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「星合の空」第7話の感想とソフトテニスの解説

 

この記事には、「星合の空」第7話の感想とソフトテニスの解説を記しています(筆者がソフトテニスから離れてしばらく経っていることにご留意ください)。

第6話については以下の記事をどうぞ!

irohat.hatenablog.com

 

 

1.声かけは大事!

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衝突するアラシと須永

第7話開幕早々、柊真の絶妙な位置への打球によって、御崎学園のペアが失点してしまいました。このように、ちょうどペアの中間位置へ来た打球については、どちらが取るかペアの間で「取る!」「取って!」などの声かけをしなければなりません

この御崎学園のペアについては、普段のパワーバランスからして察するに、王寺アラシの方が「自分が取る」と声かけしつつ、ボールを取りに行くべきだったでしょう。ちなみに、後衛のアラシがこのボールを取りに行った場合、ポジションがかなりネット寄りになってしまいコート後方が空いてしまうので、前衛の須永は後ろに下がり、一時的に前後衛のポジションを逆転させた方が良いでしょう。

 

その次のポイントについては、アラシが「どけ!」と言って自分が返球する旨を宣言していますが、言うまでもなくアラシのミスです。ほとんど前衛の正面に来た――その意味では柊真のコースミスと言える――打球を、後衛のアラシが「どけ!」と言って取りに来るのは、明らかに前衛の領分を侵しています。その結果、前衛の須永がボレーミスをして眞己にスマッシュを決められたのも、アラシのせいです。

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前衛の守備範囲に突っ込んでくるアラシ

3ゲーム目の御崎学園側の失点のいずれにしても、眞己の言う通り、ペア間の非対等な関係とそれに基づくコミュニケーション不全に由来しています。しかし、アラシはファイナルゲームでやっとペアの健全な関係に思い至ったようです。

 

 

2.メンタルスポーツとしてのソフトテニス

ソフトテニスは――多かれ少なかれ他の競技と同じように――メンタルスポーツの側面があります。焦り苛立ち緊張不安などによって、プレーは乱れてゆきます。

その中でも特に影響を受けるのがサービスかと思います。レシーブやラリーは半ば反射のように体が反応しますが、サービスだけは自分自身のポジションとタイミングで始められるので、その分だけ自身のメンタル面が試されます。メンタルが乱れると、トスがいつもの位置、いつもの高さに上げられず、したがってサーブも入らなくなるのです。

4ゲーム目の御崎学園のアラシのように、キレて自分のペアを動揺させるのは、もってのほかです。ペア(チーム)スポーツ全般に言えることだと思いますが、ペアは互いを励まし合い、支え合わなければなりません。自分が不調のときは明るく振舞うよう努め、相手が不調のときは励まさなければなりません。

 

 

3.ファイナルゲームの進め方

3ゲームマッチにおける3ゲーム目、5ゲームマッチにおける5ゲーム目、あるいは7ゲームマッチにおける7ゲーム目は、「ファイナルゲーム」と呼ばれ、ファイナルゲーム以外のゲームとは異なるルールで進行されます。

まず違うのは、作中でも説明された通り、ファイナルゲームは、他のゲームのように4ポイント先取制ではなく、7ポイント先取制であるという点です。

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ファイナルゲームは7ポイント先取制

もう一つの違う点は、作中では明言されていませんでしたが、サイドとコートの公平を期すために、ファイナルゲームの最中にサービス/レシーブやコートが交代します2ポイントごとにサービス/レシーブが交代し、4ポイントごとにコートが交代します

柊真・眞己ペア―アラシ・須永ペアの試合に照らせば、具体的な手順は以下の通りになります(便宜上、コートの各サイドに「東側」「西側」と名付けています)。

1ポイント目:東側・サーバー・柊真――西側・レシーバー・アラシ

2ポイント目:東側・サーバー・柊真――西側・レシーバー・須永

  (チェンジサイズ)

3ポイント目:東側・サーバー・アラシ――西側・レシーバー・柊真

4ポイント目:東側・サーバー・アラシ――西側・レシーバー・眞己

  (チェンジサービス)

5ポイント目:西側・サーバー・眞己――東側・レシーバー・アラシ

6ポイント目:西側・サーバー・眞己――東側・レシーバー・須永

  (チェンジサイズ)

7ポイント目:西側・サーバー・須永――東側・レシーバー・柊真

8ポイント目:西側・サーバー・須永――東側・レシーバー・眞己

(チェンジサービス後、以降の手順は1ポイント目からの繰り返し)

ポイントのカウントが2-2のとき(つまり5ポイント目のとき)、眞己がサーバーだったのは、以上の手順を踏んでいるからです(普通のゲームであれば、5ポイント目は柊真がサーバーのはずです)。

 

 

4.デュースについて

デュースについては、他のネット型競技と同じく、2点差がつかなければゲーム終了となりません(4ポイント先取制の通常のゲームについては3-3から、7ポイント先取制のファイナルゲームについては6-6からデュースになります)。デュースが続く展開(デュースアゲイン)も、アドバンテージが取られっぱなしの展開も、非常に緊張する状況です。

ところで、ひとつ疑問なのですが、作中でファイナルゲームにおけるポイントが(サーバー:アラシ・須永)6―5(レシーバー:柊真・眞己)のとき、審判が「アドバンテージ・サーバー」とコールしていました。しかし、「アドバンテージ」コールをするのはデュースになった後からのことであって、7ポイント先取制のファイナルゲームにおいてはデュースが6-6から始まることからすれば、6-5「シックス・ファイブ」とコールすべきなのではないでしょうか。現役の方、経験者の方、いかがでしょうか?

 

 

5.王寺アラシのラケット

王寺アラシの使っているラケットは、ヨネックス製「NANOFORCE 8V REV」(フレイムレッド)のようです(ディティールの再現がすごい!)。

NANOFORCE 8V REV | RACQUETS ラケット | YONEX SOFT TENNIS ヨネックスソフトテニス

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NANOFORCE 8V REV(その1)

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NANOFORCE 8V REV(その2)

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NANOFORCE 8V REV(その3)

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NANOFORCE 8V REV(その4)

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NANOFORCE 8V REV(その5)

このモデルは、メーカーとしては前衛向けモデルとして宣伝しているようですが、実際は後衛にも人気が高いラケットのようです。

ある記事(【魅力3選】8シリーズといえば、NANOFORCE 8V REV 【各地で神ラケットと話題】|tatsumisports-pro もっと詳しく商品解説ブログ)によれば、このラケットは、前衛向けというより後衛向けの全長(前衛向けにしては長い)、前衛向けにしてはヘッドがやや重い(重心が普通よりヘッド寄り)などの特徴を有しています。アラシのように、前後衛どちらもできるプレイヤーにとっては重宝するモデルなのでしょう。