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ポリアモリーなアニメ「カノジョも彼女」は反道徳的?――同意のある二股の反道徳性とデメリットについて

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テレビアニメ「カノジョも彼女」

 

先日、少年漫画を原作とするテレビアニメ「カノジョも彼女」の放送が終わりました。ポリアモリーについて考える機会を与えられた作品でした。

寡聞にして今回初めて知ったのですが、「ポリアモリー」とは、直也と咲と渚の関係性のように、当事者すべての同意を得て複数(三人以上)のパートナー間で恋愛関係を築くことを意味します。その下位類型には、一夫多妻制や一妻多夫制などがあります。なお、ポリアモリーの対義語は、一夫一妻制(モノガミー)です。

 

色々考えながらこのアニメを視聴していたのですが、原作漫画についての1年前の下記記事を読んだこときっかけに「カノジョも彼女」は「ポリアモリー」の問題であると類型化・言語化することができました(ちなみに、今さら気付いたのですが、2013年放送のドラマ「リーガル・ハイ」2期6話もポリアモリーがテーマとなっていました)。

 

このアニメを視聴しながら私は、直也と咲と渚のポリアモリー的な関係については、まったく反道徳的だとは思いませんでした。しかし、ニコニコ動画のコメントなどを見るに、多数派は三人の関係を「常識的ではない(したがって反道徳的である)」と捉えているようでした。

この三人の関係性の是非については、第11話にて直也と柴乃の間でやり取りがあったので、その会話に沿って、ポリアモリーの反道徳性とデメリットについて考えたいと思います。なお、私自身はポリアモリスト(ポリアモリーの実践者)ではないので想像を多分に含むところがありますがご容赦を。

 

 

反道徳的?

以下は11話にて行われた直也と柴乃の会話です。

柴乃「どうなの? 二股してるの?」

直也「そ、それは……」

柴乃「どうなの?」

直也「逆になぜそれがそんなに気になるの?」

柴乃「あのねえ、咲々は友達なの。友達が二股されていたら止めるでしょ!」

直也「たしかに!」

ここまでの会話では、二股の反道徳性が議論されていると見ることができますが、一見するとここで柴乃は直也を論破したような形になっています。

しかし、直也と咲と渚の関係は、一般的な意味の二股(つまり浮気や不倫)ではなく、当事者すべての同意がある二股(ポリアモリー)なのです。したがって、両者の区別を踏まえられていない(両者の区別が明らかでない)柴乃の主張は成立し難いといえます。

会話は以下のように続きます。

直也「とはいえ、個人の自由という考え方も!」

柴乃「そうね。でも咲々はダメ」

直也「なぜ!?」

柴乃「あの子は押しに弱いっていうか、ちょっとアホだから」

直也「アホ?」

柴乃「そう、アホ!」

直也「咲々って全力で頼み込めば流されて二股も許しちゃいそうなイメージ。ちゃんと考えてなさそうだからほっとけないの!」

注目すべきは、柴乃は、咲については「押しに弱い」からダメとしつつも、直也の「二股(ポリアモリー)は個人の自由」という考え方には同意していることです。

ここで柴乃が問題にしているのは、ポリアモリー一般の反道徳性ではなく、ポリアモリーの形成に際する咲の同意能力なのです。柴乃は、ポリアモリーそれ自体に対しては有効な反論をできてないのです。

 

 

デメリット①――不安と嫉妬

直也と柴乃の会話は続きます。

柴乃「そもそも、あなただって二股にどんなデメリットがあるか分かってる? 女の子は常にどっちが一番かの不安を抱えるのよ!」

直也「平等に愛せるかも!」

このやり取りについては、柴乃の言い分が的を射ていると思われます。どんなに平等を謳っていようとも、(全員が異性愛者だと仮定して)一夫多妻ないしは一妻多夫のポリアモリーについては、複数いる性別のパートナーたち(咲と渚)は一人しかいない性別のパートナー(直也)による順位付けが気になり、不安や嫉妬を抱きやすい構造になっていることは否定できないと思われます(当事者や研究者へのインタビュー記事①記事②も参照)。この作品でも、温泉旅行編(10話~12話)にて渚はこの問題について深く悩んでいました。

しかしながら、この問題はデメリットであるにせよ、反道徳的であると言えるのでしょうか? 当事者の同意があるにもかかわらず、構造的に不安や嫉妬を抱きやすくなることを以て反道徳的であると断ずることは難しいのではないかと思われます。

 

 

デメリット②――時間配分

直也と柴乃の会話はまだまだ続きます。

柴乃「二人っきりの時間も半分だし!」

直也「三人一緒の楽しさもあるかも!」

このような時間配分の問題については、ポリアモリーにせよモノガミーにせよ、(結婚していても一人きりの時間を好む人が存在するなど)各当事者の関係性や個人の性格といった個別事情に左右される部分が大きいと思われるので、この問題はスキップしても構わないでしょう。

 

 

デメリット③――扶養

柴乃はさらに直也に畳みかけます。

柴乃「この不況の世で二人も養える?」

これについては、柴乃の価値観は遅れていると言えそうです。男性である直也だけが外に働きに出かけ、女性である咲と渚は専業主婦になるという結婚観は、(依然として解消されない男女間の賃金格差を踏まえてもなお)時代遅れでしょう。扶養・被扶養の関係や生計の立て方については、ポリアモリーにせよモノガミーにせよ、もはや当事者次第ではないでしょうか

 

 

デメリット④――社会的理解

直也に対する柴乃の言葉は止まりません。

柴乃「相手の親に言える?」

この柴乃の言葉は、ポリアモリーの実践に際する核心的な問題を言及していると思われます。当事者の親に限らず一般化すれば、家族や友人など周囲の人々からの社会的理解を得ること(ポリアモリーをカミングアウトし、説明・説得し、受容されること)は、一夫一妻制(モノガミー)とは比較できないほどに困難を極めると思われます(もしかしたら同性愛以上の困難を抱えています)。

ポリアモリーという関係性は、その反道徳性はまったく明らかではないにもかかわらず、(少なくとも現代日本においては)社会的理解がないために隠される(そして発見されない)傾向にあるのではないでしょうか。

この作品においても、咲と渚(と直也)は、周囲に対して三人の関係性を、隠すべき理由が自明ではないにもかかわらず隠そうとしましたし、さらには興味深いことに、三人の関係性を知ることになったミリカや柴乃もそれを第三者に知られないように配慮していました。

 

 

デメリット⑤――社会制度との不合致

柴乃「そもそも民法732条で重婚は禁止。二股なんて不法行為に等しいの。籍も入れられなきゃ税制面も不利。保険の受取りができない可能性も。手術の同意書にもサインできなかったりする。様々な問題があるのよ!」

直也「べ、勉強になる……」

当事者すべての同意があるポリアモリー不法行為としての不貞行為(民法709条、770条1項1号)に該当するとは考えにくいですが(弁護士の解説)、要するに、ここでの柴乃の主張の要点は、ポリアモリーの関係性が現代日本の社会制度と合致していない点にあります。モノガミーとは異なり、ポリアモリー法律婚に移行できません。モノガミーであれば事実婚であっても税制、社会保障制度、各種保険などにおいて考慮されることがあっても、ポリアモリーについては通常想定されていません。

しかし、これらは(非常に重大な問題ではありますが)デメリットでしかなく、反道徳的であることを意味するものではありません

 

 

まとめ

以上、直也と柴乃の会話を振り返ってみると、ポリアモリーの反道徳性は明らかではなく、単に反道徳性なきデメリットが存在するだけであると言えます(もちろん重大なデメリットですが)。

したがって、単なる反道徳性なきデメリットでしかない以上は、メリット(好きな人と結ばれる幸福など)との比較衡量の上で、当事者がポリアモリーの関係を形成するか否かを決定すればよく、三者が徒に「常識」や「世間」などを持ち出して反道徳的であると非難すべきではないと思われます。

以上が「カノジョも彼女」の第11話における直也と柴乃の会話を踏まえてポリアモリーについて私なりに考えたことです。もちろん、この問題についてはまだまだ論点や視点があるようなので、暫定的な結論でしかないのですが……。

なお、ポリアモリーに類似しておりこの問題について考える際の補助線になりそうなテーマとしては、パートナーの同意を得た浮気・不倫・性風俗の利用や、生殖補助医療の問題が挙げられそうですね。

 

 

アニメ「かげきしょうじょ!!」2期を期待!――原作ストックはある?

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テレビアニメ「かげきしょうじょ!!」第13幕

 

テレビアニメ「かげきしょうじょ!!」ですが、ついに放送が終わりました。原作読者の私としても満足できるアニメ化だったと思います。私の観測範囲でも、視聴者から相当に好評でした(下記はほんの一例)。

斉木久美子が語る『かげきしょうじょ!!』制作秘話と作家生活25年の歩み 「“もう終わったな”と一度は思いました」|Real Sound|リアルサウンド ブック

大抵のアニメで原作ファンは不満を言う。かげきしょうじょのアニメは原作未読者から見れば十分傑作ですよ。「原作はもっとすごい」と言いたいでしょうが、そのすごい原作にファンを誘導する力はあるアニメですよ。

2021/09/04 21:01

斉木久美子が語る『かげきしょうじょ!!』制作秘話と作家生活25年の歩み 「“もう終わったな”と一度は思いました」|Real Sound|リアルサウンド ブック

このインタビューから配信動画を10話まで見た。大変上質なアニメでこれで原作好きが不満に思うとか贅沢がすぎる。「ちはや」や「のだめ」っぽいなと思いながら初出はジャンプ系雑誌。作者の苦労人な感じ伝わる。

2021/09/07 23:17

 

これだけ良い作品だったのだから、是非とも2期を制作してもらいたいのですが、残念ながら1期最終話の放送後に2期発表はありませんでした。が、ファンとしては2期の可能性を探ってみたくなります。

 

2期については、人気や売上の話の前に、そもそも原作ストックがない指摘されています。

というのも、既刊11巻+エピソード0=実質13.5巻分のうち7巻の1/4まで=実質8.5巻分がアニメ化されました。スピンオフエピソードを含めても、7巻の3/4と8巻~11巻の約5巻分しか残っていません。年2巻ほどの刊行ペースだと、2期の放送は数年待たなければなりません。

しかし、本当にそうでしょうか?

 

1期でアニメ化されていないエピソードを整理すると以下のようになります(×印は時系列からしてアニメ化に適さないもの)。なお、エピソード名は私が便宜的に付したものです。

 

 シーズン0

特別収録 予科生の一日編×

おまけマンガ みんなでお出かけ編×

 第1巻

第2幕 国広先生の過去編

 第4巻

第14幕 風邪の愛編×

スピンオフ 冬組トップスター・里美星編【Blu-ray第2巻特典CD】

 第5巻

スピンオフ 愛の指導役・野島聖編【Blu-ray第3巻特典CD】

 第7巻

第22幕 冬休み帰省/文化祭編①【以降、アニメの続き】

第23幕 文化祭編②

スピンオフ 中山リサ編【Blu-ray第4巻特典CD】

 第8巻

第24幕 文化祭編③/さらさ緊急帰省編①

第25幕 さらさ緊急帰省編②

第26幕 さらさ緊急帰省編③

第27幕 復活編

 第9巻(以降、本科生編)

第28幕 101期生との対面編①

第29幕 101期生との対面編②/小園桃の映画編

第30幕 決意のショートヘア編

番外編 白川宗家の娘・丁嵐志織編

 第10巻

第31幕 澄栖杏との葛藤編/オルエウ授業編①

第32幕 オルエウ練習編①/愛の先輩モード編

第33幕 オルエウ練習編②/オルエウ授業編②

番外編 財閥令嬢・伊賀エレナ編

 第11巻

第34幕 オルエウ授業編③

第35幕 オルエウ授業編④

第36幕 オルエウ授業編⑤/小園桃との再会編

番外編 さらさの異母姉・丁嵐志織編その2

 

以上をまとめると、Blu-ray特典CD化されたスピンオフ/番外編も含めて、原作21幕分(国広先生の過去編も含めれば原作22幕分)が未アニメ化エピソードとなっています。

1期(特に8話以降)のアニメ化のペースを見ると、丁寧にアニメ化された場合、おおよそアニメ1話につき原作2幕分(1巻の半分)というペースになっています(詳細は別記事を参照)。

先に述べた通り、アニメ化されていないエピソードは原作21幕分なので、単純計算すると意外なことに既にアニメ約10話分のストックはあると言えるのではないでしょうか?

アニメ2期が全12話だとすると、あと原作1巻分(4幕分)でちょうどピッタリになります。第12巻の内容も引き続きオルエウ授業編(歌劇「オルフェウスとエウリュディケ」演技指導の授業編)だと思われるので、オルエウ授業編が次の12巻で完結すれば2期12話にピッタリの尺になりそうです。

スピンオフ/番外編についても、(1期Blu-ray特典CDと重複はしますが)野島聖編(5巻)と中山リサ編(7巻)でアニメ1話分になりますし、丁嵐志織編(9巻と11巻)もアニメ1話分に足りるでしょう。また、1期8話の薫の夏休み編のように、里美星編(4巻)もアニメ1話分になり得るのではいでしょうか。

 

まったくの希望的観測ですが、もし仮に、1期の好評を受けて製作委員会がアニメ2期を決定し、その発表が早い時期にあるとすれば、2021年12月12日のイベント時か、2022年初春に予定されている原作12巻の刊行時だと思われます。

 

いずれにせよ、2期を非常に期待しています!!

 

 

【はめふら】祝!どこまで映画化される?【乙女ゲームの破滅フラグしかない悪役令嬢に転生してしまった…】

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はめふら映画化決定!

 

先日放送が終了した乙女ゲームの破滅フラグしかない悪役令嬢に転生してしまった…X」(2期)ですが、映画化の発表がありましたね! おめでとうございます! ありがとうございます!

この記事では、映画化の範囲を考えたいと思います。

 

 

1期~2期を振り返る

1期

1~3話:原作1巻/コミック1巻

4~6話:原作2巻の前半/コミック2巻

7~8話:アニメオリジナル

9話:原作1巻・5巻・6巻の各一部とアニメオリジナル

10~12話:原作2巻の後半/コミック3~4巻

2期

1~5話:原作3巻/コミック5~6巻

    (2話・4話はほぼアニメオリジナル)

6話:アニメオリジナル

7話:アニメオリジナル

  (キースの夢の元ネタはコミック4巻番外編小説)

8話:原作5巻(短編集)の一部

9~11話:原作4巻

12話:原作6巻の冒頭

以上からは、おおよそ原作1巻分にアニメ3話を費やしていることが分かります。

 

 

どこまでが映画化される?

90分尺の映画と想定しつつ、テレビアニメの各話本編(OP/EDを除いたもの)が1話あたり実質20分程度であることを踏まえると、単純計算で90分映画はテレビアニメ4.5話分となります。さらに、原作1巻分=テレビアニメ3話分という今までの相場を考慮すれば、テレビアニメ4.5話分=原作1.5巻分と計算できます。

以上を踏まえると、原作の続きはどこまで映画化されるのでしょうか? ここからはアニメ派の方々にとっては若干のネタバレになるのですが、原作の続巻は次のような内容になっています。

  • 6巻:魔法学園卒業、魔法省入省、部署配属試験
  • 7巻:失われた魔法の捜索
  • 8巻:近隣諸国の王族貴族との舞踏会
  • 9巻:人身売買の調査
  • 10巻:闇の魔法の調査、孤児院への訪問
  • 11巻:王城への訪問、デューイの実家への訪問

 

6巻の映画化は間違いなし?

6巻の魔法学園卒業編(1章)については2期最終話で既にアニメ化されており、残りは魔法省入省編(2章)と部署配属試験編(3~5章)です。2期の続きがアニメ化されるとなれば、6巻2~5章の映画化の可能性はほぼ間違いないように見受けられます。この巻は戦闘描写があり、劇場映えしそうです。

 
6巻+7巻の可能性?

先ほど原作1.5巻分程度が映画化されるのではないかと概算しましたが、6巻(の2~5章)だけが映画化されるとなれば、テンポの遅い冗長なストーリー展開になってしまいそうです。となると、次の7巻も映画化される可能性は高いと思われます。

とはいえ、7巻は、魔法省の敷地内で、失われた魔法の捜索をするだけであり、戦闘や誘拐といった展開はありません。これが映画のクライマックスとなると、やや迫力に欠ける可能性があります。もしかすると、6巻2章→7巻→6巻3~5章というように、順番を入れ替えた脚本になるかもしれませんね。

 
6巻+8巻の可能性?

別の可能性も考えられます。7巻とは違って、8巻には戦闘描写があります。

カタリナが魔法省に入省して以降(6巻以降)、ストーリーの主軸は闇の魔法に関する調査・捜索となるのですが、8巻の「近隣諸国の王族貴族との舞踏会」編だけは、あまり闇の魔法と関係ないエピソードとなっています。そのため、やや盛り上がりに欠ける7巻を映画の後半に持ってきたり、6巻と7巻の順番を入れ替えて闇の魔法に関する時系列を複雑化させたりするのではなく、7巻をスキップして6巻と8巻を映画化する可能性も考えられるのではないでしょうか。

なお、8巻だけを映画化するという可能性もありますが、90分という長尺に耐えられないと思われるため、この可能性は低いと思われます。ただし、8巻の内容が原作よりも盛られてアニメ化される可能性はそれなりにあると思います(2期1~5話が原作3巻に対応するものの、そのうち2話と5話が原作の内容を膨らませ実質アニメオリジナルのエピソードになったのと同様の可能性です)。

ちなみに、6巻と9巻以降の組み合わせは、原作のストーリー展開との整合性を持たせることが難しくなりそうなので、この可能性は考慮しなくても良いと思われます。

 

6巻+5巻の可能性?

6巻に加えてアニメ化されていない5巻(短編集)のエピソードが映画化される可能性も考えられますが、これは多分ないと思われます。せっかくテレビにはない長尺で映画化できるのに、短編の組み合わせはあまりにももったいないからです。

 

6巻+オリジナルエピソードの可能性?

6巻+5巻と同じ理由により、6巻とアニメオリジナルの短編エピソードの組み合わせによる映画化の可能性はないと思われます。ただし、6巻の内容が原作よりも盛られてアニメ化される可能性は十分あると思います。

 

全編オリジナルの可能性?

全編オリジナルで映画化される可能性も十分あります。ただし、その場合には、わざわざ2期最終話の最後に「FORTUNE LOVER Ⅱ」や魔法省の新キャラクターが描写されたこととの整合性を考える必要があります。これについては、映画は全編オリジナルストーリーで、原作6巻以降はテレビアニメ3期に任せるという説明が最も整合的です。テレビアニメ視聴者のすべてが映画館に行くわけではないだろうことを考慮すれば、これがテレビアニメ視聴者にとって最も親切な構成となります。

現時点で映画に加えて3期まで決まっているのは早計のような気もしますが、映画の最後に3期発表という流れならあり得るのでしょうか。

 

総集編の可能性?

わざわざ2期最終話に、テレビアニメを再編集した総集編映画の告知はしないと思うので、この可能性はないと考えて良いはずです(そう信じています)。

 

まとめ

以上をまとめると、私としては、以下の組み合わせが映画化される可能性が高いと思います。

  • 6巻+7巻(6巻→7巻)
  • 6巻+7巻(6巻2章→7巻→6巻3~5章)
  • 6巻+8巻
  • 8巻+オリジナルエピソード【外伝的な位置づけ】
  • 6巻+オリジナルエピソード
  • 全編オリジナル【外伝的な位置づけ】

まったく可能性を絞り切れていないですが、いずれにせよ続報を待ちましょう! 来年くらいには劇場で観られるといいですね!!

 

 

 

【かげきしょうじょ!!】渡辺さらさと白川暁也は本当に恋人関係なのか?【考察】

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『かげきしょうじょ!!』第6巻

 

この記事で考察するのは、漫画/アニメ『かげきしょうじょ!!』における渡辺さらさと白川暁也の関係性です。

 

白川暁也と白川煌三郎の会話

漫画6巻19幕55頁以下(アニメ12話)のさらさの過去の回想によれば、白川暁也と白川煌三郎の間で以下のような会話がありました。

さらさが紅華音楽学校に合格し東京を離れることになったことを受けて、煌三郎は暁也に対して「じゃあyou付き合っちゃいなYO」と、さらさと暁也が恋人関係になることを提案します。その理由について、煌三郎は「私はさらささんの人生の大切な青春時代も見守っていたいんだよ。幼馴染だと距離で疎遠になるが、恋人なら努力するだろう?」と語っています。

このような提案を受けて暁也は「そういうのはご自分で何とかして下さいよ…」と、さらさと恋人関係になることに対して消極的・否定的な返答をします。

しかし、煌三郎は、「暁也、お前、このまますんなり16代目白川歌鷗になれると思うなよ。歌鷗さんはね、自分が認める逸材がでてきたら、反対を押し切ってでも芸養子にするだろうね。もしそういう場合が来た場合、それを止められるくらいの信頼を私は歌鷗さんから得ているつもりだよ」と暁也に言います。

ここで確認ですが、現状、15代目白川歌鷗の部屋子(幹部俳優の楽屋に預けられ芸を仕込まれる、幹部候補生的な立場の者〔2巻6幕43-44頁〕)であり、息子がいない15代目白川歌鷗の従兄弟の子にあたるため、暁也は16代目白川歌鷗の最有力候補となっています(『エピソード0』5幕135頁、6幕171頁)。しかし、15代目白川歌鷗がわざわざ血縁のない芸養子を迎えるとなれば、16代目白川歌鷗はその人に継がれるに間違いありません。

本当に15代目白川歌鷗が「反対を押し切ってでも芸養子にする」心づもりなのかは分かりません(煌三郎の勝手な推測の可能性が十分にあります)。とはいえ、いずれにせよ上記発言によって煌三郎は16代目白川歌鷗になるという暁也の夢を手玉に取るような形で半ばパワハラ的に暁也を追い込みます

 

渡辺さらさと白川暁也の関係性

上記の消極的・否定的な返答から伺えるように、暁也は、さらさに対して幼馴染としての好感は持てども、恋愛的な意味での好意は抱いていなかったため、恋人になるつもりはないように見受けられます。暁也は、16代目白川歌鷗になれないかもしれない可能性とさらさと本意ではない恋人関係になることの間で苦悩するのですが、結局、水族館では自分からさらさに告白することはできませんでした。

ところが、さらさは、煌三郎が暁也にさらさと恋人になるよう提案した会話を陰で聞いていました。そこで、さらさは暁也の苦悩を知り、16代目白川歌鷗になるという暁也の夢を応援するために、自分から暁也に「さらさの彼氏になってください」と提案したのです。

このような経緯があるために、さらさと暁也は、形式的には恋人関係ですが、その実質はあまり備わっていません。むしろ、奈良田愛が訝しむように(2巻8幕〔アニメ7話〕)、ライバルや同士のような関係と言えるでしょう。実際に二人のには、恋人のようなイチャイチャしたやり取りはなく、むしろ折に触れて真面目に芸事のアドバイスがなされています(2巻8幕〔アニメ7話〕、5巻15幕〔アニメ11話〕、8巻25幕など)。

 

作者の見解

作者の斉木先生も、さらさと暁也の関係性について同様のことを言及されています。

まず、『公式ガイドブック』(2021年7月発売)のインタビューでは以下のような発言がありました(感想記事はこちら)。

――恋と言えば、劇中でのさらさと暁也の恋も気になるところですが。

斉木 発展するのかしら(笑)。ふたりの関係も彼氏彼女と言っていますが、キスもしているんだかしていないんだか…という感じですよね。さらさは暁也のことが好きなんだけど、でもどこかおままごとっぽい感じがあるし、「彼氏彼女という響きが嬉しい」とか「恋愛に憧れている女の子」という感じかな。読者もふたりの関係のさきは望んでいないような気もしますし。

ここで斉木先生は「さらさは暁也のことが好きなんだけど」と語っています。この「好き」に、「ライバルや同士のような関係」に基づく好意だけでなく、恋愛対象に対する「好き」の感情も含まれているのかは微妙なところですが、その後に収録したと思われるリアルサウンドインタビュー記事では、以下のように語っています。

――本作には恋愛だけには留まらない、さまざまな男女の関係性も登場します。

斉木 『かげきしょうじょ!!』では、あまり恋愛には重きを置いていません。さらさと歌舞伎役者の白川暁也も一応恋人ではあるけれど、恋愛と友情の狭間、むしろ友情に近い感じの関係性です。ですが、「ジャンプ改」から「メロディ」に移った時、女性誌だから恋愛要素を入れなきゃいけないのかなと、盛り込もうとした時がありました。ところが当時の編集さんに、恋愛はいらないですと大反対されました。上層部の方にも群像劇で進めてよいと言っていただき、無理に恋愛を入れなくてもいいんだと、ほっとしながら進めた思い出があります。

ここで斉木先生は「恋愛と友情の狭間、むしろ友情に近い感じの関係性」と言及されており、先に考察した私の考えと同旨と言えるでしょう。

 

残された問題

さらさと暁也の関係性について、残された問題は二つあります(アニメ派の人はネタバレ注意!)。

一つ目は、恋人になったきっかけを暁也が知っているのか否かです。暁也と煌三郎の会話をさらさが陰で聞いていたことを暁也は知っているのでしょうか? さらさは暁也にそのことを明かしていないと思われますが、もし暁也が知っていればさらさに負い目を感じてしまうと思われます。

二つ目は、暁也とさらさを恋人関係にしてまで神戸に行ったさらさの動静を煌三郎が知りたがるの理由です。作中情報によれば、さらさは15代目白川歌鷗の隠し子であって、白川煌三郎とは妻の異母妹(義父の娘)の関係に過ぎず、煌三郎がさらさに執着すべきような血縁関係はありません

ここであり得る仮説としては、煌三郎はさらさが紅華に入学して東京を離れても彼女を見守るという実績を重ねることにより、15代目白川歌鷗に恩を売るというものです(詳細は第9巻の記事を参照)。しかし、それだけでは煌三郎の言動を説明するのに不十分な気がするんですよね。いずれにせよ、これからの展開が楽しみです!

 

 

各巻の感想・考察記事はこちらから!

 

 

 

 

【かげきしょうじょ!!】公式ガイドブックの感想・考察――さらさの出生についてアレコレ、作品のテーマやタイトルについて等々

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『かげきしょうじょ!! 公式ガイドブック オンステージ!』

 

現在テレビアニメが絶賛放送中の「かげきしょうじょ!!」ですが、この記事では、最近発売された『かげきしょうじょ!! 公式ガイドブック オンステージ!』の感想・考察を書き連ねます。11巻までの内容に触れますのでネタバレにはご注意ください。

なお、この記事では、公式ガイドブック(企画・構成・編集は樹想社)の情報は、作者の斉木久美子先生によってすべて確認済みの真正な公式情報であることを前提としています。

 

 

全体の感想

公式ガイドブックに先んじて白川家・渡辺家の家系図を勝手に作る私のような読者にとっても、新情報は多々ありました。脇役たちの本名、紅華音楽学校の時間割や年間スケジュールなどは本編からでは知り得ない情報でした。

また、特に、斉木先生のロングインタビューや里美星役の七海ひろきさん(元宝塚男役)との対談は、種明かし的なお話もたくさんあって、かなり楽しめました。

もちろん、本誌に掲載されたカラーページが収録されているのも見どころです。

 

 

さらさの出生の秘密について

以前、第8巻の記事で、以下のような仮説を立てたことがありました。

それでは、さらさの母親はいったい誰なのでしょうか?

ここで一つの(突飛な)仮説が立てられます。それは、さらさの母親は女優・奈良田君子(奈良田愛の母親)ではないか、という説です。つまり、さらさと愛は姉妹ではないか、ということです。

 

このように考えるようになったのには、以下の理由があります。

  • さらさと愛は1歳差であり、姉妹でもおかしくないこと(3巻11幕85頁によれば、入学時の年齢は、さらさは15歳で中3受験合格、愛は16歳で高1年代受験合格)。
  • さらさの祖母が亡くなった時期=さらさの幼少時代(2巻7幕91頁以下)と、愛の祖母が亡くなった時期=愛が9歳の頃(『エピソードゼロ』193頁の「おばあちゃんは私達に沢山の財産と美貌を残して、七年前にこの世を去りました」)が符合しており、両者は同一人物の可能性がある

しかし、公式ガイドブックによれば、愛とさらさは1歳差ではありますが、愛は11月14日が誕生日さらさは7月1日が誕生日ということが明らかになりました(14頁、20頁)。愛とさらさの誕生日の差は7.5ヵ月ほどしかありません!

さらさが早産児だった可能性も捨て切れませんが、やはり、7.5ヵ月という妊娠・出産の間隔は短すぎるので、愛とさらさが姉妹という仮説は捨てざるを得ないでしょう。

 

 

さらさの母親と父親について

第8巻の記事では、以下のような考察も行っていました。

そもそも、さらさの母親は生きているのでしょうか? それとも亡くなっているのでしょうか?

さらさが2巻5幕22頁以下の墓前や8巻26幕98頁の仏壇で故人の祖母だけに挨拶していることからすれば、おそらく、さらさの母親は生きていると思われます。おそらく彼女は、15代目白川歌鷗との間に生まれたさらさを父母(さらさの祖父母)に預け、渡辺家を出て行ったのではないでしょうか。

この点について、公式ガイドブックは肯定も否定もしていませんでした(99頁)。

また、公式ガイドブックには、白川煌三郎がさらさから実父ではないかと疑われている旨の記述がありました(91頁)。

たしかに、白川煌三郎が度々、匿名でさらさに対して赤い薔薇を贈ることに対して、さらさは「その薔薇を見ていると、さらさの会ったことのないお父さんに…見守られている気分になるんですよ」と語っています(8巻26幕118-119頁)。

しかし、我々読者は薔薇の送り主が煌三郎であることを知っていますが、さらさはそれを知りません(そのような描写はありません)。私が読んだ限りでは、煌三郎が父親ではないかとさらさが疑っていることを直接明白に読み取れるシーンはないのです。

この点、公式ガイドブック91頁は、8巻25幕のさらさと煌三郎の会話のシーンを添えつつ、明示的にその旨を記しています。

 

 

さらさと暁也の関係について

以前、第8巻の記事にて、第6巻で描写されたさらさと暁也の関係について、以下のような考察を行ったことがありました。

奈良田愛が訝しんでいるように、渡辺さらさと白川暁也の関係は、恋人というより、ライバルや同士のような関係です。

6巻19幕60頁以下で明らかになった過去によれば、白川煌三郎は、16代目白川歌鷗=助六になるという暁也の夢(2巻7幕114頁以下)を手玉にとるような形で、暁也がさらさと付き合うことを提案したのです

さらさに幼馴染としての好感は持てども恋人になる気はなかった暁也は煌三郎の(半ばパワハラ的な)提案を受け入れるかどうか悩みますが、煌三郎と暁也の会話を陰で聞いていたさらさは、彼女の方から「さらさの彼氏になってください」と提案します。きっとさらさは暁也の夢を応援するためにこのような提案を行ったのでしょう。

そのため、さらさと暁也は、周りから見れば恋人関係ですが、本人同士にとってみればライバルや同士のような関係なのです(恋人になったきっかけについて暁也が気付いているのかは分かりませんが)。

このような二人の関係について、斉木先生はインタビューで以下のように語っています(155頁)。

――恋と言えば、劇中でのさらさと暁也の恋も気になるところですが。

斉木 発展するのかしら(笑)。ふたりの関係も彼氏彼女と言っていますが、キスもしているんだかしていないんだか…という感じですよね。さらさは暁也のことが好きなんだけど、でもどこかおままごとっぽい感じがあるし、「彼氏彼女という響きが嬉しい」とか「恋愛に憧れている女の子」という感じかな。読者もふたりの関係のさきは望んでいないような気もしますし。

ここで斉木先生は「さらさは暁也のことが好きなんだけど」と語っています。斉木先生も言及しているように、この「好き」には一定のニュアンスがあります。この点、ここの「好き」には、以前私が考察した「ライバルや同士のような関係」に基づく好意だけでなく、恋愛的意味の「好き」の感情も少なからず含まれているようなニュアンスで斉木先生は語っています。これについては、漫画本編から私は読み取れませんでしたので、新情報でした。

(追記:さらさと暁也の関係については、こちらの記事でまとめています)

 

野島聖について

紅華音楽学校を卒業後、紅華歌劇団に入団しなかった野島聖(第7巻スピンオフ)について、斉木先生からある種明かしがありました(138頁)。「7巻以前の劇中でもじつは『この子は辞める』という雰囲気の種は少しまいてあったりするんですよ」と斉木先生は七海さんとの対談で語っています!

驚きの情報です。急いで確認しました。読み返してみると、たしかに1つだけそのようなシーンが見つかったのです(他にもあるかもしれませんが)。

6巻20幕148頁にて、聖とさらさが会話するシーンです。さらさが「文化祭が終わったらいよいよデビューですね!」と語りかけるのですが、「そうね」と返事した聖は物憂げな表情をしているのです。第7巻を読んだ後でも気づきませんでした!

 

 

『かげきしょうじょ!!』のテーマについて

以前、第10巻の記事で、以下のように考察したことがありました。

31幕には、高木先生の印象的な言葉がありましたね!

Reborn.毎公演、役とともに生き、そして新たに生き返れ」

ここで思い出すのは紅華乙女の魂です。第8巻の記事でも書きましたが、過去にも似たようなセリフが登場しているのです。

一つ目の熱いセリフは、ティボルト役を失敗した愛に向けてさらさが言った「失敗したって、また何度でも蘇りましょう!」です(8巻27幕142頁)。

そして、このセリフに勇気づけられた愛は、文化祭の失敗を気遣う安道先生に対して、「大丈夫です。失敗しても何度でも蘇りますんで」と宣言します(8巻27幕147頁)。

ところで、このセリフ、なんだか見覚えがありませんか? それもそのはず、第1巻に同様のセリフが登場しているのです!!

さらさと出会った国広先生が少年時代を回想したときのことです(1巻2幕73頁以下)。空襲で大劇場も台本もすべてが燃えて無くなってしまったとき、国広少年に対して「白薔薇のプリンス」こと櫻丘みやじが語った言葉です。

「全てが無くなってしまった。でもね少年よ。紅華は死なない、私が死なせない」

「何時の世も人々には夢が必要だ。この焼け野原を超えて行けるよう私はまた皆に夢をみせよう。皆がそう望むのなら、私達は死なない。私たちは何度でも蘇るだろう」

このセリフのことを国広先生はさらさに伝えていません。しかし、それにもかかわらず、さらさは同様のセリフを放ったのです! まさに紅華乙女の魂が隠然と受け継がれているのを感じませんか?

ここまで繰り返して「生まれ変わる」ことが強調されると、紅華乙女のあり方ひいては本作品のテーマの核心がここにあるのではないかと感じてしまいます。

そして、公式ガイドブックの七海さんとの対談にて、斉木先生は「じつは『あきらめない』『何度でも生まれ変わる』『挫折からの再生』…、それは『かげきしょうじょ!!』のテーマでもあるんですよ」と語っているのです!(137頁) どうやら私の見方は間違っていなかったようです。

(追記:こちらのインタビュー記事でも斉木先生が同様のことを語っています)

 

 

『かげきしょうじょ!!』のタイトルについて

斉木先生がインタビューで明かしたことによれば、『かげきしょうじょ!!』というタイトルには「歌劇」と「過激」の二つのニュアンスが込められているそうです(155頁)。当然のように「歌劇少女」と変換して読んでいた私からしてみれば、驚きの情報でした!

さらに驚くべきことに、「恋に過激な少女」と勘違いして「エッチなマンガだと思っていた方も少なからずいらっしゃったみたいで」とも笑

 

 

以上が公式ガイドブックの感想・考察です。おそらく漫画をわりと読み込んでいる読者に分類される私からしても(だからこそ?)、新情報もそれなりにあり、かなり楽しめる内容でした!

気になる方は、まずは試し読みを! そして是非ご購入を!

 

 

各巻の感想・考察記事はこちらから!

 

 

 

【9/26追記】「かげきしょうじょ!!」アニメ化の範囲は?――原作漫画のエピソードの取捨選択について

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テレビアニメ「かげきしょうじょ!!」第1話

 

ついに放送が開始されましたテレビアニメ「かげきしょうじょ!!」ですが、原作漫画はどこまでアニメ化されるのでしょうか? 色々な情報を総合して考察してみました。

 

 

公式情報(その1)

公式情報によれば、アニメBlu-ray特典として、スピンオフの収録されたドラマCDが封入されるようです。ということは、ここでCDドラマ化されたエピソードはアニメ本編には組み込まれないことを意味します。具体的には、以下の3エピソードがCDドラマ化されるようです(なお、Blu-ray第1巻の特典CDには、アニメ1話で流れたJPX48の「ごめんねLOVE」が収録されるようです)。

  • Blu-ray第2巻特典CD スピンオフドラマ「ファントム」
  • Blu-ray第3巻特典CD スピンオフドラマ「絶対ヒロイン」
  • Blu-ray第4巻特典CD スピンオフドラマ「99期生の卒業式」

 

 

公式情報(その2)

監督の米田和弘さんとシリーズ構成の森下直さんの対談記事では、以下のようなやり取りがありました。

――原作のエピソードの取捨選択を行う上では、どこがポイントだと考えておられましたか?

森下 全体の流れでいうと、最初は間違いなくさらさと愛を中心に話を進めようと思いました。そうしつつも、他の生徒たちや先生たちのキャラクターやバックグラウンドがじわっとわかるようにする。〔中略〕軸に絡まないエピソードにもいいものがたくさんあって、泣く泣く削ったものもあります。スピンオフ的なエピソードは、本編には何とかギリギリ一本だけ入れられた感じですね……。

米田 原作を読んじゃうと、どうしても欲張りたくなってしまうんですけど、エピソードの区切りの良いところまではアニメ化したいというのが大前提であったので、どうしても学校生活のエピソードが中心にはなりました。ただ、森下さんにエピソードの取捨選択は基本お任せしていたんですが、僕の大好きなスピンオフのエピソードが一本、何も伝えてないのに構成に入っていたんですよ。あれはうれしくて、見たときに「よっしゃ!」と思いました(笑)。

このやり取りの要点をまとめると、以下のようになります。

① さらさと愛の物語が中心となる。
② 学校生活が物語の中心となる。
③ スピンオフエピソードのアニメ化は1つだけ。

①については、そもそも『かげきしょうじょ!!』の主人公がさらさと愛なので、①から得られる情報は抽象的すぎます。②については、帰省やさらさの過去に関するエピソードが削られる可能性を示唆していると思われます。③については、Blu-ray特典CDにスピンオフエピソードが3つ盛り込まれていることと併せて考える必要がります。

 

 

原作漫画を振り返る

さて、アニメ化の範囲の考察の前提として、まずは原作漫画のエピソードを振り返る必要があります(微ネタバレ注意!)。なお、ほとんどのエピソード名は私が便宜的に付けたものです。

  シーズン0(現在休刊の集英社ジャンプ改」に掲載)

第1幕 紅華音楽学校受験編【アニメ1話】

第2幕 合格発表・入学説明会・入寮編【アニメ1話】

第3幕 自衛隊集団行動訓練編【アニメ1話】

第4幕 本科生との顔合わせ編【アニメ2話】

第5幕 自己紹介編【アニメ2話】/さらさの彼氏疑惑編

第6幕 さらさと愛の言い争い編【アニメ3話】

第7幕 愛の過去編【アニメ3話】

第8幕 本科生の指導・タップダンス授業・愛とオタクの再会編①【アニメ3話】

第9幕 愛とオタクの再会編②【アニメ4話】

第10幕 さらさと愛の葛藤編【アニメ4話】

第11幕 愛とオタクの再会編③【アニメ4話】

第12幕 予科生観劇日編【アニメ5話】

第13幕 彩子のダイエット編①【アニメ5話】/日舞授業編

第14幕 彩子のダイエット編②【アニメ5話】

特別収録 予科生の一日編

おまけマンガ みんなでお出かけ編

  第1巻(移籍後の白泉社「メロディ」に掲載)

第1幕 「表現力」編【アニメ6話】/舞台裏見学編【アニメ2話】

第2幕 国広先生編

第3幕 実技練習編【アニメ6話】

第4幕 実技授業編【アニメ6話】

  第2巻

第5幕 夏休み帰省編①【アニメ7話】

第6幕 さらさと暁也の過去編①【アニメ7話】

第7幕 さらさと暁也の過去編②【アニメ7話】

第8幕 夏休み帰省編②【アニメ7話】

  第3巻

第9幕 紅華大運動会準備編①【アニメ9話】

第10幕 紅華大運動会準備編②/沢田姉妹の葛藤編①【アニメ9話】

第11幕 紅華大運動会準備編③/沢田姉妹の葛藤編②【アニメ9話】

スピンオフ 男役志望・星野薫の夏休み編【アニメ8話】

  第4巻

第12幕 紅華大運動会編①【アニメ10話】

第13幕 紅華大運動会編②【アニメ10話】

第14幕 風邪の愛編

スピンオフ 冬組トップスター・里美星編【Blu-ray第2巻特典CD】

  第5巻

第15幕 文化祭オーディション準備編①【アニメ11話】

第16幕 文化祭オーディション準備編②【アニメ11話】

第17幕 文化祭オーディション編①【アニメ11話】

スピンオフ 愛の指導役・野島聖編【Blu-ray第3巻特典CD】

  第6巻

第18幕 文化祭オーディション編②/彩子の過去編【アニメ12話】

第19幕 文化祭オーディション編③/さらさと暁也の過去編③【アニメ12話】

第20幕 文化祭オーディション編④/さらさと暁也の過去編④【アニメ13話】

  第7巻

第21幕 紗和のオーディション反省編【アニメ13話】

第22幕 冬休み帰省/文化祭編①

第23幕 文化祭編②

スピンオフ 中山リサ編【Blu-ray第4巻特典CD】

  第8巻

第24幕 文化祭編③/さらさ緊急帰省編①

第25幕 さらさ緊急帰省編②

第26幕 さらさ緊急帰省編③

第27幕 復活編

既刊11巻ですが、予科生編は第8巻までであり、流石にアニメ化されないと思われる第9巻以降の本科生編は省略します。

 

 

アニメ化されるスピンオフエピソードは?

上記の原作漫画の振り返りから分かるように、原作で描かれているスピンオフは以下の4つで、そのうち3つが特典CD化される予定となっています。

  • 原作3巻 星野薫編
  • 原作4巻 里美星編【Blu-ray第2巻特典CD「ファントム」】
  • 原作5巻 野島聖編【Blu-ray第3巻特典CD「絶対ヒロイン」】
  • 原作7巻 中山リサ編【Blu-ray第4巻特典CD「99期生の卒業式」】

前記のインタビュー記事で、シリーズ構成の森下さんが、アニメ本編にはスピンオフエピソードが1本だけ入ると語っていたので、唯一特典CD化されない星野薫編がアニメ化されることは間違いないでしょう。

さらに言えば、主人公のさらさと愛は格別として、薫以外の同期のメインキャラクター(山田彩子、沢田千夏、沢田千秋、杉本紗和)には、以下のように漫画本編にてそれぞれ焦点が当たるエピソードがあります(いわゆる「当番回」です)。

  • 彩子のダイエット編(シーズン0第13幕~第14幕)
  • 沢田姉妹の葛藤編(第10幕~第11幕)
  • 紗和のオーディション反省編(第21幕)

漫画本編に描かれた彼女たち4名の当番回がアニメ化される一方で、薫にはアニメでの当番回がないのは不平等に感じられますので、このことからも、漫画のスピンオフで描かれた星野薫編もアニメ化されると考えられます。

 

 

全体でどこまでアニメ化される?

漫画本編の区切りの良さと、特典CD化されるエピソードの選択を考えれば、アニメは第8巻末の予科生編までの1年間を描くことになりそうです

しかし、エピソード0は通常巻の約2.5倍のページ数であるため、第8巻までのアニメ化は実質10.5巻分のアニメ化を意味します。私の視聴経験上(アニメオリジナルのエピソードが挿入されない場合、かつ、原作を大幅に短縮・改変しない場合)、1クール12話前後のテレビアニメは一般的に原作漫画5巻前後に相当するケースが多いため、「かげきしょうじょ!!」は一般の約2倍の原作量のアニメ化に挑戦することになります。

「かげきしょうじょ!!」は全13話でアニメ化予定なので、これより条件は緩和されますが、しかしなおエピソードの厳しい取捨選択がなされることになるでしょう。

ここで、先のインタビュー記事で明らかになった「さらさと愛の物語が中心となる」「学校生活が物語の中心となる」を踏まえると、帰省やさらさの過去に関するエピソードは削られることになりそうです(ただし、物語の軸と密接に関連するエピソードもあるので、脚本構成には苦労しそうですが)。アニメ公式サイトの登場人物のページに白川家の面々が掲載されていないことも、これを示唆していると思われます。とはいえ、これらのエピソードを削ったとしても、せいぜい漫画2巻分くらいなので、実質8巻分ほどを脚本化しなければなりません。

となると、最も区切りの良い予科生編の終わり(第8巻)までではなく、次に区切りの良い大運動会編(第4巻)までをアニメ化するという選択肢も浮かび上がります。巻数もちょうどくらいです。しかし、特典CDとの整合性に欠く点、第7巻の紗和の当番回がなくなってしまう点は見過ごせません。

以上を踏まえると、脚本構成の工夫により、予科生編の終わりまでがアニメ化される可能性が一番高いと思われます。いずれにせよ、アニメの放送が楽しみです!!

 

 

(8/1追記)アニメ化は大運動会編まで?

アニメ第5話の時点で、ちょうどシーズンゼロの本編までがアニメ化されれました。このペースだと、アニメ化できるのは大運動会編(第4巻)までくらいのように思われます。

また、劇伴やキャラクターソングが収録された音楽集の詳細も公開されています(一部未公開項目あり)。CD2枚組に81曲が収録されている盛りだくさんな音楽集ですが、注目すべきは、その曲目です。

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TVアニメ「かげきしょうじょ!!」音楽集

DISC1の冒頭から順に劇伴が使用されていったと考えると、彩子がメインとなったアニメ5話の時点で「DISC1 M32 あなたの歌」までが使用されたと見られます。

そこで、どこまでアニメ化されるかのヒントとして、M33以降の劇伴タイトルを見ていくと、いくつか発見がありました。

  • 「DSIC1 M40 花火大会」は、星野薫の過去編(3巻スピンオフ)を、
  • 「DSIC2 M6 運動会」「DISC2 M7 4人のトップスター」は、大運動会準備編(3巻)と大運動会編(4巻)を、

それぞれ指していると思われます。このことから、4巻の大運動会編まではアニメ化されると考えられます。

気になったのは、「DISC1 M44 杉本紗和」です。原作における紗和の当番回は、紗和のオークション反省編(7巻21幕)です。また、「DISC1 M42 お風呂の会話」も、文化祭オーディション準備編(5巻15幕)の場面を指しているように見えます。しかし、このまま原作を大きくスキップすることなければ、ここまでアニメ化されるようには思えません。いったいどうなるのでしょうか?

 

(9/11追記)アニメ化されるのは文化祭オーディション編までのよう!

これまでアニメ化される範囲について、①予科生編の終わりまで(8巻)、もしくは、②大運動会編まで(4巻)と予想してきましたが、どうやら文化祭オーディション編および紗和のオーディション反省編(7巻21幕)までがアニメ化されるようです。

そもそも、8月3日に配信された上坂すみれさん(役・杉本紗和)と佐々木李子さん(役・山田彩子)の対談記事にて、紗和にスポットライトが当たる回があると言及されています。

さらに言えば、OP映像にも十分なヒントが隠されていました! OP映像の最後の部分における愛の髪型です!! 愛は作中の時間経過とともに髪型がどんどん変わるので、どこまでアニメ化されるかについての十分なヒントとなるのです! 大運動会編まで(4巻)はこんなに髪は伸びておらず、この長さになるには文化祭オーディション編までアニメ化される必要があります!

また、ED映像の最後の部分の予科生全員のシルエットは紗和のオーディション反省編に登場する生徒募集ポスターを基にしています!

今から思い返してみると、既に最初からヒントがあったなあと反省しきりです。

残り3話で文化祭オーディション編および紗和のオーディション反省編まで(7巻21幕=原作約2巻分)が描かれるようですが、ここを丁寧にアニメ化するとなると、最も区切りの良い予科生編の終わり(8巻27幕=原作約2巻分)までのアニメ化は無理そうです。

文化祭オーディション編がアニメ化される以上は文化祭当日もアニメ化されなければならないと当初は考えていたのですが、現在はあまりそう思っていません。そもそも、原作読者ならご存知の通り、オーディション編に比べると文化祭はさらっと終わってしまいます。また、主人公が音楽学校生であることを考えれば、むしろ成長途上が露わになるオーディションこそをメインに据えるべきとも言えます。

残り3話が楽しみですね!

 

 

2021春アニメの感想――9作品ひとことコメント

 

6月も終わりまた1クールが終わったので、この記事では、私の視聴した2021春アニメ9作品について適当なコメントを書きたいと思います!(五十音順)

 

 

イジらないで、長瀞さん

① 第1話で長瀞さんにイジられるときの先輩のオロオロする目の動きが秀逸でした!

② 長瀞さんのいない間に友達ギャルに先輩がちょっかいをかけられる展開が好きでした笑

③ 特に二人が出会ってから日が浅いアニメ前半では、個人的に長瀞さんのイジりは畳みかけ過ぎと感じてしまいました。そのため、相対的にイジり頻度が低い友達ギャルの方の好感度が上がりました。そもそも、ツンデレヒロインが登場する作品に共通することですが、ヒロインがデレたり赤面したり照れたりする場面は、主人公は把握しておらず、読者・視聴者しか把握できていないことが多いんですよね。そのため、フィクションとして第三者目線から楽しむのならともかく、現実世界で当事者としてあのように執着されたらイジメ被害者の意識を持ってしまいそうではありませんか?

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先輩をイジっているのを長瀞さんに見つけられた友達ギャル

 

 

究極進化したフルダイブRPGが現実よりもクソゲーだったら

① 「リアルさを極めたゲームは実はつまらないのではないか?」という思考実験を提供する興味深い作品でした。現在の技術水準ではフルダイブ型のゲームの実現は無理なので考えたこともなかったのですが、この作品が提示したテーゼはもしかしたら将来的にゲーム制作の方向性に影響を及ぼすかもしれませんね!

② ゲームのシナリオ展開や身体能力のリアルさは、ゲームの長所を削ぐだけかもしれませんが、リアルすぎるNPCに一定以上の親近感を抱いた場合はそれだけで済まない気がします。そのNPCとの関係が悪化したり、NPCが死傷したりした場合に、プレーヤーの精神衛生に良くない影響が及ぶ可能性は十分あるのではないでしょうか?

③ ストーリー展開がやや遅々としていのが気になりました。なんと、たった原作ラノベ2巻分でアニメ12話のようです! 原作者が「慎重勇者」の作者ということもあって、「慎重勇者」には及ばないもののギャグ要素は悪くありませんでしたから、やはりテンポの悪さが作品の質に影響してしまっている印象です。もしかしたら、「ゲームはリアルさを極めるとつまらない」という作品のテーマそれ自体の影響もあるかもしれませんが。とはいえ、11話で明らかになった世界観設定は、流石「慎重勇者」の原作者といったところです。

④ 各所にソードアート・オンライン」(特にアリシゼーション編)の影がチラつきましたね笑 幼馴染の親友(マーチン/ユージオ)、金髪のヒロイン(アリシア/アリス)、黒髪ショートの主人公の妹(楓/直葉)、シナリオ上重要な大木(ケヌラの木/ギガスシダー)、精神がゲーム上の身体能力に影響を与えるシステム(心意システム)などには類似点が見て取れますし、そして何よりキリト役の松岡禎丞さんが過去に「極・クエスト」を唯一クリアした人物の声を担当しているのですから!

⑤ 主人公のヒロ(CV:山下大輝さん)が感情的になったときの特徴的な声が良かったです!

⑥ 「究極進化した製作委員会」!

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マーチンタイム!

 

 

ゴジラ S. P.(シンギュラポイント)

① 脚本家の趣味嗜好が強く反映されたようなアニメだったと思います。「怪獣×ロボット×SF」で盛りだくさんでした。脚本家は、これまでゴジラシリーズとの差別化が大変だったのではないかと思います。

② 怪獣要素を期待して見始めたのですが、見終わってみればSF要素が一番大きな割合を占めていたような印象があります。SF用語はほとんど理解できなかったのですが、理解できないわりには楽しめました。

 

 

シャドーハウス

① まったくのダークホースにして、今期もっともお気に入りのアニメになりました! ゴシック×ホラー×ファンタジー×アドベンチャー×ミステリーなど要素盛沢山、類似作品のない唯一無二の世界観最高アニメです!! 各話3回ずつは観てました! 続きが気になって原作漫画(既刊8巻)を購入しました!

② 第11話以降はアニメオリジナルの展開でした。原作漫画もアニメもどちらも面白いストーリーでした! 原作よりも突っ込んだ設定開示もありましたね。最初は、原作を代替するオリジナルストーリーかと思いましたが、着地点は原作に挿入可能な形になっていました。原作漫画には早期の続刊を、アニメには2期の制作を期待しています!

③ せいぜい中学生くらいにしか見えないのに、エミリコの同期の生き人形はみんなハイスペックですよね! エミリコは楽観的で優しくてアホっぽいけど利発かつ発想が柔軟で、ラムは内向的で何の取り柄もなさそうだけど天才的な能力を隠し持っており、ルウはマイペースなものの鋭い観察眼があり、ショーンは目は悪いものの全体的に能力が高く、リッキーも突出した能力はないものの頭脳明晰なのですから!

④ エドワードの庭園の仕掛けの作り込みは凄かったですよね! そしてまさかの第8話はエドワードED! 「私の完璧な世界」!

⑤ 個人的なベストエピソードは、お披露目の庭園迷路編(6~10話)です。シャドーも生き人形も、お披露目組みんなの能力と魅力が溢れていましたね! 以下、みんなの表情と活躍の記録を!

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エミリコの影響で自発的に行動するようになったラム(第6話)

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緊張して気が大きくなりケイトにプロポーズするジョン(第6話)

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ルウ「私の顔、傷ついていない?」(第7話)

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気遣うエミリコとそれに心動かされるパトリック(第7話)

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エミリコ「ウサギさんみたい!」(第7話)

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ルイーズ「まあルウ、なんて綺麗な顔なの!」(第8話)

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ショーン「俺を殴ったことを謝れば手伝ってやってもいいぞ」(第9話)

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ルウ「でもリッキーといて楽しかったから」(第9話)

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リッキー「ジョン様!ショーン!助けになってください!」(第9話)

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週刊少年ジャンプから来た男」によるジョンパンチ(第9話)

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ショーン&リッキー「嘘でしょ!?」(第9話)

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エミリコのためにリッキーに頭を下げるパトリック(第9話)

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エミリコ「私は生まれつき体が丈夫みたいです」(第9話)

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今度は逆にケイトがエミリコをお姫様抱っこ(第10話)

 

 

スーパーカブ

① シャドーハウスと同じく、第1話から心に刺さった雰囲気最高アニメです。セリフ量は比較的少なめにもかかわらず十分に楽しめる作品でした。

② 各所で言われているように、このアニメはまさにCMのようでした。しかも、ここで打ち出されているのは、特定のジャンル(たとえばキャンプや軽音)ではなく、特定企業の特定製品なのですから、広告効果抜群ですよね!

③ もともとのキャラデザが基層にあるのはもちろんですが(原作イラストはフェチ漫画として有名な「明日ちゃんのセーラー服」を描いている博さんらしいです)、キャラクターが笑顔になる際などの表情の変化が柔らかくて好きでした

④ 主人公・小熊の変化に目をやると、箱をカブに付けた第3話あたりから表情が豊かになり、修学旅行で無茶をやった第6話あたりから(実は、引っ込み思案で臆病な性格などではなく)我が強くてアウトローなところがあるところが明らかになり、第7話あたりから椎と交流を持つようになってから椎に対するやや強気な姿勢礼子に対するいなすような態度が目に留まりました。最初の印象が、特に下記⑦の騒動を経てからグッと変わりましたね! 最終的には、第11話で椎を救出する際、無茶をやっていましたね。消防や救急に連絡せず一人で椎を救出したこと、そのために椎に自力で崖を上らせたこと、濡れて凍えている椎をカブの前カゴに乗せたこと、椎の両親に連絡したとしてもその夜の内に迎えに来させないこと等々はツッコまなければならないでしょう(原作ではちゃんと説明されているかもしれませんが)。

⑤ 第11話の小熊のスーパーカブが必ず助けに行く」「礼ならカブに言って」は笑ってしまいました。しかも、そんな小熊のセリフに影響されて、椎までも「また、スーパーカブで助けてください……この冷たくて暗い冬を……どこかに……」と言ってしまうのですから、スーパーカブは偉大ですね!

⑥ カブを買ってから、ぼっちだった小熊には、礼子や椎といった友達ができました。このアニメはカブを運転する際などに彩度を高める演出を多用していましたが、しかしやはり大人目線から見れば、とりわけ学生時代に彩りを与えるのは友人の存在でしょうね(第11話はそのようなタイミングで彩度が高まりました)。

⑦ ニコニコ動画では毎話のように視聴数・コメント数ともにトップでした。今期一番人気の作品だったのではないでしょうか。悪い意味で話題になったという点においても、注目度はありましたね笑 この件の私見については下記記事参照。

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箱を付けて、にへぇと笑顔になる小熊(第3話)

 

 

スライム倒して300年、知らないうちにレベルMAXになってました

① 基本的に1話完結型の気軽に見られるアニメでした。特に6~7話あたりから尻上がりに面白くなっていった印象です。

② アニメ前半は、パッと見て髪が似ている主人公のアズサとハルカラ(どちらも金髪ロング)の区別がつきにくかったです。アニメ化に際してもっと色の区別をつけるべきだったのではないでしょうか。

③ エフェクト・ボイス担当(CV:中村桜さん)がいたのは斬新でした! 特徴的で楽しいSEになっていましたね!

④ 実はアニメの個別のYouTubeチャンネルがあり、第10話で各人が披露した歌も視聴できるんです! 曲調がみんなどこかで聞いたことあるような印象です笑

 

 

 

 

 

戦闘員、派遣します!

① 原作者が「この素晴らしい世界に祝福を!」の暁なつめ氏ということで、前半はこのすばのキャラがどうしてもチラついてしまっていたのですが、後半になるとそれぞれのキャラが印象付いてきて気になりませんでした

② しかし、暁なつめ氏のこの素晴らしい世界に祝福を!」「戦闘員、派遣します!」(原作)、けものみち(漫画原作)は、いずれもアニメ化され、しかも、いずれもハズレがないですよね!

③ 最終話のちゅんちゅん丸のモザイクは汚かったですし、獣人×ショタ展開はゲスでしたね笑

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「俺の心は大きいからなぁ。男の子か女の子かだなんて些細なことは気にしねぇにゃん」

 

 

ドラゴン、家を買う。

① 9話までキービジュアル詐欺でした。キービジュアルでメインキャラ然りとした態度をしているピンクの女の子がいつまで経っても登場しないのですから! 登場したのは全体の4分の3が経過した第10話の後半からです。

② 第10話からレティ、ディアリア、ピーちゃん、ネルの4人体制になってから格段に面白くなった印象です。ツッコミ役が増えたからでしょうか? 最終話のレティとネルのお別れがロマンティックでしたね!

③ 主人公のレティの声(CV:堀江瞬さん)の声が特徴的で良かったです! 男性でもあのような声が出せるんですね!

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キービジュアル

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レティとネルのお別れ(第12話)

 

 

舞子さんちのまかないさん

① 2月から3話ずつ毎月第4木曜日にNHKワールドJAPANで放送されているアニメなので、知名度は低いかもしれません(今年10月からEテレで放送するようですが)。今からでもNHKの公式サイトで無料・無登録で全話視聴可能なので、興味のある方は是非!

② 個人的には、歌詞はないですがOPとEDにドハマりしてしまいました!

 

 

以上が2021春アニメの感想です! 今期のアニメは2期制作決定の発表が少なかった気がします……(私の視聴した上記アニメでは発表ゼロでした)

はめふら2期、ひぐらしのなく頃に卒、かげきしょうじょ!!など、夏アニメも楽しみな作品が目白押しですね!

 

 

『かげきしょうじょ!!』第11巻の感想・考察――さらさの性分、愛の著しい成長と焦り、志織の夢

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『かげきしょうじょ!!』第11巻

 

この記事は、テレビアニメ絶賛放送中斉木久美子『かげきしょうじょ!!』第11巻(2021年7月5日発売)感想・考察を書き連ねた記事です(過去記事はこちら)。ネタバレにはご注意ください!

 

 

オルフェウスとエウリュディケ」の配役と組み合わせ

第11巻の本編はずっとオルフェウスとエウリュディケ」で、カタカナの名前が飛び交ってやや混乱したので、まずは配役と組み合わせを整理しておきます(元となった神話のあらすじは9巻28幕24頁を参照)。

起承(10~11巻)の配役と組み合わせ

  • オルフェウス(男役)A:さらさ B:愛 C:薫 D:紗和
  • エウリュディケ(娘役)A:千秋 B:千夏 C:彩子 D:マッスー

転結(11巻~)の配役と組み合わせ

  • オルフェウス(男役)A:さらさ B:薫
  • エウリュディケ(娘役)A:千秋 B:彩子
  • ハーデス王(男役)A:紗和 B:マッスー
  • 妻のペルセポネー 兼 美青年の小悪魔(男役)A:愛 B:千夏

 

 

さらさの性分

 

さらさの性分(その1)

10巻33幕で息の合っていない演技を見せてしまった渡辺さらさ沢田千秋ペアは、さっそく高木先生から講評を受けます(11巻34幕)。役になりきり過ぎて現実との境界線を見失ってはならないこと、そして「全は個にして、個は全なり。個は孤にあらず」という金言も授けられます。

また、さらさの暴走しがちな性分について、紗和は高木先生とは別の角度から深掘りして分析していました(35幕69-71頁)。

さらさは自分の役だけではなく、他の役やストーリー全てをさらさの中で完成させてしまうんだなって。

さらさの言っていたハーデス像は、私の演じるハーデスではなく、さらさの作り上げた「杉本紗和のハーデス」。さすがオタクキング。想像力豊かよね。

でもそれって、さらさの支配下オルフェウスとエウリュディケの世界だから、共演者としてはちょっと迷惑よね。

でも、紗和は次のようにも言っていました(35幕57頁)。

舞台って生物だから予想だにしない状況になる事があって、それを動揺せずに乗り越えなければならない。さらさにどう対応できるか、ためしてみようかなって。

さらさは上記のような自身の性分を十分に自覚・咀嚼している様子はありませんし、それを周りからも伝えられていません。むしろ、紗和などはこれを奇貨として自分の成長につなげようとしています。「オルフェウスとエウリュディケ」の授業で、さらさは自分のそのような性分をどう理解・咀嚼し、どのように向き合っていくのか、今後のさらさの成長が楽しみです。

 

さらさの性分(その2)

その一方で同じく11巻では、さらさの性分を積極的・肯定的に評価している人もいました。

高木先生の授業で特別講師を務めた春組トップの朝比奈流は、緊張の走る現場で怖じることなく手を挙げたさらさについて、「あの子のおかげで100期生達は一つヒントをもらえたね。ああいう子はね、知らず知らずの内に種をまいているんだよ」と評価していました(36幕94頁)。

こういうさらさの怖いものなしに突き進んで行く性分は、まさに主人公気質だなあと感じました。

 

さらさと千秋の関係性

10巻・11巻で深まった人間関係を見せたのは、さらさ千秋です。

「おこぼれライト」(10巻33幕97頁)でさらさと組んだ千秋ですが、さらさの暴走により「起承」の結果は散々でした。「娘役が生きるも死ぬも男役次第かな」と、愛と組んで好演した千夏を見て千秋は落ち込んでいたりもしました(11巻34幕)。

授業後、千秋はさらさから謝罪されます。それを受けた千秋は、前言していた「前に進むための授業じゃないですか」(10巻33幕110頁)というさらさの素直で前向きで有言実行な性分を信じて、さらさと和解し再びさらさと組むことを決意します(34幕)。

それでも、「次は暴走しないでよね!」「三度目はないんだからね!!」「あま―――――――い!!」「発表になったらアレよ!!」「全然面白くなんかないんだよ?」(35幕)と、千秋は経験者としてその後ずっとさらさの暴走を敏感に警戒していますが笑 さらさと千秋のオル×エウのキャラを「陽気なオルフェウスと置いていかれるエウリュディケ」とさらさがネタにしたときは、千秋はさらさに土下座させていました笑(35幕100頁)

ところで、10巻に引き続き11巻でも、表情の豊かな千秋が見られましたね! 「エウリュディケは渡さない!!」の警戒した表情(35幕49頁)、「ちょっと、さらさ!!  思いつきでアレンジするなっちゅーの!!」の鬼の表情(36幕110頁)、「『おたくらよりセリフ長く喋れたグループですが何か?』って登場の仕方よね」のやさぐれた表情(36幕112頁)等々。千秋は作者に愛されているなあって感じます。

 

 

愛の著しい成長と焦り

 

愛の著しい成長

伸び悩んでいるさらさとは対照的に、文化祭の舞台での代役経験や先輩の役割を担うようになってから、成長著しい様子を見せているのは奈良田愛です。

愛の解釈するオルフェウスとエウリュディケは、「愛し方を、愛され方も解らなくて、壊してしまいそうで怖い」「オルフェウスがエウリュディケを素直に見つめられるのは、彼女と視線が交わらない時だけ」でした(11巻34幕)。

この「失ってから気づくオルフェウス(10巻32幕86頁)は、もちろん自身が陽キャを演じられないという事情もありますが、しかし、愛は自分の経験を踏まえてきちんと自分なりのオルフェウスのキャラを作り上げたのです。

後輩の伊賀エレナの指導を担当し、またオルフェウスの役づくりを考えるようになってから、愛はJPX48時代の自分とチームリーダーの関係性を思い返していました。そして、カップルの突然の別れ話を目撃したことをきっかけに、チームリーダーが自分のことを大切に想ってよく見てくれていたこと、自分はそれに正面から向き合えず逃げていたこと、そして今さら彼女の想いを手離していたことに気付いのでした(10巻32幕)。

このような自分の経験と自分なりの解釈、さらには大舞台での経験を踏まえて、愛と千夏は「オルフェウスとエウリュディケ」を演じきったのでした。

余談ですが、そもそも、全寮制、本科生・予科生のヒエラルキー、指導担当制度などの紅華の制度は、特に思春期において濃密な人間関係を形成しやすいシステムであり、ここから演劇に活かせる気づきは多々あると思われます。紅華の舞台に相応しい想像力と演技力を身に着けて送り出す上手いシステムだと感じました。

ところで、オルフェウスを好演した愛は、各所で褒められていましたね。同期からも「奈良っちのオルフェウスもなかなかだったよね」「悔しいけど異彩を放ってたわよね」(薫)、「あんなに素敵なオルフェウスだったのに…」(さらさ)、「私も個人的に奈良オルの続きが見れないのが残念…」(紗和)と褒められていましたし、高木先生からも舞台の奥行に対する想像力について評価されていました。褒められた愛はかなり嬉しそうでしたね笑

 

愛の焦り

上記のように高評価の愛ですが、もちろんそれには愛の高い意識があったからです。紅華に入学した頃とはまったく違います。「音校生でいる残りの1年間、何にでもチャレンジしようって決めた」り、そのためにペルセポネーに挑戦したり(35幕)、「セリフを喋りたい。私には時間がないの」と授業でセリフを言えなかったことに対して焦燥を露わにしていたりもしました(36幕)。しかし、意識の高さと表裏一体のこの焦りが悪い方に向かわなければ良いのですが。

そして、11巻36幕は、愛とJPX48の現役メンバーである小園桃による興味深い会話の途中で幕切れとなってしまいました。男役トップを目指す愛に対して、小園桃は「グループの頂点に立つって、人気や実力だけが求められる訳じゃないんだからね」と愛の覚悟を問いますが……?

 

 

印象に残った小ネタ集

 

「萌え」が多い

11巻は「萌え」が頻発していましたね!

愛のオルフェウスのラストシーンを解釈して萌える100期生たち(34幕43頁)、「玉座にドヤ顔でふんぞり返る、けれども気品を感じさせる杉本ハーデス」を想像して萌えるさらさ(35幕62頁)、授業への春組トップの登場にサイレント歓天喜地する100期生(35幕61頁)などなど。

特に、紗和のオタクっぷりが目立っていましたね! 授業への春組トップの登場に鼻血を出したり(35幕77頁)、その授業後に一人でオタク語りしていたり(36幕91頁)、朝比奈流の退団会見の知らせを見て倒れたりしていました(36幕125頁)。

とはいえ、重度の紅華オタクの紗和ですが、さらさのいる組に入って自分を試そうとするなど、成績トップとしての矜持を見せる側面も見せていましたね! さらさと同組になった紗和がいかに成長していくか楽しみです!

 

その他の可笑しかった小ネタたち
  • 愛のオルフェウスのラストシーンに気付いてしまった紗和(34幕42頁)、練習中なぜかその顔になているさらさ(35幕64頁)など、『ガラスの仮面』の有名な「おそろしい子!」の表情が何度か見られましたね笑
  • トイレで手を合わせていたさらさ・愛・千秋の三人に対して「無言で手重ねて何か呼び出しでもしてる訳?」と薫がツッコんだ際、足元に魔法陣が描かれていました笑(35幕51頁)
  • 11巻では101期生がまったく登場しなかったと思いきや、さらさ・愛・千秋・紗和の四人組が和室で練習する後ろで伊賀エレナが掃除をしています!(35幕63頁) この場所は、エレナが愛から掃除担当を引き継いだところですね。
  • 18歳の年にもなっても着ぐるみパジャマの千秋が可愛かったですね!(35幕65頁)

 

 

丁嵐志織の夢

9巻の番外編「白川宗家の娘・丁嵐志織編」に引き続き、11巻でも番外編「さらさの異母姉・丁嵐志織編 その2」が収録されました。ここでは、志織が異母妹のさらさを応援するようになった経緯が描かれています。

まずは白川家・渡辺家の家系図を再掲しておきます。

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白川家・渡辺家の家系図

9巻の番外編にて、志織は次のように語っていました。

「何でもできるけど何者にもなれない」

「何もない自分にがっかりするんだ」

「何もないのは私で、私はあの場所に選ばれて無いんだ。……ずっと探してる。なんでもいいんだ。自分の存在を……透明な自分の輪郭を辿ってくれる何かを」

そして、今回の番外編で明らかになったことによれば、音楽とバンドを辞め、白川福二郎との別れと白川煌三郎との結婚を経た後、志織は清水姓になって一般企業で働いていました。そこで後輩から「推しのいる生活」について教えられます。これを聞いたとき、志織はまず美里屋の御贔屓さんを想起したのでした。

上司とのトラブルの後、退職した志織は、母親に「お前は助六になれません!!」と言われるさらさ、そして復活してオスカル様を目指すさらさに出会います。そして気付いたのでした。「私は!私の妹の夢を叶えさせてあげたい!!」ことを。そして次のように独白します。

あなたはあなたの新しい道へ、そして私は憧れと期待と母の後悔を抱きしめて、夢を支えてあげる。なんてったって私が一番あの子の事を理解できるんだから。最高だ。舞台の中央に立つその日までズッ推しだ

志織は、何もない自分にずっと悩んで生きていました。しかし、夢のない自分と夢の絶たれたさらさを重ね合わせた志織は、復活して二度目の夢を掴んださらさを応援せずにはいられませんでした煌めく推しの姿を見たいと思ったのでした。

 

そして志織は、さらさの祖父が営む畳屋に発注することによってさらさを間接的に資金援助することを提案し、その説得に成功します。これこそが「父にもアレ〔白川煌三郎〕にもコレ〔白川暁也〕にも出来なかったこと」(11巻154頁)なのです。

ここで8巻の答え合わせです。以前、志織は「何も知らないで二人〔煌三郎と暁也〕でナイトきどっちゃってさ。ふふっ、ちょっと優越感に浸れるわ。あのこ〔さらさ〕を一番ささえて居るのは私……って」と意味深に語っていましたが(8巻26幕127頁)、これは志織のさらさに対する間接的な資金援助を意味していたのです。

暁也(と煌三郎)がさらさの精神的な支えになっているとすれば、志織はさらさの経済的な支えになっているのです。どちらが一番の支えになっているかは決めかねますが、しかし、志織の支えがあったおかげで、さらさが夢だった紅華を目指すことができたことは間違いなく、それがなければ、さらさは近所の都立高校にでも進学していたでしょう(36幕155頁)。

おそらく、さらさは志織と面識はありません(というより、異母姉の存在を知っているかさえも怪しいです)。今後、さらさと志織の物語がどう交錯してゆくのか楽しみです!

 

 

 

第8巻~第12巻の記事はこちらから!

 

 

 

【はめふらX】2期オープニング映像の魅力を語ってみる!【乙女ゲームの破滅フラグしかない悪役令嬢に転生してしまった…X】

 

ついに放送が始まりましたアニメ「乙女ゲームの破滅フラグしかない悪役令嬢に転生してしまった…X」ですが、1期に続いて2期についても、このブログでOP映像の魅力を語っていきたいと思います! (1期の記事はこれ↓を参照)

 

 

2期のOP曲は「アンダンテに恋をして!」で、1期に引き続き2期でもangelaさんが歌っています!

まずはYouTube上で公開されているノンテロップver.のオープニング映像をご覧ください!

 

 

まずは軽快なイントロとともに、文字通りの破滅フラグがはためきます。

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破滅フラグ

 

OP映像冒頭は、乙女ゲームっぽい雰囲気となっています。

顔の上半分が映っていないのですが、髪の色と長さからして、左からソフィア、マリア、メアリでしょう。その後に続く歌詞と映像からして、パーティーのためにおめかししている様子です。はめふらでは珍しい、色っぽいシーンですね。

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♪「セオリー通りに奔走」

 

女性陣の次は男性陣の登場です。一斉に足を組む動作はちょっと可笑しいです。

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♪「C'est si bon!」

 

くるっと振り向くと、パーティードレスを着飾ったマリア、メアリ、ソフィアが登場。でも顔の上半分はまだ見えません。

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♪「パーティーが始まる」


今度は白色のジャケットを身に着けて襟を正すジオルド、キース、アラン、ニコルです。身長差がいいですね!

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♪「Qui, c'est bon!」

 

ようやく登場したカタリナは扉へと向かいます。

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♪「ぐっと近寄れる距離で」

 

扉の先では、乙女ゲームよろしく、メインキャラクターの面々がカタリナを迎えてくれます。輪の中心に立って見渡すような一人称視点の立体的なカットです!

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♪「新たな物語はごきげん」

 

そしてついに、顔を出した主人公のカタリナが登場!

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♪「ようこそ」


画面も音楽も賑やかな間奏には、タイトルロゴとともにカタリナファイブが登場! 間奏はクラシックの名曲をアレンジしたようなメロディーです。これ以降は、さっきまでの乙女ゲームの雰囲気はどこへやら、一気に「はめふら」らしくなります!

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タイトルロゴとカタリナファイブ


さっきまでドレスアップしていたのに、なぜか作業着のカタリナ。鍬まで持っています。そういえば、他の3人もさっきまでとは違うドレスですね。画面上では歌詞に合わせてスパンコールが煌めいています。

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♪「今宵のドレスには」

 

庭師のトムおじさん、アン、メイド長のジョアナも登場。

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♪「スパンコール」

 

食欲旺盛なカタリナは健在!

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♪「急展開しちゃう」

 

カタリナに優しい父親と、厳しい母親も登場。

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♪「ラブストーリー」

 

カタリナは野菜とお菓子が飛び交う夢を見ているようです。常人であれば早く覚めてほしい悪夢です。

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♪「こんな夢なら覚めないで」


ハッと目が覚めるカタリナ。

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♪「恋のニュアンスを語り合えば」

 

アンの手にかかれば早着替えだって可能です。

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♪「un, deux, troisで接近しちゃうmon amour」

 

ここから2期(おそらく原作3~4巻)の新たな人物も含めて主要キャラクターが次々に登場するのですが、左から右へとスライドするカットが多用されています。

 

身悶える第一王子のジェフリーと婚約者のスザンナ。どちらもクセ者です。

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♪「嗚呼 素晴らしき破滅」

 

スザンナが投げキッスした先では、相変わらずジオルドとキースがいがみ合っています。

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♪「生まれ変わる」


さらにメアリとアランが拳をにこやかに突き合わせています。今回アニメ化されるだろう原作4巻(おそらく2期後半)では、この二人があることで共同戦線を築いていることが明らかになるので、それを意味していると思われます。お楽しみに!

(追記)二人の関係は2期前半で明かされましたね!

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拳を突き合わせるメアリとアラン

 

ソフィアの妄想が膨らみ、カタリナは勇者に、ニコルは怪盗?怪人?に、ソフィアは妖精に!

(追記)怪盗ニコルは学園祭の演劇(2話)に、妖精ソフィアはドールハウスの夢(7話)に登場しましたね!

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♪「眠たくなっちゃっても」

 

執事のルーファスとメイドのラナ。カタリナのために大量の食事を運んでいるようです。

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2期のキーパーソンであるルーファスとラナ

 

第二王子のイアンと婚約者のセリーナ。地味な二人に見えますが、それぞれの内面には熱い想いが……!

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♪「ごきげん麗しくて」


いかにも怪しい二人。原作4巻で登場してきます。この二人は原作でもコミカライズでもイラスト化されていないので、ここが初登場のはずです。

(追記)訂正:サラについては原作10巻で既にイラスト化されていました!

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ヤバそうな二人


魔法省で働くラファエルとルーファス。画面がスライドして、ラファエルの書いた書類をルーファスが受け取っています。

ちなみに、うしろ姿の褐色髪の男性とオレンジ髪の少年は、原作6巻以降に登場するキャラクターなのですが、そこまでアニメ化されるのでしょうか? ラファエルの背後にあるちょっと不気味な人形も気になります。

(追記)背後の人形は、7話で登場したドールハウスの主でしたね!

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♪「愛を信じる者に」

 

ルーファスから書類を受け取るのは、たぶん上司のラーナ・スミスですよね?

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♪「救いあれと」


この二人は誰でしょうか? (厳密にチェックしていないですが)おそらく原作3巻にも4巻にも登場しないキャラクターだと思われます。アニメオリジナルの人物、あるいは原作5巻(短編集)に登場するニコルのお見合い相手でしょうか? 答え合わせが楽しみです。

(追記)第2話で判明しましたが、彼女らは生徒会の後輩ですね! 演劇スタッフとして登場していました。左がフレイ、右がジンジャーです。

(再追記)この2人は第8話で再登場しましたね! なんと当初の予想が当たって、フレイはニコルのお見合い相手でした!

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謎の二人

 

原作4巻のキーアイテムであるクマのぬいぐるみ。カタリナとは犬猿の仲ですが、マリアには懐いています。

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♪「手を取り踊ろう」

 

ここがOP映像の中で一番好きな箇所かもしれません。あっちゃんと転生前のカタリナの謎の動作が可愛いですね!

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♪「圧倒的な愛で毎回ごめんあそばせ」

 

ジオルドに迫られるカタリナ。

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♪「めぐり巡るわ」


ジオルドから逃げてもルーファスに迫られるカタリナ。

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♪「Je t'aime!」


ルーファスから逃げたカタリナの水色の瞳にはキースが映っています。

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♪「突然急接近」


今度はキースにキスをされそうになるカタリナ! 原作4巻ではキースがフォーカスされるので、ファンはお楽しみに!

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♪「アンダンテに恋をして!」

 

再び賑やかなカタリナファイブが登場します。

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(左から順に)議長カタリナ、弱気カタリナ、強気カタリナ、ハッピーカタリナ、真面目カタリナ。

 

最後のカットです。まずは原作4巻のキーアニマルである子犬が目に入ります。その他はメインキャラクターのアクセサリーのようです。手前の水色のイヤリングはカタリナのもの、緑色のリボンはソフィアの髪飾り、桜色の花飾りはマリアの髪飾り、オレンジ色の花飾りはメアリの髪飾り、金色のネックレスはジオルドのもの、左右で異なるデザインのイヤリングはアランのもの、右上のスカーフはニコルものですね。(消去法ですが)左下のハンカチはキースのもののようですね。あと、トマトもカタリナのものでしょうね。

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キーアニマルとメインキャラのアクセサリー


 

2期のOPも1期と同じくキャッチーで最高です!

 

 

2021春ドラマの感想――6作品に対するコメントあれこれ

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イチケイのカラス

 

 2021春ドラマを視聴し終わったので、私の視聴した6作品について適当に感想をコメントしたいと思います!(五十音順)

 

 

イチケイのカラス(フジテレビ系列、月曜21時)

 まずは(記憶が曖昧ですが)原作との相違について触れざるを得ません。3年くらい前に原作漫画(全4巻)を読んだのですが、坂間裁判官に相当する人物は原作では男性であり、全話を通じてもっとお堅い印象でしたし、もっと真面目な雰囲気でした。ドラマ化に際する新要素として、性別が転換したり日高最高裁判事が登場したりしたのは、多様性の観点から好ましい改変だったと思います。裁判所の重要な構成要素である書記官・事務官も目立つように工夫されていたのも良かったです。全体としてドラマ脚本の凄さを感じました。 

 幾点かについてリアリティがないと専門家から指摘されていましたが、私はリアリティの不足を批判的に捉えるべきものではないと思います。これは、もちろんエンタメ要素を盛り込んだ結果でもあるのですが、なにより国民の司法に対する期待が表れているのだと思います。ドラマを視聴した法曹関係者は、ドラマのリアリティについて単に論難するのではなく、そこに込められた司法に対する国民の信頼を読み取ってこれに応えてほしいものです。

 ところで、法学に触れたことがある身としては(新書で司法について気軽に学べますよ!)、最高裁事務総局や判事再任の問題といったネタに触れていたのは個人的に嬉しかったです。裁判員裁判もテーマにしていた(第9話)のも良かったですね!

 第7話は、それまで示唆してきた日高最高裁判事とみちおの過去の因縁を清算するクライマックスのようなエピソードでした。なにしろ、最高裁判事や検察上層部を相手にしているのですから。しかし、あそこで司法の矜持と胆力を見せたのは、イチケイの面々というよりは日高最高裁判事と城島検事でしたから、よくよく見れば最終話っぽくありません。そもそも、1話完結型のドラマで、軸となるストーリーを各話でチラチラ示唆して最終話まで引っ張るお決まりの方法は、個人的にはあまり好きではありせんね。最終話を盛り上げたいのならば、どちらかというと最終話で重厚なエピソードを見せてほしいものです。

 そして本作品の最終話は、裁判官の再任拒否がテーマとなっていました。政治が司法を自らの影響のもとに置こうとする政治と司法の病理的関係は、戦後日本司法史でたびたび問題となってきた重要なテーマです。

 とはいえ、少々粗い部分もあったともいます。下級裁判所の裁判官の再任については、たしかに最高裁事務総局が影響力を持っていると言われており、事務総局の案に基づいて最高裁が候補者を指名し、内閣が任命します。しかし、実際には、これらの不透明な過程を克服すべく、最高裁の下に「下級裁判所裁判官指名諮問委員会」が設置されおり、裁判官の再任の是非について最高裁に答申を行っています(参照)。そもそも、任期終了10日前までに再任の可否が決まっていないのは現実的ではないでしょう。

 視聴率も良かったみたいですし、続編を期待しています!!(映画化の噂があるようですね) 続編では、みちおが分限裁判(懲戒処分に相当)にかけられたり、国会に置かれる裁判官訴追委員会弾劾裁判所で採り上げられたりしても良いですし、裁判官の僻地への左遷問題をテーマにしても良いですね!(ちなみに、現在、岡口基一判事という有名裁判官が弾劾裁判へと訴追されています。ツイッター投稿の仙台高裁 岡口裁判官の訴追決定 裁判官訴追委 | IT・ネット | NHKニュース) 舞台を高等裁判所に移しても面白そうですね!

 

 

今ここにある危機とぼくの好感度について(NHK総合、土曜21時)

 大学職員を主人公に、大学運営を真正面に据えるドラマは斬新でした。大学運営のあり方には個人的な関心があるので、ピッタリのドラマでした! ちなみに、脚本は、京都大学吉田寮の存続問題をテーマとするドラマ・映画「ワンダーウォール」も手掛けた渡辺あや氏が担当しています。

 役者陣も豪華でした。主演の松坂桃李さんはもちろん、脇を固めたのは、松重豊さん、渡辺いっけいさん、國村隼さん、温水洋一さんなど、渋い名バイプレーヤーたちでした! (ちなみに、ハライチの岩井さんも出演されているのですが、撮影裏話をラジオで語っていましたね)

 役者に触れたならば、その男性の多さについても触れておかなければなりません。ドラマにおいて理事と主要教員がすべて男性でした。女性理事が一人もいない国立大学なんて今どき存在するのでしょうか? (学生・教員の女性比率が低いことで有名な東京大学は今年から女性理事が半数を占めるようになりました。藤井新総長、新役員ら就任 理事の過半数が女性に | 東大新聞オンライン ) 中高年男性に対して既得権益固執する役割を担わせ、それに対して若き男性主人公を対置させる固定観念がこのドラマでも存在しているのかとやや辟易したものですが、この点、興味深い指摘がありました(笑うべきか泣くべきか、それが問題だ 土曜ドラマ「今ここにある危機とぼくの好感度について」 |NHK_PR|NHKオンライン)。

涙といえばこのドラマでは、非常におもしろいジェンダーの逆転のようなものが起きていて、男たちがとにかくよく泣く(また、神崎は「女子力」だけで世を渡ろうとしているし、彼は「分かっていない人」という「女性的」ポジションを与えられている)。

 ところで、帝都大学という名門国立大学が舞台となっているのですが、どこがモデルになっているのでしょうか? 名門の国立大学といえばまず旧帝国大学が思い浮かびますし、そもそもドラマのように国立大学でトップが学長ではなく総長と名乗っているのは旧帝大だけです。国から国立大学に配分される運営費交付金が減額される心配するということは、配分額が頭一つ飛び抜けている東大ではなさそうですし、多少の不祥事があっても東大のブランドイメージは確固たるままです。しかし、帝都という名前からして、その他の地方にある旧帝大ではなさそうです。その意味で、この作品で舞台となった帝都大学は、東京にあるもう一つの旧帝大のような雰囲気を醸していますね。

 さて、このドラマで特筆すべきは、大学の現実をリアルに描いていることです。とある大学教員は「大学が現在抱えている問題を見事に風刺」していると述べています。詳細は、リンク先の記事に譲るとして(笑うべきか泣くべきか、それが問題だ 土曜ドラマ「今ここにある危機とぼくの好感度について」 |NHK_PR|NHKオンライン)、運営費交付金ポスドクの問題など大学の抱えるもはや恒常的と言ってよい「危機」が視聴者に伝わったのではないかと思います。

 このドラマは、研究不正編(1~2話)、爆破予告編(3話)、蚊の健康被害編(4~5話)で構成されていますが、大学執行部の隠蔽体質のリアリティは高い順に、爆破予告編、蚊の健康被害編、研究不正編ではないかと思います。各大学は研究不正の疑い場ある場合の対応プロトコルを備えており、適正な手続で調査・公表が行われますが、真理探究を使命とする大学人であれば隠蔽は行わないはずです(そう信じています)。たとえば実際も、京都大学では世界的権威と呼ばれる教員が懲戒解雇されています(チンパンジー研究の世界的権威らが陥った不正経理の温床(1/2ページ) - 産経ニュース)。その一方で、大学執行部が「表現の自由」を低く見積もったり説明不足な傾向にあるのは、すごくリアルだと感じました。たとえば、同じく京都大学では、「タテカン」と呼ばれる学生が作る立て看板の設置・撤去をめぐって、学生と大学当局の間に紛争が生じています(京都大学の立て看板 - Wikipedia)。

 さて、ナレーションで何度も言及されていましたが、世界の複雑さ――このドラマでは特に大学運営の困難さ――は、簡単に割り切れるものでもありませんよね。その意味で、複雑な世界の理を解明することを使命とする大学という場において、最終話の最後で、正義を重んじる三芳総長がリアリストの須田理事を留任させたのは、まさに世界の複雑さとその対応の難しさを象徴するエンディングだったと感じました。

 それに対して、主人公の神崎真は、最後の最後まで、世界の複雑さをあまり理解できていないようでした。しかし、あのように「好感度」を気にしたり、思考停止に陥ったり、事大主義になったり、かと思えば突然正義心に目覚めたりするのは、非常に人間的でした。主人公らしからぬ信念のなさは、リアリティのあふれた人間像だったと思います。

 

 

クロシンリ 彼女が教える禁断の心理術(カンテレ系列、木曜25:30)

 タイトル通り、人を操る心理術をテーマとするドラマでした。この心理術は面白いし実生活に役立てたらいいなあと思う一方で、記憶しておくほどの興味、実際に使いこなす能力、継続する胆力、裏目に出てしてしまう懸念、心理術を使用していることを見抜かれる不安などを考慮すれば、実際には使用できませんよね。とはいえ、心理術というよりマナーや処世術にも分類できる要素もあったので、そちらは自覚的にできたらと思います(ワンポイントブラック心理術 | クロシンリ | 関西テレビ放送 カンテレ)。

 ストーリーとしては、各章が前後編2話構成で、前編が後編によって覆され得る緊張感のある展開となっていました。

 各章でメインとなる出演俳優にとっては、演技力が試されるドラマだったのではないでしょうか。心理術の使用・不使用にかかわらず、登場人物が心理術を使っているのではないかと視聴者はその言動を事細かにチェックしてしまうのですから。

 ところで、このドラマで主役を務めた久保史緒里さんは、先日観劇した舞台「夜は短し歩けよ乙女」でも主役(「黒髪の乙女」役)を務めていました。彼女のことは全く知らなかったので、このドラマは舞台前にちょうど良いタイミングでした!

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桜の塔(テレ朝系列、木曜21時)

 警察ドラマでありながら、事件捜査ではなく警視庁内の権力闘争が主題となっていました。こういう政治的なパワーゲームは大好きなので、この手のドラマはどんどん増えていってほしいですね。

 ところで、こういったパワーゲーム的要素を捉えて、このドラマを半沢直樹的」と形容する意見もあるようです。たしかに、ドラマ「半沢直樹」も、銀行内の権力闘争が主題となっていました。

 しかし、正義の描かれ方については、「半沢直樹」とやや温度差があったような気がします。たとえば「半沢直樹」シーズン1の最後に、功労者の半沢が東京セントラル証券に出向させられ、不正の黒幕の大和田常務が取締役に残留したように、勧善懲悪を特徴とする「半沢直樹」では完全に(ナイーブな)正義が貫かれた訳ではありません。しかし、それより露骨な形で、「桜の塔」では、千堂の野望を挫くために手段を選ばない「サッチョウの悪魔」が描かれました。つまり、両ドラマではどちらでも、「実体的正義(悪しきを挫くという目的)」のための「手続的不正義(違法・不当な手段)」が描かれるのですが、どちらかと言えば「半沢直樹」は手続的不正義が不正義に見えないように(専門家の視聴者でなければ気付かないように)描写されていたのに対して、「桜の塔」では手続的不正義は不正義であると登場人物により何度も自己言及されていました(加えて言えば、作中で良心的存在のように描かれていた水樹(演:広末涼子)でさえ、上條に向けて拳銃を撃つという懲戒解雇レベルのことをやらかしています)。

 さて、「桜の塔」にはもう一つ「半沢直樹的」なところがありました。というのは、このドラマで描かれた権力闘争がまさしく「男たちの戦い」であったことです。メインキャストの水樹(演:広末涼子)や千堂優愛(演:仲里依紗)、あるいはクラブのママ(演:高岡早紀)は、権力闘争の主人公にはなれず、主役を支える役どころに過ぎませんでした。今の時代にこれはどうなんだろうと、(ポリティカル・コレクトネス的な規範論というより)事実に即していないのではないか、と思ったのです。しかし調べてみると、警視庁の現実は想像以上に男社会でした(警察でも広がる女性活躍 警視庁で初の警視正が誕生(1/2ページ) - 産経ニュース)。官公庁でこの少なさは衝撃です。

 役者について言えば、調べて驚いたことがあります。上條(演:玉木宏)の上司であり義理の父親の千堂大善(演:椎名桔平)を見たとき、あまり年齢差がないように見え違和感を感じました。しかし、調べてみると、玉木さんは41歳、椎名さんは56歳でした! 椎名さんが若く見え過ぎていたのです!!

 ところで、「薩摩派」「東大派」「外様派」「千堂派」「改革派」という名称には違和感を覚えました。もちろん、他称としてこれを使用するのには違和感ないのですが、自称(正式名称)でこれらの呼称を使うのは不自然なような気がします(たとえば、上條が千堂に対して「我々は改革派を立ち上げます」と宣言したシーンなど)。例として自民党の派閥については、岸田派は「宏池会」、細田派は「清和政策研究会」などの正式名称があります。他称と正式名称の2つを使用して視聴者に混乱を招くことを避けたためだと思いますが、「○○派」をグループの正式名称にするのは、あまり格好良くないのではと感じた次第です。

 

 

ドラゴン桜 シーズン2(TBS系列、「日曜劇場」日曜20時)

 放送開始前にTVerでシーズン1(2005年)が配信されていたので視聴したのですが、最初の数話で見るのをやめてしました。なんというべきか、放送当時はウケていたかもしれませんが、ドラマのノリを寒く感じてしまったからです。映像技術や演出の古さもありますが、時代に特有の演技のクセないしはクサさを感じてしまったのです。

 それとは打って変わって、シーズン2は終始楽しく見られました。各所で指摘されているように、たしかに「日曜劇場的」「半沢直樹的」でした。実際この作品は、日曜劇場枠で放送されていますし、キャストも日曜劇場的ですし、演出を担当したのは、同枠で「半沢直樹」「ルーズヴェルト・ゲーム」「下町ロケット」「陸王」「ブラックペアン」「ノーサイド・ゲーム」などを担当した福澤克雄氏です。やはり、私に合っているというか、今の時代に合っているのは、シーズン2の方です(もっとも、20年後くらいには今の日曜劇場的なドラマも、同様に視聴に耐えなくなる可能性もありますが)。

 とはいえ、ストーリーの主軸は、日曜劇場的な権力ゲームではなく、シーズン1と同じく東大合格メソッドでした。私は東大に合格したことも受験したこともありませんが、一応(地方の自称)進学校で受験勉強をしたことのある身としては、頷ける内容が多々ありました。「受験は団体戦」なんて言葉は高校在学中に教師から何度も言われました。そのほか、現代文の解き方や家庭環境の重要性など、当時は自覚していなかったものの、今になって振り返ると頷けることもありました。また、高学歴者にいる発達障害について触れたり、多様性を重視する校風を断固として実行する理事長など、現代的な要素も高く評価したいと思います!(特に健太が東大専科に入る第5話が良かったですね) 旧作と今作の比較については、16年で激変!新旧「ドラゴン桜」で見る日本の変化 | ドラマな日常、日常にドラマ | 東洋経済オンライン | 経済ニュースの新基準を参照。

 ところで、ドラマ後半では、まさかのあの人物の裏切りが判明しましたね! 半沢直樹的」的を逆手にとった上手い脚本だったと思います!

 役者陣も良かったですね! 生徒役は全体的に良かったのですが、個人的に特に印象に残ったは、前半でとにかく嫌なヤツを演じた鈴鹿央士さん(役:藤井遼)発達障害という難しい役どころを演じた細田佳央太さん(役:原健太)最初の憎むべきキャラから桜木の子分になって憎めないキャラになった西垣匠さん(役:岩井)と西山潤さん(役:小橋)ですね! あと、ラジオリスナー的には、三四郎の二人がそれぞれ出演していたのが嬉しかったですね!

 

 

ネメシス(日テレ系列、日曜22:30)

 主役が広瀬すずさん&櫻井翔さん、そして途中から橋本環奈さんが参戦するなど、キャスト陣が非常に豪華でしたが、個人的には、5名のミステリ作家が脚本協力していた点に注目していました(これら5名とは別に脚本家もいます)。

 しかし、終わってみれば、あまり期待通りではありませんでした。ミステリ的なトリックの厳密さが疑わしいところがあった点、謎解きのロジックよりも映像映えが優先されていると見受けられる点、後半はミステリーというよりもサスペンスであった点は、肩透かしな感じがありました。この点、脚本協力した作家の一人によれば、ドラマと小説版にはストーリーの差異があるようです。

 私は小説版を読んでいないのですが、ここから伺える限りでは、言葉の論理を重視する展開は、ドラマ化に際して映像映えするように改変されたようですね。事前の期待が高すぎたようです(ちなみに、(キャラ設定の改変はありましたが)トリックやロジックが原作読者の期待通りに再現されたドラマ「アリバイ崩し承ります」はかなりおすすめです)。

 全体として「ネメシス」は、本格ミステリ的なトリック&ロジックによる事件解決よりは、(特に後半になるにつれて)天才やコンピューターによる高い演算能力、あるいは身体的特技による事件解決の方が目立っていたような印象です。

 

 以上が2021春ドラマの感想です。

 

 

夏ドラマは何を視聴する?

 2021夏ドラマは、とりあえず、「ハコヅメ~たたかう!交番女子~」(日テレ系、7月7日(水)スタート)は視聴予定です。原作漫画を何巻か読んだことがあるのですが、面白かったですよ!

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 「武士スタント逢坂くん!」(日テレ系、7月26日(月)スタート)も、原作漫画を数話読んだことがあるのですが、江戸時代から現代にタイムスリップした春画師の武士がエロ漫画のアシスタントになるという突飛な設定が面白かったです。

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 「IP サイバー捜査班」(テレ朝系、7月1日(木)スタート)では、佐々木蔵之介さんがまたご自身の地元の京都でドラマをやっていますね。

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 「TOKYO MER~走る緊急救命室~」(TBS系、7月4日(日)スタート)も、医療×日曜劇場ということで手堅いのかなと思っています。

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 夏ドラマも楽しみですね!