「星合の空」第2話の感想とソフトテニスの解説
この記事では、「星合の空」の第2話の感想とソフトテニスの解説を記しています(筆者がソフトテニスから離れてしばらく経っていることにご留意ください)。
第1話については以下の記事をどうぞ!
1.サンバイザー
作中で指摘されている通り、サンバイザーは女子しか被らないというのが常識です(とはいっても、キャップを被る女子もたくさんいます)。頭全体を覆えて日差しを遮れるキャップの方が良いのですが、髪型や通気性の問題から女子からはサンバイザーも支持されているのです。
2.ダブルス
テレビでよく見る硬式テニスはシングルスの方がメジャーですが、ソフトテニスにおいては圧倒的にダブルスの方がメジャーです。中高における夏の大会(3年生最後の試合)、秋の大会(新人戦)の二大公式戦おいては、ダブルスしかありません。
3.グラウンド20周
中学生の頃、入部してから3年生が引退するまではこのような走り込みをやっていたのを思い出しました。基礎体力を付けるという理由もあるのですが、そもそもコートを大人数で使えないという事情もあったかと思います。
(私の体験談で言えば)正直なところソフトテニスは、ある程度まではきちんと基礎体力を付けていなくても、小手先だけのテクニックでそれなりにできるのですが、試合で勝ち進んでより強い相手と当たるとなると基礎体力の必要性を痛感します。
たとえば、フォアハンドで打つのとバックハンドで打つのは、一般論として前者の方が威力もコントロールも優れているのですが、利き手と反対側(バックハンド側)にボールが来たときに回り込んでフォアハンドで打ちたければ、やはり俊敏性や持久力などの基礎体力がモノを言います。
4.ソフトテニスボール
ソフトテニスでは、中空の白色ゴムボールが使用されます。専用の空気入れを使ってボールの弾力を調整します。硬式テニスのボールが黄色のフェルトで覆われた硬めの球であるのに比べると、格段に柔らかいです。そのため、硬式テニスはパワーによってラケットでボールを弾き返せるのに対し、ソフトテニスはボールが軽く柔らかい分、より大きなフォームでラケットに全身の体重を乗せてボールを打つのです。
作中でも言及がありましたが、ソフトテニスボールは柔らかいため、万が一当たったとしても安全です。しかし、骨折をしない程度に安全というだけで、皮膚に直接当たれば赤紫色のミミズ腫れができます。柔らかい分、当たったボールは皮膚にぴったりと接着し、ヒリヒリとした痛みを広範に残すのです(ビンタみたいな感じでしょうか?)。
ソフトテニスボールはゴム製品であるため、新品は白くてグリップ力があるのですが、長い間使っていると砂利で茶色っぽく汚れてきて、表面がツルツルになってゆきます。ツルツルなだけならまだしも、ゴムボールのため長く使っていると新品に比べ少し肥大してゆきます。どれくらいの頻度で新品のボールに交換されるかは、部の財政状況によるでしょう。
5.ラケットの握り方
作中で説明があった通り、ラケットの握り方には、ウェスタングリップ、イースタングリップ、セミイースタングリップがあります。そして、ソフトテニスにおいては、ウェスタンが基本となります(ウェスタングリップでは、フォアハンドもバックハンドも同じ面でボールを打ちます)。
硬式テニスやバドミントンでは、イースタングリップが基本かと思われます。両競技ともラケットの両面を使って球を打つ(フォアハンドとバックハンドで別々の面を使う)ので、イースタンの方が適しているのです。
しかし、ソフトテニスは、ボールが軽く柔らかいという特性上、全身の体重を移動させてボールを打つという大きなフォームが必要になります。そして、そのフォームのためには、フォアハンドでもバックハンドでもラケットに体重が乗りやすいウェスタングリップが優れているのです。
とはいえ、サーブの場面では、ボールに回転をかけるために、一時的にイースタングリップやセミイースタングリップにすることがあります。しかし、サーブを打ったらすぐにウェスタングリップに握り直します。
6.ボールの打ち方(フォアハンドとバックハンド)
柊真の説明は完璧ではないでしょうか。初心者はこれを見て勉強するのも良い手かと思われます。
あえて追加説明するとすれば、
- ボールはへその高さで打つよう、しっかりと腰を曲げて膝を低くかがめる。
- ボールを打つ瞬間、ラケットの中心線(グリップからラケットのヘッドを結ぶ線)が地面と水平になるようにする(意識していても、どうしてもヘッド側に傾いてしまいますが)。
- ボールを打つ瞬間、ラケットの面が地面と垂直かやや下向きになるようにラケットを振る(ラケットの面を上向きにすればアウトになってしまい、下向きにすればネットに引っかかってしまう)。ラケットをそのまま振り抜けば、綺麗に順回転(ドライブ)がかかる。
正直、フォアハンドについては、柊真の説明の通りの綺麗なフォームでなくとも、小手先のテクニックである程度の威力とコントロールを出すことはできるのですが、バックハンドについてはこうはなりません。バックハンドは、フォアハンドに比べると習得が格段に難しく、正確なコントロールに苦労します。
7.コートが使えないからグラウンドで練習
「コートが使えないからグラウンドで練習」と言いつつも、グラウンドにはしっかり「壁打ち」用の壁があります。これがあるのとないのとでは大違いです。
コートがない場所では基本的にはラリーの練習はできませんが、壁打ち用の壁があれば、擬似ラリーができます。ラリーができるのとできないのとでは、練習の楽しさが格段に違ってきます。
とはいっても、実際のコートに比べると、ボールが再び手元に返ってくるタイミングが若干早く、また勢いよく打たないと元の場所まで返ってこないので、まったく同じという訳にはいきません。初心者向きの練習ではないです(眞己くらい才能があれば問題はないのでしょうが)。
第3話の感想と解説については、以下の記事をどうぞ!