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「星合の空」第12話の感想とソフトテニスの解説

 

 

遅くなりましたが、「星合の空」第12話の感想とソフトテニスの解説を記しています(筆者がソフトテニスから離れてしばらく経っていることにご留意ください)。

第11話については以下の記事をどうぞ!

irohat.hatenablog.com

 

 

1.ダブル後衛への対策

五瀬兄弟との試合の2ゲーム目の2ポイント目において、柊真と眞己はダブル後衛の戦術をとりました。柊真と眞己ふたりともが後衛ポジションになり、相手前衛を避けてボールを打ち、相手後衛を走らせてミスを待つという作戦です。この戦術は、相手前衛の頭上を越えるロブを打って相手後衛を左右に走らせてこそ役に立ちます

しかし、2ポイント目の失点シーンのように、そのまま相手後衛のいるところに返球してしまっては意味がありません。しかも、ダブル後衛はロブを多用するという想定を働かせることができますから、このシーンのように、相手前衛は自身の守備範囲から出て積極的にラリーにインターセプトしてボレーを決めることができたのです。

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そのまま相手後衛に返球しては、相手前衛にインターセプトされやすい

 

 

2.走り回る作戦の有効性について

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走り回る柊真と眞己

3ゲーム目、柊真と眞己は走り回るという戦術をとっていましたが、これは、アニメ的であり、あまり有効な作戦とは言えないと思います。

もちろん、初めて見たとき相手は少なからず戸惑いますが、上のキャプチャ画像のように、前後に走り回るという戦術においていは、コート後方に後退する際、ボールに背を向けなければならないのです。そうすると、どこにボールがあるのかを把握できないので、振り向いたときに上手く構えることができないのです。ボールに背を向けてしまえば、フォアハンド側にボールが来るのかバックハンド側にボールが来るのかさえ分からないのです(もっと言えば、コート後方にバックする必要がある場合には、ボールを見ながら半身の姿勢で後退する方が良いです)。

さらに、ボールを目で追っていても、後退しながらボールを打つというのは難しいのです。振り向いたところに都合よくボールが来れば良いのですが、そんな事態はなかなかありません。この場面では、五瀬兄弟は、柊真と眞己の後衛ポジションに下がった方へ丁寧に返球していましたが、これはなんとも優しい世界です。普通は、ネット際に前進してくる前衛の足元に強打するか、後方に後退する後衛が取れないようなショートボールを打ちます。

この走り回る作戦が通用するのは、せいぜい最初の1回だけではないでしょうか? むしろ1回くらいにしておかないと、体力を著しく消費することになります。

 

 

3.ポンポン禁止!

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サービスの前にポンポンする五瀬

3ゲーム目2ポイント目のシーンですが、審判が「ゼロ―ワン」とコールした後、サーブを打つ前にラケットでボールをポンポンついていました

しかし、前にも書きましたが、審判のコール後にポンポンボールをつく行為は、ルール違反となります(http://www.jsta.or.jp/wp-content/uploads/rule/lesson12-11.pdf)。この硬式テニスでよく見る行為は、ソフトテニスでは許容されていないのです。

 

 

4.体勢を崩しながらのレシーブ

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体勢を崩しながらレシーブする眞己

同じく3ゲーム目2ポイント目のシーンにおける眞己のレシーブですが、ボールが思ったより遠くに飛んできて、体勢を崩しながら打つときはまさにこのような格好になります。うまくアニメで再現されています。

 

 

5.レット

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ネットに当たるサービス

3ゲーム目の3ポイント目のシーンですが、サービスがネットに当たってサービスコートに入ること「レット」と言います。この場合、サービスはやり直しになります。サーバーはボールを拾った後、審判が「ツーモアサービス(またはワンモアサービス)」とコールしてから再度サーブします。

 

 

6.細かいけれど「チェンジサイズ」と「チェンジサービス」は違う

ファイナルゲームの2ポイント目の得点直後、審判が「チェンジサービス」とコールしましたが、このときにコールすべきは「チェンジサイズ」です。

ファイナルゲームでは、2ポイントごと「チェンジサービス」(サービスサイド/レシーブサイドの交代)するのですが、最初の2ポイント終了後以後4ポイント終了後ごと「チェンジサイズ」(サービスサイド/レシーブサイドもコートも交代)もするのです(競技規則32条2項)。

 

 

7.ゲーム中の話し合いは禁止!

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ファイナルゲームにおいて殴り合う五瀬兄弟

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ファイナルゲームにおいて笑いあう柊真と眞己

既に何度も指摘していますが、チェンジサービス時およびファイナルゲーム前以外は、上のキャプチャ画像のように長々と話し合う時間はありません。遅延行為として審判に注意されてしかるべき行為です(競技規則15条2号)。もちろん、アニメ的には必要なシーンなのですが。

 

 

8.後逸姿勢

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後逸姿勢で打つ柊真

ファイナルゲームの4ポイント目(五瀬兄弟が殴り合った直後)のシーンで、柊真は後逸姿勢で返球し、これをネットに引っかけて失点してしまいました。後逸姿勢になるということは、思ったよりもボールが伸びてきた=球速が速いということなのです! 上手くアニメで表現されていますね!

 

 

9.作画ミス?

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センターラインより左側に着地すればフォルト

ファイナルゲームの9ポイント目(カウント3-5の直後)の柊真がレシーブするシーン(レシーブしたボールはアウトとなりカウントは3-6に)ですが、上のキャプチャ画像の地点で着地したサービスはフォルト(失敗)です。

この画像ではセンターラインの左側に着地していますが、柊真がレシーブの場合は常に、センターラインより右側のサービスコートにサーブが入らなければフォルトになります

 

 

 

さて、この第12話をもってオリジナルアニメ「星合の空」は、「いったん」終了だそうです。

 

筆者がソフトテニス経験者ということで、このブログでは、ストーリーには立ち入らず、もっぱらソフトテニスについての解説を書いてきました。アニメ的な演出もありましたが、基本的にはセオリーやルールに忠実でした。こんなマイナースポーツがアニメ化されるなんて思ってもいなかったので、楽しんで視聴・執筆させてもらいました!

 

第12話は衝撃の幕切れでしたね。「続きは未定」ということのようですが、楽しみにしています!!

 

 

「星合の空」の記事の一覧はこちらから! 

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