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「星合の空」第1話の感想とソフトテニスの解説

 

現在、2019秋アニメとして「星合の空」が放送されています。この作品では、アニメでは珍しく(というか初めて?)、ソフトテニスが題材とされています。

中学・高校でソフトテニスをやっていた私としては何かを書かずにはいられません。そこで、(ストーリーやキャラについての感想は他の方に任せるとして)主にソフトテニスの解説をこの記事では書こうと思います。

ソフトテニスの競技人口の中心は中高生ですが、生涯スポーツとしても可能な競技でもあります。この記事がソフトテニス普及の一助になれば幸いです。

※筆者がソフトテニスから離れてしばらく経っているので、もしかしたら不正確な記述があるかもしれません。ご注意ください。

※筆者が常識だと思っていることは狭い地域でしか通用していなかった可能性があります。ご了承ください。

 

 

1.中学校におけるソフトテニス

このアニメの舞台は中学校ですが、中学校でのテニスと言えば、ほとんどがソフトテニスになるかと思います。硬式テニス部がある学校はかなり少ないはずです。

その理由は、硬式テニスがパワー(筋肉)を使って球を打つのに対し、ソフトテニスはパワーというよりも、大きなフォームによる全身の体重移動を使って球を打つからです(第2話参照)。つまり、まだまだ体の筋肉が未発達な中学生にとってはソフトテニスの方が向いているのです(硬式テニスの場合、肘を壊す可能性があります)。

 

 

2.試合における掛け声

「いっけーいけいけ〇〇! おっせおせおせ〇〇!」という女子部員の掛け声がありましたが、公式試合や他校との練習試合ならともかく、部内での練習で掛け声を行うことは珍しいかと思われます(ただ、強豪校なのであり得る話ですが)。

ソフトテニスでは、試合中のペアを応援するために試合のない仲間が応援するのが通例です。しかし、「いっけーいけいけ……」のようにリズムに乗せて応援するのは女子中学生くらいなもので、男子や高校生以上は、「ナイスサーブ!」「ナイスボール!」程度の単発的な掛け声にとどまるものが多いかと思います(しかし、強豪校はこの例外ですが)。

また、ソフトテニスの掛け声において特徴的なのは、外野の掛け声によって味方を応援するはもちろんですが、敵にプレッシャーをかけることも重視されていることです。つまり、味方に対して「ナイスサーブ!」のような掛け声はもちろんするのですが、たとえば、敵がミスした場合には敵の方にまで聞こえるくらい大きな声で「ラッキー!!」と声を出すのです。こうやって相手のメンタルへの攻撃を仕掛けて味方の応援をするというのが、ソフトテニス界の(褒められたものではない)慣習です。

 

 

3.練習着がユニフォーム?

このアニメでは、放課後の部活で使う練習着としてユニフォームを使っていますが、中学生は普通、体操服で練習をするかと思います(高校生になったら体操服は使わず、中学校の頃に使っていたユニフォームや自前の練習着を着ることが多いです)。

ただ、この中学校は強豪校(部活に力を入れている学校?)なので、練習着としてユニフォームを使うという決まりがあってもおかしくはないですね(ただ、毎日の練習にユニフォームを使うとなると、洗濯・乾燥を頑張るか、ユニフォームを複数セット購入する必要があるということになります)。

ところで、女子のユニフォームにはスコート(スカート)が採用されていますが(多くの学校は女子もハーフパンツを採用します)、練習着としてこれを着用するとなると、健全な男子中学生にとっては目に毒ですね。

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ユニフォームとスコート

 

4.音がリアル!

第1話において女子部員と男子部員が練習試合を行っていますが、そこでのボールの音がリアルです。

また、男子部員が女子部員に向けてラケットを使って拍手をするシーンがありましたが、あのラケットのガット(ストリングス)を手で弾く音はかなりリアルです。というか、本物で録音しているはずです! ちなみに、ガットを張る度数が高いほど弾いたときの音は高く、度数が低いほど(張りが緩んでくるほど)音が低くなります。

 

 

5.1点も取れない?

第1話の練習試合において、男子部員は女子部員から1点も取れなかった(ラブゲーム)ようですが、これは異常事態です。それなりに上手くても、コースを狙いすぎてミスをしたなんてことは珍しくありません。ということは、ここの女子部員はかなりの上級者ぞろいということになります。

 

 

6.ソフトテニスをやっていてもモテない?

これは私の中学校の頃の経験談ですが、男子ソフトテニス部には、学年一のイケメンが所属していました。彼は運動神経も良く、小学生の頃から地域のクラブに入ってソフトテニスをやっており、部内で一番強かったです。

また、女子ソフトテニス部には、学年の中でもかわいい女子たちが多く集まっていました。そして、中3のとき、その中の一人と、例のイケメンが付き合っていました。周りが文句の言いようもない美男美女カップでした。

以上の経験談から言えるのは、男子ソフトテニス部だからといって定型的にモテないのではなく、モテないのはその顔のせいだ、ということです(特に、小中高大の中で、顔が一番重視される時期は中学校ではないでしょうか)。しかし、例の彼は性格も良かったですからね……。

地方大会や全国大会に出るほどの強豪校であれば、男子ソフトテニス部というものに箔が付き、少しはモテやすくなるのではないでしょうか?

 

 

7.4年間一度も勝ったことがない?

ここの中学校の男子ソフトテニス部は4年間一度も公式戦で勝ったことがないそうですが、これは異常事態です。

ソフトテニスは中学校から始める人がほとんどなので、個人戦ならば一回戦で初心者と当たる確率はそれなりにあります。初心者と当たっても勝てない、あるいは初心者と当たったことがないという事態であれば、かなり運の悪い弱小部ということになります。

 

 

8.ソフトテニス業界のこのアニメにかける思いがすごい!!

エンディングクレジットの協力の欄には、ソフトテニス業界にとって重要な企業・団体が勢ぞろいしていました。

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エンディングクレジットの協力欄

 

まず、「日本ソフトテニス連盟」は、日本ソフトテニス界の統括団体です。ここが公式戦のルールなどを決めています。ソフトテニスのラケットには連盟のマークが入っています(ラケットの軸にある小さな緑色の盾状のマークです)。

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日本ソフトテニス連盟のマーク

 

そして重要なのが「ミズノ(Mizuno)」「ヨネックス(YONEX)」です。これらはソフトテニス界における二大メーカーで、ラケットやユニフォームを製造しています。この両企業が業界シェアをめぐってしのぎを削っています(両方とも国内メーカーです)。

第1話で柊真が眞己にあげた青色のラケットミズノ製の「TECHNIX200」(ブルー)でした(2019年発売の入門用モデル)。

ミズノ|テクニックス200(ソフトテニス)|テニス|ソフトテニスラケット

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眞己のラケット「TECHNIX200」(ミズノ製)①

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眞己のラケット「TECHNIX200」(ミズノ製)②

反対に、柊真の緑色のラケットヨネックス製の「LASERUSH 9S」(ブライトグリーン)ようです(同型モデルの発売が2015年の上級者モデル)。

鋭い弾きで瞬発スピードを生む上級者向けラケット「LASERUSH 9S、9V」の新デザイン、ブライトグリーンを2016年7月下旬発売|NEWS ニュース | YONEX SOFT TENNIS ヨネックスソフトテニス

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柊真のラケットは「LASERUSH 9S」(ヨネックス製)

各部員のラケットが接写される際、デザインのディティーがかなり再現されていますのでよく確かめてみてください。

 

上記二社と比べると、「アシックス」は、ソフトテニス界においては影が薄いです(というか、私自身、このアニメを見てアシックスがソフトテニス界と関わりがあることを知りました)。どうやらテニスシューズを製造しているようです(しかし、ソフトテニスプレイヤーほとんどがミズノかヨネックスを履いています。硬式テニスではそれなりに使われているのでしょうか?)。このアニメにおいては、アシックス製のシューズが使われているようです。

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アシックス製のシューズ

 

ナガセケンコーは、ソフトテニスのボールの製造業者です。連盟公認の公式球として公式試合に使える「ケンコーボール」を製造しています(赤字は公式球で、青字は廉価版の練習球です)。

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ケンコーボール(赤)

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ケンコーボール(青)

 

ルーセントは、ソフトテニスのユニフォームメーカーです。ミズノとヨネックスに次ぐシェアかと思われます。また、ソフトテニスボールのメーカーでもあります。「アカエム」と呼ばれる赤字の公式球と、「アオエム」と呼ばれる青字の廉価な練習球を製造しています。

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アカエム

 

ベースボール・マガジン社は、ソフトテニス界唯一のスポーツ誌ソフトテニス・マガジン」を発行しています。第1話にはそれらしいものが映り込んでいました。

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ソフトテニス・マガジンっぽい雑誌

 

誠文堂新光社は、出版社のようですが、ソフトテニス界とどう関わっているのか私はよく知りません。清明学園」は、東京にあるソフトテニス強豪校のようですね。

 

ちなみに、第3話で樹が破壊したラケットは、ウィルソン製っぽいですね。ウィルソン(海外メーカー)は、硬式テニスのメーカーという印象でソフトテニス界においてはほとんど存在感がなく、硬式テニスのラケット市場においてヨネックスと国際シェアを争っているという感じです。

 

 

第2話の感想と解説については、以下の記事をどうぞ!

irohat.hatenablog.com