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女性が主人公のライトノベルはおもしろい!――おすすめすべき理由を考察してみた

 

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図書館戦争

(1)まずは「結論」と「おわび」と「お断り」から

 

まずは結論として、「女性が主人公のライトノベルはおもしろい!」の理由を掲げておきます。詳しくは下を読み進めて行ってください。

 

①女性主人公モノは恋愛以外の要素をウリにしないといけない

②女性主人公に安易なキャラ設定は使えない

③男性作家の多くは女性主人公モノを書けない

④構造的な痛快さ

⑤ハイテンションな筆致の高いポテンシャル

 

さて、「女性が主人公のライトノベルはおもしろい!」と銘打ったものの、ネットオフさんのまとめ↓を見る限り、管理人はこのテーマを一般的に語れるほどの量の作品を(有名タイトルも含めて)読んでいないなあと痛感します……

女主人公ライトノベル / ネットオフまとめ

 

それでは、お前の記事は何なんだ!という話になりますが、読んだ作品数は少ないながらも、一応、「女性が主人公のライトノベルはなぜ面白いのか?」問題について、より正確に言えば「女性が主人公のライトノベルはアタリが多い気がする」問題について、その理由を私なりに考察しようと思います。

 

しかし、ライトノベルにはまったのはここ半年ぐらいの若輩者で、読んだ作品数も少ないので、この記事の内容は話半分くらいの気持ちで読み流して頂ければと思います!(だけどしっかり読んでくれても嬉しいです!!

 

 

 

(2)先人はどう分析しているのか?

 

「女性が主人公のライトノベルはなぜ面白いのか?」問題について、先人たちはどのように分析しているのか、少しネットで調べてみました。

 

すると、このようなサイト↓を見つけました。

ラノベに女性主人公があまりいない理由とは?

 

そこでは、その理由について、ヤーリースさんが上手く分析・整理してくださっていると思うので、その内容を以下にまとめてみます(なお、私なりの整理と解釈が施されています)。

 

 

①女性主人公モノは恋愛以外の要素をウリにしないといけない

 

ライトノベルで恋愛要素が入り込んでいる作品は、ボーイ・ミーツ・ガール(男性主人公がヒロインに出会うという定式)のラブコメが定番・王道であり、これがライトノベルで恋愛を描く際の基本的枠組みとなります。なぜなら、この定式がライトノベルの主要読者層である男性の感情移入を最もよく引き出せるからです。つまり、この定式は、男性のモテたい願望を気持ちよく叶えてくれる必勝法なのです。

 

他方で、少女小説・少女漫画という女性読者を主に対象とする作品群もあります。これらは反対に、ガール・ミーツ・ボーイ(女性主人公が王子様に出会うという定式)が定番・王道となります。私(管理人)は、少女小説・少女漫画をほぼ読んだことがないのですが、おそらく恋愛モノがその圧倒的多数を占めていると聞きます。

 

さて、このような、右にラブコメモノのライトノベル、左に恋愛要素たっぷりの少女小説・少女漫画という挟撃を受けた状況では、女性が主人公のライトノベルが恋愛要素を発揮する余地はほとんどありません

 

したがって、様々なキャラクターのヒロインズを主人公の周りに配置するという男性主人公ラブコメラノベの必勝法を、女性主人公モノのライトノベルがこれを男女逆にしたところで勝てる余地はほとんどありません。その結果、女性主人公モノは、恋愛要素以外の魅力を、つまり、キャラ設定、世界観設定、ストーリー展開、文章力などで作品の魅力を出さなくてはならないのです。そのため、面白い作品が生まれやすいのです。

 

そもそも、ラノベに恋愛要素を求める男性読者は、ラブコメのようなコメディー要素を求めているのであって、ドロッとした昼ドラ的な恋愛要素はあまり求めていない気がします。だとすれば、女性主人公モノであってもライトノベルである以上は男性読者を主な対象とするのですから、恋愛要素・ラブコメ要素を不用意に大量投入して男性読者の不興を買うよりは、その要素を薄めにした方が良い気がします。

 

 

②女性主人公に安易なキャラ設定は使えない

 

女性主人公モノでは、その作品のほぼ全編がその女性の視点から語られることになります。したがって、その分だけキャラクターに深みが必要となるので、「なかなか思いを伝えられない幼馴染」「義理の妹」「ブラコン気味の姉」「ツンデレお嬢様」「主人公に優しいギャル」「暴力的な同級生」「近所の年上お姉さん」「厳しめの若い担任教師」など、ブコメ男性主人公モノがヒロインズに適当なキャラを振り分けるように、女性主人公のキャラクター設定をする訳にはいかないのです。もしラブコメ男性主人公モノのヒロインズと同じように女性主人公のキャラ設定をすれば、きっと薄っぺらい物語になるでしょう。

 

 

③男性作家の多くは女性主人公モノを書けない

 

②のような前提の下で、女性主人公のキャラクターを描くとすれば、それはラノベ作家の大多数を占める)男性作家にとっては非常に高度の技量が要求されることになります。したがって、男性作家は容易にこのジャンルに用意に手を出しにくくなります。その結果、高い技量を持った選ばれし男性作家が女性主人公モノを書くことになるので、このジャンルの水準が上がるのです。

 

 

さて、以上が「女性が主人公のライトノベルはなぜ面白いのか?」問題に対する先人の回答です(私の解釈も多分に入り込んでしまいましたが……)

 

 

 

(3)管理人はどう考えているのか?

 

それでは、私(管理人)はこの問題について、どう考えているのか?ということになります。

 

私としては上記①~③の仮説は説得力のあるものだと考えています。その上で、④構造的な痛快さ⑤ハイテンションな筆致の高いポテンシャル、という2つの仮説を付け加えたいと思います。

 

 

④構造的な痛快さ

 

ライトノベルの圧倒的多数は、男性主人公モノです。また、その中の相当数において、男性作家・男性読者のモテたい願望通りに(?)、男性主人公の周りには魅力的なヒロインが次々と現れて、主人公に惹かれてゆきます。ここでは、当然に、主人公が魅力的に見えなければなりませんから、主人公は活躍をしてヒロインズをときめかせます。そのため、「女性ヒロインが何らかの形で主人公に助けられる」という構図が多く描かれがちです。

 

そのような構造が存在する中、女性主人公モノはある種の痛快さを読者に与えてくれます。つまり、圧倒的多数のラノベとは異なり、このジャンルでは女性主人公の活躍劇が見られるという痛快さを感じられるのです。

 

しかし、この痛快さは、少なくとも第一義的には、自立的な女性像を打ち立てようといったフェミニズム的なものに位置づけられる訳ではありません。この痛快さは、「予想を裏切る痛快さ」の一種(下位類型)なのです。

 

「予想を裏切る痛快さ」の他の種類(下位類型)には、たとえば、「現実世界では不遇だった俺が異世界では英雄に!モテモテに!」「最初は下に見られていた人たちの前で俺TUEEE的な活躍!」「現世での常識や知識で転生先の人々から驚かれる!」みたいな痛快さ、心地よさなども含まれています。これらは皆、男性主人公モノで多く見られる痛快さです。

 

要するに、上で指摘した構造を持つ男性主人公モノがあふれるライトノベルにおいて、女性主人公が活躍するというのは、ある意味、読者の予想を裏切ることになりますから、ここに痛快さが生まれるのです。この痛快さは、女性主人公モノが少ないだけに、そのジャンル一般の魅力になり得るでしょう。

 

 

⑤ハイテンションな筆致の高いポテンシャル

 

「ハイテンションな筆致」と言っても、分かりにくいと思うので、その例を以下に示したいと思います。

 

―――――――――――――――――

 私は家庭教師の先生が来るまでの短い時間に、そう考えをまとめて、極力優しく接してあげようと、天使のように優しい輝きを放つ温かい眼差しをクソガキアランに向けてあげた。強く生きろよ、子分。

「な、なんだよ! カエルが死んだような目をこっちに向けてきやがって! 牛乳買ってこいって言われたって、もう時間もないから無理だからな!」

 ちょっと、私の天使な眼差しを死んだカエルにたとえないで! 失敬な! あと、その言い方だと私がしょっちゅう君をパシらせているみたいじゃないか。私が子供相手に、しかも貴族をパシらせるなんて、そんなこと……1、2回しかしていないでしょう!

 思わず眉間にしわを寄せてクソガキのほうへ目を向ければ、蛇ににらまれたカエルのようにびくっとなって、彼は視線を逸らした。

 あらいけない、子供相手に私ったら、おほほ。

――――――第1巻112頁より―――

 

これは、唐澤和希『転生少女の履歴書』(ヒーロー文庫のある一節です。作品の詳細については下記の紹介記事をご覧ください。

irohat.hatenablog.com

 

さて、上記の引用部分で、「ハイテンションな筆致」というものが分かって頂けましたか? クセになりませんか? 冷めた筆致が多い男性主人公モノと比べると、女性主人公の心情や魅力が伝わりやすい文章になっていませんか?

 

このようなハイテンションな筆致は、男性主人公モノでは難しい気がします。寡聞にして例作を思いつかないので、(私の文章力で)試してみるとすれば、「クソッ」「ふざけるな!」「なんてこったい!」「ちくしょう!!」みたいな感じでしょうか? なんだか、少年漫画のような情熱系・熱血系・全力系のキャラ、あるいはヤサグレ系になってしまいました。もしこんな調子で全編が主人公の視点で語られるとすれば、読者は疲弊してしまう気がします。書けるキャラクターも限られてくる気がします。

 

また、女性主人公であれば、「~かしら」「~だわ」などの「女性言葉」を使えます。つまり、その分だけ、ハイテンションな筆致のための表現の幅が広がります。

 

以上をまとめれば、ハイテンションな筆致が可能な女性主人公モノは、主人公の魅力を引き出し、それを読者に伝える上での優れた表現手段を有しているのです。この点において、「だから女性主人公モノは面白い!」と言えるでしょう。

 

 

 

(4)再び「お断り」

 

さて、このように語っていると、読者の方に誤解が生まれているかもしれないので、二点ほど付言させてください。

 

第一に、男性主人公モノはこう、女性主人公モノはこう、と断定的な書き方をしましたが、もちろん例外も多くあります(というより、一般論を語れるほどラノベを読めていないので分不相応な考察となってしまいました)。たとえば、男性主人公モノでも、ヒロインのキャラクターに深みがある作品は多くあります(『やはり俺の青春ラブコメはまちがっている。』など)。

 

第二に、男性主人公モノと比較する形で女性主人公モノの魅力を語ってきましたが、男性主人公モノは不出来だ、駄作だ、とかという主張をしたいわけではありません。むしろ、ライトノベルの圧倒的多数を占める男性主人公モノの方が、数多くの優れた作品を生み出していることは否定のしようがありません

 

この記事で伝えたかったのは、「女性主人公モノは概して面白い!面白いだけの理由がある!みなさん女性主人公モノを読みましょう!」ということです。

 

個人的な感覚ですが、ライトノベルでは、「女性主人公」というジャンルが未発達な気がします。この記事が女性主人公モノの興隆の一助になれば幸いです!!

 

 

 

(5)女性主人公モノのおすすめ作品

 

こんな記事を書いたのだから、女性主人公モノのおすすめ作品を紹介しない訳にはいきません。

 

1つ目は、私のいち推し、唐澤和希『転生少女の履歴書』(ヒーロー文庫、2019年8月現在既刊8巻)です。「異世界転生ファンタジー」という超メジャージャンルに分類されますが、男性主人公モノと比較する上で良い作品だと思います。上記の①~⑤のすべてが盛り込まれています。きっと主人公の少女の女性性以外の魅力に惹かれると思います。この作品の紹介は以前行ったので、下記記事も読んで見てください!

irohat.hatenablog.com

 

2つ目は、ラノベレーベルから出版されていないので、あまりライトノベルという認識がないかもしれませんが、有川浩図書館戦争」シリーズ(角川文庫)も女性主人公モノのライトノベルです。有川先生が女性ということもあってか、この作品にはかなりの恋愛要素が盛り込まれています。しかし、それと同時に存在する作り込まれた世界観社会に対するメッセージ性には脱帽するしかありません。有名作家の代表作なので既に読んだことがある方も多いと思います(アニメ化や実写化もされました)。まだ読んでない方は是非手に取ってみてください!

promo.kadokawa.co.jp

 

3つ目は、まだ私自身が読んだことがないのに紹介するのは恐縮なのですが、香月美夜本好きの下剋上』(TOブックス、2019年8月現在既刊20巻)です。2019年10月よりTVアニメが放送されるということで、紹介させていただきます。2か月後が楽しみです!

www.tobooks.jp
booklove-anime.jp

 

みなさんも女性が主人公のライトノベルのおすすめ作品があれば是非教えてください!