ドラマ「あおざくら 防衛大学校物語」第5話の感想と原作との違い
ドラマ特区「あおざくら 防衛大学校物語」-【MBS】毎日放送
この記事は、ドラマ「あおざくら 防衛大学校物語」の第5話(最終話)の感想記事です。
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第4話の感想については、こちらの記事をどうぞ!
まずは第5話のあらすじを。
近藤が、夜中目を覚ますと、原田の姿が見当たらない!まさか原田は防大から逃げ出したのか?!それは、すなわち脱柵をしてしまったということなのか!?
姿を消してしまった原田を必死で探す近藤は、思い悩み一人座り込む原田の姿を発見。必死に原田を説得する近藤。そんな中、鬼先輩の坂木がやってきて…。果たして、原田の出した答えとは…!?
そして防大の厳しい日々の中で、少しずつ何かが変わり始めた彼らの未来とは!?
ドラマ第5話は、原作の第2巻第15話~第16話(脱柵編)および第4巻第35話(発熱編)に対応しています。
それでは、印象に残ったシーンや原作との違いに着目しつつ、ドラマ第5話を振り返りたいと思います。
このシーンについて、ドラマでも原作でも明言されていなかったのですが、「最悪の事態」とはやはり「自殺」のことなのでしょうか? 衣類を乾かす洗濯乾燥室でこの発言ということは、首吊りにおあつらえ向きの物干し竿があるということ……?
ドラマで近藤が原田を発見したのはプールでしたが、原作では敷地内の森でした。当然、原作には近藤がプールに落ちるシーンもありません。原作では代わりに(?)、逃げる原田と揉み合いになるうちに、近藤は顔に肘鉄を食らってしまいます。
しかし、近藤がプールで溺れるシーンについては、近藤は泳ぎが下手だという原作の設定が活かされています(原作第5巻)。
もちろん、原作では坂木部屋長は溺れた近藤を助けに来ません(そもそもプールの場面がないので)。そのため、原作では坂木部屋長は、近藤が「夢も目標もまだない」と語るシーンにはいません。
プールで溺れてしまった近藤ですが、翌朝、風邪をひいてしまいました。これは原作4巻35話の展開をここに持ってきたと思われます(しかし、ドラマでは38.9℃、原作では38.4℃という微妙な違いが……)。
近藤の頭をつかんで熱を測る坂木部屋長はドラマオリジナルでしたが、彼のキャラがよく活かされたシーンだったと思います!
近藤が「ああ~でもでもでもでも! 俺、男子トイレの清掃当番が! あとプレスも洗濯も残ってて……」と言うシーンですが、なんかここの近藤は、原作とはキャラが違うように見えませんでしたか? 原作の近藤は「でも」を4回も繰り返すようなキャラではないし、あんなオロオロした話し方をするような男でもないように思います。風邪のせい、と言ってしまえばそうかもしれませんが。
この二人の迫力ある顔はやっぱり良いですね!
近藤の看病のシーンもやはりドラマ的な変更がなされていました。
ドラマでは、坂木部屋長が濡れタオルを額にあてる、「しんどいな」と話しかける、プリンを持ち出す、「何かしてほしことはないか?」と持ち掛ける、原田の脱柵について相談される、という流れでした。
それに対して、原作では、実際は西脇サブ長がプリンを食べさせてくれているのに、幼馴染の松井常代が茶碗蒸しを食べさせてくれるという妄想をしたり、同学年の岡上乙女がお見舞いに来てくれてたりします。原作ではこのようなラブコメ展開があったのですが、ドラマではヒロインが二人とも登場しないこともあって、きっちりと変更されていました。というか、その代わりを坂木部屋長が務めたことによって「ある種のサービスシーン」になっていましたね。
ドラマでは近藤が原田の脱柵について「原田の脱柵を引き止めてよかったのでしょうか?」と相談した相手は坂木部屋長でしたが、原作での相談相手は松平でした。そしてドラマではこの会話を沖田と武井がこっそり聞いているのですが、原作ではこの二人は結局、原田の脱柵については知らないままです。
なんだこのシーンwと思ったのが、西脇サブ長のトイレ掃除のシーンです。完全にドラマオリジナルで予想もしていなかったですw
沖田が「僕だってホントは無いんだよ。確固たる目標なんて……」というシーンはドラマオリジナルでした。「口ではそれっぽく言っているけど、根っこの根っこは家族をあっと言わせたい。そこだもん」というようなセリフは(たぶん)原作にはなく、沖田の事情についてドラマなりに突っ込んでいるようでした
原作第4巻第33話~第34話は、ダメっ子の沖田に焦点があたるエピソードでしたが、同様の発言はありませんでした。ただ、海将補の父のようにはなれないと言う姉に対して沖田が「僕だって父さんみたいに…なってみせるさ…」と言ったセリフを、ドラマではさらに突き進めて上記の「家族をあっと言わせたい」というセリフにしたのでしょうか?
原田の「俺はただ、逃げてきただけだ。大事な試合でヘマして野球部にいられなくなって、とにかく逃げ出したくて、必死に理由探して、そんで防大受けて…」というシーンも、武井の「んなこと言ったら俺なんて、誰かさんに邪念の塊だって暴露されているしな」というシーンもドラマオリジナルです(前者については元ネタが原作のどこかにあるかもしれません)。
どうやら、上記のベッド上での坂木部屋長との相談の場面から、沖田の「僕たち、まだみんな同じで、弱くてフワフワしてて、だから支え合っていろんなこと乗り越えて行けばいいんじゃないかな」というセリフ、そして坂木部屋長の「今、てめぇらが欲しいもんを持ってなくても、この先で見つけりゃいいだろ?」というセリフに至るまでが、原作における松平先輩との相談場面に置き換わっているようですね。
近藤がタダでプレスかけのコツを教えると言って沖田らを驚かせたシーンはドラマオリジナルですね。
最後らへんの「金と勉強のためにここに来た。けど、今は思う。いつか何かでっかいことをやり遂げたい。こいつらと」という近藤の締めのセリフですが、ここは(少なくとも現時点での)原作とは少々軌道がズレているような気がします。
原作の第11巻第105話や第12巻第107話の「目標」「憧れ」などを始めとする原作の全体的なストーリーからすれば、防衛大学校に来た目的については、「こいつら=同期」と関連付けられるよりも「坂木部屋長」と関連付けられる方がしっくりきます。もちろん、今後の原作で近藤が「同期と何かでっかいことをやり遂げたい」という発言をする可能性はありますが。
最後にメインキャストの7名について一言ずつ(素人目でのコメントなのでご笑覧を)。
本郷奏多さん(役:近藤勇):漫画実写化の主演という胃の痛くなりそうな役どころお疲れ様でした。
小澤廉さん(役:沖田蒼司):原作の沖田の雰囲気が良く再現されていました。原作のキャラに沿った沖田の演技ができる人は限られますよね。
結木滉星さん(役:原田忠):原作と違って長髪イケメンになっていましたが、原田の言動・心情を細やかに演じられていたと思います。
小園凌央さん(役:武井寅明):最後に言わせてください……あの髪型と眼鏡は三四郎の小宮さんにそっくりですよね!? ヘルウィークの階段ランニングでコーンの代わりになっているときの表情が良かったです!
高崎翔太さん(役:坂木龍也):マイベストアクター賞を勝手に贈呈させてもらいます。特に毎度のように近藤らに怒声を飛ばすシーンは良かったです! 原作よりもデレ多めのツンデレでしたね。
伊阪達也さん(役:西脇鷹史):原作のコミカルなキャラを実写で再現するのは大変だったかと思いますが、きっちりとそれを掴んだ演技だったと思います。あと、イケボですね!
狩野健斗さん(役:松平容介):ベストキャスティングです。顔の造形から表情の作り方まで、漫画から飛び出てきたかのようにそっくりでした。
さて、ドラマの最後で発表されましたが、本作品は2020年4月にドラマと同じキャストで舞台化されるそうです。詳しくは以下リンクから!
そして11月18日に原作最新刊の第14巻が発売されました! 巻末にはTVドラマ&舞台に出演する高崎翔太さん(役:坂木龍也)と小澤廉さん(役:沖田蒼司)の対談が収録されています。撮影現場での裏話などを知ることができます! ドラマ版の視聴者の方も是非手に取ってみてください! また、第14巻については感想記事を書いているのでぜひご覧になってください!