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最近のコンテンツの消費傾向について――愛読と消費の間で

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『転生少女の履歴書』第1巻

 

 

 この記事は、最近の私の(もしかしたら世間一般の)コンテンツの消費傾向について、好き勝手に述べるものです。

 

 

『転生少女の履歴書』を読んで

 先日、Twitterでも言ったことですが、『転生少女の履歴書』(既刊11巻)を一気に再読しました!

 ツイートした通り、たいへん充実した読書体験となりました。

 『転生少女の履歴書』は、ライトノベル作品ですが、一般的なラノベに比べて、「鍵括弧」の連続する会話劇に対する主人公の独白(地の文)の割合が多いので、既刊全巻を読了するには、それなりの時間がかかりました。

 しかし、思い返してみれば、こうやってシリーズ作品を一気読みしたのはいつぶりでしょうか? 「シリーズ一気読み」というに値する冊数が10巻以上だと仮定すれば、ライトノベルに限れば3年ぶり、一般小説では5年ぶりくらいになると思います。

 

 

私の読書体験

 ここで私の読書体験を振り返って見ると、一般的には読書好きと言われるカテゴリーに分類されるものだと思われます(人々は、小説を思ったよりも読まないようなので……)

 就学前の頃は、あまり記憶がないのですが、同じ保育園に通っていた子供たちと、それほど読書量に差があったとは思いません。

 しかし、小学生になると、友人たちとの差は顕著になりました。これは明らかに2歳年上の兄の影響でした。兄が学校の図書室や公立図書館から借りてくる本を家で読んだり、それに影響されて自分でも借りたりしていました。決定的だったのは、小学3年生のときです。児童向けだが大人も楽しめる某超有名ファンタジー作品のシリーズを、担任の先生が教室に個人的に置いていたのです。これが私の長編小説の入り口でした。

 そこから中学生にかけては、私の読書歴の全盛期です。学校図書室や公立図書館に通って、本を借りるのみならず購入リクエストをも頻繁に行っていました。上記の某ファンタジー作品については、10冊以上のシリーズでしたが、中学卒業までに8周くらいはしたと思います。各巻が辞典のような厚さの『星新一ショートショート全集(全3巻)』も2周しました。

 しかし、高校に進学すると、その状況は一変しました。地元では進学校と呼ばれる高校に通うと(卒業生のほとんど全員が大学進学するか、そのために浪人するような高校でした)、勉強が忙しく、読書量は激減しました。その頃には新書にも手を出し始めましたが、小説からは離れてしまいました。その例外として鮮明に記憶に残っているのは、「ぼくたちと駐在さんの700日戦争」です。通学中にニヤニヤしながら読んでいました。

 大学に進学しても、しばらくはその状況は変わりませんでした。高校時代に比べると自由な時間は格段に増えましたが、読書以外の趣味や、サークル活動にそれなりに時間を割いていました。しかし、大学4年の秋頃、卒業後の進路が決定した時期に、卒業に必要な単位は既にほとんど揃えて週2~3コマしか授業がなかったこともあり、読書の趣味が復活しました。学生なので購入資金は乏しく、BOOK OFFやTSUTAYAで中古本を買っていました。この時期にドハマりしたのは、推理小説、なかでも本格ミステリでした。『十角館の殺人』や『占星術殺人事件』などの名作ミステリに出会った現在、本格ミステリは私の読書の主軸ジャンルとなっています。

 大学卒業後、引き続き小説の収集と読書は続けていたのですが、しばらくするうちにライトノベル、漫画、深夜アニメが趣味の一覧に加わるようになりました。それに伴って小説の読む量は一定程度減少しました。年齢を重ねたにもかかわらず、より摂取しやすいメディアに流れていたのです。とはいえ、大学卒業後しばらく経った頃も、小説もよく読んでいましたし、ライトノベルや漫画のシリーズ一気読みも行っていました。

 しかしながら、現在、その状況も変化しています。

 

 

最近のコンテンツ体験の傾向について

 さて、ここからが本題です。まずは、読書に限らず私が摂取するコンテンツ全般について、過去と比較しつつ現在におけるそれぞれの体験傾向を個別に挙げていきます。

一般小説  すでに記したように、昔(特に小中学生時代)は貪るように小説を読んでいましたし、お気に入り作品やシリーズは何週もしていました。しかし現在では、月2回程度は大型書店や古本屋に行っていますが、購入した本の半分程度は積読してしまっています。また、大量の積読本の中でも長編小説に手を出すのは億劫になってしまい、読むのを中断しやすい短編集から手を付けがちです。さらに、積読している以上、未読作品を読むのが優先なため、お気に入りであっても既読作品は再読できていません

ライトノベル  ラノベは一般小説に比べるとサクサクと読み進めやすいのですが、現在の私はラノベでさえもあまり読めていません。現在、購入後1週間以内に最新巻を読むシリーズは2作品しかありません。本業が非常に忙しかったここ1~2年の間は、お気に入りの数シリーズを除けば、ラノベの新規購入は行っていません

漫画  学生時代から数作品に手を出し始め、卒業後に20作品以上を継続購入している収集状況ですが、その読書状況はそれに比例していません。お気に入りの作品は自宅に収集しているのですが、以前は、数ヶ月の間隔で次の最新刊が刊行されるまでの間に1~2周は全巻一気読みしていました。しかし、現在は、新刊から次の新刊までの間に一気読みすることなく、せいぜい最新刊を読む前にそれまでのストーリーを思い出すために前巻と前々巻を読み直すくらいです。

深夜アニメ  大学卒業後にハマった深夜アニメですが、おおよそ毎クール10~20作品を視聴しています。昔と変わったのは、再生速度です。お気に入りの作品であれば1.0倍速そのままで視聴するのですが、そうではない作品は1.25~1.5倍速で視聴してしまいます。また、お気に入りの作品であれば、サブスクの動画配信サービスで視聴した後に、ニコニコ動画の公式無料話にてコメント付きでもう一度視聴します。

ドラマ  ドラマ(を含むテレビ番組)は余暇時間の趣味というより、食事のお供とでも言った方が正確かもしれません。ドラマは毎クール3~5作品程度を視聴していますが、どの作品でも(可能であれば)字幕ありに設定し、1.25~1.5倍速で視聴しています。この速度で字幕ありで視聴し、同時に食事を行っているため、役者の表情や所作などの演技をあまり見れていないという自覚はあります。しかし、食べ終わっているにもかからわらずドラマを視聴し終えていない状況が、どうにも暇を持て余すようで我慢できないのです。これはたまに視聴する洋画も同様です。

 以上の各コンテンツの体験傾向をまとめれば、おおきく2つの方向に集約できると思います。

 第一に、集中力の低下です。一般小説とライトノベルについては、各章の合間に中断を挟み、スマホを触ってしまいます(漫画についてはこれよりいくらかましですが)。酷いのはドラマ(を含むテレビ番組)です。既述のように、この視聴の際に食事しているのですが、同時にスマホを触っていることも多々あります。視覚情報に対する集中力が著しく散漫になっています。その一方で、依然としてアニメについては基本的に「ながら視聴」は行っていません。

 第二に、愛読から消費への傾向変化が挙げられます。総じてコンテンツ体験は、お気に入りの作品については繰り返し摂取する「愛読」から、お気に入りの作品であっても一回限りの摂取に限定せざるを得ない「消費」へと変化したと感じています。このような状況は一般小説とライトノベルで顕著です。お気に入りの作品を何周もしていた小中学生時代は作品世界に入り浸っていたと言えますが、現在の読書状況は決してそうではありません。

 もちろん、これら二つの変化は、昔より忙しくなりコンテンツの摂取時間が減少しただけである、とか、昔より購買能力が向上しコンテンツをより多く収集できるようになった、といった私の個人的な事情によって説明できるかもしれません。

 しかし、このような個人的な理由以外にも、社会的・時代的な理由も存在しているものと思われます。すなわち、手軽かつ無限に時間を潰せるスマートフォンと、サブスクリプション動画配信サービスによるコンテンツ氾濫時代の2点が指摘できるかと思います(後者については、昨年ある記事(記事①記事②)が話題になっていましたね)。これらについては、皆さんも少なからぬ心当たりがあるのではないでしょうか?

 

 

おわりに

 冒頭で述べたように、こんな記事を書こうと思ったきっかけは、『転生少女の履歴書』を一気読みしたことです。『転生少女の履歴書』を再読して改めてこの作品が大好きなことを確認し、昔の読書体験を思い出したのです。

 というわけで(?)、最後に『転生少女の履歴書』を宣伝しておきます! 「男性向けレーベルの女性主人公」「女性向け作品だが男性でも楽しめる」といった作品を楽しめる人や、『乙女ゲームの破滅フラグしかない悪役令嬢に転生してしまった…』『本好きの下剋上』が好きな人にはオススメです!! 昔、このブログでも紹介したことがったので、その記事もよければご覧ください!

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