頁) どうやら私の見方は間違っていなかったようです。

 

 

『かげきしょうじょ!!』のタイトルについて

斉木先生がインタビューで明かしたことによれば、『かげきしょうじょ!!』というタイトルには「歌劇」と「過激」の二つのニュアンスが込められているそうです(155頁)。当然のように「歌劇少女」と変換して読んでいた私からしてみれば、驚きの情報でした!

さらに驚くべきことに、「恋に過激な少女」と勘違いして「エッチなマンガだと思っていた方も少なからずいらっしゃったみたいで」とも笑

 

 

以上が公式ガイドブックの感想・考察です。おそらく漫画をわりと読み込んでいる読者に分類される私からしても(だからこそ?)、新情報もそれなりにあり、かなり楽しめる内容でした!

気になる方は、まずは試し読みを! そして是非ご購入を!

 

 

 

「かげきしょうじょ!!」アニメ化の範囲は?――原作漫画のエピソードの取捨選択について【各話更新中】

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テレビアニメ「かげきしょうじょ!!」第1話

 

ついに放送が開始されましたテレビアニメ「かげきしょうじょ!!」ですが、原作漫画はどこまでアニメ化されるのでしょうか? 色々な情報を総合して考察してみました。

 

 

公式情報(その1)

公式情報によれば、アニメBlu-ray特典として、スピンオフの収録されたドラマCDが封入されるようです。ということは、ここでCDドラマ化されたエピソードはアニメ本編には組み込まれないことを意味します。具体的には、以下の3エピソードがCDドラマ化されるようです(なお、Blu-ray第1巻の特典CDには、アニメ1話で流れたJPX48の「ごめんねLOVE」が収録されるようです)。

  • Blu-ray第2巻特典CD スピンオフドラマ「ファントム」
  • Blu-ray第3巻特典CD スピンオフドラマ「絶対ヒロイン」
  • Blu-ray第4巻特典CD スピンオフドラマ「99期生の卒業式」

 

 

公式情報(その2)

監督の米田和弘さんとシリーズ構成の森下直さんの対談記事では、以下のようなやり取りがありました。

――原作のエピソードの取捨選択を行う上では、どこがポイントだと考えておられましたか?

森下 全体の流れでいうと、最初は間違いなくさらさと愛を中心に話を進めようと思いました。そうしつつも、他の生徒たちや先生たちのキャラクターやバックグラウンドがじわっとわかるようにする。〔中略〕軸に絡まないエピソードにもいいものがたくさんあって、泣く泣く削ったものもあります。スピンオフ的なエピソードは、本編には何とかギリギリ一本だけ入れられた感じですね……。

米田 原作を読んじゃうと、どうしても欲張りたくなってしまうんですけど、エピソードの区切りの良いところまではアニメ化したいというのが大前提であったので、どうしても学校生活のエピソードが中心にはなりました。ただ、森下さんにエピソードの取捨選択は基本お任せしていたんですが、僕の大好きなスピンオフのエピソードが一本、何も伝えてないのに構成に入っていたんですよ。あれはうれしくて、見たときに「よっしゃ!」と思いました(笑)。

このやり取りの要点をまとめると、以下のようになります。

① さらさと愛の物語が中心となる。
② 学校生活が物語の中心となる。
③ スピンオフエピソードのアニメ化は1つだけ。

①については、そもそも『かげきしょうじょ!!』の主人公がさらさと愛なので、①から得られる情報は抽象的すぎます。②については、帰省やさらさの過去に関するエピソードが削られる可能性を示唆していると思われます。③については、Blu-ray特典CDにスピンオフエピソードが3つ盛り込まれていることと併せて考える必要がります。

 

 

原作漫画を振り返る(随時更新中)

さて、アニメ化の範囲の考察の前提として、まずは原作漫画のエピソードを振り返る必要があります(微ネタバレ注意!)。なお、ほとんどのエピソード名は私が便宜的に付けたものです。

  シーズン0(現在休刊の集英社ジャンプ改」に掲載)

第1幕 紅華音楽学校受験編【アニメ1話】

第2幕 合格発表・入学説明会・入寮編【アニメ1話】

第3幕 自衛隊集団行動訓練編【アニメ1話】

第4幕 本科生との顔合わせ編【アニメ2話】

第5幕 自己紹介編【アニメ2話】/さらさの彼氏疑惑編

第6幕 さらさと愛の言い争い編【アニメ3話】

第7幕 愛の過去編【アニメ3話】

第8幕 本科生の指導・タップダンス授業・愛とオタクの再会編①【アニメ3話】

第9幕 愛とオタクの再会編②【アニメ4話】

第10幕 さらさと愛の葛藤編【アニメ4話】

第11幕 愛とオタクの再会編③【アニメ4話】

第12幕 予科生観劇日編

第13幕 彩子のダイエット編①/日舞授業編

第14幕 彩子のダイエット編②

特別収録 予科生の一日編

おまけマンガ みんなでお出かけ編

  第1巻(移籍後の白泉社「メロディ」に掲載)

第1幕 「表現力」編/舞台裏見学編【アニメ2話】

第2幕 国広先生編

第3幕 実技練習編

第4幕 実技授業編

  第2巻

第5幕 夏休み帰省編①

第6幕 さらさと暁也の過去編①

第7幕 さらさと暁也の過去編②

第8幕 夏休み帰省編②

  第3巻

第9幕 紅華大運動会準備編①

第10幕 紅華大運動会準備編②/沢田姉妹の葛藤編①

第11幕 紅華大運動会準備編③/沢田姉妹の葛藤編②

スピンオフ 男役志望・星野薫の夏休み編

  第4巻

第12幕 紅華大運動会編①

第13幕 紅華大運動会編②

第14幕 風邪の愛編

スピンオフ 冬組トップスター・里美星編【Blu-ray第2巻特典CD】

  第5巻

第15幕 文化祭オーディション準備編①

第16幕 文化祭オーディション準備編②

第17幕 文化祭オーディション編①

スピンオフ 愛の指導役・野島聖編【Blu-ray第3巻特典CD】

  第6巻

第18幕 文化祭オーディション編②/彩子の過去編

第19幕 文化祭オーディション編③/さらさと暁也の過去編③

第20幕 文化祭オーディション編④/さらさと暁也の過去編④

  第7巻

第21幕 紗和のオーディション反省編

第22幕 冬休み帰省/文化祭編①

第23幕 文化祭編②

スピンオフ 中山リサ編【Blu-ray第4巻特典CD】

  第8巻

第24幕 文化祭編③/さらさ緊急帰省編①

第25幕 さらさ緊急帰省編②

第26幕 さらさ緊急帰省編③

第27幕 復活編

既刊11巻ですが、予科生編は第8巻までであり、流石にアニメ化されないと思われる第9巻以降の本科生編は省略します。

 

 

アニメ化されるスピンオフエピソードは?

上記の原作漫画の振り返りから分かるように、原作で描かれているスピンオフは以下の4つで、そのうち3つが特典CD化される予定となっています。

  • 原作3巻 星野薫編
  • 原作4巻 里美星編【Blu-ray第2巻特典CD「ファントム」】
  • 原作5巻 野島聖編【Blu-ray第3巻特典CD「絶対ヒロイン」】
  • 原作7巻 中山リサ編【Blu-ray第4巻特典CD「99期生の卒業式」】

前記のインタビュー記事で、シリーズ構成の森下さんが、アニメ本編にはスピンオフエピソードが1本だけ入ると語っていたので、唯一特典CD化されない星野薫編がアニメ化されることは間違いないでしょう。

さらに言えば、主人公のさらさと愛は格別として、薫以外の同期のメインキャラクター(山田彩子、沢田千夏、沢田千秋、杉本紗和)には、以下のように漫画本編にてそれぞれ焦点が当たるエピソードがあります(いわゆる「当番回」です)。

  • 彩子のダイエット編(シーズン0第13幕~第14幕)
  • 沢田姉妹の葛藤編(第10幕~第11幕)
  • 紗和のオーディション反省編(第21幕)

漫画本編に描かれた彼女たち4名の当番回がアニメ化される一方で、薫にはアニメでの当番回がないのは不平等に感じられますので、このことからも、漫画のスピンオフで描かれた星野薫編もアニメ化されると考えられます。

 

 

全体でどこまでアニメ化される?

漫画本編の区切りの良さと、特典CD化されるエピソードの選択を考えれば、アニメは第8巻末の予科生編までの1年間を描くことになりそうです

しかし、エピソード0は通常巻の約2.5倍のページ数であるため、第8巻までのアニメ化は実質10.5巻分のアニメ化を意味します。私の視聴経験上(アニメオリジナルのエピソードが挿入されない場合、かつ、原作を大幅に短縮・改変しない場合)、1クール12話前後のテレビアニメは一般的に原作漫画5巻前後に相当するケースが多いため、「かげきしょうじょ!!」は一般の約2倍の原作量のアニメ化に挑戦することになります。

「かげきしょうじょ!!」は全13話でアニメ化予定なので、これより条件は緩和されますが、しかしなおエピソードの厳しい取捨選択がなされることになるでしょう。

ここで、先のインタビュー記事で明らかになった「さらさと愛の物語が中心となる」「学校生活が物語の中心となる」を踏まえると、帰省やさらさの過去に関するエピソードは削られることになりそうです(ただし、物語の軸と密接に関連するエピソードもあるので、脚本構成には苦労しそうですが)。アニメ公式サイトの登場人物のページに白川家の面々が掲載されていないことも、これを示唆していると思われます。とはいえ、これらのエピソードを削ったとしても、せいぜい漫画2巻分くらいなので、実質8巻分ほどを脚本化しなければなりません。

となると、最も区切りの良い予科生編の終わり(第8巻)までではなく、次に区切りの良い大運動会編(第4巻)までをアニメ化するという選択肢も浮かび上がります。巻数もちょうどくらいです。しかし、特典CDとの整合性に欠く点、第7巻の紗和の当番回がなくなってしまう点は見過ごせません。

以上を踏まえると、脚本構成の工夫により、予科生編の終わりまでがアニメ化される可能性が一番高いと思われます。いずれにせよ、アニメの放送が楽しみです!!

 

 

2021春アニメの感想――9作品ひとことコメント

 

6月も終わりまた1クールが終わったので、この記事では、私の視聴した2021春アニメ9作品について適当なコメントを書きたいと思います!(五十音順)

 

 

イジらないで、長瀞さん

① 第1話で長瀞さんにイジられるときの先輩のオロオロする目の動きが秀逸でした!

② 長瀞さんのいない間に友達ギャルに先輩がちょっかいをかけられる展開が好きでした笑

③ 特に二人が出会ってから日が浅いアニメ前半では、個人的に長瀞さんのイジりは畳みかけ過ぎと感じてしまいました。そのため、相対的にイジり頻度が低い友達ギャルの方の好感度が上がりました。そもそも、ツンデレヒロインが登場する作品に共通することですが、ヒロインがデレたり赤面したり照れたりする場面は、主人公は把握しておらず、読者・視聴者しか把握できていないことが多いんですよね。そのため、フィクションとして第三者目線から楽しむのならともかく、現実世界で当事者としてあのように執着されたらイジメ被害者の意識を持ってしまいそうではありませんか?

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先輩をイジっているのを長瀞さんに見つけられた友達ギャル

 

 

究極進化したフルダイブRPGが現実よりもクソゲーだったら

① 「リアルさを極めたゲームは実はつまらないのではないか?」という思考実験を提供する興味深い作品でした。現在の技術水準ではフルダイブ型のゲームの実現は無理なので考えたこともなかったのですが、この作品が提示したテーゼはもしかしたら将来的にゲーム制作の方向性に影響を及ぼすかもしれませんね!

② ゲームのシナリオ展開や身体能力のリアルさは、ゲームの長所を削ぐだけかもしれませんが、リアルすぎるNPCに一定以上の親近感を抱いた場合はそれだけで済まない気がします。そのNPCとの関係が悪化したり、NPCが死傷したりした場合に、プレーヤーの精神衛生に良くない影響が及ぶ可能性は十分あるのではないでしょうか?

③ ストーリー展開がやや遅々としていのが気になりました。なんと、たった原作ラノベ2巻分でアニメ12話のようです! 原作者が「慎重勇者」の作者ということもあって、「慎重勇者」には及ばないもののギャグ要素は悪くありませんでしたから、やはりテンポの悪さが作品の質に影響してしまっている印象です。もしかしたら、「ゲームはリアルさを極めるとつまらない」という作品のテーマそれ自体の影響もあるかもしれませんが。とはいえ、11話で明らかになった世界観設定は、流石「慎重勇者」の原作者といったところです。

④ 各所にソードアート・オンライン」(特にアリシゼーション編)の影がチラつきましたね笑 幼馴染の親友(マーチン/ユージオ)、金髪のヒロイン(アリシア/アリス)、黒髪ショートの主人公の妹(楓/直葉)、シナリオ上重要な大木(ケヌラの木/ギガスシダー)、精神がゲーム上の身体能力に影響を与えるシステム(心意システム)などには類似点が見て取れますし、そして何よりキリト役の松岡禎丞さんが過去に「極・クエスト」を唯一クリアした人物の声を担当しているのですから!

⑤ 主人公のヒロ(CV:山下大輝さん)が感情的になったときの特徴的な声が良かったです!

⑥ 「究極進化した製作委員会」!

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マーチンタイム!

 

 

ゴジラ S. P.(シンギュラポイント)

① 脚本家の趣味嗜好が強く反映されたようなアニメだったと思います。「怪獣×ロボット×SF」で盛りだくさんでした。脚本家は、これまでゴジラシリーズとの差別化が大変だったのではないかと思います。

② 怪獣要素を期待して見始めたのですが、見終わってみればSF要素が一番大きな割合を占めていたような印象があります。SF用語はほとんど理解できなかったのですが、理解できないわりには楽しめました。

 

 

シャドーハウス

① まったくのダークホースにして、今期もっともお気に入りのアニメになりました! ゴシック×ホラー×ファンタジー×アドベンチャー×ミステリーなど要素盛沢山、類似作品のない唯一無二の世界観最高アニメです!! 各話3回ずつは観てました! 続きが気になって原作漫画(既刊8巻)を購入しました!

② 第11話以降はアニメオリジナルの展開でした。原作漫画もアニメもどちらも面白いストーリーでした! 原作よりも突っ込んだ設定開示もありましたね。最初は、原作を代替するオリジナルストーリーかと思いましたが、着地点は原作に挿入可能な形になっていました。原作漫画には早期の続刊を、アニメには2期の制作を期待しています!

③ せいぜい中学生くらいにしか見えないのに、エミリコの同期の生き人形はみんなハイスペックですよね! エミリコは楽観的で優しくてアホっぽいけど利発かつ発想が柔軟で、ラムは内向的で何の取り柄もなさそうだけど天才的な能力を隠し持っており、ルウはマイペースなものの鋭い観察眼があり、ショーンは目は悪いものの全体的に能力が高く、リッキーも突出した能力はないものの頭脳明晰なのですから!

④ エドワードの庭園の仕掛けの作り込みは凄かったですよね! そしてまさかの第8話はエドワードED! 「私の完璧な世界」!

⑤ 個人的なベストエピソードは、お披露目の庭園迷路編(6~10話)です。シャドーも生き人形も、お披露目組みんなの能力と魅力が溢れていましたね! 以下、みんなの表情と活躍の記録を!

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エミリコの影響で自発的に行動するようになったラム(第6話)

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緊張して気が大きくなりケイトにプロポーズするジョン(第6話)

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ルウ「私の顔、傷ついていない?」(第7話)

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気遣うエミリコとそれに心動かされるパトリック(第7話)

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エミリコ「ウサギさんみたい!」(第7話)

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ルイーズ「まあルウ、なんて綺麗な顔なの!」(第8話)

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ショーン「俺を殴ったことを謝れば手伝ってやってもいいぞ」(第9話)

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ルウ「でもリッキーといて楽しかったから」(第9話)

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リッキー「ジョン様!ショーン!助けになってください!」(第9話)

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週刊少年ジャンプから来た男」によるジョンパンチ(第9話)

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ショーン&リッキー「嘘でしょ!?」(第9話)

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エミリコのためにリッキーに頭を下げるパトリック(第9話)

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エミリコ「私は生まれつき体が丈夫みたいです」(第9話)

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今度は逆にケイトがエミリコをお姫様抱っこ(第10話)

 

 

スーパーカブ

① シャドーハウスと同じく、第1話から心に刺さった雰囲気最高アニメです。セリフ量は比較的少なめにもかかわらず十分に楽しめる作品でした。

② 各所で言われているように、このアニメはまさにCMのようでした。しかも、ここで打ち出されているのは、特定のジャンル(たとえばキャンプや軽音)ではなく、特定企業の特定製品なのですから、広告効果抜群ですよね!

③ もともとのキャラデザが基層にあるのはもちろんですが(原作イラストはフェチ漫画として有名な「明日ちゃんのセーラー服」を描いている博さんらしいです)、キャラクターが笑顔になる際などの表情の変化が柔らかくて好きでした

④ 主人公・小熊の変化に目をやると、箱をカブに付けた第3話あたりから表情が豊かになり、修学旅行で無茶をやった第6話あたりから(実は、引っ込み思案で臆病な性格などではなく)我が強くてアウトローなところがあるところが明らかになり、第7話あたりから椎と交流を持つようになってから椎に対するやや強気な姿勢礼子に対するいなすような態度が目に留まりました。最初の印象が、特に下記⑦の騒動を経てからグッと変わりましたね! 最終的には、第11話で椎を救出する際、無茶をやっていましたね。消防や救急に連絡せず一人で椎を救出したこと、そのために椎に自力で崖を上らせたこと、濡れて凍えている椎をカブの前カゴに乗せたこと、椎の両親に連絡したとしてもその夜の内に迎えに来させないこと等々はツッコまなければならないでしょう(原作ではちゃんと説明されているかもしれませんが)。

⑤ 第11話の小熊のスーパーカブが必ず助けに行く」「礼ならカブに言って」は笑ってしまいました。しかも、そんな小熊のセリフに影響されて、椎までも「また、スーパーカブで助けてください……この冷たくて暗い冬を……どこかに……」と言ってしまうのですから、スーパーカブは偉大ですね!

⑥ カブを買ってから、ぼっちだった小熊には、礼子や椎といった友達ができました。このアニメはカブを運転する際などに彩度を高める演出を多用していましたが、しかしやはり大人目線から見れば、とりわけ学生時代に彩りを与えるのは友人の存在でしょうね(第11話はそのようなタイミングで彩度が高まりました)。

⑦ ニコニコ動画では毎話のように視聴数・コメント数ともにトップでした。今期一番人気の作品だったのではないでしょうか。悪い意味で話題になったという点においても、注目度はありましたね笑 この件の私見については下記記事参照。

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箱を付けて、にへぇと笑顔になる小熊(第3話)

 

 

スライム倒して300年、知らないうちにレベルMAXになってました

① 基本的に1話完結型の気軽に見られるアニメでした。特に6~7話あたりから尻上がりに面白くなっていった印象です。

② アニメ前半は、パッと見て髪が似ている主人公のアズサとハルカラ(どちらも金髪ロング)の区別がつきにくかったです。アニメ化に際してもっと色の区別をつけるべきだったのではないでしょうか。

③ エフェクト・ボイス担当(CV:中村桜さん)がいたのは斬新でした! 特徴的で楽しいSEになっていましたね!

④ 実はアニメの個別のYouTubeチャンネルがあり、第10話で各人が披露した歌も視聴できるんです! 曲調がみんなどこかで聞いたことあるような印象です笑

 

 

 

 

 

戦闘員、派遣します!

① 原作者が「この素晴らしい世界に祝福を!」の暁なつめ氏ということで、前半はこのすばのキャラがどうしてもチラついてしまっていたのですが、後半になるとそれぞれのキャラが印象付いてきて気になりませんでした

② しかし、暁なつめ氏のこの素晴らしい世界に祝福を!」「戦闘員、派遣します!」(原作)、けものみち(漫画原作)は、いずれもアニメ化され、しかも、いずれもハズレがないですよね!

③ 最終話のちゅんちゅん丸のモザイクは汚かったですし、獣人×ショタ展開はゲスでしたね笑

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「俺の心は大きいからなぁ。男の子か女の子かだなんて些細なことは気にしねぇにゃん」

 

 

ドラゴン、家を買う。

① 9話までキービジュアル詐欺でした。キービジュアルでメインキャラ然りとした態度をしているピンクの女の子がいつまで経っても登場しないのですから! 登場したのは全体の4分の3が経過した第10話の後半からです。

② 第10話からレティ、ディアリア、ピーちゃん、ネルの4人体制になってから格段に面白くなった印象です。ツッコミ役が増えたからでしょうか? 最終話のレティとネルのお別れがロマンティックでしたね!

③ 主人公のレティの声(CV:堀江瞬さん)の声が特徴的で良かったです! 男性でもあのような声が出せるんですね!

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キービジュアル

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レティとネルのお別れ(第12話)

 

 

舞子さんちのまかないさん

① 2月から3話ずつ毎月第4木曜日にNHKワールドJAPANで放送されているアニメなので、知名度は低いかもしれません(今年10月からEテレで放送するようですが)。今からでもNHKの公式サイトで無料・無登録で全話視聴可能なので、興味のある方は是非!

② 個人的には、歌詞はないですがOPとEDにドハマりしてしまいました!

 

 

以上が2021春アニメの感想です! 今期のアニメは2期制作決定の発表が少なかった気がします……(私の視聴した上記アニメでは発表ゼロでした)

はめふら2期、ひぐらしのなく頃に卒、かげきしょうじょ!!など、夏アニメも楽しみな作品が目白押しですね!

 

 

『かげきしょうじょ!!』第11巻の感想・考察――さらさの性分、愛の著しい成長と焦り、志織の夢

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『かげきしょうじょ!!』第11巻

 

この記事は、テレビアニメ絶賛放送中斉木久美子『かげきしょうじょ!!』第11巻(2021年7月5日発売)感想・考察を書き連ねた記事です(過去記事はこちら)。ネタバレにはご注意ください!

 

 

オルフェウスとエウリュディケ」の配役と組み合わせ

第11巻の本編はずっとオルフェウスとエウリュディケ」で、カタカナの名前が飛び交ってやや混乱したので、まずは配役と組み合わせを整理しておきます(元となった神話のあらすじは9巻28幕24頁を参照)。

起承(10~11巻)の配役と組み合わせ

  • オルフェウス(男役)A:さらさ B:愛 C:薫 D:紗和
  • エウリュディケ(娘役)A:千秋 B:千夏 C:彩子 D:マッスー

転結(11巻~)の配役と組み合わせ

  • オルフェウス(男役)A:さらさ B:薫
  • エウリュディケ(娘役)A:千秋 B:彩子
  • ハーデス王(男役)A:紗和 B:マッスー
  • 妻のペルセポネー 兼 美青年の小悪魔(男役)A:愛 B:千夏

 

 

さらさの性分

 

さらさの性分(その1)

10巻33幕で息の合っていない演技を見せてしまった渡辺さらさ沢田千秋ペアは、さっそく高木先生から講評を受けます(11巻34幕)。役になりきり過ぎて現実との境界線を見失ってはならないこと、そして「全は個にして、個は全なり。個は孤にあらず」という金言も授けられます。

また、さらさの暴走しがちな性分について、紗和は高木先生とは別の角度から深掘りして分析していました(35幕69-71頁)。

さらさは自分の役だけではなく、他の役やストーリー全てをさらさの中で完成させてしまうんだなって。

さらさの言っていたハーデス像は、私の演じるハーデスではなく、さらさの作り上げた「杉本紗和のハーデス」。さすがオタクキング。想像力豊かよね。

でもそれって、さらさの支配下オルフェウスとエウリュディケの世界だから、共演者としてはちょっと迷惑よね。

でも、紗和は次のようにも言っていました(35幕57頁)。

舞台って生物だから予想だにしない状況になる事があって、それを動揺せずに乗り越えなければならない。さらさにどう対応できるか、ためしてみようかなって。

さらさは上記のような自身の性分を十分に自覚・咀嚼している様子はありませんし、それを周りからも伝えられていません。むしろ、紗和などはこれを奇貨として自分の成長につなげようとしています。「オルフェウスとエウリュディケ」の授業で、さらさは自分のそのような性分をどう理解・咀嚼し、どのように向き合っていくのか、今後のさらさの成長が楽しみです。

 

さらさの性分(その2)

その一方で同じく11巻では、さらさの性分を積極的・肯定的に評価している人もいました。

高木先生の授業で特別講師を務めた春組トップの朝比奈流は、緊張の走る現場で怖じることなく手を挙げたさらさについて、「あの子のおかげで100期生達は一つヒントをもらえたね。ああいう子はね、知らず知らずの内に種をまいているんだよ」と評価していました(36幕94頁)。

こういうさらさの怖いものなしに突き進んで行く性分は、まさに主人公気質だなあと感じました。

 

さらさと千秋の関係性

10巻・11巻で深まった人間関係を見せたのは、さらさ千秋です。

「おこぼれライト」(10巻33幕97頁)でさらさと組んだ千秋ですが、さらさの暴走により「起承」の結果は散々でした。「娘役が生きるも死ぬも男役次第かな」と、愛と組んで好演した千夏を見て千秋は落ち込んでいたりもしました(11巻34幕)。

授業後、千秋はさらさから謝罪されます。それを受けた千秋は、前言していた「前に進むための授業じゃないですか」(10巻33幕110頁)というさらさの素直で前向きで有言実行な性分を信じて、さらさと和解し再びさらさと組むことを決意します(34幕)。

それでも、「次は暴走しないでよね!」「三度目はないんだからね!!」「あま―――――――い!!」「発表になったらアレよ!!」「全然面白くなんかないんだよ?」(35幕)と、千秋は経験者としてその後ずっとさらさの暴走を敏感に警戒していますが笑 さらさと千秋のオル×エウのキャラを「陽気なオルフェウスと置いていかれるエウリュディケ」とさらさがネタにしたときは、千秋はさらさに土下座させていました笑(35幕100頁)

ところで、10巻に引き続き11巻でも、表情の豊かな千秋が見られましたね! 「エウリュディケは渡さない!!」の警戒した表情(35幕49頁)、「ちょっと、さらさ!!  思いつきでアレンジするなっちゅーの!!」の鬼の表情(36幕110頁)、「『おたくらよりセリフ長く喋れたグループですが何か?』って登場の仕方よね」のやさぐれた表情(36幕112頁)等々。千秋は作者に愛されているなあって感じます。

 

 

愛の著しい成長と焦り

 

愛の著しい成長

伸び悩んでいるさらさとは対照的に、文化祭の舞台での代役経験や先輩の役割を担うようになってから、成長著しい様子を見せているのは奈良田愛です。

愛の解釈するオルフェウスとエウリュディケは、「愛し方を、愛され方も解らなくて、壊してしまいそうで怖い」「オルフェウスがエウリュディケを素直に見つめられるのは、彼女と視線が交わらない時だけ」でした(11巻34幕)。

この「失ってから気づくオルフェウス(10巻32幕86頁)は、もちろん自身が陽キャを演じられないという事情もありますが、しかし、愛は自分の経験を踏まえてきちんと自分なりのオルフェウスのキャラを作り上げたのです。

後輩の伊賀エレナの指導を担当し、またオルフェウスの役づくりを考えるようになってから、愛はJPX48時代の自分とチームリーダーの関係性を思い返していました。そして、カップルの突然の別れ話を目撃したことをきっかけに、チームリーダーが自分のことを大切に想ってよく見てくれていたこと、自分はそれに正面から向き合えず逃げていたこと、そして今さら彼女の想いを手離していたことに気付いのでした(10巻32幕)。

このような自分の経験と自分なりの解釈、さらには大舞台での経験を踏まえて、愛と千夏は「オルフェウスとエウリュディケ」を演じきったのでした。

余談ですが、そもそも、全寮制、本科生・予科生のヒエラルキー、指導担当制度などの紅華の制度は、特に思春期において濃密な人間関係を形成しやすいシステムであり、ここから演劇に活かせる気づきは多々あると思われます。紅華の舞台に相応しい想像力と演技力を身に着けて送り出す上手いシステムだと感じました。

ところで、オルフェウスを好演した愛は、各所で褒められていましたね。同期からも「奈良っちのオルフェウスもなかなかだったよね」「悔しいけど異彩を放ってたわよね」(薫)、「あんなに素敵なオルフェウスだったのに…」(さらさ)、「私も個人的に奈良オルの続きが見れないのが残念…」(紗和)と褒められていましたし、高木先生からも舞台の奥行に対する想像力について評価されていました。褒められた愛はかなり嬉しそうでしたね笑

 

愛の焦り

上記のように高評価の愛ですが、もちろんそれには愛の高い意識があったからです。紅華に入学した頃とはまったく違います。「音校生でいる残りの1年間、何にでもチャレンジしようって決めた」り、そのためにペルセポネーに挑戦したり(35幕)、「セリフを喋りたい。私には時間がないの」と授業でセリフを言えなかったことに対して焦燥を露わにしていたりもしました(36幕)。しかし、意識の高さと表裏一体のこの焦りが悪い方に向かわなければ良いのですが。

そして、11巻36幕は、愛とJPX48の現役メンバーである小園桃による興味深い会話の途中で幕切れとなってしまいました。男役トップを目指す愛に対して、小園桃は「グループの頂点に立つって、人気や実力だけが求められる訳じゃないんだからね」と愛の覚悟を問いますが……?

 

 

印象に残った小ネタ集

 

「萌え」が多い

11巻は「萌え」が頻発していましたね!

愛のオルフェウスのラストシーンを解釈して萌える100期生たち(34幕43頁)、「玉座にドヤ顔でふんぞり返る、けれども気品を感じさせる杉本ハーデス」を想像して萌えるさらさ(35幕62頁)、授業への春組トップの登場にサイレント歓天喜地する100期生(35幕61頁)などなど。

特に、紗和のオタクっぷりが目立っていましたね! 授業への春組トップの登場に鼻血を出したり(35幕77頁)、その授業後に一人でオタク語りしていたり(36幕91頁)、朝比奈流の退団会見の知らせを見て倒れたりしていました(36幕125頁)。

とはいえ、重度の紅華オタクの紗和ですが、さらさのいる組に入って自分を試そうとするなど、成績トップとしての矜持を見せる側面も見せていましたね! さらさと同組になった紗和がいかに成長していくか楽しみです!

 

その他の可笑しかった小ネタたち
  • 愛のオルフェウスのラストシーンに気付いてしまった紗和(34幕42頁)、練習中なぜかその顔になているさらさ(35幕64頁)など、『ガラスの仮面』の有名な「おそろしい子!」の表情が何度か見られましたね笑
  • トイレで手を合わせていたさらさ・愛・千秋の三人に対して「無言で手重ねて何か呼び出しでもしてる訳?」と薫がツッコんだ際、足元に魔法陣が描かれていました笑(35幕51頁)
  • 11巻では101期生がまったく登場しなかったと思いきや、さらさ・愛・千秋・紗和の四人組が和室で練習する後ろで伊賀エレナが掃除をしています!(35幕63頁) この場所は、エレナが愛から掃除担当を引き継いだところですね。
  • 18歳の年にもなっても着ぐるみパジャマの千秋が可愛かったですね!(35幕65頁)

 

 

丁嵐志織の夢

9巻の番外編「白川宗家の娘・丁嵐志織編」に引き続き、11巻でも番外編「さらさの異母姉・丁嵐志織編 その2」が収録されました。ここでは、志織が異母妹のさらさを応援するようになった経緯が描かれています。

まずは白川家・渡辺家の家系図を再掲しておきます。

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白川家・渡辺家の家系図

9巻の番外編にて、志織は次のように語っていました。

「何でもできるけど何者にもなれない」

「何もない自分にがっかりするんだ」

「何もないのは私で、私はあの場所に選ばれて無いんだ。……ずっと探してる。なんでもいいんだ。自分の存在を……透明な自分の輪郭を辿ってくれる何かを」

そして、今回の番外編で明らかになったことによれば、音楽とバンドを辞め、白川福二郎との別れと白川煌三郎との結婚を経た後、志織は清水姓になって一般企業で働いていました。そこで後輩から「推しのいる生活」について教えられます。これを聞いたとき、志織はまず美里屋の御贔屓さんを想起したのでした。

上司とのトラブルの後、退職した志織は、母親に「お前は助六になれません!!」と言われるさらさ、そして復活してオスカル様を目指すさらさに出会います。そして気付いたのでした。「私は!私の妹の夢を叶えさせてあげたい!!」ことを。そして次のように独白します。

あなたはあなたの新しい道へ、そして私は憧れと期待と母の後悔を抱きしめて、夢を支えてあげる。なんてったって私が一番あの子の事を理解できるんだから。最高だ。舞台の中央に立つその日までズッ推しだ

志織は、何もない自分にずっと悩んで生きていました。しかし、夢のない自分と夢の絶たれたさらさを重ね合わせた志織は、復活して二度目の夢を掴んださらさを応援せずにはいられませんでした煌めく推しの姿を見たいと思ったのでした。

 

そして志織は、さらさの祖父が営む畳屋に発注することによってさらさを間接的に資金援助することを提案し、その説得に成功します。これこそが「父にもアレ〔白川煌三郎〕にもコレ〔白川暁也〕にも出来なかったこと」(11巻154頁)なのです。

ここで8巻の答え合わせです。以前、志織は「何も知らないで二人〔煌三郎と暁也〕でナイトきどっちゃってさ。ふふっ、ちょっと優越感に浸れるわ。あのこ〔さらさ〕を一番ささえて居るのは私……って」と意味深に語っていましたが(8巻26幕127頁)、これは志織のさらさに対する間接的な資金援助を意味していたのです。

暁也(と煌三郎)がさらさの精神的な支えになっているとすれば、志織はさらさの経済的な支えになっているのです。どちらが一番の支えになっているかは決めかねますが、しかし、志織の支えがあったおかげで、さらさが夢だった紅華を目指すことができたことは間違いなく、それがなければ、さらさは近所の都立高校にでも進学していたでしょう(36幕155頁)。

おそらく、さらさは志織と面識はありません(というより、異母姉の存在を知っているかさえも怪しいです)。今後、さらさと志織の物語がどう交錯してゆくのか楽しみです!

 

 

第12巻は、2022年初春ごろ発売予定だそうです!

また、メロディ本誌2021年8月号(紙版)には、『かげきしょうじょ!!』のマルチケースが付録されているようです!

最近発売された公式ガイドブックも! 

もちろんテレビアニメもお忘れなく!!

ABEMAが配信の中では毎週土曜深夜25:30から無料最速配信しており(有料最速配信はdアニメストア)、その他の配信サイトでは毎週火曜深夜25時から配信されるみたいです!

 

アニメ化の範囲についての考察記事はこちら!

 

 

 

【はめふらX】2期オープニング映像の魅力を語ってみる!【乙女ゲームの破滅フラグしかない悪役令嬢に転生してしまった…X】

 

ついに放送が始まりましたアニメ「乙女ゲームの破滅フラグしかない悪役令嬢に転生してしまった…X」ですが、1期に続いて2期についても、このブログでOP映像の魅力を語っていきたいと思います! (1期の記事はこれ↓を参照)

 

 

2期のOP曲は「アンダンテに恋をして!」で、1期に引き続き2期でもangelaさんが歌っています!

まずはYouTube上で公開されているノンテロップver.のオープニング映像をご覧ください!

 

 

まずは軽快なイントロとともに、文字通りの破滅フラグがはためきます。

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破滅フラグ

 

OP映像冒頭は、乙女ゲームっぽい雰囲気となっています。

顔の上半分が映っていないのですが、髪の色と長さからして、左からソフィア、マリア、メアリでしょう。その後に続く歌詞と映像からして、パーティーのためにおめかししている様子です。はめふらでは珍しい、色っぽいシーンですね。

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♪「セオリー通りに奔走」

 

女性陣の次は男性陣の登場です。一斉に足を組む動作はちょっと可笑しいです。

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♪「C'est si bon!」

 

くるっと振り向くと、パーティードレスを着飾ったマリア、メアリ、ソフィアが登場。でも顔の上半分はまだ見えません。

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♪「パーティーが始まる」


今度は白色のジャケットを身に着けて襟を正すジオルド、キース、アラン、ニコルです。身長差がいいですね!

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♪「Qui, c'est bon!」

 

ようやく登場したカタリナは扉へと向かいます。

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♪「ぐっと近寄れる距離で」

 

扉の先では、乙女ゲームよろしく、メインキャラクターの面々がカタリナを迎えてくれます。輪の中心に立って見渡すような一人称視点の立体的なカットです!

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♪「新たな物語はごきげん」

 

そしてついに、顔を出した主人公のカタリナが登場!

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♪「ようこそ」


画面も音楽も賑やかな間奏には、タイトルロゴとともにカタリナファイブが登場! 間奏はクラシックの名曲をアレンジしたようなメロディーです。これ以降は、さっきまでの乙女ゲームの雰囲気はどこへやら、一気に「はめふら」らしくなります!

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タイトルロゴとカタリナファイブ


さっきまでドレスアップしていたのに、なぜか作業着のカタリナ。鍬まで持っています。そういえば、他の3人もさっきまでとは違うドレスですね。画面上では歌詞に合わせてスパンコールが煌めいています。

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♪「今宵のドレスには」

 

庭師のトムおじさん、アン、メイド長のジョアナも登場。

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♪「スパンコール」

 

食欲旺盛なカタリナは健在!

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♪「急展開しちゃう」

 

カタリナに優しい父親と、厳しい母親も登場。

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♪「ラブストーリー」

 

カタリナは野菜とお菓子が飛び交う夢を見ているようです。常人であれば早く覚めてほしい悪夢です。

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♪「こんな夢なら覚めないで」


ハッと目が覚めるカタリナ。

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♪「恋のニュアンスを語り合えば」

 

アンの手にかかれば早着替えだって可能です。

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♪「un, deux, troisで接近しちゃうmon amour」

 

ここから2期(おそらく原作3~4巻)の新たな人物も含めて主要キャラクターが次々に登場するのですが、左から右へとスライドするカットが多用されています。

 

身悶える第一王子のジェフリーと婚約者のスザンナ。どちらもクセ者です。

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♪「嗚呼 素晴らしき破滅」

 

スザンナが投げキッスした先では、相変わらずジオルドとキースがいがみ合っています。

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♪「生まれ変わる」


さらにメアリとアランが拳をにこやかに突き合わせています。今回アニメ化されるだろう原作4巻(おそらく2期後半)では、この二人があることで共同戦線を築いていることが明らかになるので、それを意味していると思われます。お楽しみに!

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拳を突き合わせるメアリとアラン

 

ソフィアの妄想が膨らみ、カタリナは勇者に、ニコルは怪盗?怪人?に、ソフィアは妖精に!

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♪「眠たくなっちゃっても」

 

執事のルーファスとメイドのラナ。カタリナのために大量の食事を運んでいるようです。

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2期のキーパーソンであるルーファスとラナ

 

第二王子のイアンと婚約者のセリーナ。地味な二人に見えますが、それぞれの内面には熱い想いが……!

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♪「ごきげん麗しくて」


いかにも怪しい二人。原作4巻で登場してきます。この二人は原作でもコミカライズでもイラスト化されていないので、ここが初登場のはずです。

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ヤバそうな二人


魔法省で働くラファエルとルーファス。画面がスライドして、ラファエルの書いた書類をルーファスが受け取っています。

ちなみに、うしろ姿の褐色髪の男性とオレンジ髪の少年は、原作6巻以降に登場するキャラクターなのですが、そこまでアニメ化されるのでしょうか? ラファエルの背後にあるちょっと不気味な人形も気になります。

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♪「愛を信じる者に」

 

ルーファスから書類を受け取るのは、たぶん上司のラーナ・スミスですよね?

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♪「救いあれと」


この二人は誰でしょうか? (厳密にチェックしていないですが)おそらく原作3巻にも4巻にも登場しないキャラクターだと思われます。アニメオリジナルの人物、あるいは原作5巻(短編集)に登場するニコルのお見合い相手でしょうか? 答え合わせが楽しみです。

(追記)第2話で判明しましたが、彼女らは学園の生徒ですね! 演劇スタッフとして登場していました。

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謎の二人

 

原作4巻のキーアイテムであるクマのぬいぐるみ。カタリナとは犬猿の仲ですが、マリアには懐いています。

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♪「手を取り踊ろう」

 

ここがOP映像の中で一番好きな箇所かもしれません。あっちゃんと転生前のカタリナの謎の動作が可愛いですね!

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♪「圧倒的な愛で毎回ごめんあそばせ」

 

ジオルドに迫られるカタリナ。

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♪「めぐり巡るわ」


ジオルドから逃げてもルーファスに迫られるカタリナ。

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♪「Je t'aime!」


ルーファスから逃げたカタリナの水色の瞳にはキースが映っています。

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♪「突然急接近」


今度はキースにキスをされそうになるカタリナ! 原作4巻ではキースがフォーカスされるので、ファンはお楽しみに!

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♪「アンダンテに恋をして!」

 

再び賑やかなカタリナファイブが登場します。

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(左から順に)議長カタリナ、弱気カタリナ、強気カタリナ、ハッピーカタリナ、真面目カタリナ。

 

最後のカットです。まずは原作4巻のキーアニマルである子犬が目に入ります。その他はメインキャラクターのアクセサリーのようです。手前の水色のイヤリングはカタリナのもの、緑色のリボンはソフィアの髪飾り、桜色の花飾りはマリアの髪飾り、オレンジ色の花飾りはメアリの髪飾り、金色のネックレスはジオルドのもの、左右で異なるデザインのイヤリングはアランのもの、右上のスカーフはニコルものですね。(消去法ですが)左下のハンカチはキースのもののようですね。あと、トマトもカタリナのものでしょうね。

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キーアニマルとメインキャラのアクセサリー


 

2期のOPも1期と同じくキャッチーで最高です!

 

 

2021春ドラマの感想――6作品に対するコメントあれこれ

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イチケイのカラス

 

 2021春ドラマを視聴し終わったので、私の視聴した6作品について適当に感想をコメントしたいと思います!(五十音順)

 

 

イチケイのカラス(フジテレビ系列、月曜21時)

 まずは(記憶が曖昧ですが)原作との相違について触れざるを得ません。3年くらい前に原作漫画(全4巻)を読んだのですが、坂間裁判官に相当する人物は原作では男性であり、全話を通じてもっとお堅い印象でしたし、もっと真面目な雰囲気でした。ドラマ化に際する新要素として、性別が転換したり日高最高裁判事が登場したりしたのは、多様性の観点から好ましい改変だったと思います。裁判所の重要な構成要素である書記官・事務官も目立つように工夫されていたのも良かったです。全体としてドラマ脚本の凄さを感じました。 

 幾点かについてリアリティがないと専門家から指摘されていましたが、私はリアリティの不足を批判的に捉えるべきものではないと思います。これは、もちろんエンタメ要素を盛り込んだ結果でもあるのですが、なにより国民の司法に対する期待が表れているのだと思います。ドラマを視聴した法曹関係者は、ドラマのリアリティについて単に論難するのではなく、そこに込められた司法に対する国民の信頼を読み取ってこれに応えてほしいものです。

 ところで、法学に触れたことがある身としては(新書で司法について気軽に学べますよ!)、最高裁事務総局や判事再任の問題といったネタに触れていたのは個人的に嬉しかったです。裁判員裁判もテーマにしていた(第9話)のも良かったですね!

 第7話は、それまで示唆してきた日高最高裁判事とみちおの過去の因縁を清算するクライマックスのようなエピソードでした。なにしろ、最高裁判事や検察上層部を相手にしているのですから。しかし、あそこで司法の矜持と胆力を見せたのは、イチケイの面々というよりは日高最高裁判事と城島検事でしたから、よくよく見れば最終話っぽくありません。そもそも、1話完結型のドラマで、軸となるストーリーを各話でチラチラ示唆して最終話まで引っ張るお決まりの方法は、個人的にはあまり好きではありせんね。最終話を盛り上げたいのならば、どちらかというと最終話で重厚なエピソードを見せてほしいものです。

 そして本作品の最終話は、裁判官の再任拒否がテーマとなっていました。政治が司法を自らの影響のもとに置こうとする政治と司法の病理的関係は、戦後日本司法史でたびたび問題となってきた重要なテーマです。

 とはいえ、少々粗い部分もあったともいます。下級裁判所の裁判官の再任については、たしかに最高裁事務総局が影響力を持っていると言われており、事務総局の案に基づいて最高裁が候補者を指名し、内閣が任命します。しかし、実際には、これらの不透明な過程を克服すべく、最高裁の下に「下級裁判所裁判官指名諮問委員会」が設置されおり、裁判官の再任の是非について最高裁に答申を行っています(参照)。そもそも、任期終了10日前までに再任の可否が決まっていないのは現実的ではないでしょう。

 視聴率も良かったみたいですし、続編を期待しています!!(映画化の噂があるようですね) 続編では、みちおが分限裁判(懲戒処分に相当)にかけられたり、国会に置かれる裁判官訴追委員会弾劾裁判所で採り上げられたりしても良いですし、裁判官の僻地への左遷問題をテーマにしても良いですね!(ちなみに、現在、岡口基一判事という有名裁判官が弾劾裁判へと訴追されています。ツイッター投稿の仙台高裁 岡口裁判官の訴追決定 裁判官訴追委 | IT・ネット | NHKニュース) 舞台を高等裁判所に移しても面白そうですね!

 

 

今ここにある危機とぼくの好感度について(NHK総合、土曜21時)

 大学職員を主人公に、大学運営を真正面に据えるドラマは斬新でした。大学運営のあり方には個人的な関心があるので、ピッタリのドラマでした! ちなみに、脚本は、京都大学吉田寮の存続問題をテーマとするドラマ・映画「ワンダーウォール」も手掛けた渡辺あや氏が担当しています。

 役者陣も豪華でした。主演の松坂桃李さんはもちろん、脇を固めたのは、松重豊さん、渡辺いっけいさん、國村隼さん、温水洋一さんなど、渋い名バイプレーヤーたちでした! (ちなみに、ハライチの岩井さんも出演されているのですが、撮影裏話をラジオで語っていましたね)

 役者に触れたならば、その男性の多さについても触れておかなければなりません。ドラマにおいて理事と主要教員がすべて男性でした。女性理事が一人もいない国立大学なんて今どき存在するのでしょうか? (学生・教員の女性比率が低いことで有名な東京大学は今年から女性理事が半数を占めるようになりました。藤井新総長、新役員ら就任 理事の過半数が女性に | 東大新聞オンライン ) 中高年男性に対して既得権益固執する役割を担わせ、それに対して若き男性主人公を対置させる固定観念がこのドラマでも存在しているのかとやや辟易したものですが、この点、興味深い指摘がありました(笑うべきか泣くべきか、それが問題だ 土曜ドラマ「今ここにある危機とぼくの好感度について」 |NHK_PR|NHKオンライン)。

涙といえばこのドラマでは、非常におもしろいジェンダーの逆転のようなものが起きていて、男たちがとにかくよく泣く(また、神崎は「女子力」だけで世を渡ろうとしているし、彼は「分かっていない人」という「女性的」ポジションを与えられている)。

 ところで、帝都大学という名門国立大学が舞台となっているのですが、どこがモデルになっているのでしょうか? 名門の国立大学といえばまず旧帝国大学が思い浮かびますし、そもそもドラマのように国立大学でトップが学長ではなく総長と名乗っているのは旧帝大だけです。国から国立大学に配分される運営費交付金が減額される心配するということは、配分額が頭一つ飛び抜けている東大ではなさそうですし、多少の不祥事があっても東大のブランドイメージは確固たるままです。しかし、帝都という名前からして、その他の地方にある旧帝大ではなさそうです。その意味で、この作品で舞台となった帝都大学は、東京にあるもう一つの旧帝大のような雰囲気を醸していますね。

 さて、このドラマで特筆すべきは、大学の現実をリアルに描いていることです。とある大学教員は「大学が現在抱えている問題を見事に風刺」していると述べています。詳細は、リンク先の記事に譲るとして(笑うべきか泣くべきか、それが問題だ 土曜ドラマ「今ここにある危機とぼくの好感度について」 |NHK_PR|NHKオンライン)、運営費交付金ポスドクの問題など大学の抱えるもはや恒常的と言ってよい「危機」が視聴者に伝わったのではないかと思います。

 このドラマは、研究不正編(1~2話)、爆破予告編(3話)、蚊の健康被害編(4~5話)で構成されていますが、大学執行部の隠蔽体質のリアリティは高い順に、爆破予告編、蚊の健康被害編、研究不正編ではないかと思います。各大学は研究不正の疑い場ある場合の対応プロトコルを備えており、適正な手続で調査・公表が行われますが、真理探究を使命とする大学人であれば隠蔽は行わないはずです(そう信じています)。たとえば実際も、京都大学では世界的権威と呼ばれる教員が懲戒解雇されています(チンパンジー研究の世界的権威らが陥った不正経理の温床(1/2ページ) - 産経ニュース)。その一方で、大学執行部が「表現の自由」を低く見積もったり説明不足な傾向にあるのは、すごくリアルだと感じました。たとえば、同じく京都大学では、「タテカン」と呼ばれる学生が作る立て看板の設置・撤去をめぐって、学生と大学当局の間に紛争が生じています(京都大学の立て看板 - Wikipedia)。

 さて、ナレーションで何度も言及されていましたが、世界の複雑さ――このドラマでは特に大学運営の困難さ――は、簡単に割り切れるものでもありませんよね。その意味で、複雑な世界の理を解明することを使命とする大学という場において、最終話の最後で、正義を重んじる三芳総長がリアリストの須田理事を留任させたのは、まさに世界の複雑さとその対応の難しさを象徴するエンディングだったと感じました。

 それに対して、主人公の神崎真は、最後の最後まで、世界の複雑さをあまり理解できていないようでした。しかし、あのように「好感度」を気にしたり、思考停止に陥ったり、事大主義になったり、かと思えば突然正義心に目覚めたりするのは、非常に人間的でした。主人公らしからぬ信念のなさは、リアリティのあふれた人間像だったと思います。

 

 

クロシンリ 彼女が教える禁断の心理術(カンテレ系列、木曜25:30)

 タイトル通り、人を操る心理術をテーマとするドラマでした。この心理術は面白いし実生活に役立てたらいいなあと思う一方で、記憶しておくほどの興味、実際に使いこなす能力、継続する胆力、裏目に出てしてしまう懸念、心理術を使用していることを見抜かれる不安などを考慮すれば、実際には使用できませんよね。とはいえ、心理術というよりマナーや処世術にも分類できる要素もあったので、そちらは自覚的にできたらと思います(ワンポイントブラック心理術 | クロシンリ | 関西テレビ放送 カンテレ)。

 ストーリーとしては、各章が前後編2話構成で、前編が後編によって覆され得る緊張感のある展開となっていました。

 各章でメインとなる出演俳優にとっては、演技力が試されるドラマだったのではないでしょうか。心理術の使用・不使用にかかわらず、登場人物が心理術を使っているのではないかと視聴者はその言動を事細かにチェックしてしまうのですから。

 ところで、このドラマで主役を務めた久保史緒里さんは、先日観劇した舞台「夜は短し歩けよ乙女」でも主役(「黒髪の乙女」役)を務めていました。彼女のことは全く知らなかったので、このドラマは舞台前にちょうど良いタイミングでした!

irohat.hatenablog.com

 

 

桜の塔(テレ朝系列、木曜21時)

 警察ドラマでありながら、事件捜査ではなく警視庁内の権力闘争が主題となっていました。こういう政治的なパワーゲームは大好きなので、この手のドラマはどんどん増えていってほしいですね。

 ところで、こういったパワーゲーム的要素を捉えて、このドラマを半沢直樹的」と形容する意見もあるようです。たしかに、ドラマ「半沢直樹」も、銀行内の権力闘争が主題となっていました。

 しかし、正義の描かれ方については、「半沢直樹」とやや温度差があったような気がします。たとえば「半沢直樹」シーズン1の最後に、功労者の半沢が東京セントラル証券に出向させられ、不正の黒幕の大和田常務が取締役に残留したように、勧善懲悪を特徴とする「半沢直樹」では完全に(ナイーブな)正義が貫かれた訳ではありません。しかし、それより露骨な形で、「桜の塔」では、千堂の野望を挫くために手段を選ばない「サッチョウの悪魔」が描かれました。つまり、両ドラマではどちらでも、「実体的正義(悪しきを挫くという目的)」のための「手続的不正義(違法・不当な手段)」が描かれるのですが、どちらかと言えば「半沢直樹」は手続的不正義が不正義に見えないように(専門家の視聴者でなければ気付かないように)描写されていたのに対して、「桜の塔」では手続的不正義は不正義であると登場人物により何度も自己言及されていました(加えて言えば、作中で良心的存在のように描かれていた水樹(演:広末涼子)でさえ、上條に向けて拳銃を撃つという懲戒解雇レベルのことをやらかしています)。

 さて、「桜の塔」にはもう一つ「半沢直樹的」なところがありました。というのは、このドラマで描かれた権力闘争がまさしく「男たちの戦い」であったことです。メインキャストの水樹(演:広末涼子)や千堂優愛(演:仲里依紗)、あるいはクラブのママ(演:高岡早紀)は、権力闘争の主人公にはなれず、主役を支える役どころに過ぎませんでした。今の時代にこれはどうなんだろうと、(ポリティカル・コレクトネス的な規範論というより)事実に即していないのではないか、と思ったのです。しかし調べてみると、警視庁の現実は想像以上に男社会でした(警察でも広がる女性活躍 警視庁で初の警視正が誕生(1/2ページ) - 産経ニュース)。官公庁でこの少なさは衝撃です。

 役者について言えば、調べて驚いたことがあります。上條(演:玉木宏)の上司であり義理の父親の千堂大善(演:椎名桔平)を見たとき、あまり年齢差がないように見え違和感を感じました。しかし、調べてみると、玉木さんは41歳、椎名さんは56歳でした! 椎名さんが若く見え過ぎていたのです!!

 ところで、「薩摩派」「東大派」「外様派」「千堂派」「改革派」という名称には違和感を覚えました。もちろん、他称としてこれを使用するのには違和感ないのですが、自称(正式名称)でこれらの呼称を使うのは不自然なような気がします(たとえば、上條が千堂に対して「我々は改革派を立ち上げます」と宣言したシーンなど)。例として自民党の派閥については、岸田派は「宏池会」、細田派は「清和政策研究会」などの正式名称があります。他称と正式名称の2つを使用して視聴者に混乱を招くことを避けたためだと思いますが、「○○派」をグループの正式名称にするのは、あまり格好良くないのではと感じた次第です。

 

 

ドラゴン桜 シーズン2(TBS系列、「日曜劇場」日曜20時)

 放送開始前にTVerでシーズン1(2005年)が配信されていたので視聴したのですが、最初の数話で見るのをやめてしました。なんというべきか、放送当時はウケていたかもしれませんが、ドラマのノリを寒く感じてしまったからです。映像技術や演出の古さもありますが、時代に特有の演技のクセないしはクサさを感じてしまったのです。

 それとは打って変わって、シーズン2は終始楽しく見られました。各所で指摘されているように、たしかに「日曜劇場的」「半沢直樹的」でした。実際この作品は、日曜劇場枠で放送されていますし、キャストも日曜劇場的ですし、演出を担当したのは、同枠で「半沢直樹」「ルーズヴェルト・ゲーム」「下町ロケット」「陸王」「ブラックペアン」「ノーサイド・ゲーム」などを担当した福澤克雄氏です。やはり、私に合っているというか、今の時代に合っているのは、シーズン2の方です(もっとも、20年後くらいには今の日曜劇場的なドラマも、同様に視聴に耐えなくなる可能性もありますが)。

 とはいえ、ストーリーの主軸は、日曜劇場的な権力ゲームではなく、シーズン1と同じく東大合格メソッドでした。私は東大に合格したことも受験したこともありませんが、一応(地方の自称)進学校で受験勉強をしたことのある身としては、頷ける内容が多々ありました。「受験は団体戦」なんて言葉は高校在学中に教師から何度も言われました。そのほか、現代文の解き方や家庭環境の重要性など、当時は自覚していなかったものの、今になって振り返ると頷けることもありました。また、高学歴者にいる発達障害について触れたり、多様性を重視する校風を断固として実行する理事長など、現代的な要素も高く評価したいと思います!(特に健太が東大専科に入る第5話が良かったですね) 旧作と今作の比較については、16年で激変!新旧「ドラゴン桜」で見る日本の変化 | ドラマな日常、日常にドラマ | 東洋経済オンライン | 経済ニュースの新基準を参照。

 ところで、ドラマ後半では、まさかのあの人物の裏切りが判明しましたね! 半沢直樹的」的を逆手にとった上手い脚本だったと思います!

 役者陣も良かったですね! 生徒役は全体的に良かったのですが、個人的に特に印象に残ったは、前半でとにかく嫌なヤツを演じた鈴鹿央士さん(役:藤井遼)発達障害という難しい役どころを演じた細田佳央太さん(役:原健太)最初の憎むべきキャラから桜木の子分になって憎めないキャラになった西垣匠さん(役:岩井)と西山潤さん(役:小橋)ですね! あと、ラジオリスナー的には、三四郎の二人がそれぞれ出演していたのが嬉しかったですね!

 

 

ネメシス(日テレ系列、日曜22:30)

 主役が広瀬すずさん&櫻井翔さん、そして途中から橋本環奈さんが参戦するなど、キャスト陣が非常に豪華でしたが、個人的には、5名のミステリ作家が脚本協力していた点に注目していました(これら5名とは別に脚本家もいます)。

 しかし、終わってみれば、あまり期待通りではありませんでした。ミステリ的なトリックの厳密さが疑わしいところがあった点、謎解きのロジックよりも映像映えが優先されていると見受けられる点、後半はミステリーというよりもサスペンスであった点は、肩透かしな感じがありました。この点、脚本協力した作家の一人によれば、ドラマと小説版にはストーリーの差異があるようです。

 私は小説版を読んでいないのですが、ここから伺える限りでは、言葉の論理を重視する展開は、ドラマ化に際して映像映えするように改変されたようですね。事前の期待が高すぎたようです(ちなみに、(キャラ設定の改変はありましたが)トリックやロジックが原作読者の期待通りに再現されたドラマ「アリバイ崩し承ります」はかなりおすすめです)。

 全体として「ネメシス」は、本格ミステリ的なトリック&ロジックによる事件解決よりは、(特に後半になるにつれて)天才やコンピューターによる高い演算能力、あるいは身体的特技による事件解決の方が目立っていたような印象です。

 

 以上が2021春ドラマの感想です。

 

 

夏ドラマは何を視聴する?

 2021夏ドラマは、とりあえず、「ハコヅメ~たたかう!交番女子~」(日テレ系、7月7日(水)スタート)は視聴予定です。原作漫画を何巻か読んだことがあるのですが、面白かったですよ!

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 「武士スタント逢坂くん!」(日テレ系、7月26日(月)スタート)も、原作漫画を数話読んだことがあるのですが、江戸時代から現代にタイムスリップした春画師の武士がエロ漫画のアシスタントになるという突飛な設定が面白かったです。

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 「IP サイバー捜査班」(テレ朝系、7月1日(木)スタート)では、佐々木蔵之介さんがまたご自身の地元の京都でドラマをやっていますね。

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 「TOKYO MER~走る緊急救命室~」(TBS系、7月4日(日)スタート)も、医療×日曜劇場ということで手堅いのかなと思っています。

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 夏ドラマも楽しみですね!

 

舞台「夜は短し歩けよ乙女」千穐楽公演の感想――人生初めての舞台の観劇と感激

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舞台「夜は短し歩けよ乙女

 

 舞台「夜は短し歩けよ乙女千穐楽公演を観てきました(舞台「夜は短し歩けよ乙女」 <オフィシャルHP>)。

 原作は森見登美彦さんによる同名の小説で、劇場アニメ化もされている有名な作品なので、ご存知の方も多いかと思います。脚本・演出は、上田誠さん(ヨーロッパ企画)です。 

 

  以下、観劇してきた感想を書き連ねます。前半では人生初舞台について、後半では舞台の内容についてコメントしています。

 

 

客席について

 

1)満席!

 ほぼ満席でした! 座席の98~99%くらいは埋まっていたように見えました。空席はおそらくチケットを購入したものの来られなかった人のものだと思います。

 先日、映画館に行った時のように、1席ごとに空席にして座席間隔を確保するものだと思っていたら、そのような措置は取られていなかったので、最近では珍しく「コロナ以前の満席感」を実感できました。

 

2)若者が多い!

 舞台という娯楽にこんなにも若者が集まるとは思いませんでした。大学生~20代が6~7割くらいを占めていたように見えました。客層の一番上の世代は50代くらいでしょうか。

 男女比は6:4で男性が少し多めのように感じました。1人客が6~7割、その他(カップルや友人2~3人連れ)が3~4割くらいでしょうか。

 

3)座りっぱなし!

 実測値で185分=約3時間(第一部80分+休憩20分+第二部85分)の舞台で、その間ずっと座りっぱなしでした。トイレに行くつもりがなくても幕間に席を立って、体を伸ばしておくべきでした。

 満席だったことと、前席との距離がやや狭かったこともあって、やや窮屈に感じました。長時間窮屈な体勢だったので、疲れましたね~

 

 

舞台という文化について

 

4)格差の文化①――アクセスの格差

 以前にどこかで読んだことの受け売りですが、舞台は「格差の文化」だとつくづく実感しました。

 まず、舞台にアクセスできる地域には格差がありますよね。この「夜は短し歩けよ乙女」が東京(新国立劇場中劇場)と大阪(COOL JAPAN PARK OSAKA WWホール)でしか開演されなかったように、概して様々な舞台に容易にアクセスできるのは東京圏と京阪神圏に限られているように思います(さらに言えば、東京公演のみの舞台も多々あります)。

 私が高校までを過ごした地元も、通っていた大学があった地方も、舞台という文化が身近にない舞台過疎地でした。もちろん地方公演が県庁所在地にやって来ることもあったでしょうが、自分の興味関心のある劇団や題目の舞台がやって来るとは限りません。また、特に地元の生活圏(非県庁所在地)には、プロローグはもちろんアマチュアによる小劇団もいなかったように思いますし、親や友人など私の周辺の人から「舞台を観に行った」などと経験談を語る人は一人もいなかったのです。

 要するに、田舎には舞台という文化が存在しておらず、舞台は東京圏や京阪神圏に住んでいる人のための「高尚な文化」なのです。

 

5)格差の文化②――座席の格差

 さらに、舞台を観に行けたとしても、座席にも格差があります。映画館のように、どの席でもそれなりに視界いっぱいに観られると思ったら大間違いです。

 私の席は中列(11~20列目)でしたが、舞台では、前列・中列・後列の間で露骨に格差があります。おそらくステージ上の役者の表情を読み取れるのはせいぜい前列(1~10列目)までで、中列・後列ではオペラグラスがないと役者の表情は観られません。オペラグラスを使用したとしても、視界は著しく限定されるため、肉眼とオペラグラスを相互に運用することになるのですが、オペラグラスの視界外での出来事を見逃してしまうこともあります。加えて、オペラグラスを使用することによる肉体的負担も無視できません。私は翌日、右腕が筋肉痛になりました。

 今回の舞台は座席間に料金格差はなく、どの座席になるかは運次第だったのですが、高いチケット代を払ってでもステージの近くで観たいという気持ちがよく分かりました

 なお、私は端側の席だったのですが、特に観にくいこともなく、「中央―端」間の格差は想像よりなかったように感じました(これは逆に前列の方が格差がありそうですが)。

 

 

舞台芸術について

 

6)舞台演劇に対するイメージ

 (記憶している限りでは)人生初舞台ということもあり、私の中で舞台演劇のイメージと言えば、高校の学園祭で観た、体育館のステージで行われた演劇でした(田舎者の舞台のイメージはこの程度の人が多いのではないでしょうか)。

 さらには、つい最近読んだ漫画(『推しの子』第46話)の登場人物が、まさに舞台に対する私のイメージを見事に表現していました。

アクア「場面転換のたびにセット入れ替えてテンポ悪いし、可動式のセットは安っぽい。劇特有の大げさな演技にいまいちノれない」

shonenjumpplus.com

 

7)舞台装置が豪華!

 しかし、今回、私が見た舞台は、それまで抱いていたイメージとはまったく異なる演劇でした。

 まず、なんといっても舞台装置が豪華でした。回転したり、高所に上れたり、横にスライドしたり、学園祭の予算では到底無理な舞台装置が様々ありました。

 もちろん細かく見れば、背景がペライチの場面は多々ありますし、飲食は飲むふり食べるふりでしたし、歩いたり走ったりは同じ地点での足踏みでしたが、しかし、接写することがないというメディアの特性上(私がオペラグラスで覗いても視界は直径1m80cmくらいでした)、舞台を観劇するにあたっては意外にも気になりませんでした。

 

8)背景に映像が使われている!

 舞台装置の重要な一つに背景がありますが、なんと、様々な形のスクリーンに映像が投影される背景もあったのです! 背景映像を組み込んで効果的に作り上げられる舞台は、想定していませんでした。

 ところで、スクリーンに投影された映像の一部には、実写された京都の市街地や京大の風景が使用されていました。しかも、京大の時計台などの建物の外観はもちろんですが、生協食堂の「ぼっち席」まで背景に使用されていましたし、今年5月12日に営業開始、6月25日にグランドオープンした四条河原町エディオンも背景に使用されていましたね!

 また、スクリーン映像ではないのですが、実際にあった京大の有名なタテカン(立て看板)をパロディした「俺が景観条例だ」のタテカンもありましたね!

 

9)切れ目がない!

 今になって思えば、プロを侮っていたと反省していますし(そもそもプロ・アマの相違に思い至らなかったのが不思議です)、これが今回の舞台を観て一番感動したポイントだったかもしれません。

 それというのは、第一部と第二部の幕間のほかは、演劇が間隙なく進行していくのです! 別の言い方をすれば、舞台転換のための暗転の間などなく、動態的・同時進行的に変化してゆく舞台のどこかで常に演劇が行われているのです! この点はもはやテレビや映画などの映像系をはるかに上回るテンポの良さでした! 私の抱いていた学校演劇の静態的なイメージは、もちろん良い意味で完全に裏切られました!!

 練りに練り上げられた脚本・演出、それに応えるキャスト・スタッフの緊密な連携、さらにそれを高いレベルで実現するための綿密な稽古がなければこれを成し得ないことは、素人目にも理解できます。

 

10)伝わる演技

 大袈裟な演技は、舞台演劇の大きな特徴と言えるかと思います。しかし、劇場で実地経験すればよく分かるのですが、ステージと客席の距離を考えれば、あれくらい大袈裟でないとむしろ演技は観客に伝わらないのです。中列・後列に至っては、肉眼では表情を視認できないのですから。とはいえ、本作のようなコメディ要素のあるストーリーに大袈裟な演技は似合いますが、相性の良くないジャンルもあるのではないか、とはふと思いましたが。

 また、舞台役者と映像系の役者に求められる能力も違うのではないかと素人目に感じました。(マイクを使用しているとはいえ)よく通る大きな声1公演約3時間・1日2回公演・1か月の興行でも潰れない喉と体力約3時間分の台本の記憶などは、必ずしも映像系の役者にも求められる能力ではないと思われます。特に、独白も含めてセリフ量が多かった主演の久保史緒里さん(役:黒髪の乙女)と中村壱太郎さん(役:先輩)の努力は尋常ではなかったはずです。

 

 

脚本について

 

11)脚本について(総論)

 今回の舞台「夜は短し歩けよ乙女」の脚本は、大筋はもちろん原作小説通りでしたが、メディアが異なるので当然に原作ともアニメとも異なる部分がありました。

 アーカイブ配信は観ていないし記憶できていないところも多いので、原作小説やアニメとの脚本の細かい相違を全てここで挙げることはできないのですが、全体的には、①歌要素など、各所で舞台のために最適化された脚本になっていた、②原作小説よりも各章の連関が強められていた、③原作小説やアニメよりもコメディ要素が強められていた、④舞台の脚本は、どちらかと言えば原作小説よりも上田誠さんが同じく脚本を担当したアニメ版の方に似ていた、と感じました。

 原作小説のエピソードが大幅に削られることはなく、約3時間の超大作に仕上げられていたのは原作読者としては大満足でした(ちなみにアニメは90分映画です)。

 

12)脚本について(各論)

 印象に残っている原作小説やアニメとの相違は、以下の通りです。

 第一に、原作やアニメとは異なり、舞台では、先輩が乙女に一目惚れした場所が、物語の結末の場面と同じく進々堂になっていました。これは二人の出会いを運命的に演出するドラマチックな脚本だったと思います。

 第二に、春(第1章「夜は短し歩けよ乙女」)における結末が異なりました。原作小説では、春の夜のうちに東堂の鯉は空から降ってきて東堂のもとに戻り、それによってテンションの上がった東堂は乙女に接吻しようとして彼女から「おともだちパンチ」を食らいます。他方で先輩は、頭に鯉を食らってしまい気絶してしまいます。それに対して、アニメと舞台では、ズボンとパンツを履けないまま乙女と出会ってしまった先輩は、彼女から「おともだちパンチ」を食らい、そのまま春の章が終わりました(加えてアニメでは、李白に勝利した乙女にどさくさに紛れて抱き着いた東堂も、彼女から「おともだちパンチ」を食らいます)。アニメでも舞台でも、春の章のうちには東堂の鯉は戻って来ず、鯉が降ってくるのは秋(第3章)になってからでした。

 第三に、アニメと舞台では、春(第1章)と夏(第2章)の間に、原作小説にはないエピソードが挿入されていました。そこでは、乙女が『ラ・タ・タ・タム』を求めに下鴨神社の古本市に行くという情報が図書館警察=学園祭事務局から先輩にもたらされ、それと引き換えに先輩は学園祭事務局に協力するという取引を行いました。それに対して、原作小説では、先輩は「ある信頼すべき筋」から乙女が古本市に行くという情報を手に入れ、古本市の少年から彼女が『ラ・タ・タ・タム』を求めていることを知ったのです。

 第四に、夏(第2章「深海魚たち」)において、『ラ・タ・タ・タム』をめぐる展開が異なっていました。原作小説では、闇の古本市で勝利した先輩が獲得した『ラ・タ・タ・タム』は、古本市の神により強制的に解放され、結果的に古本市で乙女がこれを手に入れました。それに対して、アニメと舞台では、同じく解放された『ラ・タ・タ・タム』は、先輩が確保し、秋(第3章)の学園祭ではそれを出品するも乙女に出会えず、ようやく冬(第4章)において風邪で寝込んだ下宿で乙女に譲渡することができました。

 第五に、秋(第3章「御都合主義者かく語りき」)におけるロマンスの展開が異なっていました(ちなみに、私はこの章が一番のお気に入りです)。

 原作小説では、ゲリラ演劇「偏屈王」最終幕における乙女演じるプリンセス・ダルマと偏屈王の再会シーンで、上演前に先輩は偏屈王役をパンツ総番長から奪い取りました。そして、「偏屈王」終幕後に、パンツ総番長と「象の尻」の紀子がようやく再会し、なんとも御都合主義的に、羽貫さんが放り投げた達磨がその二人の上で跳ね返りました。

 アニメでは、「偏屈王」最終幕上演中に、先輩はパンツ総番長が演じた偏屈王役を一度は奪い取ったものの、パンツ総番長に奪い返されてしまいます。そして、パンツ総番長の前に1年前の「リンゴの君」が登場するのですが、実は彼女は学園祭事務総局の女装姿だったことが発覚し、パンツ総番長は失恋します。すると、「偏屈王」の監督っぽい女性がパンツ総番長に告白しますが、彼はそれを断り、たとえ男であっても「リンゴの君」に惚れたのだと言い、まんざらでもない学園祭事務局長もそれ応えようと二人はキスしようとします。しかし、なんとも御都合主義的に、春(第1章)で竜巻に攫われたと言われていた東堂の鯉が空から降ってきて、パンツ総番長と監督の女性の頭の上で跳ね返ったことにより、パンツ総番長が目覚めて彼女と結ばれたのでした(アニメでは「象の尻」の女性は登場しません)。

 舞台では、「偏屈王」最終幕上演中に、パンツ総番長が演じる偏屈王役を先輩が「俺こそが偏屈王だ!」と言って横取りしました。そして終幕後に、パンツ総番長が1年前に惚れていたのは女装姿の学園祭事務局長であったこと、さらには、1年前に例のリンゴを落としたのは「象の尻」の紀子であり、彼女がパンツ総番長に惚れていたことが発覚します。ここでパンツ総番長は学園祭事務局長にフラれるのですが、しかし、なんともご都合主義的に、降ってきた鯉がパンツ総番長と紀子の頭の上で跳ね返り、その二人は結ばれるという展開でした。

 第六に、これはむしろ全体的な話なのですが、原作小説やアニメよりも登場頻度が増えたキャラクターが多々いました。李白、高坂先輩と奈緒子さん、東堂、古本市の少年と母親、乙女の姉などは、原作小説やアニメでは登場がない章でも舞台では登場していました。主要なキャラクターを演じた役者を、本役ではない役どころに回らせるのではなく、ストーリーに絡めて有効的に再登場させる脚本だったと思います。

 以上を振り返れば分かるように、全体として各章の相互連関が強められて、オリジナル展開もある伏線回収の楽しい脚本構成となっていました(そもそも原作小説は、雑誌連載から始まっていたので、各章の相互連関は弱めなのです)。

 

 

役者について

 

13)やっぱり可愛い黒髪の乙女!

 原作小説でもアニメ(CV:花澤香菜)でも黒髪の乙女は可愛かったのですが、久保史緒里さん演じる舞台版の黒髪の乙女も可愛かったですね!(元テレ東プロデューサーの佐久間宣行さんがラジオで語っていた通りでした)

 ちなみに、久保さんの乙女に一番近かったのは、原作小説の表紙イラストやアニメの乙女よりは、原作小説(角川文庫)の「解説に代えて」における羽海野チカさんによるイラストの乙女でしょうか。

 さて、やはり舞台上で最も印象に残ったのは、乙女のソロ歌パートですね。久保さんは全編を通じて(前半は特に)何曲も歌っていました。下のメイキング映像では、脚本の上田さんが作詞した歌「夜は短し歩けよ乙女」の稽古風景が観られます。

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 このメイキング映像では十分に伝わらないのですが、本番における舞台上の乙女はこれ以上の魅力を放っていました!! 説明が難しいのですが、小説やアニメでは表現しにくく、さらには実写映像でも伝わりにくい、生身の人間による歌声と動作の可愛らしさは、目の前で直に見ないと感じられないと思います! いずれにせよ、久保さんのファンは舞台を観に行くべきだったでしょうし、そうでなくとも円盤は購入すべきでしょうね(グッズ | 舞台「夜は短し歩けよ乙女」 <オフィシャルHP>)。ぼ~っ!とすること間違いなし!

 

14)歌舞伎な先輩!

 もう一人の主役は、先輩役の中村壱太郎さんです。中村さんが歌舞伎役者ということもあって、劇中に歌舞伎要素が何度か織り込まれており、観客の笑いを誘っていましたね! 特に冬(第4章)において、風邪で寝込む先輩の脳内会議にて、先輩が多数の先輩に歌舞伎調で詰められる様は面白かったです笑

 また、春(第1章)にて先輩はズボンとパンツを奪われるのですが、その間ずっと中村さんが舞台上でアキラ100%状態だったのはいちいち笑えましたね。

 中村さんの素顔を一見すると、原作の表紙イラストやアニメから想起される人相とあまり似ていないようにも見えるのですが、いざ髪型をクシャっとさせて眼鏡をかけると、まさに実写版先輩にピッタリな人物が出来上がっていました!

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15)コメディアンな役者たち

 主役の2人以外で目立っていたのは、やはり竹中直人さんでしょう。竹中さんは、本役では李白を、さらに舞台オリジナルの「木屋町のナガブチ」役も演じていました。竹中さんはアドリブが一番多かったように感じました笑

 各章にいちいち登場して、イギリス留学へ行かずに奈緒子さんをいつまでも追いかける高坂先輩は、登場するたびに客席の笑いを誘っていました笑

 鈴木砂羽さん演じる羽貫さんは、(もちろんアルコールではないでしょうが)舞台上でリアルにジョッキを一気飲みしており、客席から拍手が沸き起こっていましたね。

 その他、原作小説やアニメに比べるとコメディ要素が多々加えられており、各役者が観客の笑いを誘っていました!

 

 

おわりに

 

16)カーテンコール

 舞台一般に言えるかは分かりませんが(劇団や千穐楽か否かで違いがあるかもしれませんが)、カーテンコールの作法に驚きました。

 もちろん、終幕後に拍手をしてキャスト陣が登場し挨拶するのは想定済みだったのですが、拍手をし続けると4、5回もキャスト陣が登場して何度も挨拶してくれるのです!! また、記憶のある限りでは人生初のスタンディングオベーションをした気がします!

 

17)人生初舞台を観劇し終えて

 今回、舞台に興味がなかった私が「夜は短し歩けよ乙女」舞台化の情報を手に入れたのは「奇遇」でした。

 また、そもそも、そんな私が人生初舞台を観に行く気になったのは、森見登美彦さんによる原作がお気に入りの小説だからです。さらには、脚本・演出を、アニメ版でも演出を担当した上田誠さんが手掛けるということも積極的に作用しました(加えて、同じく森見さんの原作小説『四畳半神話大系』も、上田さんの脚本によってテレビアニメ化されています)。

 上に記したように私の中の舞台に対するイメージは、もともと消極的な方へ偏っていました。しかし、原作小説の強い魅力が私の足を劇場へと向かわせたたのです。結果的に、観劇して大満足でした。舞台の内容はもちろん、舞台という芸術それ自体に心動かされるものがありました

 生来の出不精な私ですが、「何かの御縁」がありましたら、今度は足軽やかに舞台へ出かけたいと思います。

 

 

 以上が舞台「夜は短し歩けよ乙女を観劇して感激した感想です。なむなむ。

 

 

2021春アニメで購入したOP曲・ED曲

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ReoNa「ないない」(アニメ「シャドーハウス」ED)

 

この記事では、2021春アニメのOP曲・ED曲のうち、私が購入した曲を紹介したいと思います(作品名五十音順)。

 

 

「究極進化したフルダイブRPGが現実よりもクソゲーだったら」ED

曲名:キスイダ!

歌手:如月玲於奈(CV:竹達彩奈)、アリシア(CV:ファイルーズあい)、ミザリサ(CV:井澤詩織)、結城楓(CV:古賀葵

ED曲といえばバラード系・しっとり系が多いですが、この曲はかなりキャッチーです。セリフ量がかなり多いのですが、アリシア「殺したいくらいにいいいいいいい!」が印象的ですよね! 購入したらフルバージョンが聴けるのですが、1番に負けず劣らず2番も過激な歌詞ですね笑

この曲名「キスイダ!」は一見して意味不明なのですが(「既遂だ」?)、歌詞で何度も繰り返されている「大好き」のアナグラムのようです。ちなみに、CDの2番には、同じメロディで結城宏(CV:山下大輝)による「キライダ!」も収録されています。購入するか歌詞検索してほしのですが、「キライダ!」の方ではゲームや女性陣に対するヒロの悲壮な愚痴が歌われています笑(試聴:如月玲於奈(CV:竹達彩奈)、アリシア(CV:ファイルーズあい)、ミザリサ(CV:井澤詩織)、結城楓(CV:古賀葵)の「TVアニメ「究極進化したフルダイブRPGが現実よりもクソゲーだったら」エンディングテーマ「キスイダ!」 - EP」をApple Musicで

ED映像↓

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ゴジラS. P.(シンギュラポイント)」ED

曲名:青い

歌手:ポルカドットスティングレイ

アラレちゃんにしか見えないEDです。歌手はロックバンドの方のようです。

ED映像↓

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フルバージョン↓

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「シャドーハウス」ED

曲名:ないない

歌手:ReoNa

ED映像はセンスがあって非常に好みです。螺旋階段の場面と、スノードームならぬ煤ドームの場面が特に好きです。相変わらずReoNaさんのややハスキーがかった歌声も好きですね! 

ED映像↓

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MV↓

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「スライム倒して300年、知らないうちにレベルMAXになってました」OP

曲名:ぐだふわエブリデー

歌手:悠木碧

主人公・アズサ役として出演する悠木さんが歌っているのですが、なぜか名義はキャラ名ではなく役者名。脇役ではなく主役が歌っているのですから、キャラ名義でもよさそうですが。

寡聞にして知らなかったのですが、溶けそうな歌声は悠木さん特有の歌声みたいですね!

OP映像↓

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MV↓

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「スライム倒して300年、知らないうちにレベルMAXになってました」ED

曲名:Viewtiful Days!

歌手:和氣あず未

フラットルテ役として出演している和氣さんが歌っています。フラットルテは第10話でも歌声を披露していましたね!

個人的にはED背景の幾何学模様が好きです!(「戦×恋(ヴァルラヴ)」EDを思い出しました)

ED映像↓

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MV↓

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「戦闘員、派遣します!」OP

曲名:No. 6

歌手:伊藤美来

魔王軍四天王のラッセル役(オッドアイの少年)として出演している伊藤さんが歌っています。

イントロの曲調からしてもっとキャッチーでアップテンポなメロディになるかと思いきや、Aメロ以降は予想外にゆったりめでEDっぽいです。歌詞検索して初めて気付いたのですが、「Operation No. 6」と歌っているんですね! ずっと「Operation No. 3」に聞こえていて「なぜ6ではなく3なのだろう?」と悩んでいました。

MV↓

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「戦闘員、派遣します!」ED

曲名:Home Sweet Home

歌手:キサラギ=アリス(CV:富田美憂)、スノウ(CV:菊池紗矢香)、ロゼ(CV:村上奈津実)、グリム(CV:髙橋ミナミ)

4人バージョンも良いですが、それぞれのキャラの歌声を楽しめる個別バージョンもあるので、ぜひ試聴してみてください!(試聴:キサラギ=アリス (CV: 富田美憂), スノウ (CV: 菊池紗矢香), ロゼ (CV: 村上奈津実) & グリム (CV: 髙橋ミナミ)の「Home Sweet Home (TVアニメ「戦闘員、派遣します!」エンディング・テーマ) - EP」をApple Musicで

ED映像↓

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おまけ①「劇場版 名探偵コナン 緋色の弾丸」ED主題歌

曲名:永遠の不在証明

歌手:東京事変

先日、この映画を劇場で観て後日購入したので、ここで紹介します。

普段、テレビや配信で映画を観ても、エンドロールはスキップするか気もそぞろになって、ED主題歌を購入する気は起きないのですが、劇場にてスクリーンに集中するしかない状況では、大音量の迫力や映画本編の余韻も相まって、曲の魅力が染み入ってきて、やはり購入してしまいましたね!

MV↓

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おまけ②「ケロロ軍曹」OP

曲名:ケロッ!とマーチ

歌手:角田信朗いはたじゅり

先日、「水曜日のダウンタウン」を観ていたら、これとは別バージョンの「ケロッ!とマーチ」が登場しており、強烈に懐かしさが込み上げてきたので、ここで紹介します。

今さら気が付いたのですが、1分30秒という短いOP尺の中で1番も2番も収められているのですね! 縦横比が3:2とアナログ放送時代のものですが(2004年放送開始)、キャッチーな曲もアニメーションも、今見てもよくできているなあと感心してしまいます!

OP映像↓

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ちなみに、YouTubeで何話か公開されていますので、是非ご覧になってみてください!

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以上、7曲(+おまけ2曲)が私の購入した曲です!

 

 

アニメ「スーパーカブ」原付2人乗り騒動についての覚書――議論の整理と表現の自由の確保のための試論

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テレビアニメ「スーパーカブ」第6話

 

 テレビアニメ「スーパーカブ」第6話において、主人公が免許取得から1年未満にもかかわらず原付2人乗り運転という違法行為(罰則は10万円以下の罰金)を行ったシーンが描かれたことが、ネット上でプチ騒動となりました。

 公式の見解は、ネットニュースに譲るとして、ここでは(第6話放送から数週経過してしまいましたが)、議論を整理した上で、表現の自由の確保のための試論についてコメントを述べたいと思います。

 

 

議論の整理

 

 そもそも、実際にアニメを視聴した上で、怒りや憤りを感じて批判的コメントを表明した人はかなり少ないと思われます。法律違反であることを指摘した人であっても、それは単なる事実の指摘や知識の披露にとどまる程度の意図しかない場合が多数かと思われます。

 とまあ、以上は話の枕に過ぎないのですが、いずれにせよ、批判は以下の3つの懸念に大別されそうです(参照1 )。

批判① 誤解懸念

違法行為があたかも合法であるかのように描写されることによって、それを視聴した者が合法であると誤解することへの懸念。

批判② 反遵法懸念

違法行為の肯定的・推奨的な描写が、それを視聴した者の遵法精神や規範意識に対して否定的・消極的に作用することへの懸念。

批判③ 模倣懸念

誤解懸念や反遵法懸念からさらに進んで、現実世界で違法行為を模倣する人が現われることへの懸念。

 

 上記三種の懸念に対しては、たびたび他の事案において議論になるのと同様に「スーパーカブ」についても、以下のような反論が出されています。

 

反論①「フィクションだから問題ない」「フィクション上の描写を真に受ける人はいない」

 この見解は、上記三懸念に対して真っ向から反論します。しかし、フィクション上の描写を見て、実際に誤解し、実際に反遵法精神を抱き、実際に模倣する原付ライダーが存在するのか否かは、実証研究が(おそらく)ないため、そしてネット上での散発的な匿名の論争に終始しているため、議論は平行線のままです。

 そこで、「上記三懸念が妥当なものか否かの証明責任はどちらに配分されるべきか」と問題設定する方法が浮上します。これに答えを出してくれるのが、次の②です。

 

反論②「フィクション上の表現は(可能な限り)自由であるべきだ」

 この見解は、実在する特定人の人格や名誉を侵害するような表現やヘイトスピーチヘイトクライム的な描写、あるいは現実の具体的害悪を扇動するような表現に至らない限り、フィクション上の表現の自由を最大限に尊重するものです。この見解は、憲法で保障された表現の自由に基づいている点において説得的です。また、この見解は「表現の自由:原則―その制約:例外」という図式を前提としますので、①で問題になった証明責任は、上記三懸念を表明する批判者側に配分されることになります。

 しかし、この見解は、テレビの公共性を無視・軽視しています。選択肢が限られ、誰でも比較的簡易にアクセスでき、それゆえに影響力の大きいメディアとして、(新聞・雑誌・書籍などとは異なり)テレビ放送は法律(放送法)による規制を受けています。放送法の規制が今回の「スーパーカブ」の事案で直接問題になるとは考えにくいですが、やはりテレビの公共性を無視した議論はできません。上記三懸念の背後には、テレビの公共性が存在するのです。

 

反論③「批判の背後には、『少女は違法行為をしない/してはならない』という偏見がある」

 このような見解は私にとっては新鮮であり、非常に興味深く読みました(参照2参照1)。

 一定の説得力を感じるとともに、上記三懸念の背後にある批判者の心理に着目しているので、表明された懸念それ自体とは直接に議論が嚙み合っていません。それ以上の議論があまり期待できないのが残念です。

 

反論④「実際のところ、このような軽微な法律違反は日常茶飯事であり、取り締まられることも稀である」「軽微な違法行為は寛容すべきだ」

 この見解は、違法行為の実質――つまり、取り締まりの実態や当罰性の程度――に着目して、実質論・実際論として問題ないと結論付けます(参照3参照4)。

 しかし、私たちの代表者たる国会が禁止すべきものとして公式に定めた違法行為を、個人的な経験談(の集合)によって、違法行為ではないかのように扱うことに問題なしとはできません。経験談ベースで議論するとすれば、実際にこれを軽微な法律違反と捉えていない人もいますし(参照5)、反遵法懸念はまさにこの点を問題としているのです。

 そもそも、個人的な経験談(の集合)にとどまらない実態論・実質論、言い換えれば、国が正式に定めた法律をオーバーライドできるほどに――つまりは将来的な法律の改正や執行停止、あるいは違憲訴訟に繋げられるほどに――実証的・学術的・権威的な実態論・実質論が提示されているのでしょうか。

 

反論⑤「殺人などのフィクションで頻繁に描写される他の重大な法令違反に対して批判を行っていないため、批判者には一貫性がない」

 この見解は、批判の内容それ自体ではなく、批判者の議論に対する誠実性を問題としています。この見解は、一定の説得力はありますが、上記三懸念に対する直接の反論になっていません。

 もっとも、模倣懸念が誤解懸念や反遵法懸念を不可欠の前提としている場合には、違法行為であっても誤解的・推奨的に描かれていない限りは、言い換えれば、違法行為が違法行為として否定的に――つまり視聴者が模倣しないように――描写される限りでは、批判者はこれを批判する必要はありません。よって、⑤の反論はその点において成立しません。

 ただし、批判者が模倣懸念と誤解懸念・反遵法懸念とを厳密に区別しているのかは怪しいところですし、そのように厳密に区別している批判者はごく少数にとどまるものと思われます。

 

 以上、議論の状況を概覧しましたが、やはり上記三懸念に対しては①②の反論が説得的だと思われます。しかし、①②で十分という訳ではありません。上述の通り、テレビの公共性は無視・軽視されてはならないからです。

 そこで、続いては、表現の自由の尊重とテレビの公共性に基づく懸念の調和可能性を探りたいと思います。

 

 

表現の自由とテレビの公共性の調和可能性

 

 ここでは、批判者が批判できない最低限のラインを探ることによって、表現の自由の尊重とテレビの公共性に基づく懸念の調和可能性を見出したいと思います。

 誤解懸念・反遵法懸念・模倣懸念に基づいて批判者は主張を行いますが、逆に言えば、これらの懸念が存在しないような描写については批判が成立しません。具体的には、下記の場合には、懸念が存在しないと言えるでしょう。

 

1)周知されている違法行為の場合

 殺人・傷害・暴行・窃盗・強盗・強制性交・放火など、多くの人々にとって違法行為(犯罪)であると認識されている行為、言い換えれば、一見して多くの人々にとって反道徳的・反社会的でありそれ故に違法化されていることが明白な行為については、基本的に、上記三懸念は存在しないでしょう。フィクション以前の常識として、人々が問題の描写について誤解したり反遵法精神を抱いたり模倣したりする懸念は存在しないと考えてよいと思われます。実際に、警察や探偵の登場するドラマやアニメなどで頻繁にこの手の違法行為は描写されますが、批判する者は見かけません。

 しかし、違法行為の描写の存在それ自体と、違法行為の描写方法とは分離して考えるべきでしょう。前段落の議論が前提としているドラマやアニメは、警察・検察・裁判官、あるいは探偵といった典型的には遵法側に配置される者を中心に据えたり、一般市民は遵法精神をもって社会生活しているという純朴な想定に基づいているからです。多数派のドラマやアニメは、やはり人々の正義や遵法精神に適合するものでしょう。

 そのため、少数派かもしれませんが、違法行為を一定の方法で描写する表現をテレビで放送することには慎重になる必要があると思われます。具体的には、違法行為を過度に肯定的・積極的に描写したり、直接に推奨したり、洗脳したりするような表現です。

 この点、「スーパーカブ」において、(私は原作を読んでいないのですが)原作読者によれば(参照5)、主人公がネズミ捕りをする警察を目の敵にしたり、原付2人乗りを重要なことと捉えていない、といった主人公の独白が原作ではあったらしいのに対して、アニメではそれを直接表現する描写はありませんでした。おそらく、製作者側は(本田技研側の影響もあるかともいますが)、違法行為を肯定的・積極的に描写するべきではないと判断し、アニメ化に際して原作ではあった独白を削り、その肯定的・積極的な作用を最低限に抑えようとしたのだと思います。

 

2)現実の当事者が違法行為であると認識している蓋然性ある場合

 1)での議論は、それほど珍しくないと思います。しかし、「スーパーカブ」騒動の場合は、こちらの2)の方が重要になると思います。

 すなわち、世間一般に周知されていなくとも、現実の当事者が違法行為であると認識している蓋然性がある場合には、上記三懸念は存在しないと言えるのではないでしょうか。

 「スーパーカブ」に照らして具体的に言えば、原付バイクを運転するためには免許が必須ですが、その取得のためには関連する交通法規について知っておく必要があります。つまり、現実世界で実際に原付バイクを運転する当事者は、免許制度を通じて、「スーパーカブ」で描写された2人乗りが違法行為であることを認識しているのです。

 したがって、現実の当事者にはフィクション以前の常識があることの証明としての免許制度が存在している以上は、批判者の懸念対象(アニメを視聴したことにより、合法だと誤解する人、反遵法精神を抱く人、模倣する人)は、実際には(懸念するほどには)存在しないと言ってもよいのではないでしょうか。少なくとも、批判者は、自身の懸念の対象となる人々が免許を取得した者であることはきちんと考慮すべきでしょう。

 

 以上を踏まえると、少なくともこれら2つの場合については、批判者のいう懸念は存在しないと思われます。これらの場合については、批判者の懸念は的外れか検討不十分であり、製作者側が過度に萎縮して自主規制する必要はないと思います。

 実際の個別具体的な事例において、表現の自由とテレビの公共性を調整することは難しいかもしれませんが、製作者側には表現の自由を自らの手で縮減してしまわない責任と気概を持っていて欲しいものです。

 

 全体としてやや一般論に傾きましたが、私の結論としては、アニメ「スーパーカブ」の原付2人乗り描写は問題ないと考えています。今後の放送話も楽しみです。

 

 

アニメはめふら第2期は7月2日放送開始&第2弾PVが公開中!【乙女ゲームの破滅フラグしかない悪役令嬢に転生してしまった…X】

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乙女ゲームの破滅フラグしかない悪役令嬢に転生してしまった…X」第2弾キービジュアル

 

アニメ乙女ゲームの破滅フラグしかない悪役令嬢に転生してしまった…X」(第2期)ですが、2021年7月2日(金)深夜25時25分(MBS/TBS系列)から放送開始だそうです!

 

 

あわせて、なぜか最後の晩餐っぽい第2弾キービジュアルも公開されましたね!

第1期からのメンバーのほかに新規キャラクターは、右から順に、

・第一王子のジェフリー・スティアート(銀髪)CV:子安武人

・その婚約者のスザンナ・ランドール(黒髪)CV:上坂すみれ

・バーグ家執事のルーファス・ブロード(青髪)CV:鳥海浩輔

・第二王子のイアン・スティアート(金髪)CV:白井悠介

・その婚約者のセリーナ・バーグ(薄茶髪)CV:小倉唯

となっています! 第1期に引き続き声優陣が豪華ですね!

 

そして、キービジュアル左上の子犬と右上のクマのぬいぐるみは、それぞれ原作4巻のキーアニマル&キーアイテムです! 原作4巻がアニメ化されることは間違いないですね!

 

 

また、ティザーPVと第1弾PVに引き続き、第2弾PVも公開されました!

ティザーPV↓

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第1弾PV↓

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第2弾PV↓

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ここで、第2弾PVを見たコメントを少しだけ記していきたいと思います(ほんのりネタバレ注意!)

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もはや恒例となったキースによるジオルドの阻止!

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同級生たちと学園祭を楽しむカタリナ!

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第一王子&第二王子&婚約者たちが登場!

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ジオルドとマリアの親密な様子にカタリナ嫉妬!?

 

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「魔法省に入ったら結婚しなくていいの!?」

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意外とキーアイテム……

 

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キーパーソンのルーファス

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弟が大好きなジェフリー!

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まさかキースとマリアが……!?

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ルーファスに組み敷かれるカタリナ! カタリナの運命は?

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原作にはない花火のシーン。五つの輪は放送時期的に……?

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ドラゴンと戦うカタリナ

解釈に困ったのは、このドラゴンの場面です。一見すると、原作6巻の場面のように思えます。たしかに、そこでも黒いドラゴンが登場するのです。

しかし、背景は、原作では洞窟内なのに対してPVでは屋外っぽく、ドラゴンは、原作では火を噴かないのに対してPVでは火を噴き、カタリナは、原作では剣を使わず攻撃するのに対してPVでは剣を使用しています(そもそもカタリナは、剣は不得手です)。

そうすると、アニメ的に改変された原作6巻のシーンの可能性も捨てきれませんが、PVのドラゴンの場面は、おそらくアニメオリジナルのエピソードのシーンだと思われます……たぶん。

いずれにせよ、アニメの放送を待ちましょう!!

 

 

さらに、主題歌については、第1期と同じ歌手が担当されます!

OPは、angelaによる「アンダンテに恋をして!」で、第2弾PVにて既に公開されています! アンダンテは、速度記号を表す音楽用語で、イタリア語で「歩くような速さで」という意味らしいですね。

EDは、ジオルド役の蒼井翔太さんによる「give me ♡ me」で、まだ公開されていません。

 

 

7月2日の放送開始が楽しみです!!