「星合の空」第3話の感想とソフトテニスの解説
この記事では、「星合の空」の第3話の感想とソフトテニスの解説を記しています(筆者がソフトテニスから離れてしばらく経っていることにご留意ください)。
第2話については以下の記事をどうぞ!
1.ソフトテニスの試合形式
ソフトテニスの試合形式については、柊真の説明の通り、
ソフトテニスの試合は、通常、1セットマッチ。その1セットは3ゲーム、5ゲーム、7ゲームなど奇数ゲーム数で行う。その1ゲームは4ポイント先取すれば取れる。3ゲームマッチなら、先に2ゲーム取れば、試合は勝ちになる。つまり、1試合の過半数のゲームを取ればいい訳だ。
追加説明を行うとすれば、中高生の公式戦は7ゲームマッチで行うことが多いです(ただし、中学生では公式戦でも県大会に行くための地域予選は5ゲームマッチの場合もあります)。
練習試合(特に部内での練習試合)では、限られた時間内で多くの試合が組めるようにするために、3ゲームマッチや5ゲームマッチで行われることが多いです。
1ゲームは4ポイント先取制ですが、双方とも3ポイントずつとなった場合(デュース)は、2点差がつくまでゲームは続きます。
ちなみに、プロの硬式テニスは、1マッチ5セット制(3セット先取)、1セット6ゲーム先取(2ゲーム差以上)、1ゲーム4ポイント先取(2ポイント差以上)なので、テレビ画面の向こう側で活躍しているプロテニスプレイヤー(特にシングルス)がいかに体力オバケなのか痛感します。
2.ソフトテニスのユニフォーム
ソフトテニスは、(日本発祥ですが)イギリス由来ということで、服装には少々うるさいです(硬式テニスやバドミントンはここまでうるさくありません)。
ユニフォームは、襟付きで、すそはパンツにしまわなければなりません。また、公式戦の場合は、氏名と学校名が書かれたゼッケンをユニフォームに付ける必要があります(ユニフォームに直接プリント・刺繍されたものでも可)。
3.コートとポジション(前衛と後衛)
以下の図がテニスコートにおけるラインの名称です。
ダブルスにおいては、前衛と後衛で役割分担するのが常道です(これはルールではなく、ただのセオリーです)。
後衛はコートの後ろの方にポジションをとり、相手の後衛との打ち合い(ラリー)をしてボールを繋げ、ネット際にポジショニングする前衛は、相手後衛のコースを読んだりミスを捉えて、ボレーやスマッシュといった決定打を決めます。
もちろん、一時的に二人ともが後衛になったりするなんてことは多々あります。役割分担・ポジショニングは試合の状況に応じて流々転々します。
ダブル後衛(2人とも後衛)やダブル中衛(2人ともサービスラインくらいにポジションをとる)といったポジショニングを常態として行うペアもありますが、特に後者は上級者じゃないと無理です。
4.サービス/レシーブのルール
サーブ(サービス)を行う者をサーバー、サービスに対して返球(レシーブ)する者をレシーバーといいます。サーバー、レシーバーはペアのどちらかがいつどのタイミング行っても良いというものではなく、きちんと順番が定まっています。
サーブ権はゲームが終わるごとに自分たちのペアと相手のペアとで交代します。また、自分たちがサーブ側のときでも、2ポイントごとにペアの中でサーバーが交代します。他方、レシーバーは、ペアの中で1ポイントごとに交代します。
サーブは、エンドライン後方のセンターマークより片側から対角のサービスコートに向かって打ちます。レシーブはどこに打っても構いません。相手後衛に打ち返しても、相手前衛の裏側にロブ(高い打球)を打って相手後衛を走らせても、相手前衛に向けて強打してストレートを抜いても構いません。
以上の内容は言葉では理解しにくいと思うので、詳しくは下図をご覧ください。
1つ目の練習試合の1ポイント目で、サービスサイド側の眞己(サーバーは柊真)は、下のキャプチャのようにサービスライン付近にポジショニングしていますが(画像右上)、かなり悪い位置にいます。
ソフトテニスは、足元にノーバウンドで来る球の返球が一番難しいため、このポジションにいては格好の的です。そのため、相手側が眞己の足元を狙ったのも当然のことなのです(眞己はネット際に走って誘うような形でボレーを決めましたが、しかし、特に初心者にとっては必然性のあるポジショニングではありません)。
同じように、2つ目の練習試合において、下のキャプチャのように相手ペア(画像上側)は、多くの時間帯で2人ともサービスライン付近にポジショニングしていましたが(ダブル中衛)、これは上級者でなければ無理なポジショニングです。足元に強打されたり、ベースライン付近にロブ(高い打球)を打たれたりしたら、簡単に失点してしまいます。負けたのも仕方ありません。
その一方で、柊真(画像右下)はベースライン付近にポジショニングしており、だいたいの球に対応できる位置にいます(反対に、眞己の位置はもっとネット際に寄った方が良いです)。
サーブは1回目(ファーストサーブ)がサービスコートに入らず失敗(フォルト)した場合、2回目を打てます(セカンドサーブ)。1回目がスピード重視で打つのに対し、2回目は、これも失敗したら相手側のポイントになってしまう(ダブルフォルト)ので、コントロール重視で打ちます。
セカンドサーブは、中級者~上級者はオーバーハンド(肩より上で打つ)の方が多いですが、初心者~中級者はアンダーカット(膝くらいの高さで回転をかけて打つ)の方が多いです(カットサーブはスピードこそありませんが、バウンドしたボールが変な方向へ曲がります)。アンダーカットの方がコントロールしやすく、またオーバーハンドに比べると打った後に体勢をすぐに直せるからです。
1つ目の練習試合の4ポイント目において、眞己はセカンドサービスをオーバーハンドで緩やかに打っていましたが、これでは相手が強打してレシーブしやすいです(初心者なので仕方ないのですが)。
5.ミミズ腫れは初心者あるある
ソフトテニス初心者において、ラケットを握り慣れていないことにより生じる水ぶくれや皮が剥ける現象はあるあるです。数か月も続けていれば、当該箇所の皮膚が硬くなり、問題なくラケットを握れるようになります。
6.ラケットの形状について
まず大前提として、ソフトテニス用のラケットと硬式テニス用のラケットは別物です。ボールが違うため、その造りも異なるのです。ソフトテニス用のラケットで硬式テニスのボールを打ったら壊れてしまう可能性があるので止めましょう(反対に、硬式テニスのラケットではソフトテニスボールを打っても大丈夫です)。
ラケットの形状は、大きく分けて二種類あり、一本シャフトと二本シャフトとがあります。シャフトとは、ラケットの面/フレーム部分とグリップ部分を結ぶ箇所のことです。枝分かれしていないものを一本シャフト、二つに枝分かれしているものを二本シャフトといいます。
一本シャフトは、2000年代頃までは、中級者~上級者の後衛が使うものとされてきました。二本シャフトに比べると一本シャフトは、面もミート部分も比較的小さく、重量も重めに作られていますが、その分だけ振り抜きやすく球威が増すのです。反対に、面もミート部分も広く、比較的軽いためどんな球でも素早く対応しやすい二本シャフトは、前衛や初級者~中級者の後衛が使うものとされてきました。2000年代頃までの二本シャフトの中空部分は、シャフトの半分程度までしか開いていませんでした。
しかし、2010年代になってからは、シャフトの中空部分がグリップ部分まで大きく開いたものが勢力を増してきました(このアニメで皆が使っているラケットの形状です)。2019年現在においては、前後衛を問わず、大きく開いた中空部分を持つ二本シャフトがかなりのシェアを占めるようになっています。メーカーにおいて、後衛における二本シャフトの優位性が証明されたのでしょうか? とはいえ、前後衛で、一見して同じような外見でも、前衛用と後衛用では、重さ、重心、面の大きさ、グリップの太さなどに違いは残っています。
第3話で、眞己は地面にラケットを打ちつけ、樹は人にラケットで人に殴りかかっていましたが、こんな使い方をすればラケットが損傷してしまいます(実際、後者についてはしっかりと壊れていました)。ラケットの枠が損傷すれば当然にガット(ストリングス)が緩んで使い物にならなくなります。シャフトが損傷しても打撃感が変わってきます。ラケットは1~3万円くらいするので、中学生・高校生にとってはかなり高い買い物です。
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