「星合の空」第4話の感想とソフトテニスの解説
この記事では、「星合の空」の第4話の感想とソフトテニスの解説を記しています(筆者がソフトテニスから離れてしばらく経っていることにご留意ください)。
第3話については以下の記事をどうぞ!
1.アオエム初登場!
OPアニメーションにて、ルーセント製の「アオエム」ボールが(たぶん)初登場しました! 右側の少し薄汚れた方のボールで、青字のロゴが入っています。
手前の白いボールは、ナガセケンコーの「ケンコーボール」です。
左側の青色のラケットは、眞己のミズノ製「TECHNIX 200」(ブルー)です。この度はご愁傷様です。
右側の緑色のラケットは、ヨネックス製「LASERUCH 9S」(ブライトグリーン)のはずです。しかし、ずっと気になっていたのですが、このラケットの印字がどうみても「ze」、上下逆さましても「az」で、左右反転させないと「9S」とは読めないんですよ。作画ミスなんですかね? それとも、ヨネックスが協力しているのに、なんらかの配慮があって意図的にこうなっているのでしょうか?
2.グリップエンドにご注目!
ラケットのグリップエンドには、各メーカーのロゴが入っています。ヨネックス製については、緑地に白のロゴが入っています。
後に紹介できれば良いのですが、グリップエンドのデザインについては、ミズノ製の方が格好良いです。
3.女子ソフトテニス部の練習が危険!
第1話から気になっていましたが、女子部員がコートとコートとの間に並んで立っている状況は危険です。隣のコートにボールが飛んでいかないようにという配慮からだと思いますが、後ろからぶつかられる危険性があります(特に試合中ならなおさらです)。十分にコート間の間隔が空いていればまだしも、これくらいのスペースでは事故になりかねません。
4.15ポイントマッチ!?
「15ポイントマッチ」で試合を行うというのは初めて聞きました。私は経験がありません。
「15ポイントでやるのが一番早いんでしょ?」と眞己は言っていますが、3ゲームマッチ(最小でゲームカウント2-0、ポイント換算で8-0)で行うのが一番早いのではないかと思います。
それに、ソフトテニスは、ゲームが終わるごとにサーバー/レシーバーを交代するので、15ポイントマッチ(=1ゲーム制)ということで交代がなければ有利不利が生じてしまいます。アニメでは、途中でサーバー/レシーバーが変わっているようなので、15ポイントマッチでも4ポイントごとにサーバー/レシーバーが交代しているっぽいですね。
5.ペアの決め方、前衛と後衛の相性
ペアの組み方について、もっとも単純で粗雑な決め方は、前衛と後衛の上手い人を順にペアにさせてゆく方法です。これを基本として、様々な要素を考慮し少々の調整を加えて、ペアを最終的に決めるというパターンが多いのではないでしょうか?
ちなみに、団体戦(3ペア6人制)の場合は、強い方の4人で2ペアを組み、弱い方の2人で1ペアを組む、みたいな勝ちに行く方法があります(もちろん個人戦と同じペアを維持する方法もあります)。
ペアの組み方における性格云々については、正直よく分かりません。アニメらしいストーリーだとは思いますが。
加えて言えば、「常にペア2人の行動を基本とする。コンビネーションを高めるには、それが手っ取り早い」なんてのは、理想主義的(つまりアニメ的)に過ぎるように思います? ペアで戦術や反省を話し合うことはもちろん重要ですが、学校生活においてまでもペアと一緒に行動するなんて、うんざりしそうで、かえって逆効果な気がします。また、他の友達との関係が変になりそうじゃありませんか?
6.前衛と後衛のコミュニケーション
第一試合における翅(つばさ)と晋吾(しんご)のように、ペア同士は、コミュニケーションを取り合いながら試合しなければなりません。
たとえば、ボールがちょうど二人の中間地点に来たときは、「取る!」「取って!」などの会話をして、どちらが打つのか決めなければなりませんし、コートの真ん中で前衛と後衛の位置が縦に重なってしまったときは、後衛が前衛に「右!」と言って、前衛に行ってもらいたい方向に指示を出し、後衛自身は左の方へポジショニングするのです(前衛が後衛に指示をするパターンもあります)。
円滑なコミュニケーションの観点からは、前衛と後衛は対等な関係にあった方が望ましいです。
7.ボレーの方法
ノーバウンドでボールを打つことを「ボレー」と言います。
(右利きの人の)ボレーの打ち方は、まず、シャフトに左手をそえて、ボールが来たら右足を前に踏み込み、ラケットをやや下に向けつつ、右手を前に伸ばしてボールを打ちます。ボレーをするときは、怖いかもしれませんが目を閉じずに、ラケットを顔の前に持って来てボールを打ちます。
ボレーをするときは、勢い余ってラケットや体がネットに触れないようにしましょう。プレー中にネットに触れてしまった場合、失点してしまいます。
8.ダブル後衛というポジショニング
第3試合において、大洋と直央は、ペアの2人ともが後衛ポジションを常態とするダブル後衛となりました。ダブル後衛は、後衛の足が遅い場合や、前衛が上手くない(決定力に欠ける)場合などに有効なポジショニングです。
このペアの場合、元々後衛だった大洋の足が遅く、相手にボールを左右に振られてコートを走っても追いつけず失点するパターンがあったようです。そこで、このペアは二人ともが後衛になることにより、大洋はコートを左右に走る必要が無くなったのです。
ダブル後衛においては、コートの半分はペアのもう一人に任せられるので、左右方向にはほとんどは走らなくて済むのです(ただし、ネット際に短いボールが来たときは前に走らなければなりません)。前後衛およびダブル後衛の場合において、各人がとるべきボールの範囲(バウンド地点基準)は、おおよそ以下の図のようになります。
ダブル後衛の基本戦術は、相手前衛の裏側にロブ(高い打球)などを打って相手後衛を走らせるという形でラリーを続けることにより、相手後衛のミスを待つことです。ラリーを続けることにより、相手後衛がアウトボールを打ったり、体力切れでボールに追いつけなくなったりするのを待ったり、甘いボールが来たときには強打すればよいのです。実際、大洋と直央がダブル後衛になってから失点したときの柊真は肩で息をしていました。
2人でラリーを行うダブル後衛側は左右に走らなくても良いので、1人でラリーを続ける相手後衛に対して体力的に優位に立てます。つまり、無理に相手前衛がいるコースへボールを強打してボレーで返されるようなリスクは負う必要はないのです。直央は積極的にネット際へ出て前衛の仕事もこなしているようでしたが、このような機動的なポジショニング(オールラウンダー)は、中級者~上級者向きです。
それでは、前後衛のペアはダブル後衛に対してどのようにして対抗したらよいのでしょうか?
第一に、ネット際に短いボールを打って、相手後衛のどちらかをネット際まで走らせ、ダブル後衛を崩すのです。もしかしたら(特に中学生の場合は)ダブル後衛をするような人は前衛が下手なので、一時的に前衛ポジションになったところを狙います。
第二に、ダブル後衛はセオリーとして相手前衛の裏側にロブ(高い打球)を打って相手後衛を走らそうとするので、前衛はこのコースを読んで、甘いロブが来たらスマッシュで決めるのです。ただし、ダブル後衛なので、スマッシュであっても拾われる可能性があります。
第三に、ダブル後衛の場合、相手に前衛がいないので、後衛は積極的に際どいコースを攻められます。具体的には、ダブル後衛の中間地点を狙って打ちます(上図の紫色の部分)。どちらがとるか相手ペアが迷うようなコースがベストです。実際、第三試合の最終ポイントにおいて、柊真が決めたコースはこの中間地点でした。このとき、右利きの大洋が右側に、左利きの直央が左側にいただけに、両者がバックハンドになる中間地点に打ったのは大正解です。
第5話の感想については以下の記事をどうぞ!