小説・ラノベ・アニメ・漫画の感想・おすすめブログ

小説・ラノベ・アニメ・漫画について感想を語り、おすすめを紹介するブログです。

アニメ「女子高生の無駄づかい」の各話予告動画は見ましたか?

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女子高生の無駄づかい

個人的には2019夏アニメで一番心を掴まれた「女子高生の無駄づかい」ですが、インターネット上で公開されている次回予告動画に力が入れられているのはご存知ですか?

予告動画なだけあって映像はもちろん次回本編のものが使われているのですが、音声は本編にはないオリジナルなのです! しかも、2分超えもあるなど、次回予告動画としては長めです!

以下にまとめているので、まだ見ていない方はぜひご覧ください!

 

 

第1話「すごい」予告動画【ハッピーバースデー】(バカ×ヲタ×ロボ)

www.youtube.com

 

第2話「まんが」予告動画【正統派少女漫画の可憐なヒロイン】(バカ×ヲタ×ロボ)

www.youtube.com

 

第3話「わすれもの」予告動画【ドラゴン】(ヤマイ×ワセダ)

www.youtube.com

 

第4話「まじめ」予告動画【まじめ】(バカ×ヲタ×ロボ)

www.youtube.com

 

第5話「りりぃ」予告動画【転校生のあだ名】(バカ×ヲタ×ロボ)

www.youtube.com

 

第6話「まじょ」予告動画【まじょのバカ】(バカ×ヲタ×ロボ)

www.youtube.com

 

第7話「やまい」予告動画【納豆】(バカ×ヲタ×ロボ)

www.youtube.com

 

第8話「みずぎかい」予告動画【ウチのすごい水着】(バカ×ヲタ×ロボ)

www.youtube.com

 

第9話「おしゃれ」予告動画【ファッションリーダー】(バカ×ヲタ×ロボ)

www.youtube.com

 

第10話「ろぼ」予告動画【勝負下着】(リリィ×マジメ)

www.youtube.com

 

第11話「ゆめ」予告動画【クリスマス】(マジョ×ロリ×九条琥珀

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第12話「なかま」予告動画【いよいよ】(バカ×ヲタ×ロボ)

www.youtube.com

 

 

そういえば、予告動画で使われているBGM良くないですか?(アニメ「氷菓」のBGMを思い出しました)

 

アニメ「荒ぶる季節の乙女どもよ。」11話の感想・考察

普段はアニメの感想・考察記事は書かないのですが、このエピソードについては視聴後に抱いた気持ちを書き連ねたいという衝動に駆られ、「荒ぶる季節の乙女どもよ。」第11話の感想・考察記事を書くことにしました。

第11話では様々な場面がありましたが、この記事では、「新菜の気持ちを受け入れた和紗の心情」「パンツを切り刻んだ和紗の心情」に限って感想と考察を記したいと思います。

 

自分なりの人間観が多々入り込んでおり、トンチンカンなことを言っているかもしれないので悪しからず。

※筆者(管理人)は原作未読です。

 

 

(1)新菜の気持ちを受け入れた和紗の心情について

 

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新菜から気持ちを明かされる和紗

部員が集まらず二人きりになった放課後の部室で、和紗は新菜から「私、泉君が好き」「一度はちゃんとこの気持ちを〔泉に〕ぶつけておきたい」「ごめんなさい」と明かされます。

それを受けて和紗は、「謝らなきゃいけないのは私の方」「菅原氏がいなかったら泉に告白しようって思えなかった。応援してくれて、励ましてくれて、だから勇気を出せた」「泉が私を好いてくれてるって今は自信が持てるようになった。菅原氏のお陰なんだ。それなのに菅原氏の想いをこれ以上、見てみぬふりをするなんて絶対に嫌」「ごめんね。告白すること、教えてくれて」「ありがとう」と、新菜に対して謝罪と感謝の言葉を送り、新菜が泉に告白することを受け入れます。そして二人は、「友よ!」と抱擁します。

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抱擁する和紗と新菜

(実際は「略奪愛宣言とその受容」という現実にはなかなか起き得ない状況なのですが)このような正々堂々とした両者の態度は、実に少年漫画らしいフェアネス精神にあふれています。

ここでの和紗や新菜は、「正々堂々」「フェアネス精神」を大切にしており、(たとえ非現実的であっても)我々視聴者はこのような登場人物たちにむしろ好感を抱いてしまいます(私達普通の人間は通常、利敵行為をできない「弱い人間」だからこそ、理想像である「強い人間」に憧れを抱いてしまうんでしょうね)。

 

きっと多くの少年誌のラブコメ漫画であれば、ここで「良い話」となって、後は新菜が告白して泉がどちらかを選ぶだけ、という展開になるでしょう。

しかし、原作・脚本を岡田磨里氏が務めるこのアニメは一筋縄ではいきません

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商店街を疾走する和紗

その直後の場面で、和紗は商店街を疾走します。「なんで!受け入れたくなんてなかったよ。でもああ言うしかないじゃん!受け入れなくたって告白しちゃうんなら、どっちみちなら〔受け入れるしかない〕!なんで!したくないよ、こんなときに『友よ!』なんて!」「だってあんなデレた菅原氏、可愛すぎるよ~~!」と、実は半ば嫌々ながら新菜の気持ちを受け入れていたことが明らかになります。

せっかく少年漫画的な「良い話」風になっていたのに、これでは台無しです! 

 

しかし、親友との関係を壊したくない気持ち、可愛い子には優しくしてしまう気持ちは、大変理解できるものであり、泉を奪われたくないながらも、新菜の正々堂々とした態度に流されてしまう和紗にはすごくリアリティがあります

商店街の疾走のシーンで明らかになったように、和紗は、新菜の正々堂々とした態度には正々堂々と応えるというような「強い人間」ではありません。むしろ、新菜の正々堂々とした態度に押し流され正々堂々っぽく応えてしまったというような「弱い人間」そのものです(また、そこで新菜の気持ちを拒否するほど卑屈になれないところも実に「弱い人間」らしいです)。「強い人間」なんて現実にはほとんど存在しないはずですから、視聴者側としては和紗の見せたリアルな「弱い人間像」に思わず共感してしまいます

新菜の示した「強い人間像」に押し流され、それに応えるように自身も「強い人間」を演じるも、それでも割り切れない気持ちを抱え続ける和紗「弱い人間像」を生々しく描写する様は見事としか言いようがありません。

 

ところで、和紗が商店街を疾走するシーンは、ギャグテイストに描かれていました。シリアステイストであれば、今後のエピソードで和紗と新菜の衝突を描かなければなりませんが、ギャグテイストだったので、後は和紗が恋愛と友情の間を揺れ動く相矛盾する気持ちを自分自身でいかに消化するのかにかかっている、ということなのでしょう。

これもまたリアリティのある描写です。「相手と表面上は和解しながらも、内心においては完全に納得できていない」なんてことは現実に多々あります。しかし、このような葛藤が、時間の経過や自身の人間的成長により、いつかは過去の出来事になってゆくこともまた現実に多々あります(反対に、握手して和解したら内心の葛藤は綺麗さっぱり清算されました、なんて爽やかな事態は現実ではそうそうありません)。

きっと和紗は、私達の多くが現実において経験しているように、時間をかけて今回の出来事と折り合いをつけてゆくのではないでしょうか。

 

 

(2)パンツを切り刻んだ和紗の心情について

 

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泉にキスを迫る和紗

泉をめぐって新菜から正式に宣戦布告された後、和紗泉の気持ちが自身から離れてしまわないか気が気でないです。そのため和紗は泉に対してキスを求めたり、「泉としたい」と発言したりします。

しかし、和紗の必死さの裏側の事情を知らない泉は、不用意に新菜の名前を出したり、「大切にしたい」「落ち着いていこう」と諭したりするのですが、和紗にとってこれは逆効果でした。

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泉に諭された和紗

なぜなら和紗は泉をめぐって新菜と競争状態にあり、キスも「えすいばつ」もしていない状態では新菜に対して何らのリードもできていないからです。加えて新菜は魅力的な容姿を持っているだけに、和紗の危機感は募るばかりです。

要するに、和紗としては泉の気持ちが自身に向いていることを確かめたかったのですが、その確認手段としてキスや「えすいばつ」を泉に求めたのです。

しかし、これを泉にやんわりと断られた形になってしまったため、和紗は失望したような様子を見せて帰宅したのです。

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失望したような様子で帰宅する和紗

(加えて言えば、状況は異なるのですが、10話においてラブホ街で駿が「曾根崎さんを大切にしたい」と言ったとき、曾根崎先輩はこの言葉に感銘を受けていました「大切にしたい」という彼氏彼女間の同じセリフでも、曾根崎先輩・駿の間にある信頼関係と、和紗・泉の間にある信頼関係とがうまく対比されています

 

そんな失意を抱えた状態で和紗が帰宅すると、家には大事なところに穴の開いたパンツが届いていました。

もともと買った直後から後悔していたということもあり、「ちっちゃくちっちゃくちっちゃく……」和紗パンツを一心不乱に切り刻みます

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パンツを切り刻む和紗

ところかわって直後の場面は、「大きくなっていくわ。私の中で、私への違和感が」という曾根崎先輩のセリフから始まります。連続する場面で大小が対比されていることから推察すれば、和紗がパンツを切り刻んでいた行為は、自身の中で抱える何かしらの違和感を小さく抑え込もうとすることのメタファーだと思われます。

 

それでは、この「違和感」とは何でしょうか?

和紗が切り刻んだパンツには大事なところに「穴」が開いていますが、「穴」は10話で「性に関する諸々の問題」の象徴のような扱われ方をしています。つまり、和紗「性」=「男女関係」=「和紗と泉の関係」についての違和感を小さくして抑え込もうとしているのです。

より具体的に言えば、その直前において泉と会話したときに抱いた違和感のことでしょう。すなわち、泉の気持ちは新菜に傾いているのではないかという疑惑(泉に対する違和感)、さらには、恋人にもかかわらず泉のことを信頼しきれていない後ろめたさ(和紗自信に対する違和感)ということになるのではないでしょうか。

 

このような違和感を消化しきれないまま、物語はとんでもない方向に転がって行きます。なんと、和紗たちは、曾根崎先輩に対する処分の撤回等を求めて学校に立て籠もったのです! 残り一話で和紗・泉・新菜の三角関係はどうなるのでしょうか? 楽しみですね!!

 

『かげきしょうじょ!!』第2巻の登場人物の整理

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かげきしょうじょ!!

 

irohat.hatenablog.com

先日紹介した『かげきしょうじょ!!』ですが、第2巻ではさらさの地元の人物がたくさん登場し、また同一人物でも複数の呼び名があるので、整理をしておきます。第2巻を読む途中はもちろん、『エピソードゼロ』第1巻の時点でも役に立つと思います。

 

渡辺家の人々

渡辺さらさ(16)

紅華歌劇団音楽学予科生(1年生)。

さらさの祖父

畳屋。「健じいちゃん」。元々は歌舞伎のファンだったが今は大嫌いに。さらさが紅華に入学した現在、一人暮らし。

さらさの祖母(故人)

歌舞伎と紅華歌劇団のファン。

2巻5幕20-21頁、35頁、7幕101頁に登場する人物たち

渡辺家の関係者のよう。畳屋で働く人っぽい。作中にしっかりとした言及なし。

 

歌舞伎界の言葉

梨園歌舞伎俳優の社会を指す言葉。

白川家:歌舞伎の名門一門。白川歌鷗が宗家。

美里屋:白川歌鷗、白川煌三郎の屋号(同じ名字でも異なる屋号の場合がある)。

 

白川家の関係者

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白川家の人々

白川歌鷗

歌舞伎役者。15代目白川歌鷗。「大大先生」。

白川煌三郎

歌舞伎役者。歌鷗の娘婿。暁也の兄弟子。「赤いバラの人」。「大先生」。

白川暁也

歌舞伎役者。さらさの幼馴染で恋人(?)。さらさより2歳年上。本名は「宏」。15代目白川歌鷗の部屋子。16代目白川歌鷗の筆頭後継候補者。「自来也bot」の中の人。15代目白川歌鷗のいとこの息子で歌舞伎一家出身。

白川巴

「巴先生」。さらさと暁也の幼少期における日本舞踊の先生。15代目白川歌鷗の妹。

白川歌鷗の妻

「女将さん」。「お前は助六にはなれません!!」と言い放って、さらさに歌舞伎役者の道を諦めさせるきっかけを与えた人物。

暁也の実父

辰彦。元歌舞伎役者。15代目白川歌鷗のいとこ。

暁也の実母

若くして辰彦と結婚。梨園の妻を経験する。暁也の歌舞伎修行に熱心。

 

 

 

 

【注意】以下では第2巻の終盤で明かされる重大な事実に触れていますので、第2巻を読了していない方は読むことをお勧めしません

 

 

 

 

 

 

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渡辺さらさの親について

「さらさは煌三郎の婚外子と噂されているが(2巻6幕69頁)、さらさは実は15代目白川歌鷗の実娘のよう(2巻8幕150-152頁)。

白川歌鷗の妻(女将さん)がさらさに対して「お前は助六にはなれません!!」ときつく言ったのも、さらさが15代目白川歌鷗の婚外子(隠し子)のためか(つまり、白川歌鷗の妻はさらさの母親ではない)。

さらさの母親については作中で何も触れられていないが、さらさが渡辺家にいることからすれば、さらさの祖父母(渡辺家)の娘がさらさの母親のはず。さらさの祖父(健じいちゃん)が歌舞伎を嫌いになったのは、既婚者の15代目白川歌鷗が娘に手を出したことが原因か。

気になるのは、白川煌三郎。父親でも恋人でもないのに、必要以上にさらさのことを気にかけ過ぎでは……?

 

 

斉木久美子『かげきしょうじょ!!』――歌劇に夢見る少女たちの青春を目撃せよ!

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かげきしょうじょ!!

 

(1)基本情報

 

『かげきしょうじょ!!』

著者:斉木久美子

掲載誌:Melody

レーベル:花とゆめCOMICSスペシャル(2019年10月4日第8巻発売予定+前日譚1冊)

ジャンル:「歌劇」「青春」「学園」

紅華歌劇団――

大正時代に創設され、未婚の女性だけで構成された歌劇団

このお話は、そこに入団する人材を育成する音楽学校の創立100年目に入学した、二人の奇才とその仲間たちの青春を描く物語です。

〔第1巻4頁より〕

 

この時点で気になった方は下記サイトより試し読みしてみてください!

www.hakusensha.co.jp

 

 

(2)あらすじ

 

あらすじ紹介の前に、まずは読む順番についてアドバイスを。

『かげきしょうじょ!!』は、2019年9月現在、白泉社花とゆめCOMICSスペシャル」より1~7巻が刊行されていますが、これとは別に、同レーベルから前日譚として『かげきしょうじょ!! シーズンゼロ』も発売されています。

この『シーズンゼロ』は元々ジャンプ改」(集英社に掲載されていたエピソードなのですが、同誌の休刊に伴い、『かげきしょうじょ!!』「Melody」(白泉社移籍連載することになったのです。

ですので、『シーズンゼロ』白泉社からすれば「前日譚」なのですが、実質においては第1巻と連続した内容となっています(『シーズンゼロ』の内容は入試~7月、第1巻は7月~です)。

したがって、「第1巻より先に『シーズンゼロ』を読むべし」と言い切りたいところですが、『シーズンゼロ』通常の2倍の厚さ(価格は1.5倍くらい)はあるので、もしかしたら最初に手に取る巻としては手を出しにくいかもしれません。

そこで、「第1巻から読む」という手もアリだと思います。『シーズンゼロ』ではまだまだ助走といった感じなのですが、第1巻では、歌劇や主人公の魅力がビシビシ伝わってくるので、最初に読む方としてはより適しているのかもしれません。また、『シーズンゼロ』を読まなくても、第1巻の内容はおおよそ把握できます。第1巻から読み始める場合は、第1巻→『シーズンゼロ』→第2巻~と読み進めてはいかがでしょうか?

 

さて、いよいよあらすじ紹介です(ここでは第1巻の内容を紹介します)。

 

この物語の舞台は、紅華歌劇団という未婚の女性だけで構成された歌劇団に入団する人材を育成する音楽学です(分かりやすく言えば、宝塚音楽学校のようなものなのです)。

この物語の主人公は、この音楽学校に100期生として入学した渡辺さらさ奈良田愛の二人。

 

この2年制の音楽学校における演技の授業は、1年生(予科生)は座学のみで、実技を行うのは2年生(本科生)になってからとなっています。

それに対して異を唱えたさらさ達予科生の働きかけにより、実技の授業が実施されることになるのですが、そこでのお題は「4人組になって『ロミオとジュリエット』の一場面を演じる」というものでした。

 

紅華歌劇団に4つある組の頂点にそれぞれ君臨する「トップスター」(男役のトップ)になると常日頃から豪語するさらさですが、初回練習時に見せたその演技は下手くそそのものでした。

しかし、発表時になると、さらさは奇才とでも言うべきある種の才能を存分に見せつけることになり、生徒たちの度肝を抜きます。

本文の言葉を借りるならば、「渡辺さらさは一夜にして生まれ変わった。それは蛹(さなぎ)から蝶などというものではなく、例えるならば一晩で幼虫から蝶への変化に等しく」、なのです(第1巻141-143頁)。

 

が、その演技を講評する教師はさらさの才能を認めるものの、「お前、トップにはなれないよ」とさらさに言い放ちます。いったいなぜ――? そしてさらさはこの壁をどう乗り越えるのか――?

 

 

(3)おすすめポイント――誰もが楽しめる少女たちの青春歌劇物語!

 

1.宝塚ファンでもなくても楽しめる!

この作品は明らかに宝塚歌劇団を題材にしていますが、宝塚に詳しくない人でも楽しめます!(私がそうでした!)

とはいえ、宝塚ファンであったり、作中で何度も言及されるベルサイユのばらロミオとジュリエット読んだ(観た)ことがある人の方がより楽しめるというのも間違いないと思います!

いずれにせよ、この作品の面白さはどのような読者に対してであれ伝わってきます!!

 

2.男女問わず楽しめる!

『かげきしょうじょ!!』は、女性漫画誌で連載されている作品ではありますが、多くの女性向け漫画とは異なり恋愛要素もあまりなく、夢に向かって努力する少女たちを描いた青春物語なので、男性でも親しみやすい内容となっているかと思います。

少年誌の定番であるスポーツ漫画の一種と言えば、分かりやすいでしょうか? (あるいは、とても荒い言い方をすれば「ラブライブの歌劇版」でしょうか?)

 

3.登場人物が魅力的!

一般的に、フィクションにおける才能ある主人公は、「努力型」と「天才型」に大別できると思いますが、渡辺さらさ「天才型」の人間です。

さらさは入試を最下位合格した天然娘ですが、彼女には、178cmの恵まれた身長長い手足強靭な体幹、それに奇才とでも言うべきある種の演技の才能があります。

しかし、あらすじ紹介でも触れた通り、彼女は彼女なりの壁にぶち当たりますし、同期たちも数十倍の倍率をくぐり抜けて入試を突破しただけに、さらさの周りには逸材ぞろいのライバルだらけです。天性の才能でライバルを易々と駆逐できるほど甘くはない世界でさらさは自分自身と向き合うことになるのです。

 

もう一人の主人公である奈良田愛も魅力的な才能を有しています。アイドル出身の彼女には、舞台慣れという他の生徒には得難い経験値と、人気アイドルになれるほどに整った容姿があります。しかし、彼女だって挫折なしという訳にはいきません。

特に、『シーズンゼロ』で描かれているのですが、彼女の過去と入学の経緯、それに渡辺さらさとの出会いは一癖も二癖もありました。第5巻以降で描かれるオーディションも一筋縄ではいきません。

 

また、その他の主要登場人物に対してもスポットライトがあたるのも『かげきしょうじょ!!』の魅力です。

主人公であるさらさや愛のライバルとなるべき人物の過去や心情が掘り下げられ、その覚悟や苦悩が読者にまざまざと見せつけられるだけに、読む側としてはその度に心揺さぶられます。少女たちの青春が彼女らそれぞれにとって痛みと喜びを伴う物語であることを我々読者は痛感させられるのです。

 

いかがでしょうか? ここまで読んで『かげきしょうじょ!!』は気になりましたか? 気になった方は、下記サイトから試し読みを!

www.hakusensha.co.jp

また、第2巻登場人物を整理する記事も書いております。『エピソードゼロ』第1巻第2巻を読む際はぜひご活用ください!

irohat.hatenablog.com

 

 

(4)関連おすすめ作品

 

こちらは漫画ではないのですが、アニメ少女☆歌劇 レヴュースタァライト青春歌劇物としておすすめです(逆に、こちらを観たことがある人には、『かげきしょうじょ!!』をおすすめします)。

少女☆歌劇 レヴュースタァライトにはファンタジー要素が多々あるのですが、それでも少女たちの歌劇にかける情熱を描いた王道的なストーリーとなっています。見どころはやはり、各話後半パートで繰り広げられるレヴューオーディション(歌劇バトル)でしょう。そこでは、各キャラクターが劇中歌を歌い、踊り、闘う様が描かれ、また、アニメならではの(つまり現実の舞台ではおそらく不可能な)殺陣と舞台装置がこれに花を添えています。

revuestarlight.com

 

伊藤ヒロ『異世界誕生2006』――ライトノベルの新境地を拓いた作品を読みませんか?

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異世界誕生2006

 

この作品は、発売翌日くらいにはもう読了していたのですが、今の今まで上手く記事をまとめられませんでした。「何を書いてもネタバレになる」「とにかく読むべし」「この感情をどう表したらよいのか分からない」などの抽象的な感想が散見される中、この作品をどうおすすめすればよいのか迷ったからです。

しかし、とりあえずこのライトノベルがすごい!2020」アンケート締切(9月23日)までには公開させた方が良いかと思い、ひとまず公開することにしました。

 

 

(1)基本情報

 

異世界誕生2006』

著者:伊藤ヒロ

イラスト:やすも

レーベル:講談社ラノベ文庫(2019年9月現在既刊1巻)

ジャンル:メタフィクション」「社会派」「遺族」「家族関係」「異世界転生」

kc.kodansha.co.jp

2006年、春。小学六年の嶋田チカは、前年トラックにはねられて死んだ兄・タカシの分まで夕飯を用意する母のフミエにうんざりしていた。たいていのことは我慢できたチカだが、最近始まった母の趣味には心底困っている。フミエはPCをたどたどしく操作し、タカシが遺したプロットを元に小説を書いていた。タカシが異世界に転生し、現世での知識を武器に魔王に立ち向かうファンタジー小説だ。執筆をやめさせたいチカは、兄をはねた元運転手の片山に相談する。しかし片山はフミエの小説に魅了され、チカにある提案をする――。どことなく空虚な時代、しかし、熱い時代。混沌を極めるネットの海に、愛が、罪が、想いが寄り集まって、“異世界”が産声を上げる。

〔裏表紙より〕

 

 

(2)あらすじ

 

いつもだったら詳しめのあらすじ紹介を行うのですが、この作品については、上記のあらすじだけでも十分に惹きつけられるのではないかと思い、省略します。

 

 

(3)おすすめポイント――ライトノベルの可能性を広げた作品

 

誰でも簡単に小説を書けるようになったこの時代、作家(あるいはその卵)が不運にも亡くなってしまい、遺族が遺品の中から夢の痕跡を見つけて、その行き場のない気持ちを作品に向かわせるなんてことは、もしかしたら本当にあるのかもしれません。

 

この作品は、ある人物の死に対して被害者遺族と加害者がそれぞれいかに向き合うのかについて、メタフィクションという手法で書かれています。

このように「死の清算メタフィクション見事に融合させているという点において、この作品はライトノベルの新境地を切り拓いています

 

 

1.メタフィクションという手法について

 異世界誕生2006』は、現実世界を舞台としています。そして舞台となった年は、2006年

 2010年代における現在の流行・興隆の様子を、ゼロ年代異世界ファンタジーを執筆する書き手の周辺を舞台としてフィードバックさせることによって、メタ的な視点から現在の異世界ファンタジーを――ときにスパイスを効かせつつ――描写・分析する様は見事です。

 ゼロ年代の中でも2006年が選ばれたのは、作中でも言及がある大人気ケータイ小説『恋空』が書籍化された年だからなんでしょうか。

 このように異世界ファンタジーについて描写・分析している点において、あーだこーだとこの手の議論することを好む人は、かなり楽しめる内容となっているはずです。

 

メタフィクションという手法が活きているのは、異世界ファンタジー批評の点だけではありません。

異世界誕生2006』において、死んだ息子が遺したプロットをもとに小説を書くようになった母親は、精神的不安定さから、現実と虚構が、精神世界と作品世界がないまぜになってゆきます。書き手の現実が小説に織り込まれてゆく様にはゾッとせずにはいられません。メタフィクションならではの構造です。

 

2.死の清算について

異世界誕生2006』は、ある人物の死に対して被害者遺族と加害者がそれぞれいかに向き合うのかという「死の清算」の物語の側面もあります。

この作品は、加害者が死とどう向き合うのか、遺族が死とどう向き合うのか、遺族の家族関係はいかにあるべきか、遺族と加害者の関係はいかにあるべきか、など、ライトノベルが通常は扱わない社会派なテーマを真正面から扱っています(とはいえ、やはりライトノベルらしく読みやすい筆致ですが)。

死んだ息子が遺したプロットをもとに母親は小説を書き、娘と加害者の協力を得てそれをネットで公開することになるのですが、物語の中盤で、息子の死や小説公開をめぐる数々の事実が発覚して以降、ストーリーは二転三転します。遺族・加害者がそれぞれよりどころとしてきた小説が不確かな存在となってゆくのです。果たして彼/彼女らに死の清算は訪れるのでしょうか――?

 

 

あともう一つ、おすすめポイントを挙げるとすれば、巻頭のカラーページです。なかなか忘れることができない衝撃のイラストが読者を待っています。

 

 

(4)この作品は人気が出るのか?

 

正直なところ、一般的言えば、この手のメタフィクションは人気が出るジャンルではないと思います。また、作者自身もあとがきで言及されているように、「流行りものに対するアンチテーゼ」的な要素も含まれているので、もしかしたら「流行りもの」を愛好する人は受け付けないのかもしれません(もちろん、「“ただの”アンチテーゼ」ではないのですが)。

 

しかし、異世界誕生2006』は、人気が出るかどうかはともかく、広く読んでもらいたい作品なのです。どうすればこの作品の魅力が広く伝わるのでしょうか? どうすればこの作品が評価されるのでしょうか?

 

……なんてあれこれ考えていたら、「あとがき」にこのようなことが書かれているではありませんか!

この“異世界誕生”ですが……なんと! 続編が出るのが決定しました!

もちろん、このあとがきを書いている段階では、まだ1巻は発売前です。売り上げの数字など出ていません。

つまり講談社と担当のシゲタ編集者はなんと、ただ『面白いから』というだけの理由で2巻を書くよう言ってくださったのです。作家として、これほど幸せなことはありません。

なんと、出版社側は既に発売前の時点で、「売り上げ=人気」ではなく、「面白い=優れている」という点において、この作品を正当に評価しているではありませんか!(私なんかが言うと偉そうですが!)

ライトノベルにおいてはせいぜい2ページが相場の「あとがき」には、異世界誕生2006』では4ページも費され、ここで著者が本作品について熱く語っています。著者・出版社のこの作品にかける熱意が伝わってくる箇所でもあります。

 

また、続刊については、

実は、既に原稿にとりかかっています。なかなか面白い話になりそうです。〔中略〕蛇足にならぬよう、同じ登場人物や世界観を使いながらも異なる物語を作っていく予定です。ご期待ください。

とありますが、どういうストーリーになるのか私には予想がつきません。この手の作品は続編が難しいのではと思うのですが……。とにかく期待ですね!!

 

 

(5)関連記事

 

実は、異世界誕生2006』を手に取ろうと思ったのは、以下の記事を書いて公開したとろ、伊藤ヒロみたいだ」とコメントされ気になっていたからです。異世界ファンタジーにおけるメタフィクションの可能性について色々書いていますので、気が向いたらご笑覧ください!

irohat.hatenablog.com

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ブログを始めて1か月の感想

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2019年8月9日~9月8日のアクセス数の推移グラフ


2019年8月9日にブログを始めてほぼ1か月が経ったので、その感想を時系列順に書き連ねてゆきます。なお、この間に書いた記事は26本、総アクセス数は約18000、登録読者数は96人でした。

 

 

(1)ブログを始めました!――まずはラノベの紹介から

 

まず、8月9日にブログを開設した後、その日のうちに、1本目にご挨拶の記事と、2本目にラノベの紹介の記事を書きました。同時にTwitterアカウントを作成し、少しでもこのブログの記事が読まれれば良いな~なんて思っていました。

ご挨拶とブログの運営方針について - 小説・ラノベ・アニメ・漫画の感想・おすすめブログ

宇野朴人『七つの魔剣が支配する』――すべてのハリポタ好きにおすすめする魔法学園ファンタジー - 小説・ラノベ・アニメ・漫画の感想・おすすめブログ

 

その後、1日1~2本のラノベの紹介記事・雑考記事を書きましたが、8月9日から8月12日にかけては、やはりアクセス数は1日平均10前後くらいでした。

唐澤和希『転生少女の履歴書』――女性主人公の異世界転生ファンタジーの決定版! - 小説・ラノベ・アニメ・漫画の感想・おすすめブログ

女性が主人公のライトノベルはおもしろい!――おすすめすべき理由を考察してみた - 小説・ラノベ・アニメ・漫画の感想・おすすめブログ

小山恭平『我が姫にささぐダーティープレイ』――ダメダメお嬢様×ダーティー執事! - 小説・ラノベ・アニメ・漫画の感想・おすすめブログ

松智洋『パパのいうことを聞きなさい!』――アットホームで家族愛あふれる心温まるストーリー! - 小説・ラノベ・アニメ・漫画の感想・おすすめブログ

はやみねかおる『都会のトム&ソーヤ』――現実世界の街中でサバイバル! - 小説・ラノベ・アニメ・漫画の感想・おすすめブログ

 

 

(2)雑考記事がウケてる?――アクセス数がかなり増!

 

その後、8月13日、14日は、アニメに関する記事を2本書いたのですが、あまりアクセスはありませんでした。

2019年秋に放送予定のラノベ原作アニメ一覧――女性が主人公のアニメは2本! - 小説・ラノベ・アニメ・漫画の感想・おすすめブログ

これから放送される予定の「女性が主人公」のラノベ原作アニメ一覧――秋2本、冬1本、時期未定3本 - 小説・ラノベ・アニメ・漫画の感想・おすすめブログ

 

しかし、8月15日、16日に、異世界転生系ラノベのアイデアを考えたので誰か書きませんか?」と題した記事(前後編)を書いたところ、フォロワー二千人超のとあるTwitterユーザー(たぶんラノベについて議論することが好きな人)が記事へのリンクを貼ったツイートをしてくださったおかげで(その後のジャンル論の各記事も含めて紹介ありがとうございます)、アクセス数が16日~18日の3日間で1300くらいになりました。その際、どうやら「Google Chromeで新しいタブを開いたときに表示されるおすすめ記事」で紹介されたらしく、そこからの流入が多かったようです。

異世界転生系ラノベのアイデアを考えたので誰か書きませんか?(前編)――いかにして「型」を破るのか考察してみた - 小説・ラノベ・アニメ・漫画の感想・おすすめブログ

異世界転生系ラノベのアイデアを考えたので誰か書きませんか?(後編)――「宗教」で型を破れ!! - 小説・ラノベ・アニメ・漫画の感想・おすすめブログ

 

そこから8月17日に雑考記事を1本、8月18日にアニメのおすすめ記事を1本書いたのですが、アクセス数は再び2桁台に落ち着きました

光源氏計画エンディングの倫理的許容性を考える――「養父と養娘の結婚」問題 - 小説・ラノベ・アニメ・漫画の感想・おすすめブログ

女の子が主人公のアニメおすすめ10選‼ - 小説・ラノベ・アニメ・漫画の感想・おすすめブログ

 

 

(3)再びラノベの紹介へ――公式から反応があった!

 

8月19日には再びラノベの紹介記事を書いたのですが、この投稿時にしたツイートが著者様にリツイートされました! 普通に嬉しかったですね!!

石之宮カント『始まりの魔法使い』――原始の時代で魔法の仕組みを解明しろ! - 小説・ラノベ・アニメ・漫画の感想・おすすめブログ

 

そして翌20日にもラノベの紹介記事を書きました。この時はなんと、公式・著者・イラストレーターの三者から反応がありました!!! とはいえ、アクセス数はまだまだ2桁でした。

久追遥希『ライアー・ライアー』――最新の本格的頭脳戦ラノベここにあり! - 小説・ラノベ・アニメ・漫画の感想・おすすめブログ

 

その後、8月21日に雑考記事を1本書いたのですが、この日のアクセス数は2桁でした。

「異世界ファンタジー」の下位ジャンルの必要性――ゲーム的でない異世界ファンタジーを何と呼びますか? - 小説・ラノベ・アニメ・漫画の感想・おすすめブログ

 

 

(4)今度は漫画の紹介を――なぜが読者が増えました

 

8月22日~25日にかけては、漫画の紹介記事を4本書きました。すると、それまで1桁しかいなかったブログ読者登録者が8月24日あたりから3日間くらいかけて80前後くらいにまで増えました!

このときは調べてもよく分からなかったのですが(今でもあまり分かっていないのですが)、「はてなブックマーク」で紹介されたらしいのです。この頃から、記事にスターを付けてくださる方が増えました。また、初コメントもこの時期でした!

福田晋一『その着せ替え人形は恋をする』――ギャルがコスプレする王道ラブコメ漫画! - 小説・ラノベ・アニメ・漫画の感想・おすすめブログ

うおやま『ヤンキー君と白杖ガール』――障害者のイメージを覆すラブコメここにあり! - 小説・ラノベ・アニメ・漫画の感想・おすすめブログ

茅原クレセ『ヒマチの嬢王』――「キャバクラ」×「地域振興」のお仕事マンガ! - 小説・ラノベ・アニメ・漫画の感想・おすすめブログ

今話題の漫画版『薬屋のひとりごと』――次にくるマンガ大賞1位のこの作品をおすすめする理由とは? - 小説・ラノベ・アニメ・漫画の感想・おすすめブログ

 

その後、8月26日に、調子に乗ってラノベの新刊の感想記事を書いたのですが、アクセス数は2桁。発売日の翌日に半ば狙いに行って書いただけに、拍子抜けしました(普通に考えれば、当該新刊については未読者がたくさんいるはずなので、わざわざネタバレ記事を読む人がいないのは当然です)。

久追遥希『ライアー・ライアー2』感想――考え抜かれた鮮やかな本格的頭脳戦!正ヒロインレースや如何に!? - 小説・ラノベ・アニメ・漫画の感想・おすすめブログ

 

その翌日27日に書いた漫画の紹介記事も同程度のアクセス数でした。

漫画版『乙女ゲームの破滅フラグしかない悪役令嬢に転生してしまった…』――悪役令嬢モノの一番人気ここにあり! - 小説・ラノベ・アニメ・漫画の感想・おすすめブログ

 

 

(5)ジャンル論という鬼門――なんだこれ、思ってたのと違う……

 

ブログを始めてから初めて更新しなかった日である8月28日を経て、翌29日、問題の記事を書きました。「『異世界転生しないのにゲーム的な要素が登場するファンタジー』はアリなのか?」と題した記事です。なんと29日~30日にかけて1万以上のアクセスがありました!!

「異世界転生しないのにゲーム的な要素が登場するファンタジー」はアリなのか?――この種のラノベには違和感を抱きませんか? - 小説・ラノベ・アニメ・漫画の感想・おすすめブログ

この記事に対しては、望外のレスポンスを頂きました。「B!ブックマーク」が200を超え、しかもそこでのコメントがご批判の声ばかり! もちろん、私の無理解と不見識のせいです。そこで頂いたコメントについては以下からご覧ください。

[B! 小説] 「異世界転生しないのにゲーム的な要素が登場するファンタジー」はアリなのか?――この種のラノベには違和感を抱きませんか? - 小説・ラノベ・アニメ・漫画の感想・おすすめブログ

しかも、こんな出来の悪い記事なのに、アクセスや「B!ブックマーク」数だけは増えてゆきます。どうやら「スマートニュース」でも紹介されたらしいのです。まるで炎上商法です。こんなはずじゃなかったのに…… なお、全てのはてなブログのうち、はてなブックマーク数は2019年8月第5週の16位となりました。この記事で目立ちたくはなかった……

今週のはてなブログランキング〔2019年8月第5週〕 - 週刊はてなブログ

 

しかし、ご批判の声を多く頂き、自らの不見識と無理解を反省したので、その翌日8月30日には、「ファンタジーのジャンル論・再考」と題する反省・再考記事を書きました。

ファンタジーのジャンル論・再考――「『異世界転生しないのにゲーム的な要素が登場するファンタジー』はアリなのか?」に対するご批判を受けて - 小説・ラノベ・アニメ・漫画の感想・おすすめブログ

しかし、せっかく書いた訂正記事――しかも、皆さんのご意見のおかげで内容はかなり良くなったはずです――のアクセス数は前記事の4分の1程度。上手くいかないものですね。とはいえ、40数個しかつかなかった「B!ブックマーク」上のコメントは、前記事に比べたら大変穏やかな雰囲気でした(下記リンク参照)。

[B! 定義論] ファンタジーのジャンル論・再考――「『異世界転生しないのにゲーム的な要素が登場するファンタジー』はアリなのか?」に対するご批判を受けて - 小説・ラノベ・アニメ・漫画の感想・おすすめブログ

 

そして、何も書かなかった8月31日から日付が変わる直前、とある方のブログの記事で私が以前書いた記事がリンク参照されました。意見の相違があったので居ても立っても居られなくなり、翌9月1日、急遽記事を書きました。しばらくはもうこの手の記事は書かないと決めていたのに、4本目のジャンル論の記事です。この日には2000くらいのアクセスがありました。

「異世界ファンタジー」の定義問題――転生・転移モノを異世界ファンタジーと呼ぶことは文化破壊なのか? - 小説・ラノベ・アニメ・漫画の感想・おすすめブログ

 

9月2日、3日は何の記事も書かなかったので、アクセス数は100台後半に落ち着きました。9月4日は「ファンタジーのジャンル論・再考」に対して付けられた「B!ブックマーク」上のコメントに対して記事への追記という形で返信しました。この日のアクセス数は100弱ほどでした。

ファンタジーのジャンル論・再考――「『異世界転生しないのにゲーム的な要素が登場するファンタジー』はアリなのか?」に対するご批判を受けて - 小説・ラノベ・アニメ・漫画の感想・おすすめブログ

 

9月5日は、久しぶりにアニメ記事を書きました。アクセス数は100台後半と、ブログの登録読者数と同程度ほどになりました。

2019夏アニメで購入したOP・ED曲 - 小説・ラノベ・アニメ・漫画の感想・おすすめブログ

 

9月6日、7日は何の記事も書かなかったので、各日のアクセス数は50を割りました

 

 

(6)今後の方針

 

本業との関係もあるので毎日の更新は無理ですが、最低でも週1本は更新したいと思います。

鬼門のジャンル論は、しばらくは避けたいと思います(自制できますように……)。とりあえず、おすすめ記事や感想記事を中心に書きたいと思います。

 

ところで、私は記事中の本文で強調したいところは、赤字青字太字を使っているのですが、読者にとって読みやすくなっているのか不安です。今の方法だとじっくり読む人にとってはチカチカして読みづらいかもしれないと思う反面、速読気味に読み飛ばす人にとっては強調部分だけを読めばなんとなく趣旨をつかめるようにもしたいのです(特に私の記事は長文気味なので)。

 

最後にお礼を。

登録読者の方々、SNSやウェブ検索を通じて記事を閲覧しに来てくださる方々、スターやコメントをくださる方々など、皆様からの反響があって、とりあえず1か月ブログを続けられました! この場をお借りしてお礼申し上げます。そして今後ともよろしくお願いいたします!!

 

2019夏アニメで購入したOP・ED曲

 

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女子高生の無駄づかい

この記事の公開時点ではまだ今クールの放送は終わっていないのですが、この記事では、2019年の夏(7月~9月)のアニメの主題歌(OP曲・ED曲)のうち、私が購入した曲(4曲)を紹介したいと思います(購入順)。

 

 

1.「女子高生の無駄づかい」OP曲

 

曲名:輪!Moon!dass!cry!

歌手:田中望(CV:赤﨑千夏)、菊池茜(CV:戸松遥)、鷺宮しおり(CV:豊崎愛生

 

「カレーが食べたくなるBGM!」でお馴染みの曲です。歌詞の意味はいまいち分かりませんが、歌詞・メロディーともにクセになる曲です! 発売日に購入してしまいました!

ところで、皆さんは、曲名に採用され歌詞にも頻出する「輪!Moon!dass!cry!」の意味は分かりますか? 私はこの曲を購入してフルバージョンを聴いてから分かりました。フルバージョンの最終節の箇所ではあからさまに歌われているのですが、「Moon!dass!cry!」→「ムーン・ダス・クライ」→「むーんだすくらい」→「無駄づかい」ということなのです!! だから「dass」なんてドイツ語が不自然に使われていたんですね!

 

OP映像はこちら↓

www.youtube.com

 

iTunesでの視聴・購入はこちら↓

輪!Moon!dass!cry!

輪!Moon!dass!cry!

  • 田中 望(CV:赤﨑千夏)、菊池 茜(CV:戸松 遥)、鷺宮しおり(CV:豊崎愛生)
  • アニメ
  • ¥250
  • provided courtesy of iTunes

music.apple.com

 

Google Playでの視聴・購入はこちら↓

play.google.com

 

 

2.「荒ぶる季節の乙女どもよ。」OP曲

 

曲名:乙女どもよ。

歌手:CHiCO with HoneyWorks

 

メロディーからして最高です。こちらも発売日に購入しました! OPに採用されている1番部分もですが、2番部分もこのアニメのメインキャラクター5人の心情に寄り添った歌詞となっています。文学的な比喩が入れ込まれた歌詞をアニメのストーリーと照らし合わせながら読解するのも楽しいですね!

 

OP映像はこちら↓

www.youtube.com

 

OP曲MVはこちら↓

www.youtube.com

 

iTunesでの視聴・購入はこちら↓

乙女どもよ。

乙女どもよ。

  • provided courtesy of iTunes

music.apple.com

 

Google Playでの視聴・購入はこちら↓ 

play.google.com

 

 

3.「炎炎ノ消防隊」ED曲

 

曲名:veil

歌手:須田景凪

 

メロディー・歌詞・映像のどれをとってもこのアニメのダークな世界観にピッタリです。イントロ部分(小声部分)サビ部分(裏声部分)が特に私のお気に入りです。第6話で明かされるアイリスと火華の過去がED映像となっている点も注目です。

 

ED映像はこちら↓

www.youtube.com

 

ED曲MVはこちら↓

www.youtube.com

 

iTunesでの視聴・購入はこちら↓

veil

veil

  • 須田景凪
  • J-Pop
  • ¥250
  • provided courtesy of iTunes

music.apple.com

 

Google Playでの視聴・購入はこちら↓

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4.「炎炎ノ消防隊」OP曲

 

曲名:インフェルノ

歌手:Mrs. GREEN APPLE

 

不覚にも、この曲が自分の好きな男声曲の要素をかなり備えている点に気付かず、9月になってから購入するに至りました。

まず、「照らすは闇……」と続くAメロからして、私の好きな男声のタイプです。そして、サビ前の「炎が立つ導の方へ思い出すは優しいメロディー」でやや緩やかな曲調になった後、サビの「永遠は無いんだと……」の部分で裏声になり曲調も盛り上がります。そして、サビの最後「僕らは命の火が消えるその日まで歩いてゆく」の部分は少年漫画らしいハリのあるテンポとなっています。その後、「音が出る玩具も……」と再びやや緩やかな曲調になった後、大サビの「永遠は無いんだと……」が再び繰り出され、最高の盛り上がりで曲は閉じます。この曲の良さを堪能してみてください!

 

OP映像はこちら↓ 

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OP曲MVはこちら↓

www.youtube.com

 

iTunesでの視聴・購入はこちら↓ 

インフェルノ

インフェルノ

  • provided courtesy of iTunes

music.apple.com

 

Google Playでの視聴・購入はこちら↓ 

play.google.com

 

 

5.その他のおすすめ曲

 

ダンベル何キロ持てる?」のOP曲「おねがいマッスル」やED曲「マッチョアネーム?」クセになる良い曲ですね!

www.youtube.com 

www.youtube.com

 

「Dr. STONE」のOP曲「Good Morning World!」第6話で最高の使われ方をしましたね! 

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「彼方のアストラ」のOP曲「star*frost」は、放送では登場頻度が低いことで有名ですが良い曲です!

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「BEM」作中の雰囲気にピッタリなOP曲「宇宙の記憶」は、なんと作詞・作曲・編曲を椎名林檎さんが担当されています!

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通常攻撃が全体攻撃で二回攻撃のお母さんは好きですか?のED曲「通常攻撃が全体攻撃で二回攻撃ママ」は、私自身は原曲であるパタパタママの記憶はまったくなかったのですが、耳に残る優しいメロディーですね!

MUSIC | TVアニメ「通常攻撃が全体攻撃で二回攻撃のお母さんは好きですか?」公式サイト

 

 

「異世界ファンタジー」の定義問題――転生・転移モノを異世界ファンタジーと呼ぶことは文化破壊なのか?

(1)はじめに

 

srpglove.hatenablog.com

 

先日、「『異世界ファンタジー』の意味を歪めることが問題である理由(追記あり)」と題する記事(2019年8月31日付〔翌9月1日午前8時最終閲覧〕。以下、この記事を「当該記事」、当該記事の作成者〔 id:srpglove さん〕を「筆者」と呼びます)を拝読させていただきました(上記リンク参照)。

しかも、私の記事へのリンク参照もして頂きました。今まで私の記事に対して一言程度のご意見を頂くことは多々あったのですが、その短さゆえにその趣旨の読解に難儀していたところ、このような長文で、しかもその趣旨も理解しやすい形でご意見をくださりありがとうございます(もちろん私が念頭に置かれているのかは不明ですが)。

 

そこで、この私の記事では、(既に2016年頃に私と同様の見解がTwitter上で見られたようなので、屋上屋を架すような部分もあるかと思いますが)せっかくの機会なので当該記事を読んで考えたことを記したいと思います。

 

ここでは、当該記事の主張に対して、疑問点を2つほど挙げたいと思います。

①「(伝統的・本来的な意味での)異世界ファンタジー」にどれほどの存在意義があるのか?

②「(新たな意味での)異世界ファンタジー」は果たして文化破壊なのか?

 

※最初に付言しておきますが、当該記事で語られた異世界ファンタジー伝統的・本来的な意味における用法の歴史それ自体については、「そんな歴史なんてなかった!」などと言って異議を唱えるつもりはありません。この点については、同時代的に読書してきたとみられる筆者の主張を信頼しています。

 

なお、この記事を読まれる前に上記リンクから当該記事を一読しておくことをお勧めします。

 

 

(2)疑問点①――「(伝統的・本来的な意味での)異世界ファンタジー」にどれほどの存在意義があるのか?

 

まず、私の立場を表明しておきます。

 

ごく最近になって新たに出てきた「異世界ファンタジー」の用法というのは簡単に言うと、「基準となる世界(多くの場合は現実に近い世界)とは別の一つないし複数の世界が登場するファンタジーもしくは、RPG風の職業やステータスやスキルといった概念が存在するファンタジーということになります。これは言うまでもなく、現在web小説およびその書籍化(ラノベ)で流行している異世界転移・転生ファンタジー作品群を想定したものです。

その背後には若い世代の、

ファンタジーが別の世界を舞台にするのは当たり前でしょ?なのにわざわざ『異世界』って付けてるんだから、転移転生のことに決まってるじゃない

『伝統的なファンタジー』が舞台にしてきた世界と、現在のなろう系ファンタジーが舞台にするステータスやスキルが存在するRPG風の世界は全く質が違う。『異世界』は後者にのみ適用すべきだ

といった認識があるようです。

〔当該記事より引用〕

 

とありますが、前者の「転生・転移モノ」のみを私は異世界ファンタジーと呼んでいます(後者の要素を持つファンタジーについては「ゲームファンタジーという概念が適当だと考えています)。詳しくは下記記事をご覧ください。

irohat.hatenablog.com

 

その上で、筆者は(前後者いずれにせよ)このような「(新たな意味での)異世界ファンタジー概念は、「(伝統的・本来的な意味での)異世界ファンタジー概念とは意味するところが異なり異世界ファンタジー概念を新たな用法で使うことは異世界ファンタジー概念の伝統的・本来的な用法を無視した文化破壊行為と主張されています。

 

それでは、この筆者は、「(伝統的・本来的な意味での)異世界ファンタジーをどのように定義しているのでしょうか?

 

異世界ファンタジー」は伝統的に、基準世界、転移転生、PRG要素の有無を問わず、この宇宙・この地球とは別の世界を舞台とするほぼ全てのファンタジーを指してきた言葉です。

〔当該記事より引用〕

 

ここで、このような「(伝統的・本来的な意味での)異世界ファンタジーの名称の存在意義について疑問がわいてきます。

というのも、このような「(伝統的・本来的な意味での)異世界ファンタジー「ハイ・ファンタジーの関係性について、両者はその意味するところが重複しているのではないでしょうか?

筆者の「ハイ・ファンタジーの定義が分からないので確定的なことは言えませんが、「この宇宙・この地球とは別の世界を舞台とする」という要素からすれば、筆者のいう「(伝統的・本来的な意味での)異世界ファンタジーは伝統的には「ハイ・ファンタジーが指してきた領域を意味するのではないでしょうか? 

もし両概念が重なるとすれば、異世界ファンタジー「ハイ・ファンタジー「日本的な言い換え」ということになりますが、両概念の意味するところの名称としては、用法に無視できない対立のある日本独自の異世界ファンタジーよりも、国際的通用力のある「ハイ・ファンタジーの方を使う方が適当だと思われます。

 

いずれにせよ、おそらく最もメジャーなファンタジーの下位ジャンル名称である「ハイ・ファンタジー「(伝統的・本来的な意味での)異世界ファンタジーの関係については、筆者の書きぶりからすれば両者はかなり類似しているように見られるだけに、その異同についての説明(同義概念であるならば言い換えるべき理由)が是非とも欲しいところです。

 

 

(3)疑問点②――「(新たな意味での)異世界ファンタジー」は果たして文化破壊なのか?

 

ここでは、(2)で述べた疑問点①はひとまず措いておくことにして、ひとまず当該記事の主張通りに、以下の図式に従うことします。

 

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2つの「異世界ファンタジー」概念の関係性

 

この図式を前提として、筆者は以下のような危機感を表明されています。

もしも新しい用法が定着し、転移転生“だけ”、RPG要素を持つもの“だけ”が「異世界ファンタジー」とされる世の中になった場合。それら以外の本来の「異世界ファンタジー」は、決して「異世界ファンタジー」とは呼ばれなくなってしまうのです。〔中略〕これは単なる意味の限定に過ぎず、言葉の部分的な“死”なのです。

ただ、新定義の「異世界ファンタジー」を頑なに使い続ける方々にこれだけは言わせてもらいます。

ご自分が手を染めている行いが文化破壊、言葉に対する“殺人”に当たるという意識だけは持ってください。それが最低限の責任であり礼儀というものです。どうかよろしくお願いします。

  〔当該記事より引用〕

 

一般論として、あるジャンルに含まれる作品例が多くなり、その領域内が雑多・多様になった場合に、この中から共通の特徴を有するもの同士をまとめて、これに対してサブジャンルとしての(または分離・独立させた上で新しいジャンルとしての)名称を与えることは、文学の歴史の上で繰り返し行われてきた文化的な行為のはずです。

この点については、筆者も同意して下さることかと思います。当該記事では以下のような記述もあります。

 

(「異世界ファンタジー」という既存のジャンル名の定義を無理やり捻じ曲げることにこだわらず素直に別の名前を考えた方がよっぽど手っ取り早いだろうとは思うけど)。

〔当該記事より引用〕

 

これら二つの記述からすれば、おそらく筆者の問題意識は、「Aというジャンル内で最近になって興隆した新たな(サブ)ジャンルに対して名称を付ける際に、(この新規部分に対して新たにBという名称が与えられたのではなく)新規部分の方がAという名称を名乗ったために、ジャンル全体(旧A)を指す名称が無くなった(その結果、ジャンル全体(旧A)にはCという新たな名称を付けざるを得なくなる)」ことにあるのではないかと思います。

 

異世界ファンタジーについてこのようなことが起こるのは、「(伝統的・本来的な意味での)異世界ファンタジー概念に慣れ親しんできた方達にとっては、まさに「僭奪」とでも言うべき事態なのかもしれません。つまり、ジャンル全体についてAの名称がそのまま維持されたり、旧Aから新規部分を控除した残余部分――旧Aの伝統的・本来的部分――が新Aを名乗ったりするのは正統な名称として認められるが、新規部分――最近旧Aで興隆した若輩者――が新Aを名乗るのは僭称のため許せない、といった感じなのかもしれません。

 

しかし、異世界ファンタジーの問題に対するこのような厳格な姿勢は、果たして唯一絶対の文化的行為なのでしょうか? 果たして「(新たな意味での)異世界ファンタジー議論の余地もない文化破壊行為なのでしょうか?

たしかに、異世界ファンタジー概念の意味が変遷した結果として、当該記事が警告するように、欠落する部分――名称が失われる部分――が生じ得ること自体は首肯できます。しかし、その欠落部分を指す名称がなければ、また新たに考えればよいではないか、とも思うのです。これもまた、責任・礼儀のある文化的行為ではないでしょうか。(筆者の好みではないかもしれませんが)「本格」とか「伝統的」とか「本来的」など、おあつらえ向きの言葉はあると思います。

 

一般的に言って、ある概念の持つ意味の変遷は不可避な面があります。本来の意味に厳格にこだわることも文化的行為の一つだとは思いますが、変遷の結果として生まれた齟齬の部分に新たな名称を与えるという発想を否定することまでも文化的行為だとは思いません

「死語」という言葉があるように、通常の言語活動に“死”はつきものです。ある概念を指す言葉がなくなって困るのなら、「新語」「造語」を“生み出す”のもまた通常の言語活動の一環ではないでしょうか。

 

 

(4)おわりに――ジャンル分けをする意味について

 

そもそも、人々(作者・出版社・読者など)は、なぜジャンル分けという行為をするのでしょうか? あるいは、「ファンタジー おすすめ」と検索するように、なぜジャンルを利用するのでしょうか?

 

その最たる答えの一つとしては、「読者が探したい本を見つけられるようにするため」といった即物的理由が挙げられると思われます。つまり、ジャンル分けという行為は、読者一般に対して便宜を図る行為であって、それを超えて、ジャンル分けの正義や真理を探究することは――文学研究上の学術的意義はありますが――それが読者一般に支持されない限りは、即物性という点においてあまり意味がないと思うのです(そもそも、過去・現在・未来にかけて多種多様なファンタジーが存在する中では、完璧なジャンル分けなんてものは期待できませんから、どこかで割り切る必要があると思われます)。

 

これを踏まえると、相容れないジャンル分けの方法が並立しているとき、いずれが優れているかを判断する際に重要になるのは、「どのジャンル分けの方法が読者に支持されているのか」という――これもまた短絡的な――指標になると考えられます。

 

この点、異世界ファンタジーを巡るジャンル分けの方法については、その概念把握について混乱・対立があり、おそらく、どの考え方が多数の支持を集めているかは分からない状況です(少なくとも、他を圧倒的に差し置くような支配的・優越的な見解はないはずです)。

 

そのような状況下において、当該記事を書いてくださった筆者や私のような者が、混乱の所在を明らかにし、概念を整理し、「これなら探したい本が見つけやすくなる」というジャンル分けを行うことは、読者が支持すべきジャンル分けの方法の選択肢を提示するという点において意義のある行為なのかなあと思うところです。

 

 

なお、この記事において、私はポジショントークのようなものをしたので、もしかしたら私のジャンル分けの方法について誤解のある方がいるかもしれません。下記記事ではのジャンル分けの方法について語っているので、まだ読んでいない方は是非ご覧ください!

irohat.hatenablog.com

 

ファンタジーのジャンル論・再考――「『異世界転生しないのにゲーム的な要素が登場するファンタジー』はアリなのか?」に対するご批判を受けて

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フォーチュン・クエスト


(1)先日の記事に関するお礼と反省

 

irohat.hatenablog.com

先日、異世界転生しないのにゲーム的な要素が登場するファンタジー」はアリなのか?――この種のラノベには違和感を抱きませんか?」と題する上記記事を書いたところ、望外の反響がありました!

様々な場所で(ご批判を中心に)ご意見を頂き、ありがとうございました!

上記記事については、ライトノベル/ファンタジーのジャンル論の「叩き台」としてひっそり機能すればよい、くらいの気持ちで記事を書いたのですが、そのまま「叩き」台にして下さり感謝しております。

叩き台の側になって気づいたのですが、私と異なるジャンル論を提示してくれるという意味での建設的意見の少なさからは、やはりジャンル論の不在・混乱を感じましたし、建設的な意見をくださる方についても、どうやら手探り状態といった感じでした。

 

いずれにせよ、先日の記事については、お陰様で皆様から頂いた意見から以下のように反省すべき点があると気づかされました。

  • 私自身のライトノベルの読書歴が「異世界転生」の興隆後から始まったことによる、ライトノベルあるいはファンタジーの歴史と古めの作品に対する理解の不足。特に、ゲームとファンタジーの相互影響に対する視点の欠落
  • 異世界転生しないのにゲーム的な要素が登場するファンタジーについては、上記記事で書いたような違和感――もはや偏見とでも言うべきかもしれません――があったのであまり読んでこなかったこと。
  • ファンタジーのジャンルの切り分け方には様々な方法があるが、必ずしも同時に成り立たない訳ではないこと。

 

特に、最前者については、ラノベ読者の諸先輩方から多くのご不評を頂きました。これについては、「『異世界転生しないのにゲーム的な要素が登場するファンタジー』はアリなのか?」という、やや挑戦的なタイトルのせいもあったかと思います。また、記事の趣旨からして、このジャンルの愛読者に対して「私の好みはあなたとは違う」というメッセージが強く伝わり過ぎたのかもしれません(とはいえ、可処分時間と好みの関係から、少なくともしばらくの間は、この種のジャンル――存在自体が疑われているのですが――を読むことはないだろう、と正直に告白しておきます)。色々と反省しているところです。

 

様々な反省すべき点がある反面で、上記記事を書いて改めて良かったと思った点もあります。

上で自身のラノベ読書歴の短さを反省しましたが、あまりラノベに慣れていなかったからこそ異世界転生しないのにゲーム的な要素が登場するファンタジーに対する違和感を抱くことができたのだと思います。もちろん、この点についてご批判のあることは承知していますが、おそらく今しかないこの極めて主観的な感覚を言語化し、公開・問題提起できたことは良かったと思います。

また、ご批判の声に圧倒されたものの、私が抱いた違和感に対するご共感の声もちらほらと頂けました。この手の記事にわざわざコメントしようとする方がいるとすれば、愛の鞭をもって私の不見識を正そうとしてくださる方のみだと思っていたので、大変嬉しく思います。

 

今後は、より皆さんからの賛意を頂けるように、この違和感の整理方法やジャンル分けの方法について議論ができればと考えております。今後とも、忌憚のないご意見を賜ることができればと思います。

 

 

(2)本題――ファンタジーのジャンル論・再考

 

さて、いよいよ本題です。

「ファンタジーのジャンル論・再考」と題しましたが、皆さんからのご批判を受け、自らの無理解と不見識と浅学非才さを反省した結果、下記記事で論じたファンタジー小説のジャンル論を見直さなければならないと考えました(皆さんのご意見をすべて拝読しすべて咀嚼できた訳ではないのですが、問題意識はひしひしと感じたのでひとまず見直しを行ってみました)。

 

irohat.hatenablog.com

詳細はここには書きませんが、上記記事では、ざっくり言うと下図のようなジャンル分けをしていました(これから修正を加えるので無視してもらっても構いません)。

 

ファンタジー

 ├─本格ファンタジー

 │  ├─ハイ・ファンタジー

 │  └─ロー・ファンタジー

 └─異世界ファンタジー

    ├─ゲーム的異世界ファンタジー

    └─非ゲーム的異世界ファンタジー

 

以下では、このジャンル分けに大幅な修正を加えてゆきます。

 

 

1.本格ファンタジーとゲームファンタジーの区別の可能性

 

まずは、「本格ファンタジー「ゲームファンタジー区別の可能性について考えたいと思います。

 

「本格ファンタジーとは、ヨーロッパなど各地の神話・歴史・文化・宗教等に基づいて作られた伝統的なファンタジーのことを指します。『指輪物語』(ロード・オブ・ザ・リング)や「ハリー・ポッター」シリーズなどがこれに該当します。

これ対して、「ゲームファンタジーとは、(神話・歴史・文化・宗教等を背景とするか否かに関わらず)ロール・プレイング・ゲームRPG)の諸要素が盛り込まれたファンタジーのことを指します。

 

しかし、ファンタジー小説とゲームが相互影響の下に発展してきたことに鑑みれば、ゲームファンタジーと本格ファンタジーとを区別することの意義は疑わしいのかもしれませんし、両者を区別するとしても、その区別の基準も設けようがないのかもしれません(両者の差は、ゲーム的要素の多寡・強弱の程度問題・グラデーション問題でしかありません)。

 

その一方で、両者の区別の基準――何をゲーム的要素とするか――が恣意的・主観的になってしまうことを承知の上で、あえて区別を設けようと試みることも、私のような読者の便宜のため――読みたい本を探しやすくするため――には必要なことだとも思います(私がジャンル論に手を出して固執する理由はここにあります!)

 

試論ですが、ゲームファンタジーと本格ファンタジーの区別の基準について、以下のようなゲーム的要素を持つファンタジーは、ゲームファンタジーに分類すべきではないかと思われます。

  • 物語の舞台がゲームであると明言されている場合(ゲーム世界への没入、ゲーム世界に取り残された、転生先がゲーム世界だった、など)
  • HP、経験値、スキル、ランク、レベルなどのステータス制度が存在し、この情報が登場人物の強さを規定する場合(世界や人間の複雑性を各種のステータス制度へと捨象・変換し、これらの客観的指標によって世界観を管理することは、ゲームの特徴の一つであるため。ゲームを有意に進行させるためには必要不可欠な要素といえる)
  • 冒険者・勇者といった職業・地位が存在し、登場人物の属性情報として重視される場合(職業が登場人物の重要な属性となることがRPGの特徴の一つであるため)

※典型的には、主人公らが剣士・魔法使い・聖職者などでパーティーを組むような場合は、そこにおいては職業・地位が重要な属性として機能する世界観なので、これはゲームファンタジーと呼べるでしょう。

※たとえば、「魔法使い」はRPGの職業の一つとして挙げられることが多いですが、主人公などの主要な人物がすべて魔法使いで学生である魔法学園モノであれば、各人の職業・地位の特殊性・重要性は相対的に低下するので、(他の要素との兼ね合いもありますが)このような魔法学園モノはゲームファンタジーとは呼べないでしょう。

 

以上のようなゲーム的要素を持つ場合はゲームファンタジーに一応分類でき、上記のいずれの要素も持たない場合は本格ファンタジーに一応分類できるのではないかと思います。

 

 

2.ハイ/ロー・ファンタジー異世界ファンタジーの関係性

 

まず先に、ハイ/ロー・ファンタジーの定義を確認しておきたいと思います。

 ハイ・ファンタジーとは、現実の世界ではなく、架空の世界のファンタジーとして定義される。その架空の世界は(架空世界内では)一貫しているが、現実の世界とは異なる「法則」で成り立っている。逆にロー・ファンタジーは、現実の世界に魔法の要素が含まれていたり、架空の世界であっても(現実の世界として)合理的で親しみのある世界に魔法の要素が含まれている。

ハイ・ファンタジー - Wikipedia

 

また、異世界ファンタジーについては、物語において、現実世界とは別の異世界への転生・転移・接続や、ゲーム世界への没入・転生・転移などが描かれるファンタジーと定義しておきます。また、これらをまとめて、「転生・転移」と呼ぶことにします。

 

さて、ハイ/ロー・ファンタジー異世界ファンタジーの関係については、いくつか考え方があります。

第一に、現実世界を基点として異世界に転生・転移する点や、転生・転移者が現実世界での知識・経験を異世界において活用するという点を捉えて、異世界ファンタジーをロー・ファンタジーの一類型とする考え方があります。

第二に、異世界ファンタジーにおいては、異世界と現実世界の間を行ったり来たりすることはできず、異世界が物語の主要な舞台となるパターンが多いため、異世界ファンタジーをハイ・ファンタジーの一類型とするという考え方もあります。

第三に、一大ジャンルとなった異世界ファンタジーを、ハイ・ファンタジー、ロー・ファンタジーに並ぶ類型として据える考え方があります。

 

しかし、いずれの考え方も妥当とは思えません。

①第一、第二の考え方については、異世界ファンタジー(転生・転移)の多種多様さをハイ/ロー・ファンタジーともに捕捉しきれていないですし、②第一と第二の考え方が真っ向から対立する中でどちらかの考え方を採用しても混乱の元となるだけですし、③第三の考え方については、一つの作品において異世界ファンタジーとハイ/ロー・ファンタジーとが両立し得ることを無視してしまっています。

 

そこで、第四に、ハイ/ロー・ファンタジーと、異世界ファンタジーの各種類型(転生・転移のあり方)は相互に独立したジャンル分けの方法であるとする考え方があり得ると思われます。具体的には下表をご覧ください。 

f:id:irohat:20190830194114p:plain

ハイ/ロー・ファンタジー異世界ファンタジーの各種類型の関係

「?」の箇所があったり、枠内の説明に自身が完全に納得できてる訳ではなかったり、そこでの作品例が適切なのかについて不安があったりなど、この表は暫定版なので、適当な作品例やアイデアを思い付いた方はご教示頂ければ幸いです。

 

 

(3)とりあえずの結論――相互に独立した三つのジャンル分け方法

 

ここまで、三つのジャンル分けの方法を記してきました。

①ゲーム的要素の多寡を基準とする区別方法(本格ファンタジー/ゲームファンタジー

②現実世界との関係性を基準とする区別方法(ハイ・ファンタジー/ロー・ファンタジー

③転生・転移のあり方を基準とする区別方法(転生・転移なし/狭義の異世界間転生・転移/逆異世界転生・転移/異世界接続/異世界内転生・転移、異世界間転生・転移/ゲーム世界への没入・転生・転移)

 

これらは相互に独立したジャンル分けの方法であるため、たとえば、

とそれぞれ分類することができるのです。

 

以上が、先日の記事に対するご意見を受けて考え直した、ファンタジーのジャンル分けの方法に関する試論です。これもまた叩き台ですので、忌憚のない意見を頂ければ幸いです。

 

 

 

 

……しかし、ジャンル論は鬼門ですね。もしよかったら、ジャンル論以外にも下記のような雑考記事を書いているので是非ご覧ください!

irohat.hatenablog.com

 

 

以上が2019年8月30日に書いた元記事の内容です。

 

 

(4)コメント返し(2019年9月5日追記)

 

全部ではなく一部だけですが、せっかくくださったコメントに何の反応もしないのも心苦しいので、いくつか返信いたします。

なお、論点は1~5とありますが、1、2については、この記事の趣旨をより理解するのにはあまり役に立たないので、関心のない方は読み飛ばしてもらって結構です。

 

 

1.「深まっ太郎」問題
ファンタジーのジャンル論・再考――「『異世界転生しないのにゲーム的な要素が登場するファンタジー』はアリなのか?」に対するご批判を受けて - 小説・ラノベ・アニメ・漫画の感想・おすすめブログ

「「叩き」台にして下さり感謝しております」「おそらく今しかないこの極めて主観的な感覚を言語化し、公開・問題提起できたことは良かったと思います」 ふ、深まっ太郎……

2019/08/30 20:58

 

恥ずかしながら「深まっ太郎」なる単語は初めて見ました。以下のような意味を持つ言葉らしいです。

自身の暴言がそもそもの原因であるにもかかわらず『議論が深まっただろう』と評して逃げに徹する人

 議論が深まっ太郎とは - はてなキーワード

つまり、以下の三要件すべてを満たしている人がこれに該当することになります。

①自身の暴言がそもそもの原因であること

②「議論が深まっただろう」と評していること

③逃げに徹していること

以下、この三要件該当性について考えます。

 

①「自身の暴言がそもそもの原因であること」の該当性について

この点については、この記事の(1)で触れた通り反省しています。ですので、①の要件は満たしていると思います。

 

②「『議論が深まっただろう』と評していること」の該当性について

「おそらく今しかないこの極めて主観的な感覚を言語化し、公開・問題提起できたことは良かったと思います」と私が書いたことについては、「議論が深まった」という言葉遣いでこそありませんが、まとっている雰囲気はまさに②の要件に該当します

 

③「逃げに徹していること」の該当性について

この要件の該当性については、まったく同意することができません。前の記事で書いた「ゲーム的なファンタジーに対する違和感」については、この記事の(2)1で「ゲームファンタジーと本格ファンタジーの区別とその基準の可能性」という形で訂正・昇華させたつもりです。むしろ、この方に対して、この点に関する私の見解についてどう考えるのかご意見を伺いたいところです。

と、言いたいところですが、どうやら、この方のブログやTwitterを見る限り、私とは異なるジャンル分けの理解をされています。そこで勘繰ってみるに、このような意見の相違から「深まっ太郎」と評されたのではないかと思います。その限りで、上記の「ご意見を伺いたい」は不要なお願いです(もちろん、自身と異なるジャンル分けの理解が提示されたことに対して「逃げに徹している」「深まっ太郎」と評することの妥当性・適切性については甚だ疑問ですが)。

 

なお参考までに、ジャンル分けの理解の相違が現れている記事として、異世界ファンタジー」の定義問題に関するこの方の記事を以下に挙げておきます(ついでにこれに対する私の応答記事も挙げておきます)。 srpglove.hatenablog.com irohat.hatenablog.com

 

 

2.「深まっ太郎」「トマじゃが警察」問題
ファンタジーのジャンル論・再考――「『異世界転生しないのにゲーム的な要素が登場するファンタジー』はアリなのか?」に対するご批判を受けて - 小説・ラノベ・アニメ・漫画の感想・おすすめブログ

深まっ太郎!深まっ太郎じゃないか!こんなところで何をやってるんだ、さぁトマじゃが警察の仕事に戻ろう!

2019/09/02 14:26

 

こちらのコメントについても、上の方と同じ趣旨であれば、同様の回答をしたいと思います。

 

しかし、もしかしたら、このコメントはそのような趣旨ではなく、その他の点に関する批判・揶揄だったり、自身の考えを上手く言語化できないまま脊髄反射的に放言したものだったりするのかもしれません。

一言居士も大歓迎ですが、批判するにせよ揶揄するにせよ、せめてその趣旨を明らかにしてほしいところです。でないと、この手の一言コメントを読解するのが不得意な私にとっては、小学生が「バーカ!バーカ!」と放言しているのとそう変わりはありません。まさかそのような意図でわざわざコメントする方がいるとは信じたくないので、無粋なことをお願いするようですが、不肖な私にコメントの趣旨をご教示して頂ければと思います。文字数が足りないというのであれば、記事下方のコメント欄へお願いします。

 

また、「トマじゃが警察」については、「中世ヨーロッパ“風”ファンタジー」について、特にトマトとジャガイモを取り上げて、「こんなのは中世ヨーロッパではない」と指摘する人を揶揄する言葉だと理解しています。

しかし、この記事では「中世ヨーロッパ風ファンタジー」について触れていませんし、そもそも私はトマじゃが警察活動をしたことがありません。これはどのような趣旨のコメントなのでしょうか? もしかしたら、私の記事に対する致命的な勘違いあるいは偏見があるのではないでしょうか? もしこのコメントが的を射た批判・揶揄だというのでしたら、この手のコメントは私には高尚すぎるので、できれば解説をお願いします。

 

 

3.ハイ/ロー・ファンタジーと転生・転移モノの関係について
ファンタジーのジャンル論・再考――「『異世界転生しないのにゲーム的な要素が登場するファンタジー』はアリなのか?」に対するご批判を受けて - 小説・ラノベ・アニメ・漫画の感想・おすすめブログ

異世界転生ものはハイファンタジーでは。ナルニア国物語とか。で、我々の世界とは違う自立した世界が舞台のはずなのにゲーム要素が出てくるからなんじゃこりゃなのであって。ゲームの世界に転生する話ならともかく。

2019/08/31 07:51
ファンタジーのジャンル論・再考――「『異世界転生しないのにゲーム的な要素が登場するファンタジー』はアリなのか?」に対するご批判を受けて - 小説・ラノベ・アニメ・漫画の感想・おすすめブログ

異世界転移転生ジャンルは全てローファンタジーなので頭が悪い俺定義クソ野郎っぷりが笑える

2019/08/31 02:17

 

このように、この記事のコメント欄においてだけでも、両者の意見は真っ向から対立しています。もちろん、(2)2にも書いてありますがどちらの立場もそれなりの理由はあります(究極的には、どのようにハイ/ロー・ファンタジーを定義するのかという好みの問題になってしまいます)。だからこそ、このような不毛な対立が生まれるのです。

そこで、境界問題として扱うには作品例が多くなり過ぎた転生・転移モノをどう扱うかについては、視点を変える必要があるのではないでしょうか? つまり、「現実世界との関係性を基準とする区別方法」(ハイ・ファンタジー/ロー・ファンタジーと、「転生・転移のあり方を基準とする区別方法」(転生・転移するか否か)は、相互に独立したジャンル分けの方法であると整理する方が良いと思うのです。

 

 

4.ゲームファンタジーと本格ファンタジーの区別について

コメント① 

ファンタジーのジャンル論・再考――「『異世界転生しないのにゲーム的な要素が登場するファンタジー』はアリなのか?」に対するご批判を受けて - 小説・ラノベ・アニメ・漫画の感想・おすすめブログ

この人そもそもゲーム由来の用語なのか、それ以前のファンタジー小説等からの輸入なのか区別つかないんじゃないだろうか。

2019/08/31 06:10

コメント② 

ファンタジーのジャンル論・再考――「『異世界転生しないのにゲーム的な要素が登場するファンタジー』はアリなのか?」に対するご批判を受けて - 小説・ラノベ・アニメ・漫画の感想・おすすめブログ

その世界に現代地球のゲーム的要素がある利用なんて『そういう世界だから』で十分なんだけどな。話の根幹に何ら関わらない、地球の一地方にあるものと同じ(に見える)ものがその世界にある理由を延々語ってみる?

2019/08/31 21:14

 

既に(2)1で述べていますが、たとえば、ゲームを有意に進行させることを目的として、世界や人間の複雑性を捨象・変換し、客観的指標によって世界観を管理するための、HP、経験値、スキル、ランク、レベルなどのステータス制度が登場する作品群は、この点において、その他の作品群とは異なる性質を持っています。つまり、ゲームファンタジーと特徴づけ区別することができるのです。【論点A――区別の存在性】

コメント①の方については、たとえば、このような由来・目的のあるステータス制度が登場するか否かは、「ゲーム由来の用語なのか、それ以前のファンタジー小説からの輸入なのか」を区別する基準として使えるのではないでしょうか?

 

【論点A――区別の存在性】についてその存在を認める人であっても、(おそらくコメント②をくださった方のように)ゲームファンタジーも本格ファンタジーのどちらも好きな人は、この区別の重要性を認めないと思われます。その一方で、(少数派かもしれませんが)私のように、上記の特徴に対して「ひっかかり」を覚える者にとっては、この区別は重要です。それというのも、ゲームファンタジーだけが好みで本格ファンタジーは好みでない人は前者だけを探し出す指標が欲しいだろうし、本格ファンタジーだけが好みでゲームファンタジーは好みでない人は前者だけを探し出す指標が欲しいだろうからです(両方好きな人であっても、気分によって細かく読むジャンルを決めているような人にとってもこの指標は重要です)。【論点B――区別の重要性】

コメント②の方については、まさに【論点B――区別の重要性】のことを言っておられるのだと思われます。この区別の重要性を認めるかどうかは、まったくもって各人に委ねられている好みの問題だと思うので、この方の意見を否定するつもりは毛頭ございません。他方、【論点B――区別の重要性】前提問題たる【論点A――区別の存在性】については、おそらくご理解を頂けたようで嬉しく思います。

 

 

5.ジャンル分けの意義について 
ファンタジーのジャンル論・再考――「『異世界転生しないのにゲーム的な要素が登場するファンタジー』はアリなのか?」に対するご批判を受けて - 小説・ラノベ・アニメ・漫画の感想・おすすめブログ

ジャンル分けってやりたい人が自分の基準でやるもんだから共通解を求めても仕方ない気がする。 それよりも本題は、最近の作品でテレビゲーム由来の符丁を濫用してるのが鼻に付く、てことなのでは。

2019/08/30 22:40
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ガチのジャンル論やりたいなら1000タイトル読んでからでは?こういうのに正解はないから、外形的な部分だけで分類しても突き崩されると思う。

2019/08/31 00:31
ファンタジーのジャンル論・再考――「『異世界転生しないのにゲーム的な要素が登場するファンタジー』はアリなのか?」に対するご批判を受けて - 小説・ラノベ・アニメ・漫画の感想・おすすめブログ

ジャンルの定義とかどうでもいいわ。知るか

2019/08/31 01:42
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あなたがそう思うものがラノベです。但し他人の同意を得られるとは限りません。/神様がどうやって世界を作ったか。即席でジャンクなのと、素材から育てたのと。

2019/08/31 09:05
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ラノベをジャンル分けしようという試み自体が間違っているのだという割と以前から出ている結論に果敢に挑戦しようとしてる気はする/がやっぱりなんかラノベ誌はざっとでいいからレビューしておいてほしい

2019/08/31 23:21

 

これらの方は皆、ジャンル分けの意義(あるいは私がジャンル分けを行う意味)を問うておられるように思われます。これに対する回答としては、後日書いた記事の中で触れていますので、引用します。 

irohat.hatenablog.com

 

そもそも、人々(作者・出版社・読者など)は、なぜジャンル分けという行為をするのでしょうか? あるいは、「ファンタジー おすすめ」と検索するように、なぜジャンルを利用するのでしょうか?

 

その最たる答えの一つとしては、「読者が探したい本を見つけられるようにするため」といった即物的理由が挙げられると思われます。つまり、ジャンル分けという行為は、読者一般に対して便宜を図る行為であって、それを超えて、ジャンル分けの正義や真理を探究することは――文学研究上の学術的意義はありますが――それが読者一般に支持されない限りは、即物性という点においてあまり意味がないと思うのです(そもそも、過去・現在・未来にかけて多種多様なファンタジーが存在する中では、完璧なジャンル分けなんてものは期待できませんから、どこかで割り切る必要があると思われます)。

 

これを踏まえると、相容れないジャンル分けの方法が並立しているとき、いずれが優れているかを判断する際に重要になるのは、「どのジャンル分けの方法が読者に支持されているのか」という――これもまた短絡的な――指標になると考えられます。

 

この点、異世界ファンタジーを巡るジャンル分けの方法については、その概念把握について混乱・対立があり、おそらく、どの考え方が多数の支持を集めているかは分からない状況です(少なくとも、他を圧倒的に差し置くような支配的・優越的な見解はないはずです)。

 

そのような状況下において、当該記事を書いてくださった筆者や私のような者が、混乱の所在を明らかにし、概念を整理し、「これなら探したい本が見つけやすくなる」というジャンル分けを行うことは、読者が支持すべきジャンル分けの方法の選択肢を提示するという点において意義のある行為なのかなあと思うところです。

 

 6.ジャンル分けの方法について(2019年9月8日追記)
ファンタジーのジャンル論・再考――「『異世界転生しないのにゲーム的な要素が登場するファンタジー』はアリなのか?」に対するご批判を受けて - 小説・ラノベ・アニメ・漫画の感想・おすすめブログ

結局この人ろくに古典ファンタジー/ラノベ黎明期について調べてなさそうだし、ジャンルというものが二元論・二分探索的に分類できるハズ、っていう謎な思い込みそのままだしこんなものに真面目に反応する価値はない

2019/09/04 17:22

b.hatena.ne.jp

 

わざわざコメントしてくださったのに真面目に反応しない訳にはいきません。この方はおそらく私の議論について謎の思い込みをしていると思われます。

私が上で提言した、①ゲーム的要素の多寡を基準とする区別方法②現実世界との関係性を基準とする区別方法③転生・転移のあり方を基準とする区別方法のうち、たとえば、①は「ゲームファンタジー」と「本格ファンタジー」の二元論をとっています

しかし、ここでは「ファンタジーのうちゲームファンタジーでないものは本格ファンタジーというように消極的・控除的な定義を行ってます。そのため、「ゲームファンタジー」と「本格ファンタジー」の二元論は理論上当然に成立します

とはいえ、消極的・控除的に定義された「本格ファンタジー」には当然、その分だけ雑多な内容が含まれています(ゲームファンタジーも同様です)。そこで、②現実世界との関係性を基準とする区別方法(ハイ・ファンタジー/ロー・ファンタジーや、③転生・転移のあり方を基準とする区別方法(転生・転移なし/狭義の異世界間転生・転移/逆異世界転生・転移/異世界接続/異世界内転生・転移、異世界間転生・転移/ゲーム世界への没入・転生・転移)について、該当項目をそれぞれ当てはめてゆき、「○○は、『本格ファンタジー』かつ『ハイ・ファンタジー』かつ『転生・転移なしのファンタジー』である」などとジャンル分けすることができるのです。

もちろん、①~③以外にもジャンル分けの方法は当然に考えられます④SF要素の有無・多寡を基準とする区別方法(SFファンタジー/非SFファンタジー⑤メルヘン要素の有無・多寡を基準とする区別方法(メルヘンファンタジー/非メルヘンファンタジーなどがその例です。

このように相互に独立した区別方法による特徴付けを重ねてゆくことによって、ジャンル分けをするというのが、私のジャンル論なのです。つまり、たとえて言うならば、私のジャンル分けの方法は、ツリー構造ではなく、多次元のマトリクスのような構造なのです。

 

「異世界転生しないのにゲーム的な要素が登場するファンタジー」はアリなのか?――この種のラノベには違和感を抱きませんか?

 

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ミノタウロス伝説のラビリンスの舞台となったクノッソス宮殿の平面図

 

2019年8月30日追記:この「『異世界転生しないのにゲーム的な要素が登場するファンタジー』はアリなのか?」という記事に対して、「ファンタジーのジャンル論・再考」という下記記事を書いたのでぜひご覧ください! 下記記事はこの記事の訂正版のような形になっております。

irohat.hatenablog.com

 

 

(1)問題の所在

 

先日、私はファンタジーは下図のようにジャンル分け出来るのではないかという記事を書きました。

 

ファンタジー

 ├─本格ファンタジー

 └─異世界ファンタジー

    ├─ゲーム的異世界ファンタジー

    └─非ゲーム的異世界ファンタジー

 

それぞれの意味内容について、ざっとおさらいをすれば――

「本格ファンタジーとは、主にヨーロッパの作家によって、ヨーロッパの神話・歴史等に基づいて作られた伝統的なファンタジーのことを指します(もちろん、日本人作家であっても、その影響を強く受けていればこちらに分類されます)。『指輪物語』(ロード・オブ・ザ・リング)や「ハリー・ポッター」シリーズなどがこれに該当します。

異世界ファンタジーは、ここ20年くらいに日本において、ライトノベルや小説投稿サイトという媒体を通じて発展したジャンルで、現実世界から異世界(ゲーム世界も含む)への転生・転移・(ゲームについては)没入を特徴としています。

さらに、「異世界ファンタジー」においては、ゲーム的(ドラクエ的・MMORPG的)な要素が含まれているものゲーム的異世界ファンタジー)と、そういった要素が(ほとんど)ないもの非ゲーム的異世界ファンタジー)とがあります。「異世界への転生・転移・没入」という一定の「型」を有する「異世界ファンタジー」のうち、「ゲーム的である」という点においてさらに強固な「型」を有する「ゲーム的異世界ファンタジーと、異世界転生・転移」という手法は使うものの、むしろその他の世界観設定は自由度が高かったり、あるいは本格ファンタジーに似通っていたりする「非ゲーム的異世界ファンタジーとは、明らかに異なる特徴を有しています。

――以上がおさらいです(詳細は下記リンク参照)

irohat.hatenablog.com

 

しかし、上図のジャンル分けの方法では、異世界転生(異世界への転生・転移、ゲーム世界への没入のすべてを含む。以下同じ)しないのに、ゲーム的な要素が登場するファンタジー――具体例は後述――を上手く位置付けることができません。このジャンルは、上図の「ゲーム的異世界ファンタジー」とかなりの共通点を有しているにもかかわらず、異世界転生」という特徴を有していないために、上図に位置付けることが出来ないのです。

 

異世界転生しないのにゲーム的な要素が登場するファンタジーを上手く位置付けられないのなら、お前のジャンル分けの方法は失敗しているんだ、と一蹴することも可能かと思いますが、しかし、このジャンルは、そもそもかなりイレギュラーな存在であるために、上図に上手く位置付けられないだけではないか、とも思うのです。以下にその理由を書き連ねます。

 

まず、異世界転生が行われた場合であれば、その物語の舞台となる異世界は、転生者(主人公であることが多い)を通じてゲームが存在する現実世界(前世)との繋がりがあるため、ゲーム的な要素が登場してもそれほど違和感はありません(まったくない、と言えば嘘になりますが、ここではそういうことにしておきます)。

 

しかし、いよいよ異世界転生していないのにゲーム的な要素が登場すると、違和感に気付かないふりはできません。

だって、読者(というか私)としては、現実世界から切り離されたファンタジー世界を期待しているのに、そのファンタジー世界には存在していないはずのゲームに由来する要素が登場するんですよ? 現実世界にしか存在していないはずのゲーム的要素が、(異世界転生していないので)物語上は現実世界とは全く繋がりのないはずのファンタジー世界に登場するのは、変ではありませんか? 破綻している、とまでは言わないにしても、「ファンタジーとしてのほころび」を感じませんか?

 

 

(2)違和感を覚える具体的要素

 

それでは、異世界転生しないのにゲーム的な要素が登場するファンタジーのどのような箇所に違和感を覚えるのか、あるいは違和感を覚えないのか、について具体的に指摘してゆきます。

 

1.違和感のない箇所

本格ファンタジーと同じく、ヨーロッパの神話・歴史・文化が踏まえられている要素については、ファンタジーにおいて伝統的に使用されてきたものなので、まったく違和感はありません。たとえば、

などです。むしろ、上記の具体例はファンタジーの骨格とでも言うべき要素です。

 

2.ギリギリ違和感を無視できる箇所

本格ファンタジーでの使用例は極少数だと思いますが、その要素が登場することに対して首肯できる歴史的背景がある場合は、ギリギリ違和感を無視できます。たとえば、

  • ギルド(中世ヨーロッパに同業者組合としてのギルドが実在したため)
  • 魔法の属性(たとえばギリシア哲学においては、土・空気・火・水が元素として考えられていたため)

などです。

 

3.違和感のある箇所

もっぱらゲーマー界隈にしかその言葉の意味を把握できない場合、あるいは理解できるとしても一般的にはその言葉を使わない場合は、明確に違和感を覚えます。

別の言い方をすれば、ゲーム的世界観を共有できていない――その結果、当然に新宿駅はリアルダンジョンだ」などとゲーム的世界観を現実世界に持ち込まない――人々(というか私)にとっては、ゲームに固有の用語をファンタジーに出されると、「この作家、ゲーム脳すぎないか?」と思ってしまうのです。たとえば、

  • 冒険者(何をする職業なのかピンと来ない)
  • 勇者(どうやら英雄とは異なる固有の意味合いを与えられているらしいが、どのような地位なのかよく分からない)
  • ダンジョン(英語のdungeonは地下牢を意味するところ、むしろラノベでいう「ダンジョン」は「(地下)迷宮labyrinth」の方が適切で一般人に伝わりやすいのではないか?)
  • スキル(一般人はこれを「技術・技能・わざ」と呼ぶことが多い)
  • レベル・ランク・クラス等(ゲームのステータス制度の現れとしか思えない)
  • ユニーク○○(「特有・固有の」という意味で使われているのは実に英語的であるが、カタカナ英語として広く普及している「珍しい」という意味とは違う点で一般人には理解されにくい)

などです。

 

 

(3)おわりに

 

最後に、二点だけ付言しておきます。

 

第一は、書き手の方への要望です。

もしこの記事を読んだ書き手の方がいらっしゃれば、異世界転生しないのにゲーム的な要素が登場するファンタジーは違和感があるので、できるだけ一般人も分かるような別の言葉に置き換えてほしい、ということを要望しておきます。

とはいえ、もちろん、私のように違和感を抱く読者――日本国民の中では多数派でもラノベ読者層の中では少数派だと思います――を切り捨てるという方法もアリだとは思います(言葉を置き換えた結果、むしろラノベ読者層の多数派から違和感を指摘される可能性だってあります)。そもそも、このジャンルを書く作家は、ゲーム的世界観を共有する読者が理解しやすいように、意図的にそう書いているのかもしれません。

その意味では、この記事のタイトルに掲げた「『異世界転生しないのにゲーム的な要素が登場するファンタジー』はアリなのか?」という問いに対しては、「アリな人にはアリ、ナシな人にはナシ」という面白くもない回答になってしまいますが……

 

第二に、上記の違和感に留保を付け加えておきます。

もしかしたら異世界転生しないのにゲーム的な要素が登場するファンタジーに対して上記のように難癖をつけるのはナンセンスなことなのかもしれない、と留保をしておきます。

というのも、違和感を覚えると言っていたゲーム的要素は、今後、ファンタジー界の新たな伝統になったり、一般に広く普及したりする可能性があり、今はその過渡期なのかもしれないからです。もしそうなった場合には、ゲーム的な要素はもはや一般的な要素となり、違和感なんてなくなっているはずだからです。その意味で、私のような読者は、伝統的な本格ファンタジー固執する守旧派なのかもしれませんね。

 

 

ゲーム的かゲーム的でないか等々については下記記事でも扱っていますので併せてご覧ください!

irohat.hatenablog.com

 

 

2019年8月30日追記:この「『異世界転生しないのにゲーム的な要素が登場するファンタジー』はアリなのか?」とすぐ上に掲げた「『異世界ファンタジー』の下位ジャンルの必要性」という記事に対して、「ファンタジーのジャンル論・再考」という下記記事を書いたのでぜひご覧ください! 下記記事はこの2つの記事の訂正版のような形になっております。

irohat.hatenablog.com